明菜デビュー40周年記念の一環として、ラッカーマスターによるワーナーイヤーズの復刻CDシリーズ第一弾が発売された。
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ワーナー期とあるのは、明菜はこれまでレコード会社を何度か変えており、デビュー時に所属したのが当時のワーナー・パイオニアであったためだ。
このワーナー期はアイドル中森明菜を語る上でもっとも重要な時期であり、多くの人が知る明菜の楽曲のほとんどがこのワーナー期のものである。

ワーナー移籍後の楽曲については、当併合を繰り返した現徳間ジャパンとユニバーサルがそれぞれ権利を有しているとみられ、ワーナーはその部分には手を出せないという状況なのだ。
とはいえベスト盤となると抜け落ちた楽曲があると体裁が悪い。
そこでよく「レーベルの垣根を越えたベスト盤」という企画も存在するのだ。

なお、ワーナーは今後2年に渡り、以下全23作品を順次発売していくとのことで非常に楽しみだ。

・オリジナルアルバム:14作品
・ベストアルバム:4作品
・ミニ(企画)アルバム:5作品

そして今回第一弾として発売されたのがデビューイヤーの1982年からの3作品である。
(おそらく今後もリリース順に発売されていくと思われる)

発売予定ラインナップを確認する限り、この復刻シリーズを今後順当に購入していけば楽曲的にはワーナー期はほぼコンプリートできると言ってもいいだろう。

なのでこれから明菜を聴く、または久々に明菜を聴きたくなった、というのならこのシリーズを購入していくのもアリだ。

それにしてもワーナーはこういう周年記念に積極的だ。
やはり明菜を語る上で重要なデビュー~移籍までの楽曲を保有しているのは強いということか。


ラッカーマスターサウンドとは
まず最初に触れておかなければならないのは「ラッカーマスターサウンド」という言葉である。
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ラッカーマスターサウンドとはミキサーズラボが提唱する配信フォーマットである。
これは通常のCDプレーヤーで再生できる技術上の規格であり、SHM-CDやHQCDのような物理的規格とは異なるが、より高音質でという考えは大筋で一致している。
ワーナーからはすでにラッカーマスターサウンドによるCDがいくつか発売されており、今後の再発盤の売りとしたいのだろう。

このフォーマットはなによりも発想が非常に興味深い。
その名の通りレコードの製造過程で使用されるラッカー盤(第一世代の原盤)をレコード同様に直接再生し、その音を直接デジタイズするということだ。
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Warner Music Masteringの紹介動画より

我々が手にするレコードはラッカー盤をもとに数回の工程後に作成されるスタンパーによってプレスされたもの。
つまり、物理媒体のコピーを数回繰り返した後の音なのでデジタルコピーのように理論上劣化がないわけではない。
よって原盤となるラッカー盤の音を再生してそれを録音すれば本来のスタジオクオリティのアナログサウンドを聴くことができるという考えなのだ。
また、ラッカー盤へのカッティングの際、倍音成分も生成されるため、既存音源のハイレゾ化にも利用できるらしい。

面白いとは思うが個人的に疑問なのは最終的に手にするCDにあると思っている。
なぜならCDは44.1kHz(16bit)というハイレゾ全盛の現代では非力なスペックだ。
いくら製造工程でハイレゾ品質になったとしても、CDでは結局本来の音が入っていない。
なのでCDではあるが「雰囲気はアナログな音」といったニュアンスが近いかもしれない。
スタジオで録音したラッカーサウンドそのままでなければ本来のラッカー盤の魅力は伝わりにくいということだ。
よってラッカーマスターサウンドはせめてSACDかダウンロードで、よりマスターテープに近い音で聴きたいところなのだ。

そういう理由でCDで出すのは多少もったいないと思ったわけだ。
ただ、わざわざレコード(ラッカー盤)から直接録音したからには音の違いは通常のリマスター以上に現れると思われ、音質の良し悪しでなく音の違いを楽しむと言った表現が的確だ。

例えば今ではレコードの音を自分でデジタル化する人は大勢いる。
レコードを自分のレコードプレーヤーを使ってDSDで録音し、NASに保存しておけばアナログの雰囲気そのままで手軽にデジタルで音楽を楽しめるのだ。
確かにMP3であってもアナログからの録音だと全く違って聴こえる。
その作業をメーカーがやってくれたのだと思えばそれはそれでアリかなとも思える。

さて、明菜のようにキャリアが長い歌手となるとアルバムは何度か再発されている。
そこでどれを購入すべきか迷う人もいるだろう。
なぜなら今回の復刻ラインナップは全て1度は復刻済みだからだ。
つまりラッカーマスター盤でなくても既発CDがいくつか存在しているということ。
オリジナルまたは過去の再発をすでに所有しているなら、なおさら今回の再発をかぶり覚悟で購入するかは悩ましいところ。

そこで、今回の再発盤の位置付けを俯瞰的に捉えていくことでこの再発の意義を確認していきたい。


再発の意義とは
まず再発であっても音はオンリーワンであるということ。
リマスターの記載があれば必ずオリジナルの音とは若干味付けが異なるからだ。
例外は、新譜CDを発売しその数年後に廉価版として発売する場合にリマスターの記載がないものは既発のものと音は同じだ。
(まだCDが黎明期であった頃はそんなこともあった)

オリジナルの音は絶対的存在である。
例えばビートルズのように当時の音を知らなくてもオリジナルの音が神様だと思っている。
ただ、オリジナルを手に入れるにはそれなりの労力と資金が必要。
無理な場合だってある。
よって再発は手軽に同じアルバムを聴くためには必ず必要となってくるものなのだ。

このことから再発盤の意義とは「音の違いを楽しむこと」がまず一番に挙げられる。
とにかく再発盤が複数存在しても同じ音ではないことは肝に銘じておくべきだろう。
今回の再発もまず音の違いを前面に押し出しているのは確か。
すでにオリジナルまたは過去の再発盤を所有しているのなら音の違いが楽しめるというわけだ。

次は仕様の違い。
再発にはプラスαの特典だったり、ボーナストラックだったり、オリジナルにはない付加価値が重要で、それがなければ再発の旨味も半減する。
実際音以外の仕様の違いがあれば購入するというファンも少なくないだろう。

音の違い、仕様の違い、この2点だけでも再発盤を購入する意義はある。
(ただし、この考えだと永遠に再発の沼にハマる可能性もあるが)
再発をコレクション的な位置づけで追加購入するか、未所有であれば最初で最後の1枚とするか、それを判断するのは個人だ。
再発には販売元からすれば旧車を維持するのと同様の意味もあるだろう。
長く乗り続けるためにはメンテを繰り返しながら維持し、やがて後世へ伝えるためにも必要なことではなかろうか。


音の違いについて
まずはここを掘り下げたい。
これは特に音にうるさいオーディオマニアがこだわる部分だ。
「聴ければいいし音の違いなんてよほど悪くなければ気にしない」なんて人にはホントにどうでもいいことだろう。
ただし、その音を多少でも気にしてないと再発を買う意義が半減してしまう。
音楽なのだから音そのものにも少しは関心を持っておきたいところ。
難しいことは抜きで単純に音の違いを楽しもうという気持ちがあればよいのだ。
ただひとつ勘違いしてはならないのは、新しければ新しいほど音がいいということではないということ。
技術が進歩してるのだから当然音もよくなりそうだが、実際はそうともいいきれない。

オリジナル < 10年前の再発 < 最新の再発

このような図式は必ずしも成り立たないから面白いのだ。
理由はオリジナルマスターテープの劣化や当時の制作陣の意図から離れていくことが挙げられる。
もちろん新しいほうが音が良いと感じる人もいるだろうしそうでない人もいる。
結局のところいい音とは自分が心地よく聴ける音なのだから、同じアルバムでも盤が違えば音も違うという程度の考えに留めたほうが気持ちが楽だ。
一番の音は自分が決めればよい。


仕様の違いについて
次は再発において重要な音以外の仕様の違いだ。
仕様の違いとは以下のようなものが挙げられる。

・ボーナストラックの追加
・オリジナル完全再現の紙ジャケット
・当時のピンナップ類の再現
・新たに追加されたライナーノーツや著名人のコメント
・購入店のオリジナル特典

などなど、つまり付加価値である。

すでに持っていても、物欲を刺激するような仕様の違いを押し出して購入させるのがメーカーの意図である。
それに乗るか降りるかはもはや仕様の違いに理由を見つけるのが手っ取り早い。
これはサブスクやダウンロードでは絶対に味わえない物理メディアの最大のメリットでもある。
(逆にいうと物理メディアの悩ましいデメリットともいえるが)
仕様の違いを気にするのは古くからのファンに多いが、新規ファンやそれほど思い入れがないファンにとってはさほど重要ではないかもしれない。
ただ、目で楽しむこともできるのが物理メディアのメリットなのだから、いくつか選択できるのであれば最適な復刻盤を選びたいところ。
オリジナルや既発の再発盤以上の付加価値を見出せたならそれは自分にとってよい再発である。


明菜初心者はどれを買うべきか

これは難しい問題。
別に明菜に限った話ではなく、初めて往年の名盤を買おうとなった時、必ず直面する悩ましい選択である。
オレのような奇特なファンであれば「全部買ってしまえ」で解決だが、1枚だけでいいよとなると逆によく考えたほうがいい。
結論から言うと、音はニの次で仕様を重視して買うのがベストだろう。
(おそらく音にこだわる人はどれも欲しくなるから)

あえて挙げるなら個人的には2012年にリリースされた紙ジャケットボックス(青箱)が一番のお気に入りだ。
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中森明菜 AKINA BOX(赤箱SACD/青箱CD)

中森明菜 AKINA BOX(赤箱SACD/青箱CD)

これはSACD/CDのハイブリッド層を持ち、オリジナルLPを完全再現した紙ジャケットボックスだ。
音も良く、ミニチュア版のレコードのようでかなり所有欲を満たせる。
ちゃんと聴きたいのならある程度まとまったボックスセットがおススメである。
単品だと売り切れや廃盤などで手に入れられず、結果中途半端に終わってしまうこともあるからだ。
なので今回のような企画やボックスシリーズで一気にコンプリートするのが理想である。
ラッカーマスターサウンドシリーズも単品発売ではあるが、2年かけて少しずつ集めることができるのは財布にも優しい。
次の発売までにじっくりと聴き込む期間も作れる。
オリジナル盤などを単品で収集するのはコアなファンになってからでも遅くはない。


このラッカーマスターサウンドシリーズは買いか?
結論は強力に買いである。(私見)
これは往年のファン、新規ファンに関係なくおススメだ。
理由はカラオケ付きであるということの1点のみ。
(ラッカーマスターであることは正直どうでもいい)
今回の再発にカラオケが付くと知った時、オレは震えた。

以前の記事にも書いたが、明菜のカラオケ音源はほぼないに等しいからだ。
(シングル曲を除く)
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中森明菜 ミュージックテープ(オリジナルカラオケ その1)
中森明菜 ミュージックテープ(オリジナルカラオケ その2)

そんな状況下で全てのオリジナルアルバムのカラオケが聴ける日がついに来たのだ。
まさかここに来て明菜の貴重音源が一気に蔵出し(厳密にはないから作った?)されるとは夢にも思わなかった。

とにかくカラオケの重要性は大きい。
ボーカルにマスキングされた裏でどんな演奏がされていたのか、曲を分析するには貴重な音源だ。
もちろん明菜が実際にスタジオで歌った演奏で自分が歌うのもいい。
とにかく、80年代の優秀なスタジオミュージシャンの演奏やアレンジャーが紡いだ音はそれだけで聴くに値する。
現代の退屈な音とは比較できない緻密な音作りがされているからだ。

そして、カラオケに興味がなくとも今回の封入特典はかなり気合が入っている。
それは後述するがそれだけでも購入の価値は十分あるだろう。


それではラッカーマスターサウンドシリーズ第一弾の共通仕様から見ていこう。

外観
基本的にオリジナルアルバムとベストアルバムは2枚組仕様、ミニアルバムは1枚仕様となりそうだ。
2枚組は最近多い薄型のマルチケース、1枚組は昔ながらのジュエルケースだ。
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明菜はすでに紙ジャケットによる再発をやっており、今回はカラオケディスクがつくということでプラケースを選択したことに異論はない。
ただ欲をいえばオレはデジパック形状でプレミアム感を出してほしかったが、その分安く提供してくれているので文句も言えない。
しかしワーナーは本当にデジパックをやらないな。

※デジパック
ジャケット兼の台紙にプラスチックのトレーを張り付けた形状。
専用ケースのため、CDの枚数や形状に制限なく作れるのが利点。
ただし、汚損した時は替えがきかない。
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非常に残念なことに、この薄型マルチケースは薄いのはいいが、ジュエルケースより高さが5mmほど高い。
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よってせっかく帯に記載の通し番号もラックに入れると高さが不揃いになる。

次に未開封時のシュリンクに貼られたシール。
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細かいが帯色に合わせる配慮が心憎い。
オレはこれも貴重な資料と捉えているため、捨てることも別にとっておくこともしない。

ではどうするかは以下↓
元オーディオ小僧 CD保管の流儀 その1

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流儀に則り今回もCDカバーをつけることにしたのだ。
シールの移植は熟練の技が必要となる。
このサイズなら3分くらいで剥がすイメージだ。
シールは月日が経つと剥がしにくくなるため購入後即やった方がよい。

このカバーをつけるメリットは、
・ケースが傷つかない
・帯、シールなど購入時の状態を維持できる(一見未開封のようにも見える)
・帯が背表紙になるため、ラック収納時にタイトルが読みやすく探しやすい
・売却時に高値で売れる

デメリットは、
・慣れないとカバーからの出し入れに多少手間取る
・イニシャルコストがかかる

なにも所有CD全てにカバーは必要ない。
オレは思い入れのあるものだけにはカバーをつけることにしている。

そして今回予想外だったのはこの帯。
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実は表裏使えるようになっており、未開封時の帯はこのCDの情報が盛りだくさんなのだが、

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裏を見ると、なんとレコード帯の裏表を再現していたのだ。
それだけなら驚かないが、特筆すべきは品番を当時の品番のまま印刷していること。
通常、再発の品番は混乱を防ぐために新たに振られたものを使用するのだが、これは裏側ということでおまけのひとつとして粋な計らいをしてくれたようだ。
しかもレコード裏面にあたる帯には当時のディスコグラフィまで。
ただし、プロローグはファーストアルバムなので空白。
(オリジナルLPには代わりに他アーティストのディスコグラフィが印刷されていた)
これは2006年、2012年の紙ジャケでさえできなかった偉業である。
CDカバーを付けて帯見せするにはもってこいだ。

次にCD本体だが、基本的にオリジナル(ボーナストラック含む)分とカラオケ分のディスクに分かれる。
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左:ボーカル入り、右:カラオケ

ミニアルバムは曲数が少なければ1枚になるようだ。
ラベルはレコードのセンターラベルを模している。
ちなみにカラオケディスクはラッカーマスターではない。

CDを取り出すと、透明なトレーから見えるバックインレイの写真は完全オリジナルLPのAB面ラベルが印刷されていた。
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細かい演出がうれしい。

この復刻シリーズは付録が多いのがうれしい。
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レコードの歌詞カード、レコード・カセットに同梱されたポスター類、これらがミニチュア再現されている。
これだけでも嬉しいが、どれがどの特典だったのかはオリジナルを所持していなければわからない部分があるので後述しよう。

歌詞の冊子には新たなライナーノーツやレコーディング時の資料などが記載されている。
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それでは個別に見ていこう。

プロローグ〈序幕〉
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発売:2022年7月1日
価格:2,750円(税込)
品番:WPCL-13385/6
仕様:2CD
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記念すべきファーストアルバム。
アルバムの詳細等は別途聴き比べを予定しており、ここでは割愛する。
代わりにこの復刻盤ならではの部分に焦点をあてて見ていきたい。

歌詞カードはLPの縮小版だ。
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見開き4ページのカラー刷りもオリジナル通りである。
CDサイズなので当然見にくい。
ただ、これは紙ジャケット復刻時にすでにやっていたことなので真新しいわけではない。


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上のフォトカードはミュージックテープに封入されていたもの。
カセットは音質やサイズはLPに譲る部分があり、LPにはないカセットならではの特典としてフォトカードが添付されていた。
これは今回の復刻で初めて再現されたので非常に驚いた。
サイズはカセットのものと全く同じで表裏の写真も同じ。
色合いも申し分ない。
違う点はカセットの方はラミネート加工されていたことと品番が印刷されていなかったこと。

ミュージックテープの詳細については以下に記している。
中森明菜 ミュージックテープ(オリジナルアルバム)

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上のミニポスターはスーパーディスク(高音質盤LP)についてきたものの縮小版となる。
プロローグに封入されたということは、バリエーション(2nd)、ファンタジー(3rd)、NEW AKINA エトランゼ(4th)、BEST AKINA メモワールの4枚にも封入されるだろう。

スーパーディスクの詳細については以下。
中森明菜 レコード(スーパーディスクLP)

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上のCDサイズ冊子にはライナーノーツ、レコーディングデータ、プロローグの発売予告チラシなどが印刷されている。
このような形でもよいので掲載してくれたことは嬉しい。

まとめると、この復刻盤の特典は1982年当時のLP、スーパーディスク、ミュージックテープに封入されていた特典が全て入っているということになる。

さて、今回の復刻の一番の目玉は断然カラオケ音源の収録である。
シングルA/B面のカラオケはすでに存在するのでいいとして問題はそれ以外。
これまでは以前記事にした、ミュージックテープのオリジナルカラオケの存在が大きかった。
そこで今回はそのカセットでもカバーしていなかった完全初出し音源をピックアップしてみた。

※★は初出し音源
※シングル分はCDでカラオケ有り
※ミュージックテープカラオケ収録分は「カセット音源有り」と記載

曲目
1.あなたのポートレート★
2.Bon Voyage★
3.イマージュの翳り★
4.条件反射(シングル「スローモーション」B面)
5.Tシャツ・サンセット★
6.銀河伝説★
7.スローモーション(シングル「スローモーション」A面)
8.A型メランコリー★
9.ひとかけらのエメラルド★
10.ダウンダウンすと~り~★

ファーストアルバムでは全10曲中シングル以外の8曲全てがカラオケで存在しなかった曲だ。
これぞわかる人にはわかる今回の復刻最大の意義といえる。


パリエーション〈変奏曲〉
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発売:2022年7月1日
価格:2,750円(税込)
品番:WPCL-13387/8
仕様:2CD
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明菜が大ブレークしたあとのセカンドアルバム。
これも詳細はここでは割愛

では、封入アイテムを見ていこう。

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この味気ない歌詞カードはLPのバリエーションの縮小版だ。

ただ、バリエーションにはこれとは別に1983年のポスターカレンダーが付属したが、この復刻盤は冊子に印刷されるに留まった。
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ここまでやってなぜ別にしないのかは疑問だ。
ちなみにこのポスターカレンダーは2006年と2012年の紙ジャケットBOXではきちんと別添付して再現されていたからホント意味がわからない。

フォトカードは3枚(両面写真)でやはりミュージックテープに封入されていたもの。
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写真は封がされているがちゃんと3枚ある。
ただし、サイズは実はカセットのものより一回り小さい。
スローモーションのフォトカードに合わせた形だ。
また、カセットのフォトカードはやはりラミネート加工されており、品番が印刷されていなかった。

ミュージックテープの詳細については以下。
中森明菜 ミュージックテープ(オリジナルアルバム)

ミニポスターはやはりスーパーディスク(高音質LP)についてきたものの縮小版だ。
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今後発売予定のファンタジー(3rd)、NEW AKINA エトランゼ(4th)、BEST AKINA メモワールにも同梱されると思われる。

CDサイズの冊子内容はプロローグと同様。
先に述べたLPに付属のカレンダーが印刷という形で再現された。

今回の復刻では当時の封入物を完全再現と思っていたのだが、ここにきて少し残念な部分が見えてきた。
今後どのような基準で再現していくのかも注目ポイントである。
(ただし、おまけが多かったのはごく初期のアルバムのみだが)

さて、カラオケだがバリエーションには冒頭と最後にインストゥルメンタルがある。
また、今回の復刻ではボーナストラックとして「夢判断」を収録することで曲漏れをカバーする意図のようだ。
それらを除けば正味10曲がこのアルバムの核となる。

※★は初出し音源
※シングル分はCDでカラオケ有り
※ミュージックテープカラオケ収録分は「カセット音源有り」と記載

曲目
1.(イントロダクション)※インスト
2.キャンセル!(カセット音源有り)
3.脆い午後★
4.哀愁魔術★
5.咲きほこる花に‥‥‥★
6.ヨコハマ A・KU・MA★
7.メルヘン・ロケーション★
8.少女A(シングル「少女A」A面)
9.第七感(セッティエーム・サンス)★
10.X3ララバイ(カセット音源有り)
11.カタストロフィの雨傘★
12.(エンディング)※インスト
13.夢判断(シングル「少女A」B面)※ボーナストラック

インストとボーナストラックを除く全10曲中7曲が初出し音源である。
ミュージックテープでカラオケ音源が存在した「キャンセル!」と「X3ララバイ」を見つけた時はどんなに嬉しかったことか。
個人的には一番聴きたかった「ヨコハマ A・KU・MA」がようやく聴けることが最大の収穫である。


セブンティーン
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発売:2022年7月1日
価格:2,200円(税込)
品番:WPCL-13389
仕様:1CD
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明菜初のミニアルバム。
かつてはデジタル化がされておらず、長らく幻といわれたミニアルバムだ。
(レコード自体は簡単に手に入るが)
レコード以外での再発は今回で3度目となるが単品での発売は今回が初。
(2006年紙ジャケBOXと2014年ミニアルバムコレクションで復刻済み)
楽曲自体は真新しいものはないが各曲冒頭に明菜のメッセージが入るというのが売りだった。

オリジナル歌詞カードは12インチシングルレコードでやはりその縮小版だ。
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歌詞カードの裏がポスター兼であることもオリジナルと同じ。
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冊子内容も他と同様。
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オリジナルは両面ピクチャーレコードだったのでそのA面側ピクチャーがディスクのラベルに採用されている。
(過去の復刻も同様にA面を採用した)
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B面側は透明なトレイ越しに見えるバックインレイ側に印刷されることとなった。
もしカラオケディスクを別にしていれば必ずB面側を採用したであろうと思うとちょっと残念である。

カラオケについてはセブンティーンはシングルヒット曲とアルバム曲から構成されるミニアルバムだけにすで上記2枚でカバーできている。
当時のアイドルものとしては珍しくないプロモーション的要素が強いミニベスト的アルバムなのだ。

※★は初出し音源
※シングル分はCDでカラオケ有り
※ミュージックテープカラオケ収録分は「カセット音源有り」と記載

曲目
~中森明菜コメント①~
1.少女A(シングル「少女A」A面)
~中森明菜コメント②~
2.キャンセル(カセット音源有り)
~中森明菜コメント③~
3.スローモーション(シングル「スローモーション」A面)
~中森明菜コメント④~
4.あなたのポートレート★
~中森明菜コメント⑤~

あなたのポートレートはアルバム「スローモーション」のカラオケとかぶってしまうが、今回初出しに変わりない。
今後ベスト盤の発売も控えているため、このようなかぶりが多く出てくることになる。


あとがき
各盤の音質についてはいずれ聴き比べを予定しており、ここでの詳細評価は控える。
ただ、せっかくのラッカーマスターサウンドなのだから全く音のレビューがないのも寂しい。
そこでバリエーションよりオレが一番好きな「ヨコハマ A・KU・MA」を2012年リマスターBOXのCD層とで少しだけ比較試聴してみた。
2012年リマスターはSACD層の音は好きだが、CD層はサーバーにリッピングしているいつも聴く音だ。
初期のアルバムにも関わらず、2012年盤のCDは非常に鮮明でメリハリのある音だ。
対してラッカーマスターサウンドはその角がわずかに取れたような聴きやすい音に感じた。
(決してメリハリがないわけではない)
オリジナルレコードの音とも違うし、これがラッカー盤の音なのかと言うしかない。
例えば自分で状態のいいレコードからいい機材で録音してもこの音にはならないだろう。
しかし遠からずでイメージ的にはそんな音に近い。
もちろん比較しなければ明確な違いを言い当てることはできないが、この音を悪いとは全く思わなかった。

さて、ラッカーマスターサウンドによる復刻CDについてみてきたが、これがコンプリートできるのは2年後の2024年だ。
ということは3か月に3枚のペースで発売されていくのかと思うと正直2年はさすがに長く感じてしまう。
一度に大きな出費がないのは助かるが、今まで聴けなかったアルバムのカラオケを早く聴きたくてしょうがないのだ。
(個人的には不思議とstockのカラオケを早く聴きたい)

特典含め、想像以上に出来がよいシリーズとなりそうで今後の発売分も非常に楽しみだ。

無期限休業中の明菜のことはとても気になるが、こうやって再発であってもCDを発売し続けるワーナーのおかげでたびたび話題にあがるだけでもファンとしては救われる。

となるとユニバーサルからも何かしら動きがほしいところで、BMGビクター期からの全アルバムのアナログレコード化なんてビッグニュースがいつの日か耳に入ることを期待している。