マクセルLNに録音してみる。

あくまで興味本位だ。

1970年代前半のテープはオレはリアルタイムで使っていない。

これはジャンクとして入手したものなので品質、経年劣化も心配なところ。

そもそもこんな古いテープを大切なデッキで使って大丈夫なのか?

念のため、いったん巻きなおして、風通しと巻きムラを直す。

しばらく使っていないテープの最低限のメンテナンスだ。

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今回の録音ソース。
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和田加奈子 ゴールデン☆ベスト

1980年代 気まぐれオレンジロードというアニメの主題歌、挿入歌に使われた曲が多数収録されている。
このアニメは当時ジャンプで読み、コミックも買い、便乗して主題歌として使われた曲も大好きだった。

和田加奈子のボーカルは、哀愁を感じさせるノスタルジックな気分になる。
思春期のオーディオ小僧はアニメルートで知らないアーティストを知るパターンも多かった。
テレビで生歌も聴いたが声量も十分だしかなり上手い。

今回は丸々CDを録るのではなく、アルバムの中でもM4の「夏のミラージュ」をチョイス。
この曲はなんともノスタルジーを感じる曲で、アニメで使われた曲の中でもマイナンバーワンだった。

テープの製造年やノーマルタイプであることを考慮すると、あまりレンジが広くないボーカル中心の曲がよいだろうという考えからの選曲でもある
基本的には同時代の曲を録るのがいろんな意味でベストと思うがあえて80年代のアルバムで。

というわけで録音準備。

今回はソニーのTC-KA7ES、3ヘッドの当時のフラッグシップモデルを使用。
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キャリブレーションが完了したが、どうしても微調整ができず、これが精一杯。
バイアスは超浅だがこれでも足りなかった・・・
テープによってキャリブレーションの差が出るのはとても面白い。

次に録音レベルの設定。
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テープのスペックデータがなかったため、自分の耳で調整。
70年代のノーマルテープなのであまり高めはよくないだろう。

試してみたが、何度やってもつまみ3あたりが歪みなしの限界。

かなり限界が低い・・・

ちょうど0dBがピークになるくらいでないと、ドラムが潰れてしまうようだ。
たまに+1dBを振れることもあるがそれくらいなら問題ない。

メーターを半分しか使わないのがビジュアル的には寂しいが、ノーマルテープは本来こんなものだ。
(ナカミチならもう少しあげられるかもしれない)

録音開始。

モニター切り替えで聴き比べてみる・・・

んー、、

ソースとの違いというほどの違いはほとんど感じられない。

ソニー、マクセルのメタルではキャリブレーション決まってもCDの音との違いは感じられた。

LNはキャリブレーションもビシッと決まらなかったのに驚きしかない。

録音がもっと良くてダイナミックレンジも広いソースを使用すれば違いがわかったかもしれないが、
80年代J-POPくらいだと十分使えるようだ。

巻き戻して、正式に再生してみる。

リーダーテープを過ぎ、ブランク部分に入るとテープヒスはかなり目立つ。
NRは入れてないし、録音レベルも低めなので当然といえば当然。

しかし、曲が始まってしまえばそれは気にならなくなる。

だが、この音質ははっきり言って予想外だった。

中域に腰を据えたレンジが狭い音と予想していたが、高域、低域とも不満がない。

しかもこのテープはドロップアプトもなく、なんとか品質を維持しているようだ。

和田加奈子のボーカルのアンニュイな雰囲気も十分堪能できた。
バックの演奏もくっきり録音できており、埋もれることもない。

「夏のミラージュ」はハイハットのリズムが冒頭から最後まで「ちっちちっ ちっちちっ」と鳴っている。
そこをCDのように鮮明に録音できるかを基準としていて、LNでは録れないと踏んでいた。
しかし、ハイハットの音がボヤけることも埋もれることもなく、鮮明に録ることができた。

総括
LNは1970年代前半のテープのため、見た目古臭く、高音質テープの雰囲気も一切ない。
しかも今回使ったLNはジャンクテープだったので、前オーナーが録音したAMラジオのようなレンジのクソ狭い曲が最初から入っていた。
このカセットの性能に期待するなと言われているようだった。

しかし、キャリブレーションが決まれば予想を上回る音で、高性能テープとの差がそれほどないとまで思えた。
LN発売当時はもちろんまだCDはなく、高性能なレコードプレーヤー、デッキも少なかっただろう。
古いテープでも高性能なデッキとダイナミックレンジの広いCDを使えば、当時ではとうてい録音できなかった音を録ることも可能なようだ。
逆にいうと、テープ自体にはポテンシャルがあったものの、それを生かすソースがなかっただけということだ。

そして3ヘッドデッキによるキャリブレーションの意義も確認することができた。

2ヘッドデッキのキャリブレーションなしで録音すればまた面白い音が聴けそうだ。

LNのポテンシャルを引き出しさせすれば、今でも十分きれいに録れるカセットテープだと結論付けたい。