MD(ミニディスク)はかつてCDやカセットにとって変わった音楽記録メディアだ。
90年代中頃から2000年代初頭にかけて、ある程度普及した。

カセットのようにA面B面を意識する必要もなく、そしてCDよりもコンパクト。
熱にも強く、カーステ分野においても躍進した。

ディスクは露出していないため、ケース無しでも持ち歩くことができた。
その使い勝手の良さから90年代中盤以降じわじわと認知され、一時代を築くことになった。

しかし、ある程度普及したものの、カセットに比べればその寿命は短かった。
次世代の波にのまれ、衰退の一途をたどっていったのである。

そんなMDであったわけだが実はHi-MDという上位規格が存在した。

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通常のMDより高密度記録が可能となったのがHi-MDだ。

Hi-MD規格のディスクは1GBの容量を誇った。
ちなみに従来のMDは180MB程度だから一気に5倍以上の容量をMDは手に入れたわけだ。

しかし、MDの終焉期に発表され、専用プレーヤーも必要ということもあり、認知度・普及度ともに低かった。
Hi-MDを知らずにMDを卒業していった人も多くいたであろう。

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左がHi-MD、右が普通のMD。
メディアサイズは変更なし。


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Hi-MDディスクを使うにはHi-MD規格対応機種が必要だった。

写真はMZ-NH1
Hi-MDディスクの録再可能な記念すべきHi-MDウォークマン第1号機だ。
シンプルだが高機能・高音質で長く愛用した。

Hi-MDが発表されたのはMP3が普及し始め、MDが下火になりかけた頃だった。
MP3は当時アップルのiPodで広く知られることになる。
iPodの爆発的普及により、MDは引導を渡された。

iPodが音楽業界に旋風を巻き起こし始めたころ、ソニーはどうしていたか?
MDウォークマンの次世代として、ハードディスク、メモリースティックタイプのウォークマンを一応発売している。
ハードディスクを記録媒体とする以上、パソコンは必須である。
その分野においてアップルが有利であるというのは当然のことだろう。
パッとしないソニーのウォークマンは完敗と言えた。

そんな状況下で、上位規格といえどHi-MDが普及するはずもない。
時すでに遅し、悲運の規格となってしまった。

旧来のMDは、音源を圧縮するため、音質は妥協しても使い勝手を優先というスタンスだった。

Hi-MDはCD品質のコピー(無圧縮)ができるようになり、従来通り圧縮して大量の曲を持ち歩くこともできた。

思えばMD発売当初、音源の圧縮という概念はマニアには敬遠された。
デジタルであるが音質は間違いなく悪い。

オレはMDを長く愛用していたので、慣れもあるがMDの圧縮された音質もそんなに悪くない。

MDは音楽専用として、最後の形ある記録メディアといえる。
形あるメディアが音源であれば、それを再生するプレーヤーもおのずとメディアと同じ形になる。
ダウンサイジングは限界があるし、デザインも似たり寄ったりだ。

しかし、オレは形あるメディアが好きだ。
メディアを交換するという動作は今となっては面倒ではあるが悪くない。
形あるメディアに音楽を残すという無駄が好きだ。

それにしてもメモリープレーヤーを使うようになって、アルバムを通しで聴くことが少なくなった。

MDを使っていた頃は基本アルバム1枚をMD1枚に録音していた。
結局、そんなことをやったメディアはMDが最後になってしまった。

MDはレコードやカセットほどの味はないが、いいところもたくさんあった。

アナログからデジタルへの過渡期に存在したMDであるが、Hi-MDならCD音質だ。
今でも十分音質的に使える性能を最終的に手に入れた。

時々楽しみで、レコードやカセットを聴くことがある。

そこにMDも仲間入りしているのは言うまでもない。