ハンドワインダーとはカセットテープを手動で巻き取るオーディオアクセサリーのこと。
そもそも何に使うのかといえば、カセットテープをA面またはB面の末端まできっちり巻き取るのに使う。
カセットテープ全盛期に重宝したアクセサリーだ。
かつてこのブログで取り上げたワインダー2種はその電動タイプ。
カセットテープのメンテ maxell EW-340
カセットテープのメンテ SONY BE-A200
これら電動タイプのメリットは労力を要さないことだ。
ボタンひと押しであとは待つだけ。
カセットデッキの早送り/巻き戻し機能だけを切り出したアクセサリーだ。
だったらカセットデッキを使えばいいじゃないか、となるがカセットデッキのある場所でなく、どこでもできるところに意義がある。
さらにソニーのBE-A200においては録音内容を消去できるイレース機能までついていた。
デメリットは電源が必要なこと。
両機とも単4形乾電池を複数使用する。
さらに電池食いでカセットを何十本も巻き取れるわけではない。
なので巻き取りという動作がいかに電力を食うのかを実感する。
かつて、テープの巻き取りを極力必要としない(テープを無駄なく使う)「時間ピッタリ録音」でカセットを作った意義は大きかったのだ。
BE-A200は電源アダプターにも対応していたが、電力が必要であることに変わりはなく、使うことはなくなった。
また、機構がカセットデッキと同様のため、駆動部のゴムベルトが伸びると動かなくなるなど、定期的なメンテも必要だ。
これらを勘案すると電力を必要としない手動ワインダーのメリットは大きい。
労力さえ惜しまなければ、どこでも何本でも巻き取ることができるからだ。
手動といえばカセット世代なら誰もが一度は鉛筆を使っただろう。
1本だけならそれでもいいが、何十本という単位では時間がかかるし、メンテナンスの観点では実用的ではない。
(巻きムラも盛大に発生する)
鉛筆の場合は六角タイプを使う。
ただし、鉛筆の径が小さいとスカスカで回せないものもあった。
ちなみにオレは鉛筆は使わず、ゼブラのマッキーを使う。
この極細側のキャップは四角だがカセットのハブ穴にピッタリサイズなのだ。
回転時のグリップ力も鉛筆の比ではない。
鉛筆と違いキャップの途中で止まるので手を放しても外れず、使い勝手は抜群だ。
あとはあまりオススメはできないが片手でやる方法もある。
この状態でカセットの方をブンブン回す。
回しすぎてカセットが飛んで行ったこともあった。
とにかくカセットテープのコンディションを維持するには多少のメンテナンスと知識が必要であり、巻き取りはその重要な要素のひとつであるわけだ。
気軽に使えるカセットであるが、実はレコードやCDよりもデリケートであり、基本的にクリーニングができない。
ノイズがあるからといってどうこうできるわけでもなく、一度ダメになると音質を戻すことが難しいのもカセットだ。
よってカセットを劣化させないことが最重要であり、以下の記事にて状態維持のノウハウを記している。
カセットテープの劣化と対策
そういうわけでミュージックテープを含め、カセットテープのメンテナンスには欠かせない最強アイテムが今回の「ハンドワインダー CT-406J」なのだ。
それでは詳しく見ていこう。
JEWELTONE HAND WINDER CT-406J
ジェルトーンというブランド名だが、名前にピンとこないかもしれないがレコード針で同じみのナガオカの中のブランド名だ。
かつてはナガオカ製品の高級アイテムブランドだったらしいが、ホームページを見る限り現代もその名残はあるように思う。
(オレが最もナガオカ製品を愛用した80年代はそんなイメージはなかったが)
何より今もブランド名が残っているのは嬉しい限り。
本体はカセットケースと同じサイズの専用ケースに収納されている。
カセットケースと違い、ケースは90度以上蓋が開かない作りだ。
蓋を開けるとケースサイズに合わせたスポンジクッションが現れる。
本体はカセットサイズに見えるが、カセットテープよりも薄いので、このスポンジがないとケース内で固定されず、中でガチャガチャ動いてしまう。
本体角にある金属チェーン。
持ち歩きも想定してのチェーンだ。
カセットウォークマン全盛の80年代。
ウォークマンと共にこれを持ち歩いた者もいただろう。
(オレはそこまでしなかったが)
なぜ一緒に携帯したかというと、ウォークマンのバッテリー節約のためだ。
当時のウォークマンのバッテリーはガム型電池登場以前は単4型乾電池を1~2本使用し、再生時間が5~10時間程度のものが多かった。
それしか使用できない中で巻き取りに使用する電力がいかに無駄かというのは言うまでもない。
電動ワインダーがバッテリー食いで乾電池の消費が激しいと書いたが、それはウォークマンにおいても同様なのだ。
A面を聴き終わり、無録音部分のテープの早送りにウォークマンの電力を使うのは外出先では気が引けた。
そこでこのワインダーを使って残りを巻き取り、ウォークマンのバッテリーを少しでも節約して再生に回そうという考えでワインダーを携帯したのだ。
いま考えるとなんとも滑稽にうつるかもしれないが、そういった問題もあったからこそ、ウォークマンのバッテリーは後にロングライフとなり、進化していったのだ。
そういえば、80年代後半あたりになるとウォークマン専用なるカセットテープがソニーから発売されるようになった。
誤解を生みそうだが別にウォークマンでしか使えないカセットではない。
これは単純にテープの回転時にかかる負荷を軽減したものであり、のちにBS(バッテリー・セービング)メカニズムと呼ばれた。
カセットの構成要素である、テフロンシート(セパレートシート)、リールハブ及びパッドなどのテープ回転時に摩擦(接触)抵抗を生みそうな部分を改善したものだ。
※コトバンク「コンパクトカセット」のページより引用
ウォークマン専用と謳われたこのカセットはテープの回転が非常に滑らかで、結果ウォークマンの再生/早送り時にトルクを必要とせず、軽い力で巻き取りができたのだ。
それまでのカセットといえば、例えばハブに指を入れて回転させると強い抵抗を感じるカセットはたくさん存在した。
とはいっても、初めてTDKのMA-Rを使った時はその回転の滑らかさ(軽さ)に驚いたものだ。
ウォークマン専用カセットが登場するずっと前からこの高級テープはそこまで考えて設計されていた。
後にソニーカセットの裏書には「ウォークマンで電池長持ち」と一言記載されるようになったがそれはこういう経緯があったからだ。
とにかく、滑らかなテープの回転は様々な面でメリットがあったということだ。
では、ワインダーの構造を見ていく。
本体はハーフ、手回しギア(白・大)、セカンドギア(オレンジ・中)、ファイナルギア(白・小)で構成される。
ギア比の変化によって回転数を変化させるという、車や自転車のギアと同様の原理だ。
一番大きい手回しギアには折り畳み式の取っ手がついている。
この取っ手だけは耐久性に不安があるので常に慎重に扱いたいところだ。
手回しギアを1回しする間にファイナルギア(白い小さい方)は7.5回転するようだ。
つまり鉛筆なら1回しで1回転に対し、これはその7.5倍で巻けることになる。
これをよどみなく回転させることができるので巻き取りが早いことは容易に想像できる。
四隅はカセット同様ねじで締まっているだけなのでメンテナンス性はよさそうだ。
もっとも、よほどのことがなければ動作しないなんてことはなく、頑丈なので普通に使っていればそうそう壊れることもない。
本体には「onehand & gear」と刻まれている。
使用方法は簡単。
カセット装着後
ワインダーの透けてる方に巻きたい方向のカセットのハブが見えるようにセット。
あとは→の方向(時計回り)に回すだけ。
そこで46分テープを使って実際に時間を計ってみた。
使用したのは46分のスモールハブタイプのカセット(maxell UR)。
手回しギアの回転数はとりあえず1秒につき約2回転のスピードで回せたので、ファイナルギアでは15回転/秒ほどになる。
回し始めると軽い力で巻き取りができる。
しかし、半分くらい巻き取ったあたりで回す指に抵抗を感じるようになる。
回転数を維持する必要はないが、今回は検証のため2回転/秒を意識しつつ巻き取ってみた。
結果は35秒。
これは鉛筆では到底無理な早さだ。
(鉛筆だと休みなくやっても5分はかかるだろう)
さらに早く回せば時間は短縮できるし、ハブ径が大きいラージハブタイプのカセットなら同じく短縮できるだろう。
(巻き取るほどにテイクアップ側の径が大きくなるため巻き取りスピードは上がる)
また、カセットの回転時の摩擦抵抗もカセットにより差があるため、これはあくまで参考値だ。
結果的にカセットデッキでもこの速度で巻き取りできる機種はそうそうない。
(46分で1分くらいなら早い方だろう)
従ってハンドワインダーはゆっくり回してもカセットデッキ並みのスピードで巻き取ることが可能ということだ。
参考までに以前の記事の電動ワインダーで計測した巻き取り時間は以下。
maxell EW-340:約30秒
SONY BE-A200:2分弱
ちなみに気になるのは巻きムラであるが、手持ちである以上皆無とはいかない。
写真ではわかりにくいが巻きムラはできる。
ただし、鉛筆やマッキーに比べれば優秀だ。
巻き取りスピードをもう少しゆっくり目にし、テーブルに置くなどして固定すればもっと綺麗にできると思う。
電源を必要とせず、外出先でも巻き取りができるハンドワインダー。
手軽で使い勝手のいい最高のアイテムだ。
ただ残念なことに現代は売っていない。
(類似品もみたことがない)
近年カセットテープが見直されるようになり、再びラジカセ等が発売されるようになった。
ただ、普段からカセットテープを愛用するオレにとって、現状では完全復活とは言い難い。
当時と同等の機能やインフラが整っていないからだ。
例えば今のラジカセはノーマルしか録再できないとか、このワインダーのような周辺アクセサリーにしても然り。
そういう意味ではレコードの復活に関しては現環境に不満はない。
(むしろ現代のほうが充実している部分さえある)
カセット以上に需要があるからだろう。
全盛期同様の利便性・多様性も復活してこそ真の復活だ。
カセットに関してはまだそこに到達していないし到達できるとも思えない。
オレは別にカセットの復活を望んでいるわけではない。
単に個人的な思い出や思い入れが強いので常にカセットを再生できる環境を維持してきた。
よって個人的には不便はない。
中途半端でノスタルジーに浸るためだけの復活は正直歓迎できない。
とりあえずカセットの音を聴くことができても、本来のカセットのポテンシャルを引き出せず、カセットを知らない世代に誤解を与えてしまうからだ。
80年代カセット全盛時の音に現代手に入るラジカセ、カセットでは到底及ばない。
残念な話だが、本来のカセットの音を聴きたいのなら当時のカセットデッキと当時のカセットテープを使うほかに方法がない。
本当のカセットの音を知っているからこそ、オレは今もカセットを使うのだ。
そもそも何に使うのかといえば、カセットテープをA面またはB面の末端まできっちり巻き取るのに使う。
カセットテープ全盛期に重宝したアクセサリーだ。
かつてこのブログで取り上げたワインダー2種はその電動タイプ。
カセットテープのメンテ maxell EW-340
カセットテープのメンテ SONY BE-A200
これら電動タイプのメリットは労力を要さないことだ。
ボタンひと押しであとは待つだけ。
カセットデッキの早送り/巻き戻し機能だけを切り出したアクセサリーだ。
だったらカセットデッキを使えばいいじゃないか、となるがカセットデッキのある場所でなく、どこでもできるところに意義がある。
さらにソニーのBE-A200においては録音内容を消去できるイレース機能までついていた。
デメリットは電源が必要なこと。
両機とも単4形乾電池を複数使用する。
さらに電池食いでカセットを何十本も巻き取れるわけではない。
なので巻き取りという動作がいかに電力を食うのかを実感する。
かつて、テープの巻き取りを極力必要としない(テープを無駄なく使う)「時間ピッタリ録音」でカセットを作った意義は大きかったのだ。
BE-A200は電源アダプターにも対応していたが、電力が必要であることに変わりはなく、使うことはなくなった。
また、機構がカセットデッキと同様のため、駆動部のゴムベルトが伸びると動かなくなるなど、定期的なメンテも必要だ。
これらを勘案すると電力を必要としない手動ワインダーのメリットは大きい。
労力さえ惜しまなければ、どこでも何本でも巻き取ることができるからだ。
手動といえばカセット世代なら誰もが一度は鉛筆を使っただろう。
1本だけならそれでもいいが、何十本という単位では時間がかかるし、メンテナンスの観点では実用的ではない。
(巻きムラも盛大に発生する)
鉛筆の場合は六角タイプを使う。
ただし、鉛筆の径が小さいとスカスカで回せないものもあった。
ちなみにオレは鉛筆は使わず、ゼブラのマッキーを使う。
この極細側のキャップは四角だがカセットのハブ穴にピッタリサイズなのだ。
回転時のグリップ力も鉛筆の比ではない。
鉛筆と違いキャップの途中で止まるので手を放しても外れず、使い勝手は抜群だ。
あとはあまりオススメはできないが片手でやる方法もある。
この状態でカセットの方をブンブン回す。
回しすぎてカセットが飛んで行ったこともあった。
とにかくカセットテープのコンディションを維持するには多少のメンテナンスと知識が必要であり、巻き取りはその重要な要素のひとつであるわけだ。
気軽に使えるカセットであるが、実はレコードやCDよりもデリケートであり、基本的にクリーニングができない。
ノイズがあるからといってどうこうできるわけでもなく、一度ダメになると音質を戻すことが難しいのもカセットだ。
よってカセットを劣化させないことが最重要であり、以下の記事にて状態維持のノウハウを記している。
カセットテープの劣化と対策
そういうわけでミュージックテープを含め、カセットテープのメンテナンスには欠かせない最強アイテムが今回の「ハンドワインダー CT-406J」なのだ。
それでは詳しく見ていこう。
JEWELTONE HAND WINDER CT-406J
ジェルトーンというブランド名だが、名前にピンとこないかもしれないがレコード針で同じみのナガオカの中のブランド名だ。
かつてはナガオカ製品の高級アイテムブランドだったらしいが、ホームページを見る限り現代もその名残はあるように思う。
(オレが最もナガオカ製品を愛用した80年代はそんなイメージはなかったが)
何より今もブランド名が残っているのは嬉しい限り。
本体はカセットケースと同じサイズの専用ケースに収納されている。
カセットケースと違い、ケースは90度以上蓋が開かない作りだ。
蓋を開けるとケースサイズに合わせたスポンジクッションが現れる。
本体はカセットサイズに見えるが、カセットテープよりも薄いので、このスポンジがないとケース内で固定されず、中でガチャガチャ動いてしまう。
本体角にある金属チェーン。
持ち歩きも想定してのチェーンだ。
カセットウォークマン全盛の80年代。
ウォークマンと共にこれを持ち歩いた者もいただろう。
(オレはそこまでしなかったが)
なぜ一緒に携帯したかというと、ウォークマンのバッテリー節約のためだ。
当時のウォークマンのバッテリーはガム型電池登場以前は単4型乾電池を1~2本使用し、再生時間が5~10時間程度のものが多かった。
それしか使用できない中で巻き取りに使用する電力がいかに無駄かというのは言うまでもない。
電動ワインダーがバッテリー食いで乾電池の消費が激しいと書いたが、それはウォークマンにおいても同様なのだ。
A面を聴き終わり、無録音部分のテープの早送りにウォークマンの電力を使うのは外出先では気が引けた。
そこでこのワインダーを使って残りを巻き取り、ウォークマンのバッテリーを少しでも節約して再生に回そうという考えでワインダーを携帯したのだ。
いま考えるとなんとも滑稽にうつるかもしれないが、そういった問題もあったからこそ、ウォークマンのバッテリーは後にロングライフとなり、進化していったのだ。
そういえば、80年代後半あたりになるとウォークマン専用なるカセットテープがソニーから発売されるようになった。
誤解を生みそうだが別にウォークマンでしか使えないカセットではない。
これは単純にテープの回転時にかかる負荷を軽減したものであり、のちにBS(バッテリー・セービング)メカニズムと呼ばれた。
カセットの構成要素である、テフロンシート(セパレートシート)、リールハブ及びパッドなどのテープ回転時に摩擦(接触)抵抗を生みそうな部分を改善したものだ。
※コトバンク「コンパクトカセット」のページより引用
ウォークマン専用と謳われたこのカセットはテープの回転が非常に滑らかで、結果ウォークマンの再生/早送り時にトルクを必要とせず、軽い力で巻き取りができたのだ。
それまでのカセットといえば、例えばハブに指を入れて回転させると強い抵抗を感じるカセットはたくさん存在した。
とはいっても、初めてTDKのMA-Rを使った時はその回転の滑らかさ(軽さ)に驚いたものだ。
ウォークマン専用カセットが登場するずっと前からこの高級テープはそこまで考えて設計されていた。
後にソニーカセットの裏書には「ウォークマンで電池長持ち」と一言記載されるようになったがそれはこういう経緯があったからだ。
とにかく、滑らかなテープの回転は様々な面でメリットがあったということだ。
では、ワインダーの構造を見ていく。
本体はハーフ、手回しギア(白・大)、セカンドギア(オレンジ・中)、ファイナルギア(白・小)で構成される。
ギア比の変化によって回転数を変化させるという、車や自転車のギアと同様の原理だ。
一番大きい手回しギアには折り畳み式の取っ手がついている。
この取っ手だけは耐久性に不安があるので常に慎重に扱いたいところだ。
手回しギアを1回しする間にファイナルギア(白い小さい方)は7.5回転するようだ。
つまり鉛筆なら1回しで1回転に対し、これはその7.5倍で巻けることになる。
これをよどみなく回転させることができるので巻き取りが早いことは容易に想像できる。
四隅はカセット同様ねじで締まっているだけなのでメンテナンス性はよさそうだ。
もっとも、よほどのことがなければ動作しないなんてことはなく、頑丈なので普通に使っていればそうそう壊れることもない。
本体には「onehand & gear」と刻まれている。
使用方法は簡単。
カセット装着後
ワインダーの透けてる方に巻きたい方向のカセットのハブが見えるようにセット。
あとは→の方向(時計回り)に回すだけ。
そこで46分テープを使って実際に時間を計ってみた。
使用したのは46分のスモールハブタイプのカセット(maxell UR)。
手回しギアの回転数はとりあえず1秒につき約2回転のスピードで回せたので、ファイナルギアでは15回転/秒ほどになる。
回し始めると軽い力で巻き取りができる。
しかし、半分くらい巻き取ったあたりで回す指に抵抗を感じるようになる。
回転数を維持する必要はないが、今回は検証のため2回転/秒を意識しつつ巻き取ってみた。
結果は35秒。
これは鉛筆では到底無理な早さだ。
(鉛筆だと休みなくやっても5分はかかるだろう)
さらに早く回せば時間は短縮できるし、ハブ径が大きいラージハブタイプのカセットなら同じく短縮できるだろう。
(巻き取るほどにテイクアップ側の径が大きくなるため巻き取りスピードは上がる)
また、カセットの回転時の摩擦抵抗もカセットにより差があるため、これはあくまで参考値だ。
結果的にカセットデッキでもこの速度で巻き取りできる機種はそうそうない。
(46分で1分くらいなら早い方だろう)
従ってハンドワインダーはゆっくり回してもカセットデッキ並みのスピードで巻き取ることが可能ということだ。
参考までに以前の記事の電動ワインダーで計測した巻き取り時間は以下。
maxell EW-340:約30秒
SONY BE-A200:2分弱
ちなみに気になるのは巻きムラであるが、手持ちである以上皆無とはいかない。
写真ではわかりにくいが巻きムラはできる。
ただし、鉛筆やマッキーに比べれば優秀だ。
巻き取りスピードをもう少しゆっくり目にし、テーブルに置くなどして固定すればもっと綺麗にできると思う。
電源を必要とせず、外出先でも巻き取りができるハンドワインダー。
手軽で使い勝手のいい最高のアイテムだ。
ただ残念なことに現代は売っていない。
(類似品もみたことがない)
近年カセットテープが見直されるようになり、再びラジカセ等が発売されるようになった。
ただ、普段からカセットテープを愛用するオレにとって、現状では完全復活とは言い難い。
当時と同等の機能やインフラが整っていないからだ。
例えば今のラジカセはノーマルしか録再できないとか、このワインダーのような周辺アクセサリーにしても然り。
そういう意味ではレコードの復活に関しては現環境に不満はない。
(むしろ現代のほうが充実している部分さえある)
カセット以上に需要があるからだろう。
全盛期同様の利便性・多様性も復活してこそ真の復活だ。
カセットに関してはまだそこに到達していないし到達できるとも思えない。
オレは別にカセットの復活を望んでいるわけではない。
単に個人的な思い出や思い入れが強いので常にカセットを再生できる環境を維持してきた。
よって個人的には不便はない。
中途半端でノスタルジーに浸るためだけの復活は正直歓迎できない。
とりあえずカセットの音を聴くことができても、本来のカセットのポテンシャルを引き出せず、カセットを知らない世代に誤解を与えてしまうからだ。
80年代カセット全盛時の音に現代手に入るラジカセ、カセットでは到底及ばない。
残念な話だが、本来のカセットの音を聴きたいのなら当時のカセットデッキと当時のカセットテープを使うほかに方法がない。
本当のカセットの音を知っているからこそ、オレは今もカセットを使うのだ。