誰もが1つの曲、1人のアーティストを聴くきっかけになったものがあるだろう。

そのひとつにドラマも挙げられないだろうか。

ドラマに使われる主題歌はドラマの一部の構成要素であるが、ドラマの顔になることもあるほど影響力があることも少なくない。
ドラマにマッチした選曲ともなるとドラマを盛り上げるだけでなく、その主題歌までもがヒットする。
そうやってドラマが面白くてやがてその主題歌も好きになるというパターンだ。

80年代、未知の曲を知るきっかけとなるものは主にテレビかラジオだった。

テレビはつけてれば勝手に日本の歌謡曲をたくさん見聴きすることができたし、CMでさえもそのわずか15秒という尺の中で商品の世界観に合った音楽で我々を魅了した。

テレビやラジオの歌番組に流れる音楽が直接的音楽とするならドラマの主題歌は間接的音楽とも言える。

ドラマの主題歌が気に入れば、それを歌うアーティスをそのものを知るきっかけになる。
そうなるとそのアーティストの他の曲も聴くようになる。
もしそれが洋楽のカバー曲であったなら、今度はオリジナルを聴いてみたくなる。
オレはそうやって知った外国人アーティストがたくさんいる。
オレの洋楽を知るきっかけのひとつがまさかドラマだったと思うと面白い。

洋楽といえば、当時は洋楽を聴くにはほんの少しの努力が必要だったように思う。
テレビにしてもラジオにしてもつければ簡単に邦楽は聴けるが、洋楽は意識して選ばなければ耳にする機会はとても少ない。
さらに現代のようにタダでお目当てのアーティストの1曲を聴くことは容易ではなかった。
洋楽のラジオ番組を流し聴きしていると、自然と多くの未知のアーティストを知ることになるが、いい曲だと思っても「今流れたやつ何?」と二度と探せないことがよくあったものだ。

とにかく、そうやって自分の聴いてなかったジャンルや未知のアーティストへと触手を伸ばし、音楽の裾野は広がっていくのだろう。

そういう意味でドラマ主題歌というのはオレにとっては音楽の重要な情報源だった。

あるドラマではその主題歌を歌うアーティストを正式にレコードで聴くようになったり、そのドラマの中だけで終わってしまうものもあった。

いずれにしても心に残るドラマ主題歌が多かった80~90年代ドラマを語らずして当時の音楽事情を語ることはできないだろう。

今でも思い出したように「あのドラマの主題歌が聴きたい」となり、ネットで聴いて懐かしく思う。
次に「音が悪いなぁ」とオーディオマニアの虫が騒ぎだしCDを買う。
CDを購入して初めて音の良さに感動する。
そりゃ当時のテレビのスピーカーの音だけで聴いていたのなら当然だ。

そんなこんなで個別にアーティストを一人一人聴いていくより経済的でうってつけなCDを見つけたのだ。

大映テレビ主題歌コレクション ~TBS編~
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発売年:2001年4月4日
品番:KICS 871
価格:2,500円(税抜)
レーベル:KING RECORDS

ケース裏
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CD
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今から20年も前に発売されていたこのCD。
なぜか未だに新品で買うことができ、オレにはお宝レベルの大切なCDとなった。
タイトル通り、これは大映テレビが制作したドラマ、かつTBS放送分のみの主題歌を集めたコンピレーションアルバムである。
(もうひとつはフジテレビ編というのもあるが新品では買えなかった)

まず、大映テレビとは当時の大映株式会社のテレビ制作部門を指す。
有名なところでは70年代の山口百恵がヒロインを演じた「赤いシリーズ」だろう。
子供ながら見ていたものもあるが、今はタイトルくらいしか覚えておらず記憶も断片的だ。
しかし80年代に限っていえば、明らかに他のドラマとは異彩を放つドラマが多く、日本中を釘付けにして社会現象にまでなるほどのドラマを多く制作した。

主演俳優はドラマを機にメジャーになり、そのドラマ主題歌もヒットした。

このCDにはそんな時代を彩った名作大映ドラマの主題歌がズラリと並ぶ。

オレは今もすごくドラマを見るほうだが、そのドラマ主題歌が気になるなんてことは今ではほとんどない。
制作側が主題歌の重要性を軽視しているのは明らかであり、もう時代は変わってしまったようだ。
このCDが存在するということは、それだけかつてのドラマにとって主題歌は重要な位置づけだったということになるだろう。


では収録内容を見ていきたい。

1.「高校聖夫婦」主題歌
  純愛さがし(高田みづえ)
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あらすじは高校3年の二人が結婚し、周囲が大騒ぎになるというもの。
しかし何とそれは偽装結婚だったのだ。
偽装結婚から始まる二人の関係の変化が見ものということだ。

後に大映ドラマの定番俳優となる鶴見辰吾、伊藤麻衣子を主演として名古屋章や伊藤かずえなどが脇を固める。
そういえば鶴見辰吾は3年B組金八先生(1979年版)で同級生を妊娠させてしまう役をやってたな。
伊藤麻衣子はミス・少年マガジンからの初のドラマ出演作品。
オレはこのドラマで伊藤麻衣子のファンになり、彼女は歌手としてもデビューしたのでレコードも持っていた。

ただこのドラマ、大映テレビドラマを自らの意思で見始めた初期の作品のため、主題歌が記憶にない。

主題歌「純愛さがし」は高田みづえによる歌唱であるが、オレにとってはちょっと世代が違うというか彼女はアイドル的な存在でもなく、「ザ・ベストテン」で聴く程度だったので気にしていなかったんだろう。
曲自体も70年代アイドル然としていてあか抜けない雰囲気。
何しろドラマが放送された1983年は聖子や明菜といった強力なアイドルがいたので無理もない。
とはいえ、今あらためてじっくり聴くとこれはこれでよい。
高田みづえの歌唱力の高さを思い知らされるし何より声がとても気持ちいいのだ。


2.「スチューワーデス物語」主題歌
  ホワット・ア・フィーリング(麻倉未稀)
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あらすじはスチューワーデスを目指す少女の恋と成長の物語。
とあれば何か爽やかな感じを受けるが、実のところ内容はかなりドロドロ。
片平なぎさ扮する教官の婚約者の恐ろしいこと憎たらしいこと、夢にでてきそうでトラウマになりかねないほどだった。
(実際片平なぎさは当時いやがらせを受けたらしい)
このドラマでは「教官」とか「ドジでノロマなカメ」なんて流行語も生まれた。

そしてドラマ同様忘れられないものとなったのが主題歌である麻倉未稀の「ホワット・ア・フィーリング」だ。
同年上映のアメリカ映画「フラッシュダンス」のテーマ曲で日本語カヴァー曲としてドラマに採用された。
当然のことながら洋楽なんぞには縁のない、こてこての日本人のオーディオ小僧であったオレにとっては麻倉未稀で聴いたのが先。
カヴァーであることはもちろん知っていたが、あまりにインパクトが大きいドラマと主題歌だった。
オレはこれを機に麻倉未稀のレコードも聴き始めた。
(フラッシュダンスも後にテレビで見た)

曲は印象的なイントロから始まり、サビに向かって大盛り上がり。
ドラマでは日航機をバックに教官と生徒達が遠くから整列して歩いてくるワンカット映像だったが今見ても秀逸だ。
ドラマの細かな内容は忘れてしまっても、この曲を聴けばあの時の熱くらいは容易に蘇る。
こんな形で洋楽の世界に入っていけた80年代は今考えても面白い時代だった。


3.「不良少女とよばれて」主題歌
  NEVER(MIE)
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あらすじは不良となった主人公の更生までの紆余曲折を描いている。
これは実話をもとにした原笙子原作の同名小説のドラマ化である。

80年代は少年の非行が社会問題となっていた時期でもあり、同じく非行を題材とした「積木くずし」も大きな話題となっていた。
(内容的には積木くずしの方がハードかな)
それにしても主人公が不良から始まるとか、不良がでてくるドラマは本当にたくさんあった。
何にしても見ていて苦しくなる話だ。

そんな主題歌に抜擢されたのがMIEの「NEVER」。
MIEは元ピンクレディーでこの時はすでに解散してソロだった。
もともとMIEはケイちゃん(相方)よりも声量があり、ダイナミックな歌唱だった。
そのイメージ通り「NEVER」はMIEにとって相性がよかった曲だと思う。
そしてこの曲もアメリカ映画「フットルース」の挿入歌からのカヴァーなのだ。

「ホワット・ア・フィーリング」同様、オリジナルが洋楽の場合、声にパワーが必要な曲が多い。
そこらへんの歌手では歌いきれないほどの声量が必要なのだ。
正直MIEがこんな曲を歌えるとはピンクレディの頃には想像も付かなかっただろう。
麻倉未稀にも負けず劣らずのMIEのヴォーカルはとにかくかっこいい。


4.「泣き虫先生の7年戦争 スクール★ウォーズ」主題歌
  ヒーロー(麻倉未稀)
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あらすじは荒廃した高校に赴任した教師がラグビーを通じて不良を更正させ、全国優勝を果たすまでの7年の記録だ。
(合言葉は、ワンフォアオール オールフォアワン→ヒロアカではない)

このドラマだけは本当に別格で、全ての日本ドラマの金字塔と言えるのではないだろうか。

昨年Amazonプライムで見返したが最初は古臭さにやや引いて見ていた。
しかし回を追うごとにそれがむしろ癖になってくる。
(当時はくさい演技だなんて思ってもいないが)
やがて自分は滝沢先生になりきり、一緒に苦しみ涙する。
中盤からはいったい何人仲間が死ぬんだ、もうやめてくれと思いつつ、ドラマはクライマックスへと向かう。
最終回は第1回の冒頭部分の伏線の回収から始まる。
ついにこの時がきた!
全国大会決勝戦だ!!

と、その様々な名シーンを盛り上げたのがその主題歌「ヒーロー」だったのだ。
ヒーローが流れないスクールウォーズはきっと味気ないものとなっただろう。

もはや大映テレビ専属歌手ではないかと思う麻倉未稀の再起用。
やはり映画「フットルース」からのカヴァー曲。
イントロのシンセドラムは一秒聴かなくてもそれとわかる。
ダイナミックな曲はオーディオチェックで未だに聴くことがたびたび。
もちろんオリジナルでなく麻倉未稀ヴァージョンだ。
そしてこの曲を聴くと自然と力が湧く世代が確実に存在するドラマ史上最強の主題歌である。
是非ともドラマの中で聴いてほしい曲だ。
見れば今のドラマとの違いをはっきり認識できることだろう。

2022年冬クールドラマ17本を録画予約中であるドラマ狂いのオレが未だ忘れられない名作ドラマなのである。


5.「少女に何が起ったか」主題歌
  摩天楼ブルース(東京JAP)
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あらすじは小泉今日子扮する不遇な人生を送ってきた主人公が数奇な運命によりピアニストを目指す物語。
その出生の秘密やロマンスが見どころとなる。
小泉今日子は初の連続ドラマ主演作となった。

「薄汚ねぇシンデレラ」というセリフは話題となった。

主題歌は東京JAPの「摩天楼ブルース」。
当時はドラマと共にヒットしたが、このロックバンドはこのドラマの主題歌を歌った2年後に活動を休止した。
メジャーになったあとは鳴かず飛ばずという印象で一発屋ともとられやすい。
そんなバンドは山ほどいたがオレはこの1曲だけでこのバンドを今も覚えているのだ。
なんと言われようが確実に時代に爪痕を残した偉大なバンドである。

イントロの物悲しいハーモニカがとても印象的。
正直「摩天楼ブルース」以外の曲を知らないのでオレは東京JAPといえばこの曲のイメージしかない。
ロックというより今でいうシティポップにカテゴリしてもよさそうな洗練された曲だ。
未だに時々口ずさんでしまうのは名曲の証ということだろう。


6.「乳姉妹」主題歌
  RUNAWAY(麻倉未稀)
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まずこれ「ちきょうだい」と読む。(ちちしまいではない)
あらすじは18歳の二人の少女、一人は大富豪の娘、一人は貧乏人。
でも実は大富豪の娘は生まれて間もない頃、貧乏人の方のお母さんに育てられていた「乳姉妹」だった。
しかもちょっとしたミスでそれぞれが入れ替わっていたというパターンのやつ。
そんな二人がある事件をきっかけに再開。
そこから二人の運命が回り始めるという人間ドラマだ。

主題歌は大映ドラマお抱えの麻倉未稀の「RUNAWAY」。
ドラマのスリリングな展開を象徴するかのようなスピード感溢れる曲がドラマをさらに盛り上げた。
もう大映ドラマには麻倉未稀なら間違いないという構図になってきたとさえ思う。
これもやはりカヴァーで原曲はボン・ジョヴィの「夜明けのランナウェイ」。
麻倉未稀のヴォーカルは男性ヴォーカルをもカヴァーできるほどすごいということだ。

ドラマタイトルのインパクトも手伝い、これも忘れられないドラマとなった。
貧乏人の娘役の渡辺桂子は正統派アイドルであったがこの翌年に結婚で引退。
当時知名度はあったものの活動期間が短いがためになかなか思い出せない80年代アイドルの一人となった。


7.「ポニーテールはふり向かない」主題歌
  NEVER SAY GOOD-BYE(小比類巻かほる)
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あらすじは少年院から出てきた少女が試練を乗り越えスーパーロックバンドを結成していく過程を描く。
と、そりゃ苦労するだろうなと思うが大映ドラマの恐ろしいところはそこで終わらない。
主人公はギターの弦が切れて目を負傷、視力を失い盲目となってしまうのだ。

しかし何よりも当時話題となったのは主人公の仇役とか脇役ばかりやっていた伊藤かずえがついに主演を果たしたということだ。
それまでさんざん大映ドラマに出演していた伊藤かずえの知名度は高かった。
なのでようやく日の目をみたね、とちょっと親心がわいて見ていた視聴者も多かったことだろう。
まぁ大映ドラマと言えば、松村雄基・伊藤かずえは外せないが、癖のある多くの役を演じきったこの二人は偉大な俳優である。

主題歌は小比類巻かほるの「
NEVER SAY GOOD-BYE」。
なんと小比類巻かほるのデビュー曲だ。
これを機にオレが小比類巻かほるにハマったのは言うまでもない。
そういえば当時、小比類巻(こひるいまき)という苗字があまりに珍しく感じた。
どうやら青森県三沢市に多い苗字らしい。
青森県三沢市と言えば米軍基地がある。
その関係で小比類巻かほるは子供の頃から洋楽に親しんでいた?というような記事を当時読んだような気がする。

曲は以降の彼女のスタイルを決定づけるような力強いロック。
もともと声量もあり、ロックに向いた声質でこのドラマの後も次々とヒット曲を連発し、80年代を代表するロックスターとなった。

新たなアーティストを知るきっかけとなった思い出のドラマでもある。


8.「遊びじゃないのよ、この恋は」主題歌
  まわり燈籠(高樹澪)
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あらすじは新米婦人警官が恋した相手はヤクザだったという禁断の恋を描いたドラマだ。
主人公はこのドラマの前年にデビューした井森美幸を大抜擢。
今ではちょっと考えられないようなシンデレラストーリーだ。

残念ながらこのドラマは主題歌ともにあまり覚えてない。
やはり大映ならではの強い癖がなかったからか。

主題歌は当時「ダンスはうまく踊れない」がヒットした高木澪が歌う。
「まわり燈籠」がすぐには読めない。
まわりとうろうか?
それにしても曲はほぼ演歌じゃないか。
そりゃ演歌嫌いのオレが覚えてないのも無理はない。
ドラマの内容と主題歌、これが合っているのかもよくわからない。


9.「おんな風林火山」主題歌
  LOVE IS ALL ~愛を聴かせて~(椎名恵)
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あらすじは戦国時代の恋愛。
(もう適当になってきている)
ドラマの内容はほとんど覚えていない。
時代劇だから見ていなかったのかも。
ただ、面白いのは大映お抱え俳優の松村雄基や伊藤かずえも出ていること。
このメンツで時代劇とか逆に今見たい。

そして主人公は1986年同年デビューの鈴木保奈美。
ドラマについては語れないのでちょっとここで小話を。

実はオレは1986年に鈴木保奈美と会っている。
鈴木保奈美はカネボウ化粧品の夏のキャンペーンガールで、まさにそのキャンペーンで全国に営業に回っていた。
そして鈴木保奈美は我が町にもやってきたのだ。

オレはK君と学校帰りだったのだが、たまたまそのキャンペーンのイベント会場の前を通りがかった。
で、会場前にいた係りの人に「ちょっと寄っていきませんか?」と声をかけられたのだ。
オレもK君も暇だったので「じゃあ寄ってく」となった。
それまで鈴木保奈美は知らなくて、会場に通されると客は誰もいなかった。
まさにオレとK君だけ。
しか~し、その鈴木保奈美の可愛いこと、綺麗なこと。
客がいないので間近で堪能させてもらったのだ。
一目見た途端オレたちはデレデレになった。
で、「写真撮りませんか?」って言われたんでK君と3人で写真撮ってもらったんだ。
それは未だに忘れられない幸運な出来事となった。

・・・

ただ、、

その時撮った写真。

もらってない。

K君と話し合った。
「あの時の写真どうなった?どうやってもらえばいいんだろうな?」と。

確かインスタントカメラじゃなかったし、オレらの連絡先もそういえば教えてない。
となると向こうもオレたちに渡しようがない。
後日会場に行ってみると当然のことながらもういるわけない。
オレとK君にとって、青春のほろ苦い思い出となった・・・

話がそれたが主題歌だけははっきりと覚えているというよりよく知ってる。
シャーリーンの「I'VE NEVER BEENN TO ME」のこれまたカヴァーである。
誰もが知る有名な美しい曲。
もしかしたらカヴァーより原曲を知ってる人のほうが多いのかな。
この時代劇ドラマに合っているのかはよくわからないが、最高な歌であることは間違いない。


10.「天使のアッパーカット」主題歌
  TALK TO ME(松居直美)
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あらすじはひとりの少女が拳ひとつで学園の悪に立ち向かうという奇抜な学園ドラマ。
今なら強烈なB級臭漂うタイトルだ。
残念ながらこれも全く覚えていない(見ていないから?)

やっぱりお抱え俳優がいないと興味なかったのか、裏番組の方見てたのか。
いずれにしても当時はいろいろ遊びが忙しかったし全てのドラマを知ってるとは言い難い。
でも今見たらきっと面白いんだろうなぁ。
これ見たいけどマイナーすぎてどこも配信してなそう。

というわけで当然主題歌も知らなかった。
ただ、歌ってる松居直美はそりゃ知ってる。
当時の彼女のイメージとはまるで異なるかっこいいロック曲だ。
松居直美の歌唱力は一流なので問題ない。
これもカヴァーで原曲はクォーターフラッシュだ。
この曲を聴く限り、きっとドラマが盛り上がるんだろうなと感じさせる気になるドラマだ。


11.「スクール・ウォーズ2」主題歌
  FIRE(丸山みゆき)
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あらすじは前作「スクールウォーズ」から5年後を描く。
滝沢先生が少年院のラグビーチームの監督になって帰ってきた。
少年院なので不良以上に悪いのは当然な部員たち。
前作同様、引き続き山下真司、岡田奈々、松村雄基がキャスティングされた。
そりゃ面白いに決まっている。

がしかし、このドラマは当時評判が悪かった。
当たり前だが前作を超えることはできないし、二番煎じ感も強い。
かなり強引な展開となるが熱いだろうということは容易に想像できる。
当時はこんなドラマはもう食傷気味だったのかもしれない。
しかし刺激のない現代こそ見たいドラマだ。
オレが今もう一度見なおしたい大映ドラマの筆頭がこれだ。

主題歌は丸山みゆきの「FIRE」。
丸山みゆき自体は覚えていなかったが、この熱い主題歌だけは忘れはしない。
これ間違いなくドラマが盛り上がるやつだ。
イントロからサビまでもうスポ根ものの王道をいくハイテンション。
スクールウォーズ2は見なかったという人もこの曲を聴けばきっとドラマを見たくなること請け合いだ。


以上。


さて、近年のオレはリアルタイムな曲よりも往年の曲を聴くことが多い。
まぁ今のJ-POPに限っては打ち込みばかりで聴いていてオーディオ的につまらないし、それが気にならなくなるほどのいい曲も少ない。
そんな憂うべき事態がもう長年続いているような気がする。
曲より歌詞という風潮もうっとうしい。
バックの演奏はおざなり。
(つまりは録音も臨場感がなくつまらない)
歌にとって歌詞は当然重要であるが、最近の曲はその歌詞にこだわりすぎている。

オレの場合、歌詞がいいから好きになった曲なんてものはひとつもない。
曲ありきで歌詞を後から好きになる。
よく「歌詞に共感して」なんて言う人がいるがそれに共感できない。
まず曲ありきでそこに乗る歌詞が生きてくる、そんな曲が多かったのが80~90年代だ。
そもそもの話だが、歌詞の意味を理解しながら聴く人はオーディオ耳ではないので、録音がどうのこうのも関係ないのだろう。
オレは歌詞は考えすぎず、すっと入ってくるような「曲に調和した歌詞」くらいでちょうどいいと思う。
例えば松本隆が書く詞はまさに「詞」だ。
歌詞を読んでみて情景が浮かぶし、意味がよくわからない言い回しも多い。
意味がわからなくてもそのまま受け入れようとさえ思う。
しかし、最近の曲は「話し言葉」的な詞ばかり。
しゃべる言葉をそのまま歌詞にすることはちょっと頑張れば誰でもできること。
かつての職業作家の書く詞は主張しすぎず美しかった。
言葉を昇華させて情景として表現するか、言葉を言葉のまま表現するかの違いはあまりに大きい。

昔の曲を聴いていてふとそんなことを思った。

では最後にその後の大映テレビがどうなったか。

日曜劇場「テセウスの船」や「TOKYO MER~走る救急救命室~」を制作した、と言えばわかるとおり今も健在だ。

未だに「大映テレビ」の名前を現代ドラマのクレジットで目にすると思わずにやりとしてしまう。

オレにとって「大映テレビ」という響き自体で胸が躍ってしまうからだ。


フジテレビ編に続く。