日立マクセル MX(MetaXial)

今回は久々にMXに録音して音を聴いてみることにした。

この3代目MXは個人的にマクセル全盛期(80年代初頭~中頃)と思っている頃の最上位カセットだった。

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そしてマクセルのメタルといえばオレの中ではこのMXになる。

当時、マクセルのメタル選択肢はこれ以外にラインナップがなかった。
ソニーならメタルES、メタルS、メタルマスター、TDKだってMA-X、MAを選べたのに。

もちろんそうそう買えるテープでもなく、当時は1,2本しか持っていなかった。

高級テープだったのでなかなか決まったアルバムを録ることができず、結局録音しては消しての繰り返しだった。

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この紫色のパッケージは本当にしびれる。
パッケージ越しに見えるカセット本体も紫で、MXのイメージカラーだった。

XLⅡシリーズで、すでにプレミアム感あふれる金色を使ったのでメタルは高貴な紫としたのだろう。
落ち着いた高級感を醸し出している。

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ハーフに貼られたラベルはエンボス加工がされており、指紋がつきにくいという利点もあった。

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一目でマクセルとわかるお馴染みのA/B判別と方向が印刷されたリーダーテープ。
一番右のオレンジ色は46分を意味する。
マクセルの46分のイメージカラーでパッケージの時間表示色と合わせることで収録時間がわかるようにしている。
ちなみに60分は赤、90分は青だ。
このあたりからマクセルは収録時間の色イメージを決めたようだ。

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下位機種と同様、誤消去防止ツメは折り取るタイプ。
まあこれは仕方ない。
MA-Rやメタルマスターとは値段が違う。

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どこから見ても美しい。

ハーフは下位モデルと同じでテープとラベルの違いのみ。
磁性体はメタキシャル磁性体でハイポジのエピタキシャルとは違うが、マクセル独特の香りは同じである。
マクセルの甘い香りの秘密は磁性体ではなくテープ自体の香りだろうか?

さて、今回MXに録ってみたのは、

松任谷由美 VOYAGER

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これはCDだが、当時はもちろんレコードを聴いていた。
オレの中ではユーミンアルバムのベスト3に入る名盤だ。

このCDは1999年にリマスターされたボックスセットのものである。

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保管に困るでかいボックス。

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松任谷由美のフルアルバムはこれ以降リマスターされていない(2017年現在)のでとても貴重。

音はもともとユーミンの録音はよかっただけに、まだまだレコードには及ばない。
最新のリマスターCDの発売が待たれる。

それでは録音準備を。

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キャリブレーション完了

キャリブレーションでバイアスがどうしても詰め切れない。(ハイ/ローが揃わない)
ソニーのデッキとマクセルは昔からあまり相性がよくないようだ。
調整の段階でつまみを振り切るとは、、

スーパーメタルマスターでの録音ではCDに迫る録音ができたので、今後はキャリブレーションが完了した時点の設定で録音していこうと思ったのだが・・・

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とりあえずこのまま録音レベルを調整したが、目盛りの3の位置で目一杯。
これ以上だと歪んでしまう。
ピークも+2dBと、メタルとしてはあまりインプットができない。

どう考えてもおかしい、MXのポテンシャルはこんなものじゃない。
MOL7.5dBなのに。
やはり、いじらねば。
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バイアスを-20からプラス側に半分くらい深めに。

これでやっと録音レベルを目盛り3.5まで上げても歪まなくなった。(スーパーメタルマスターは3.8くらい)
ピークも8dBあたりで、スーパーメタルマスター並みに上げられた。

録音レベルは十分詰めたはずだが、それでもヒスノイズがやや気になる。

CD音源なのでドルビーを入れたいところだが、とりあえずOFFで録音を開始した。

本番録音しながらソース/テープをモニターしてみる。

CDと比べて、高域の鮮明さは劣るものの、聴き分けしなければ十分なレベルである。
実はキャリブレーション完了の時点でもそれほど悪くはなかったのだが、いかんせん録音レベルが低すぎた。

とりあえず、アルバム1枚録音終わって、改めて聴いてみた。

M1:ベースとシンセドラムではじまる近未来的?冒頭のガールフレンズ。
   ここで音がこもってるとこの曲が台無しになるが、ギリギリOKだ。
   バックで鳴り続ける印象的なパーカッションも埋もれることなくしっかり分離して聴こえる。

M2:結婚ルーレットはベースのスラップが気持ちいい。
   ユーミンのジャンルはニューミュージックなのだがバック演奏はロックな感じでとてもかっこいい。
   M1→M2の流れがとても好きだ。

M8:TROPIC OF CAPRICORNもベースのスラップが効いたご機嫌な曲。
   中低域のベースの再現はまあまあだ。
   高めのピアノの音はちょっとわざとらしい、ベール1枚向こうで側で鳴ってる感じ。

総評
スーパーメタルマスターと比べ、NRがOFF時のテープヒスは若干大きめで気になる。
テープ感度はいいほうだ。
全域にわたってメタルらしくクセがなく、派手さがない堅実な音というところだ。
古いものであるがドロップアウトがほとんどなかったのはさすがマクセル品質。
高域は当時のマクセル全般的に言えることだが、ソニーやTDKに比べエネルギー感がいまひとつ。

しかしMXは中低域に抜群の安定感があり、ベースがとても気持ちよく聴ける。

もちろん録音するデッキを変えればまた違った感想になるかもしれないが、設計が古いメタルの音
という印象である。

とはいえ当時のマクセルのラインナップの中ではダントツの安定感ある音である。