さくの家電のーと

オーディオ、音楽、家電全般に関する備忘録ブログ

◆音楽ソフト◆

元オーディオ小僧 MD保管の流儀

以前、CDにカバーをつけることでCDをいつまでも美しい状態で保管する記事を書いた。

元オーディオ小僧 CD保管の流儀 その1
元オーディオ小僧 CD保管の流儀 その2

これは、CDのプラケース(紙ジャケット含む)自体を傷などから保護するだけでなく、帯を見せる保管ができることが最大のメリットだ。

CDのケース形状に応じたカバーもいくつか市販されているので一定数の需要はあるわけだ。
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しかし、オーディオ歴が長いとCD以外にも多くのメディアと接することとなる。

そのひとつに1990年代の「MD(ミニディスク)」がある。


音楽入りMD(再生専用MD)について
MDを録音に使ったことがある人は多いだろう。

しかし音楽入りのMDを好んで購入した人はかなり少ないはずだ。

その理由は、当時はCDが一般的なマスター音源であったからだ。
MDは圧縮されたCDより音が悪いメディアという認識が全ての人にあったかはわからないが、少なくともわざわざMDで買うメリットは少なかったと思う。

ソニーからは多くのMDが発売されていたが、どのレコード会社も発売していたわけではなく、さらに過去作品にまで遡りMD化していたわけではないのでラインナップそのものが少ない。
なんでもMDで聴けたわけではなく、MDど真ん中の時代にリリースされたタイトルに限られる。
だからわざわざMDでアルバムを揃えるには不安があったことは否めない。


録音メディアとしてのMD
そもそもMDは録音するためのメディアというイメージが強く、かつてのカセットテープのような位置づけであった。
レコード全盛の時代、レコードとカセットでアルバムが発売されていたらレコードを選ぶ人が多かったのと同じで、CDとMDならCDを選ぶのが当然の流れであろう。
しかもCDはレコードと違い、ポータブルプレーヤーで外でも聴くことができたので「ポータブルはMDで」という使い分けの意味はなかったのだ。
(もちろんCDよりもコンパクトであるというメリットはある)

また、CDとMDは価格も同じだったのでそれなら音が良いCDの方を選ぶのはごく自然なことだ。
さらにMDよりもCDの方が断然普及しており、録音にはカセットを継続使用していたならなおのことMDはなくても全く不便はないという状況となる。
この時はまだ録音メディアとしてのカセットテープは使われていたのだ。

そう考えるとMDは100%カセットの代替とはなり得なかったので失敗したという見方もあるが、それは言い過ぎである。
MDのインフラは十分用意され、カセットの代わりとして役割を担うだけの下地はできていたからだ。
大きく普及はしなかったが、概ね成功という方が近い。
ハードやソフトの充実度を見れば失敗したと一言で片づけるには無理があるのだ。
MDに移行せずカセットを録音媒体として使い続けた人々からすればそう見えるだろうが、移行した者としてはカセット以上に便利で何不自由なく使えたので意見が割れるのも無理はない。

別の記事に書いたが本当に失敗したのはDCCである。
悲運の規格 DCC Panasonic RT-Dシリーズ DEGITAL ZETAS


さて、当時のオレは音楽入りMDはCDとの音の比較のため、ネタとして1枚買ったにとどまる。
(買ったのは松田聖子のBible Ⅲ)
録音レートを同じにして自分でCD→MDに録音すれば音楽入りMDと大して音質に変わりはないだろうとは思ったが、厳密には音楽入りMDのソースはCDでなくスタジオのマスターテープであり、違いがないともいいきれない。
また、ディスク素材や再生機のピックアップも再生専用と録音用とでは若干異なり、違いは出てくるはずだ。
(結果明確な違いはよくわからなかったが)
結局、当時はMDはカーステや通勤用のMDウォークマン用の音源として、CDからコピーして使うことがメインだった。
オレは完全にカセットの代わりにMDを使っていたのだ。

そんなわけで、音楽入りMDはその希少性から今では高値で取引されることが多く、
コレクション的要素が強いレアな音楽メディアとなっている。

オレも現在何十枚も持っているわけではないので、数が少ない分しっかり保管したいと思ったわけだ。


MDにもカバーを
問題はMD専用と銘打ったカバーが市販されていないことにある。
となれば、なにか代替品を考えなければならない。

そこでまずは音楽入りMDの形状から見ていくことにする。
録音用のMDは多くの人々が知るところであるが、音楽入りMDが当時どのように販売されていたかを知る人は少ないだろう。

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参考:松田聖子「DIAMOND EXPRESSION」

サイズ
縦横:97mm×97mm
厚さ:12mm(1枚組)、24mm(2枚組)

録音用MD(右)と比較すると、全然大きい。
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これは、SONY MD2000やTDK XA PROなどに使われた高級MDのケースと同等だ。
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SONY MD2000

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TDK XA PRO

中身はCDよりさらに小さい歌詞カードが封入されているが、CDと異なるのはジャケットが別にあること。
CDは歌詞カードがジャケットを兼用するのが一般的だ。
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しかし、逆に裏面にはジャケットがなく、帯がその役割を担うことになる。
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裏ジャケットは帯側にあるが、開封後は帯を保管ができないのが欠点。
開封後の帯のやりばのなさはカバーをつける以外解決策がないことになる。

これは以前記事にしたCBSソニーの特殊形状スリムケースの帯と全く同じ問題だ。
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松田聖子 特殊形状スリムケースCDシリーズ

よってカバーをつける意義は大きい。

また、音楽入りMDは基本的に2枚組の収納ケースが存在せず、1枚ものを2つつけることで2枚組としていた。
(倉木麻衣のオールマイベスト等、一部例外もあり)
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参考:2枚組MDの松田聖子「bible」

ケースの構造はCDケースの名称を借りるなら、リッド+トレイ(ボトム)の2ピース構成となる。
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MD本体はトレイの留め具に固定される。
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この
トレイのホールド部の強度は弱く、下の写真のように一か所でも破損するとMDが固定できなくなるので扱いには注意が必要。
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CDのように、交換用ケースが市販されていないため、破損すると替えがきかないのは辛い。
よってカバーをつけて保護したいという気持ちはより強くなる。

収納カバーの選定と加工
専用カバーは存在しないので、自分で作るしかない。

ネットで検索すると様々なサイズのビニールカバーを見つけることができる。
それらのカバーから最適なものを選ばなければならない。

当然MD用などないので、マチ(奥行)を考慮した横幅を算出する。

MDの横幅は97mmで厚さとなるマチは12mm。
つまりカバーの横幅は109mm必要ということになる。
(ちなみに高さ方向は余るので考慮不要)

そこで選んだのはこれ。

シモジマ クリスタルパック T-11-16
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横幅110mmでちょうどいいのがあった。
糊付きだが上部は使わない。

MDを入れてみる。
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ストレスなく入り、ぴったり。

ここからは少々加工が必要。

縦方向の余分な部分を切り取るのだ。
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まずはマーカーなどで印をつける。
ここで底部のマチは縦方向でまかなうので必ずきっちり下までMDを入れた状態にする。

MDを一旦取り出し、余分な部分をカッターで切り取る。
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MDを入れて確認。
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最後にマチで出た余分な角が発生するのでこれを切り取る。
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これでカバーはよりMDにフィットすることになる。
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ちなみに市販のCDカバーもここは切り取られている。

次は2枚組のMD。
MDの横幅は97mmで厚みとなるマチは24mm。
つまり横幅は121mm必要ということになる。
そこで選んだのはこれ。

シモジマ クリスタルパック T-13-24
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最初、横幅120mmのT-12-23.5で試したがピッタリすぎてこれはだめだった。
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↑T-12-23.5は途中で止まってこれ以上入らない・・・

T-13-24にMDを収納してみる。
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やはり大きすぎた感があるが余裕がないよりはいい。
(CD同様、帯ごと収納するとなるとカバーに余裕がないと収納に手間取る)
とはいえ、もうワンサイズ小さいものがあればベストだ。

あとは同じく縦方向とマチの角を切り取って終わり。
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残念なのは両方とも若干ビニールの厚みが薄かったこと。
まぁ裸で保管するよりはるかにましで、ケースの保護と帯の収納という目的は達成できた。


あとがき
オレはMDというメディアが好きである。
現役で、という話ならカセットよりMDを使った期間の方が長かったからというのもある。
MDウォークマンもたくさん使ってきた。

そんなMDも今ではネオクラシックな音楽メディアといえる。

昨今、レコードやカセットが再び注目されるようになり、新譜の発売からプレーヤーの発売とこれから始めても当時と遜色ない環境が準備されている。

ではMDにもそんな時代がくるのかと問われればそれはないだろう。

理由は、世界的に普及しなかったメディアであり(海外はDCC)、日本でさえ完全普及とはいかなかったので回顧して懐かしむ人も圧倒的に少ない。

さらにデジタルメディアとなればノスタルジーという言葉も似つかわしくない。
なおかつ圧縮されてCDより音が悪いとなると復活させる意味がない。
MDの音を聴きたいのであれば、現代のウォークマンでATRAC録音すれば再現もできる。

レコードやカセットはアナログだからこそ復権する意義があったのだ。

また、MDはオーディオの観点から見てもやや中途半端な存在といえる。
つまりアナログと本格的なデジタル時代へのつなぎであったということだ。

そうはいってもMDは一時代を築いた重要なメディアであることに変わりはない。

オレはMDがあったおかげでカセットよりも充実したミュージックライフを楽しむことができた。

当時MDを使った人にしてみれば人生の大切な思い出の一部なのだ。

MDの記事をひとつでも多く書き残すことで、願わくば人々の記憶からMDを消さないことに貢献できればと思う。

浅香唯 レコード(オリジナルアルバム+)

浅香唯は80年代を代表するスーパーアイドルのひとり。

オレにとっては聖子や明菜がお姉さん的存在だったのに対し、より同年代に近い同級生的アイドルになってくる。
つまり浅香唯は聖子や明菜を聴いて少なからず憧れがあっての次世代のアイドルということになる。
そうなると聖子・明菜とはまた違ったアイドル像となり、勝手に身近に感じて親近感もわいてくるのだ。

いくら身近だといっても現在の某アイドルグループのように簡単に会えたり、握手したりなんてことはできるはずもない。
その代わり、テレビやラジオへの露出は非常に多く、無意識でも見聞きする機会は多かったので世間への認知度は世代問わず今では考えられないほど高かった。

現代でもちょこちょこメディアに顔を出す彼女は我々にとってはありがたい。
彼女を目にするたび、あの時の気持ちを思い出し、あの時にタイムスリップすることができるのだ。
そしてメディアへの露出具合も実はちょうどよかったりする。

例えば、聖子はアイドル界のキング的存在で、歌手としての活動は現代も精力的に行っている。
いつの時代も聖子は圧倒的な存在感でアピールしてくる。
それゆえファン層の移り変わりも激しい。
80年代の聖子を支えたのは圧倒的に男性ファン。
ライブ会場の様子を見ればわかるが、現代に至るまでに熱狂的なファンはどちらかというと女性の方にシフトしているようだ。
(正直男性ファンとしては寂しい思いがある)
やがて聖子自身が作詞するようになると男性ファン向けというより聖子と同年代の女性が共感できるようなものが多くなった。
なのでオレも含めて現代の男性ファンは、自分が支えたと思っている80年~90年代の彼女だからこそ今も支持しているところが少なからずあると思う。

そんなことを考えていたら、じゃあ浅香唯のファンってどうなのとなる。
オレが思うに今でも当時からの男性ファンが圧倒的に多いはずだ。
聖子に比べれば様々な面で活動に違いがあるからだ。
浅香唯に新規のファンがつくことがあってもそれは男性ファンではないだろうか。
浅香唯は当時のオレたちの浅香唯のままという感覚なのである。

そして浅香唯を語る上で絶対に外せないのは「スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖伝奇」というテレビドラマだ。
当時「スケバン刑事」は社会現象となるほどの大ヒット人気ドラマシリーズだ。
初代は斉藤由貴、二代目は南野陽子、で三代目が浅香唯で三部作となる。
(3人とも好きだった)
全てのシリーズがインパクト大だが、オレにとって三作目の「風間三姉妹」の存在は大きく、忘れられないものとなった。
風間三姉妹とは劇中の登場人物「風間唯(浅香唯)」「風間結花(大西結花)」「風間由真(中村由真)」の三姉妹による架空ユニットであり、ドラマの主題歌のひとつ「Remember」を歌い、当時大ヒットした。
ドラマ終了後もこの3人で活動する機会も多く、現代でも彼女たちは仲良しのようである。

浅香唯の名が全国に知れ渡るきっかけとなったスケバン刑事であるが、アイドルとしてはやはり曲がヒットしなければならない。
デビューシングルから5作目まではふるわなかったが、6作目の「STAR」からの勢いは凄まじかった。
10作目「C-Girl」がオレの中での最高の浅香唯である。
風間三姉妹「Remember」と「C-Girl」は未だよく聴く浅香唯のシングル曲なのだ。

80年代はアイドルが多すぎて一人に集中できなかったので、やや偏った1ファンであったオレ。
浅香唯のレコードは当時ダビングに頼り一枚も買えていないのがオレの負い目だ。


ただ現代は当時もの含め、新作、リマスターも揃えているので許してほしい。
筋金入りのファンの方ほど浅香唯の知識はないが、愛する気持ちは変わらないと思っている。
重要なのは過去だけでなく現代も支持しているかだと思う。

それでは当時肌で感じた彼女のアルバムを簡単に振り返っていきたい。

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浅香唯のオリジナルアルバムのうち、レコードで発売されたのは全部で6枚。
デビューがレコード終焉期に近かったのでこれだけしかない。
(レーベル的にはハミングバード時代のみ)
少ないのでここではレコード時代に発売された唯一のベストアルバム「Present」も含めた計7枚を見ていきたい。

さて、浅香唯をレコードでコレクションする場合、コンプリートは容易である。
レコードとして最後の1989年発売分は球数が少ないとはいえ、分母が大きいのでそれほど苦労はしないだろう。
また、中古といってもレコード終焉期に近く、程度がいいものが多い傾向にある。
痛みの少ない美しいジャケットを手にすると当時のことが昨日のように思い出される。
(といっても当時はレコードは買ってないが)

オレが思う浅香唯の魅力はクセがなく聴きやすい声なのに個性もあるというところだ。
聖子や明菜は言ってみればかなりクセが強い。
それゆえ好き嫌いが分かれるという部分もあるが浅香唯の声は心地よくてすっと入ってくる。
身構えることなく気楽に聴ける感覚だ。
とはいえ歌唱のテクニックは一流かつ安定しており、正直今のアイドルと比べることはできない。
ライブを見ればわかるが圧倒的な声量を持ち、一瞬本田美奈子を彷彿とさせる部分もあるほど。

それでは個別に見ていこう。


Crystal Eyes(クリスタル・アイズ)
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発売日:1986年2月21日
価格:2,800円
品番:28HB-11
レーベル:ハミングバード
キャッチコピー:なし

A面
1.その気☆不思議
2.ヤッパシ・・・H!
3.ふたりのMoon River
4.星のマリーナ
5.あぶないサタデイ・ナイト

B面
1.恋愛ヤンチャ娘
2.ピンクの結晶(クリスタル)
3.サヨナラDecember
4.渚のセカンド・デイト
5.夏少女

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スタイリストさんに髪型を整えてもらっているようなメイキング的裏ジャケ。
半透明の帯が美しいがこれ破れやすい。

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ポートレートは3枚で1枚(一番右)は歌詞カード兼になっている。

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オレはこのハミングバードのロゴと響きが好きだった。

ドラマ「スケバン刑事Ⅲ」でブレイクする少し前にリリースされたデビューアルバム。

シングルから4曲も収録されるもヒットしてないのでアルバムの売り上げに貢献することはなかったようだ。
そもそもアルバム用の新曲が6曲しかないというのはシングルを買ったファンからするとアルバムとしてのお得感がない。

ちなみにこれに近い時期の聖子のアルバムは13th「SUPREME」、明菜は9th「不思議」と強力な名盤がライバルだ。
この頃の2トップアイドルはさらに円熟味を増し、アルバムの完成度も尋常ではない中での戦いはさぞ厳しかっただろう。

レコードはまだかろうじて襷帯付きの王道スタイル。
ジャケ写もアイドルのデビュー時定番の顔どアップでフレッシュな印象を受ける。
まだキャラクターが定まっていない頃でやらされてる感があるのがまたいい。
KYON2のデビュー時も同じ感じだったがそれより野暮ったさが少なく洗練されている。

内容については初期シングルが多くを占めるも、ヒットしてないのでアルバムの構成を邪魔するというほどではない気もする。
ボーカルはまだあどけなさが残る初々しい歌声で普通ではあるが決して下手ではない。
すでにただモノではない感を垣間見ることができるアルバムだ。
シングル曲を多く使いながらも無難にまとめており、アルバムの流れもかろうじてよい。
レコードの時代らしく、前半から後半への緩急の付け方が王道パターンなのがうれしい。
個人的にはB面の流れが好きであるが、シングル曲「夏少女」を最後にもってきたことでアルバムのエンディング感がなく終わるのがちょっともったいなく思う。


Star Light(スター・ライツ)
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発売日:1987年2月28日
価格:2,800円
品番:28HB-16
レーベル:ハミングバード
キャッチコピー:ビッグヒット”10月のクリスマス”をふくむ、輝く瞳のユイ待望の2nd・Album !!

A面
1.WEEKEND GIRLS
2.星空のディスコティック~Dancin on the Street~
3.10月のクリスマス
4.ひとりぼっちの卒業式
5.STAR

B面
1.コンプレックスBANZAI !!(Special mix virsion)
2.乙女のX day
3.April Dreamer
4.こんなに涙がこぼれるなんて
5.もう一度逢えるなら

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浅香唯の身長は151cmと小さい感じが伝わる裏ジャケ。

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ポートレートは3枚、歌詞カード(手前)は見開きでお得感あり。

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このアルバム発売年の前年10月より放送を開始した「スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖伝奇」ヒットのおかげで浅香唯の認知度が上がり始めた転換期にあたるアルバムだ。
しかし前作から1年経過してのニューアルバムは当時のアイドルとしてはペースがやや遅い。
つまり浅香唯はスタートダッシュしなかったアイドルということだ。

前作から1年も経ったのに、このセカンドアルバムはファーストアルバム以降に発売された3枚のシングルのA/B面6曲すべてを収録という暴挙に出ており、当時新興レーベルだったハミングバードの力のなさを痛感させられる。
(ハミングバードだけのせいではないがそういうイメージ)
こんなにシングルばかり入れてオリジナルアルバムとして発売していいものなのか、今になって疑問に思う。
やはりスケバン刑事の主題歌に採用された「STAR」がこのアルバムをかろうじて牽引したという感じだ。

というわけでアルバム用の新曲わずか4曲でこのアルバムを評価するのは非常に難しい。
シングル曲はAB面をリリース順に入れるのでなく、なんとかアルバムの流れを作るようにやりくりしているが、いうてもシングルでしょとなるので、いっそアルバム初出しのオリジナル曲だけでミニアルバムとしてもよかったのではとさえ思う。
新曲の配分はA面に3曲、B面に1曲とB面がもうベストアルバム状態。
ある意味異色なオリジナルアルバムである。
4曲のオリジナル曲がとてもいい曲だけに惜しいと思う。
ただシングル曲を6曲使って作ったよ、ということを気にせず聴いたのならこれはわりと傑作だと思っている。

このアルバムの特筆すべきは点は前作から1年でボーカルがさらによくなったこと。
特に高い部分が楽に出せるようになっており、聴いていて安心感が増した。
歌唱テクニックにおいても成長の過渡期にあったアルバムとなった。


Rainbow(レインボー)
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発売日:1987年9月23日
価格:2,800円
品番:28HB-18
レーベル:ハミングバード
キャッチコピー:大ヒット「虹のDreamer」「瞳にSTORM」のレインボーミックスを含む全10曲。全曲女性作詞家による七色に輝く唯のフェミニンな世界。

A面
1.風のWings
2.虹のDreamer(Rainbow Mix)
3.人魚の涙
4.千年天使
5.落葉のシルエット

B面
1.瞳にSTORM(Rainbow Mix)
2.Don't You Know ?
3.舞い姫
4.TO BE LATE
5.GOAL

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目線を外すようになればアイドルとしては次の段階だと個人的に思う。

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ポートレートは歌詞カードと一体化した。

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スケバン刑事の人気により知名度を上げた浅香唯。
いよいよ本腰を入れてアルバムを作り上げてきた感がある。
シングルである同ドラマ主題歌「虹のDreamer」と「瞳にSTORM」が収録されているものの、ニューミックスによりアルバムとしての差別化をはかり、好感がもてる。
3rdにしてようやくまともなアルバムを出してくれたのだ。

ただ音質についてはここまでのアルバムに共通して少し気になるところがあり、独特の響きが全体に付きまとい、少々聴きにくさがある。
ボーカルだけでなくすべての楽器にエコーがかかりすぎているのが原因で、そのためやや音像がぼやけた印象だ。
まあこれが浅香唯サウンドといえばそうなのだが、レコード会社の特徴ともとれる。
楽曲の構成については緩急があり、いい流れだ。
少々聴き込まないとハマるとかクセになるというところまでいかないかもしれない。
とはいえ、意欲的にアルバム制作に取り組んだ良作である。


Candid Girl(キャンディッド・ガール)
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発売日:1988年6月1日
価格:2,800円
品番:28HB-24
レーベル:ハミングバード
キャッチコピー:この夏の素敵 大ヒットシングル「C-Girl」「Believe Again」を含む全10曲!!

A面
1.C-Girl
2.Kiss of Fire
3.Sunrise to Sunset
4.Heatbreak Bay Blues
5.All My Love

B面
1.Believe Again
2.Stay by Me
3.Cry On
4.Hold Me Tight
5.Forever

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表もさることながら裏も素晴らしい。

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見開きの歌詞カード(上)+8ページ写真集が付属した。

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浅香唯最大のヒットシングル「C-Girl」を収録し、このアルバム自体も自身最大ヒットを記録した。
もうスケバン刑事の浅香唯ではなく、アイドルの浅香唯がここにはいる。
そういう意味でも本来の浅香唯はここから始まったといってもいいかもしれない。
個人的に全アルバムを通して1番好きなアルバムだ。
ジャケットにしても飾っておきたくなるほどセンスがいい。
写真の表情、髪型、ポーズからもこれこそ浅香唯である。

そして細かいが見逃してはいけないのがこのジャケットから採用されたシール帯。
前三作までのジャケットに巻く襷帯が廃止され、シュリンクに直接貼るシール帯となった。
そしてこのシール帯がジャケットデザインの一部となっているのだ。

例えばもしシュリンクを外したらこうなる。
丸くデザインされたタイトル部分にシール帯がくる。
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これはこれでぜんぜんアリなのだが、オレは最初からシール帯をここに充てるつもりでデザインしたのではと思っている。

レコードがシュリンクパッケージ化されるようになるとこのようなシール帯は多くなった。
そしてそのほとんどがシュリンクの上から貼られている。
しかしこのシュリンクは非常に脆弱で保管にはとても気をつかうのだ。
破れてしまい、見苦しいので捨ててしまう人もいただろう。
よってシュリンク残の中古レコードはまず程度がいいものが多い。
中古購入の際のひとつの指標だ。
当時を知る上で、購入当初の状態でなければわからないことも多々あるといういい例になる。
物理メディアの中でも特にレコードはジャケットを愛でるには最高のメディアだ。
ダウンロード音源では決して味わうことのできない部分であり、目でも楽しめるのが物理メディアの長所でもある。

また、このアルバムよりドルビーSRの記述がジャケット裏にクレジットされるようになる。
ドルビーSRは業務用ノイズリダクションでマスターテープ作成時に使用しており、後に民生用カセットデッキに搭載されるようになるドルビーSの基になったノイズリダクションである。
このおかげか前作までの聴きにくさもなくなり、クリアで高S/Nないい録音のアルバムとなった。
オーディオ的にもいいアルバムである。

楽曲についてはよりキャッチーになり、各局特徴的なサビを持っている。
1曲1曲のクオリティが高いので捨て曲などひとつもなく、一度聴いただけで素晴らしいアルバムだと思える。
これなら聖子や明菜のアルバムにまったく引けを取らないと断言できる。
A面だけでひとつのストーリー(流れ)を作り、B面からはまた新たなストーリーが紡がれるという、オレが理想とする形を踏襲している。
これに限らないが、この時代のアルバムをCDで聴くならレコードのA面B面を強く意識しながら聴くと見えてくるものがあり、よりアルバムを楽しめるようになるだろう。
これは浅香唯の全オリジナルアルバム中でも最高傑作であり、全アイドルアルバムを通しても名盤のひとつとして語り継ぐべき仕上がりだ。
浅香唯のアルバムを聴いたことがない人はまずこのパーフェクトなアルバムから聴いてほしい。


HERSTORY(ハーストーリー)
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発売日:1988年12月1日
価格:2,000円
品番:20HB-26
レーベル:ハミングバード
キャッチコピー:浅香 唯の個人史 とても浅香 どれも浅香

A面
1.雨が雪に変わった夜に
  Snow Winding Road―Midwinter 1988―
2.スターシップ
  Star Ship Magic―Spring 1985―
3.笑顔にためた涙
  Cry For The Moon―Beginning of Summer 1986―

B面
1.ホントならタイヘン
  Break ! ―Early Spring 1987―
2.右瞳(みぎめ)いっぱいの夏
  Vitamin C―Midsummer 1988―
3.未来へつづく朝
  Today Yesterday Tomorrow―Early Dawn 1989―

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見開きの歌詞カード、ポートレートはない。

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価格からもわかる通り、全6曲のミニアルバム。
これはオリジナルアルバムに数えられるも純然たる企画アルバムだ。
例えば明菜でいう「SILENT LOVE」みたいなもの。
(明菜側はオリジナルアルバムとしていない)
特筆すべきは片面3曲のLPということはオーディオ的には非常に音質によろしいだろうというところ。
オリジナルアルバムなら通常片面5曲は入れるところ、3曲なので実際音溝を存分に使ってて余裕がある。
33回転ではあるものの、近年の再販LPが音質重視のためにわざわざ2枚組にしてしまうほど、レコードにとって音溝の使い方は音質に大きく影響するのだ。
そういう意味では浅香唯のLPの中では一番音がいいんだろうなとなる。

企画アルバムということでこのアルバムのテーマは浅香唯自身の自分史的な内容だ。
各曲の副題にもあるようにある年ある季節での出来事を切り取っている。
浅香唯のコアなファンであれば「ああ、あの事か」とピンときてあの時こんなこと思ってたのかと思いを巡らせ楽しめるだろう。
B-3「未来へつづく朝」は自身で初めて作詞している。
ヘビロテしたくなるほどのキャッチ-さも感じられずミニアルバムの域を脱していないと感じる。
とはいえ、小室哲哉の曲ばかりが目立つTMネットワークの木根尚登の曲はかなり好きだ。
全体にポップで元気な印象であるが、企画ものということもあり万人におススメできるアルバムではない。


MELODY FAIR(メロディー・フェア)
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発売日:1989年3月1日
価格:2,800円
品番:28HB-27
レーベル:ハミングバード
キャッチコピー:ようこそ!浅香のメロディー・フェアへ。

A面
1.Melody
2.泣かないでMy Heart
3.Moon Train
4.TRUE LOVE
5.RELY ON ME

B面
1.トライアル
2.セシル
3.BANDIT
4.ホワイト・ナイツ
5.瞳のラビリンス

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見開きの歌詞カードのみ付属する。

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浅香唯のオリジナルアルバムでレコード発売分としてはラストのアルバムとなる。
世はレコードに代わり、CDのデジタル時代へと本格的に突入していくのだ。
レコードで発売されていたのならそこまではぜひレコードの音で聴いておきたいもの。
これ以降のアルバムはアナログ代表としてカセットテープで販売されることとなる。

「C-Girl」以降の大ヒットシングル3曲(Melody、TRUE LOVE、セシル)を収録し、オリジナルアルバムには確実にシングル曲を複数を入れてくるやり方は相変わらず。
収録シングル曲はシングルバージョンとは少しだけ違うに留まり、大きくアレンジを変えているわけではないが新鮮。
アルバム全体としては「Candid Girl」に次ぐ秀逸な作品で、要するにこれはアルバムオリジナル曲が素晴らしいということだ。
オレが語らずとも売り上げデータが物語る浅香唯を聴くなら間違いない名盤である。


Present(プレゼント)
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発売日:1987年12月1日
価格:2,800円
品番:28HB-28
レーベル:ハミングバード
キャッチコピー:唯からの素敵な贈り物。初のベストアルバム

A面
1.Remember
2.夏少女
3.ふたりのMoon River
4.モダンボーイ白書
5.ヤッパシ・・・H!
6.贈り物

B面
1.コンプレックスBANZAI !!
2.10月のクリスマス
3.STAR
4.瞳にSTORM
5.虹のDreamer
6.Remenber(浅香 唯ソロバージョン)

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ポートレート兼の歌詞カードが付属する。

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ベストアルバムとして唯一当時レコードで発売されたアルバム。
リリース順としてはオリジナルアルバム3rd「レインボー」と4th「Candid Girl」の間になる。
浅香唯がブレイクし始めた頃のベストなのでここから浅香唯を聴き始めたという人も多いのではないだろうか。
初期ベストのため、これが浅香唯ですと入門用におすすめできるものではないが、内容に間違いはない。
(当時このアルバムだけで満足していた人もいたかもしれない)

曲構成は基本的にそれまでに発売されたシングル曲とそのB面を収録。
アルバムタイトルをなぞるように主題曲となる新曲「贈りもの」が追加されているのが心憎い。

本作の特筆すべき点は風間三姉妹の「Remember」が収録されているところ。
個人のベストにもかかわらず、ドラマから生まれたユニット曲をまさかの1曲目にもってくるとはなんとも制作側の意図を感じる。
これはやっちゃいけないような気もするが、ドラマ人気にあやかって少しでも売りたかったのだろう。
「Remember」は浅香唯、大西結花、中村由真による混合ボーカルとなる。
これを聴いてまず思うのが浅香唯の圧倒的なうまさだ。
当時の歌番組でも生歌となると浅香唯は群を抜いてうまかった。
まぁアイドル歌手としてのキャリアと慣れを考えればこの時点では当然だろう。
しかしながらこの曲については大西結花の歌唱も個人的にはかなり好み。
まあアイドル然としてかわいらしいしそこそこうまい。
中村由真のボーカルはまだ初々しさがあり、歌い慣れしていない印象だ。
とはいえ、その違いのおかげで誰が歌っているのかがよくわかる。
さらに注目すべきは「Remember」の浅香唯ソロバージョンで閉めていること。
風間三姉妹の歌を浅香唯だけで聴きたいという声があったのかなかったのか知らないがこのアルバムの大きな売りのひとつとなった。
ちなみに大西結花も自身のアルバムでソロバージョンを発表しているので聴き比べるのも面白いだろう。
そして風間三姉妹好きならサントラ盤パワーアップミックスも当然おさえるべきである。
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リミックスバージョンはサントラの他に2010年発売(2020年再発)紙ジャケットBOXの「Present」にもボーナストラックとして収録されていている。
オリジナルは全員のボーカルがセンターに定位しているのに対し、リミックスは浅香唯(センター)、大西結花(右)、中村由真(左)にふるなどの違いがある。


さて、改めて通しでアルバムを聴いていると浅香唯というアイドルは確実に実力のあるアイドルであることがわかる。
ただ当時はそんなアイドルが決して少なくなく、非常に競争が厳しい時代を駆け抜けたアイドルのひとりでもある。
それでも今でも多くの人の記憶に残り、愛され続ける理由はもちろん彼女の人柄。
そして適度な露出と今も歌を聴かせてくれるファン思いなところだ。

オレはそんな浅香唯の歌が当時よりも今、とても好きなのだ。


おまけ

当時ダビングしたカセット
(昭和63年録音)
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レタリング技術は当時のほうが高かった
(インデックスカードはFMステーションより)
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残念なほど下手な手書き。
今も同じ字をかける・・・
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浅香唯はAXIAカセットのイメージキャラクターを務めた。
ならば当然AXIAで録るのが当時の流儀である。
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大映テレビ主題歌コレクション ~TBS編~

誰もが1つの曲、1人のアーティストを聴くきっかけになったものがあるだろう。

そのひとつにドラマも挙げられないだろうか。

ドラマに使われる主題歌はドラマの一部の構成要素であるが、ドラマの顔になることもあるほど影響力があることも少なくない。
ドラマにマッチした選曲ともなるとドラマを盛り上げるだけでなく、その主題歌までもがヒットする。
そうやってドラマが面白くてやがてその主題歌も好きになるというパターンだ。

80年代、未知の曲を知るきっかけとなるものは主にテレビかラジオだった。

テレビはつけてれば勝手に日本の歌謡曲をたくさん見聴きすることができたし、CMでさえもそのわずか15秒という尺の中で商品の世界観に合った音楽で我々を魅了した。

テレビやラジオの歌番組に流れる音楽が直接的音楽とするならドラマの主題歌は間接的音楽とも言える。

ドラマの主題歌が気に入れば、それを歌うアーティスをそのものを知るきっかけになる。
そうなるとそのアーティストの他の曲も聴くようになる。
もしそれが洋楽のカバー曲であったなら、今度はオリジナルを聴いてみたくなる。
オレはそうやって知った外国人アーティストがたくさんいる。
オレの洋楽を知るきっかけのひとつがまさかドラマだったと思うと面白い。

洋楽といえば、当時は洋楽を聴くにはほんの少しの努力が必要だったように思う。
テレビにしてもラジオにしてもつければ簡単に邦楽は聴けるが、洋楽は意識して選ばなければ耳にする機会はとても少ない。
さらに現代のようにタダでお目当てのアーティストの1曲を聴くことは容易ではなかった。
洋楽のラジオ番組を流し聴きしていると、自然と多くの未知のアーティストを知ることになるが、いい曲だと思っても「今流れたやつ何?」と二度と探せないことがよくあったものだ。

とにかく、そうやって自分の聴いてなかったジャンルや未知のアーティストへと触手を伸ばし、音楽の裾野は広がっていくのだろう。

そういう意味でドラマ主題歌というのはオレにとっては音楽の重要な情報源だった。

あるドラマではその主題歌を歌うアーティストを正式にレコードで聴くようになったり、そのドラマの中だけで終わってしまうものもあった。

いずれにしても心に残るドラマ主題歌が多かった80~90年代ドラマを語らずして当時の音楽事情を語ることはできないだろう。

今でも思い出したように「あのドラマの主題歌が聴きたい」となり、ネットで聴いて懐かしく思う。
次に「音が悪いなぁ」とオーディオマニアの虫が騒ぎだしCDを買う。
CDを購入して初めて音の良さに感動する。
そりゃ当時のテレビのスピーカーの音だけで聴いていたのなら当然だ。

そんなこんなで個別にアーティストを一人一人聴いていくより経済的でうってつけなCDを見つけたのだ。

大映テレビ主題歌コレクション ~TBS編~
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発売年:2001年4月4日
品番:KICS 871
価格:2,500円(税抜)
レーベル:KING RECORDS

ケース裏
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CD
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今から20年も前に発売されていたこのCD。
なぜか未だに新品で買うことができ、オレにはお宝レベルの大切なCDとなった。
タイトル通り、これは大映テレビが制作したドラマ、かつTBS放送分のみの主題歌を集めたコンピレーションアルバムである。
(もうひとつはフジテレビ編というのもあるが新品では買えなかった)

まず、大映テレビとは当時の大映株式会社のテレビ制作部門を指す。
有名なところでは70年代の山口百恵がヒロインを演じた「赤いシリーズ」だろう。
子供ながら見ていたものもあるが、今はタイトルくらいしか覚えておらず記憶も断片的だ。
しかし80年代に限っていえば、明らかに他のドラマとは異彩を放つドラマが多く、日本中を釘付けにして社会現象にまでなるほどのドラマを多く制作した。

主演俳優はドラマを機にメジャーになり、そのドラマ主題歌もヒットした。

このCDにはそんな時代を彩った名作大映ドラマの主題歌がズラリと並ぶ。

オレは今もすごくドラマを見るほうだが、そのドラマ主題歌が気になるなんてことは今ではほとんどない。
制作側が主題歌の重要性を軽視しているのは明らかであり、もう時代は変わってしまったようだ。
このCDが存在するということは、それだけかつてのドラマにとって主題歌は重要な位置づけだったということになるだろう。


では収録内容を見ていきたい。

1.「高校聖夫婦」主題歌
  純愛さがし(高田みづえ)
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あらすじは高校3年の二人が結婚し、周囲が大騒ぎになるというもの。
しかし何とそれは偽装結婚だったのだ。
偽装結婚から始まる二人の関係の変化が見ものということだ。

後に大映ドラマの定番俳優となる鶴見辰吾、伊藤麻衣子を主演として名古屋章や伊藤かずえなどが脇を固める。
そういえば鶴見辰吾は3年B組金八先生(1979年版)で同級生を妊娠させてしまう役をやってたな。
伊藤麻衣子はミス・少年マガジンからの初のドラマ出演作品。
オレはこのドラマで伊藤麻衣子のファンになり、彼女は歌手としてもデビューしたのでレコードも持っていた。

ただこのドラマ、大映テレビドラマを自らの意思で見始めた初期の作品のため、主題歌が記憶にない。

主題歌「純愛さがし」は高田みづえによる歌唱であるが、オレにとってはちょっと世代が違うというか彼女はアイドル的な存在でもなく、「ザ・ベストテン」で聴く程度だったので気にしていなかったんだろう。
曲自体も70年代アイドル然としていてあか抜けない雰囲気。
何しろドラマが放送された1983年は聖子や明菜といった強力なアイドルがいたので無理もない。
とはいえ、今あらためてじっくり聴くとこれはこれでよい。
高田みづえの歌唱力の高さを思い知らされるし何より声がとても気持ちいいのだ。


2.「スチューワーデス物語」主題歌
  ホワット・ア・フィーリング(麻倉未稀)
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あらすじはスチューワーデスを目指す少女の恋と成長の物語。
とあれば何か爽やかな感じを受けるが、実のところ内容はかなりドロドロ。
片平なぎさ扮する教官の婚約者の恐ろしいこと憎たらしいこと、夢にでてきそうでトラウマになりかねないほどだった。
(実際片平なぎさは当時いやがらせを受けたらしい)
このドラマでは「教官」とか「ドジでノロマなカメ」なんて流行語も生まれた。

そしてドラマ同様忘れられないものとなったのが主題歌である麻倉未稀の「ホワット・ア・フィーリング」だ。
同年上映のアメリカ映画「フラッシュダンス」のテーマ曲で日本語カヴァー曲としてドラマに採用された。
当然のことながら洋楽なんぞには縁のない、こてこての日本人のオーディオ小僧であったオレにとっては麻倉未稀で聴いたのが先。
カヴァーであることはもちろん知っていたが、あまりにインパクトが大きいドラマと主題歌だった。
オレはこれを機に麻倉未稀のレコードも聴き始めた。
(フラッシュダンスも後にテレビで見た)

曲は印象的なイントロから始まり、サビに向かって大盛り上がり。
ドラマでは日航機をバックに教官と生徒達が遠くから整列して歩いてくるワンカット映像だったが今見ても秀逸だ。
ドラマの細かな内容は忘れてしまっても、この曲を聴けばあの時の熱くらいは容易に蘇る。
こんな形で洋楽の世界に入っていけた80年代は今考えても面白い時代だった。


3.「不良少女とよばれて」主題歌
  NEVER(MIE)
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あらすじは不良となった主人公の更生までの紆余曲折を描いている。
これは実話をもとにした原笙子原作の同名小説のドラマ化である。

80年代は少年の非行が社会問題となっていた時期でもあり、同じく非行を題材とした「積木くずし」も大きな話題となっていた。
(内容的には積木くずしの方がハードかな)
それにしても主人公が不良から始まるとか、不良がでてくるドラマは本当にたくさんあった。
何にしても見ていて苦しくなる話だ。

そんな主題歌に抜擢されたのがMIEの「NEVER」。
MIEは元ピンクレディーでこの時はすでに解散してソロだった。
もともとMIEはケイちゃん(相方)よりも声量があり、ダイナミックな歌唱だった。
そのイメージ通り「NEVER」はMIEにとって相性がよかった曲だと思う。
そしてこの曲もアメリカ映画「フットルース」の挿入歌からのカヴァーなのだ。

「ホワット・ア・フィーリング」同様、オリジナルが洋楽の場合、声にパワーが必要な曲が多い。
そこらへんの歌手では歌いきれないほどの声量が必要なのだ。
正直MIEがこんな曲を歌えるとはピンクレディの頃には想像も付かなかっただろう。
麻倉未稀にも負けず劣らずのMIEのヴォーカルはとにかくかっこいい。


4.「泣き虫先生の7年戦争 スクール★ウォーズ」主題歌
  ヒーロー(麻倉未稀)
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あらすじは荒廃した高校に赴任した教師がラグビーを通じて不良を更正させ、全国優勝を果たすまでの7年の記録だ。
(合言葉は、ワンフォアオール オールフォアワン→ヒロアカではない)

このドラマだけは本当に別格で、全ての日本ドラマの金字塔と言えるのではないだろうか。

昨年Amazonプライムで見返したが最初は古臭さにやや引いて見ていた。
しかし回を追うごとにそれがむしろ癖になってくる。
(当時はくさい演技だなんて思ってもいないが)
やがて自分は滝沢先生になりきり、一緒に苦しみ涙する。
中盤からはいったい何人仲間が死ぬんだ、もうやめてくれと思いつつ、ドラマはクライマックスへと向かう。
最終回は第1回の冒頭部分の伏線の回収から始まる。
ついにこの時がきた!
全国大会決勝戦だ!!

と、その様々な名シーンを盛り上げたのがその主題歌「ヒーロー」だったのだ。
ヒーローが流れないスクールウォーズはきっと味気ないものとなっただろう。

もはや大映テレビ専属歌手ではないかと思う麻倉未稀の再起用。
やはり映画「フットルース」からのカヴァー曲。
イントロのシンセドラムは一秒聴かなくてもそれとわかる。
ダイナミックな曲はオーディオチェックで未だに聴くことがたびたび。
もちろんオリジナルでなく麻倉未稀ヴァージョンだ。
そしてこの曲を聴くと自然と力が湧く世代が確実に存在するドラマ史上最強の主題歌である。
是非ともドラマの中で聴いてほしい曲だ。
見れば今のドラマとの違いをはっきり認識できることだろう。

2022年冬クールドラマ17本を録画予約中であるドラマ狂いのオレが未だ忘れられない名作ドラマなのである。


5.「少女に何が起ったか」主題歌
  摩天楼ブルース(東京JAP)
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あらすじは小泉今日子扮する不遇な人生を送ってきた主人公が数奇な運命によりピアニストを目指す物語。
その出生の秘密やロマンスが見どころとなる。
小泉今日子は初の連続ドラマ主演作となった。

「薄汚ねぇシンデレラ」というセリフは話題となった。

主題歌は東京JAPの「摩天楼ブルース」。
当時はドラマと共にヒットしたが、このロックバンドはこのドラマの主題歌を歌った2年後に活動を休止した。
メジャーになったあとは鳴かず飛ばずという印象で一発屋ともとられやすい。
そんなバンドは山ほどいたがオレはこの1曲だけでこのバンドを今も覚えているのだ。
なんと言われようが確実に時代に爪痕を残した偉大なバンドである。

イントロの物悲しいハーモニカがとても印象的。
正直「摩天楼ブルース」以外の曲を知らないのでオレは東京JAPといえばこの曲のイメージしかない。
ロックというより今でいうシティポップにカテゴリしてもよさそうな洗練された曲だ。
未だに時々口ずさんでしまうのは名曲の証ということだろう。


6.「乳姉妹」主題歌
  RUNAWAY(麻倉未稀)
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まずこれ「ちきょうだい」と読む。(ちちしまいではない)
あらすじは18歳の二人の少女、一人は大富豪の娘、一人は貧乏人。
でも実は大富豪の娘は生まれて間もない頃、貧乏人の方のお母さんに育てられていた「乳姉妹」だった。
しかもちょっとしたミスでそれぞれが入れ替わっていたというパターンのやつ。
そんな二人がある事件をきっかけに再開。
そこから二人の運命が回り始めるという人間ドラマだ。

主題歌は大映ドラマお抱えの麻倉未稀の「RUNAWAY」。
ドラマのスリリングな展開を象徴するかのようなスピード感溢れる曲がドラマをさらに盛り上げた。
もう大映ドラマには麻倉未稀なら間違いないという構図になってきたとさえ思う。
これもやはりカヴァーで原曲はボン・ジョヴィの「夜明けのランナウェイ」。
麻倉未稀のヴォーカルは男性ヴォーカルをもカヴァーできるほどすごいということだ。

ドラマタイトルのインパクトも手伝い、これも忘れられないドラマとなった。
貧乏人の娘役の渡辺桂子は正統派アイドルであったがこの翌年に結婚で引退。
当時知名度はあったものの活動期間が短いがためになかなか思い出せない80年代アイドルの一人となった。


7.「ポニーテールはふり向かない」主題歌
  NEVER SAY GOOD-BYE(小比類巻かほる)
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あらすじは少年院から出てきた少女が試練を乗り越えスーパーロックバンドを結成していく過程を描く。
と、そりゃ苦労するだろうなと思うが大映ドラマの恐ろしいところはそこで終わらない。
主人公はギターの弦が切れて目を負傷、視力を失い盲目となってしまうのだ。

しかし何よりも当時話題となったのは主人公の仇役とか脇役ばかりやっていた伊藤かずえがついに主演を果たしたということだ。
それまでさんざん大映ドラマに出演していた伊藤かずえの知名度は高かった。
なのでようやく日の目をみたね、とちょっと親心がわいて見ていた視聴者も多かったことだろう。
まぁ大映ドラマと言えば、松村雄基・伊藤かずえは外せないが、癖のある多くの役を演じきったこの二人は偉大な俳優である。

主題歌は小比類巻かほるの「
NEVER SAY GOOD-BYE」。
なんと小比類巻かほるのデビュー曲だ。
これを機にオレが小比類巻かほるにハマったのは言うまでもない。
そういえば当時、小比類巻(こひるいまき)という苗字があまりに珍しく感じた。
どうやら青森県三沢市に多い苗字らしい。
青森県三沢市と言えば米軍基地がある。
その関係で小比類巻かほるは子供の頃から洋楽に親しんでいた?というような記事を当時読んだような気がする。

曲は以降の彼女のスタイルを決定づけるような力強いロック。
もともと声量もあり、ロックに向いた声質でこのドラマの後も次々とヒット曲を連発し、80年代を代表するロックスターとなった。

新たなアーティストを知るきっかけとなった思い出のドラマでもある。


8.「遊びじゃないのよ、この恋は」主題歌
  まわり燈籠(高樹澪)
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あらすじは新米婦人警官が恋した相手はヤクザだったという禁断の恋を描いたドラマだ。
主人公はこのドラマの前年にデビューした井森美幸を大抜擢。
今ではちょっと考えられないようなシンデレラストーリーだ。

残念ながらこのドラマは主題歌ともにあまり覚えてない。
やはり大映ならではの強い癖がなかったからか。

主題歌は当時「ダンスはうまく踊れない」がヒットした高木澪が歌う。
「まわり燈籠」がすぐには読めない。
まわりとうろうか?
それにしても曲はほぼ演歌じゃないか。
そりゃ演歌嫌いのオレが覚えてないのも無理はない。
ドラマの内容と主題歌、これが合っているのかもよくわからない。


9.「おんな風林火山」主題歌
  LOVE IS ALL ~愛を聴かせて~(椎名恵)
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あらすじは戦国時代の恋愛。
(もう適当になってきている)
ドラマの内容はほとんど覚えていない。
時代劇だから見ていなかったのかも。
ただ、面白いのは大映お抱え俳優の松村雄基や伊藤かずえも出ていること。
このメンツで時代劇とか逆に今見たい。

そして主人公は1986年同年デビューの鈴木保奈美。
ドラマについては語れないのでちょっとここで小話を。

実はオレは1986年に鈴木保奈美と会っている。
鈴木保奈美はカネボウ化粧品の夏のキャンペーンガールで、まさにそのキャンペーンで全国に営業に回っていた。
そして鈴木保奈美は我が町にもやってきたのだ。

オレはK君と学校帰りだったのだが、たまたまそのキャンペーンのイベント会場の前を通りがかった。
で、会場前にいた係りの人に「ちょっと寄っていきませんか?」と声をかけられたのだ。
オレもK君も暇だったので「じゃあ寄ってく」となった。
それまで鈴木保奈美は知らなくて、会場に通されると客は誰もいなかった。
まさにオレとK君だけ。
しか~し、その鈴木保奈美の可愛いこと、綺麗なこと。
客がいないので間近で堪能させてもらったのだ。
一目見た途端オレたちはデレデレになった。
で、「写真撮りませんか?」って言われたんでK君と3人で写真撮ってもらったんだ。
それは未だに忘れられない幸運な出来事となった。

・・・

ただ、、

その時撮った写真。

もらってない。

K君と話し合った。
「あの時の写真どうなった?どうやってもらえばいいんだろうな?」と。

確かインスタントカメラじゃなかったし、オレらの連絡先もそういえば教えてない。
となると向こうもオレたちに渡しようがない。
後日会場に行ってみると当然のことながらもういるわけない。
オレとK君にとって、青春のほろ苦い思い出となった・・・

話がそれたが主題歌だけははっきりと覚えているというよりよく知ってる。
シャーリーンの「I'VE NEVER BEENN TO ME」のこれまたカヴァーである。
誰もが知る有名な美しい曲。
もしかしたらカヴァーより原曲を知ってる人のほうが多いのかな。
この時代劇ドラマに合っているのかはよくわからないが、最高な歌であることは間違いない。


10.「天使のアッパーカット」主題歌
  TALK TO ME(松居直美)
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あらすじはひとりの少女が拳ひとつで学園の悪に立ち向かうという奇抜な学園ドラマ。
今なら強烈なB級臭漂うタイトルだ。
残念ながらこれも全く覚えていない(見ていないから?)

やっぱりお抱え俳優がいないと興味なかったのか、裏番組の方見てたのか。
いずれにしても当時はいろいろ遊びが忙しかったし全てのドラマを知ってるとは言い難い。
でも今見たらきっと面白いんだろうなぁ。
これ見たいけどマイナーすぎてどこも配信してなそう。

というわけで当然主題歌も知らなかった。
ただ、歌ってる松居直美はそりゃ知ってる。
当時の彼女のイメージとはまるで異なるかっこいいロック曲だ。
松居直美の歌唱力は一流なので問題ない。
これもカヴァーで原曲はクォーターフラッシュだ。
この曲を聴く限り、きっとドラマが盛り上がるんだろうなと感じさせる気になるドラマだ。


11.「スクール・ウォーズ2」主題歌
  FIRE(丸山みゆき)
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あらすじは前作「スクールウォーズ」から5年後を描く。
滝沢先生が少年院のラグビーチームの監督になって帰ってきた。
少年院なので不良以上に悪いのは当然な部員たち。
前作同様、引き続き山下真司、岡田奈々、松村雄基がキャスティングされた。
そりゃ面白いに決まっている。

がしかし、このドラマは当時評判が悪かった。
当たり前だが前作を超えることはできないし、二番煎じ感も強い。
かなり強引な展開となるが熱いだろうということは容易に想像できる。
当時はこんなドラマはもう食傷気味だったのかもしれない。
しかし刺激のない現代こそ見たいドラマだ。
オレが今もう一度見なおしたい大映ドラマの筆頭がこれだ。

主題歌は丸山みゆきの「FIRE」。
丸山みゆき自体は覚えていなかったが、この熱い主題歌だけは忘れはしない。
これ間違いなくドラマが盛り上がるやつだ。
イントロからサビまでもうスポ根ものの王道をいくハイテンション。
スクールウォーズ2は見なかったという人もこの曲を聴けばきっとドラマを見たくなること請け合いだ。


以上。


さて、近年のオレはリアルタイムな曲よりも往年の曲を聴くことが多い。
まぁ今のJ-POPに限っては打ち込みばかりで聴いていてオーディオ的につまらないし、それが気にならなくなるほどのいい曲も少ない。
そんな憂うべき事態がもう長年続いているような気がする。
曲より歌詞という風潮もうっとうしい。
バックの演奏はおざなり。
(つまりは録音も臨場感がなくつまらない)
歌にとって歌詞は当然重要であるが、最近の曲はその歌詞にこだわりすぎている。

オレの場合、歌詞がいいから好きになった曲なんてものはひとつもない。
曲ありきで歌詞を後から好きになる。
よく「歌詞に共感して」なんて言う人がいるがそれに共感できない。
まず曲ありきでそこに乗る歌詞が生きてくる、そんな曲が多かったのが80~90年代だ。
そもそもの話だが、歌詞の意味を理解しながら聴く人はオーディオ耳ではないので、録音がどうのこうのも関係ないのだろう。
オレは歌詞は考えすぎず、すっと入ってくるような「曲に調和した歌詞」くらいでちょうどいいと思う。
例えば松本隆が書く詞はまさに「詞」だ。
歌詞を読んでみて情景が浮かぶし、意味がよくわからない言い回しも多い。
意味がわからなくてもそのまま受け入れようとさえ思う。
しかし、最近の曲は「話し言葉」的な詞ばかり。
しゃべる言葉をそのまま歌詞にすることはちょっと頑張れば誰でもできること。
かつての職業作家の書く詞は主張しすぎず美しかった。
言葉を昇華させて情景として表現するか、言葉を言葉のまま表現するかの違いはあまりに大きい。

昔の曲を聴いていてふとそんなことを思った。

では最後にその後の大映テレビがどうなったか。

日曜劇場「テセウスの船」や「TOKYO MER~走る救急救命室~」を制作した、と言えばわかるとおり今も健在だ。

未だに「大映テレビ」の名前を現代ドラマのクレジットで目にすると思わずにやりとしてしまう。

オレにとって「大映テレビ」という響き自体で胸が躍ってしまうからだ。


フジテレビ編に続く。

きまぐれ オレンジ☆ロード サウンドトラック(復刻盤LP)

2021年4月24日、「きまぐれ オレンジ☆ロード」のアニメサントラの復刻盤LP(初回生産限定盤)が発売された。

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つい最近まで遠い思い出の中にあったオレには大切なアニメだ。

サントラ復刻の報を聞き、買わずにはいられなかったのだ。


「きまぐれ オレンジ☆ロード」は1980年代に絶大な人気を誇った週間少年ジャンプに連載された漫画だ。

その後、アニメ化されたがその劇中歌のサントラは複数発売されており、今回は当時のLP発売分のみの復刻となる。

オレは当時、週間少年ジャンプで「きまぐれ オレンジ☆ロード」の存在を知り、毎週楽しみに読んでいた。
同時期には「北斗の拳」も連載されており、この二つが一番の楽しみだった。

やがて単行本が発売されるとそれもすべて揃えた。
(北斗の拳は友人から借りた)

そして待望のアニメ化。
(1987年4月6日~1988年3月7日)

アニメが放送されるやいなや、その人気はそれまで原作を知らなかった人々にまで及んだ。

オレがアニメ化に狂喜したのは言うまでもない。

アニメ版のストーリーは簡単にいうと、超能力を持つ主人公の春日恭介が転校先で出会った鮎川まどか、檜山ひかると織りなす三角関係どたばたラブコメディだ。
原作とは異なる設定もあるが基本は原作に準じている。
後の劇場版でアニメシリーズのその後を描き、完結を迎えるがシリアス路線に変更する。
(三角関係に決着をつけるんだからコメディで描けないのは当然だが)
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左から鮎川まどか、春日恭介、檜山ひかる

そもそもの話、ラブコメが当時のジャンプに連載されるのも異例と思うが、そのおかげで当時の男子の間では大きな話題となったのだ。

これの何がそんなによかったのか?

当時を知る者なら誰もが口をそろえて言うだろうことは「鮎川まどかに恋をした」だろう。

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鮎川まどか(声:鶴ひろみ)

それほどまでに鮎川は魅力的なキャラクターだったのだ。

2次元の世界の女性に恋するなんてことはこれが最初で最後だった。
おそらくそんな男子は当時ごろごろいたんだろう。

絵心の全くないオレが死ぬほど練習して、鮎川とひかるの絵だけは書けるようになったのは今も忘れない。

とにかくオレの青春のアニメと言えば「きまぐれ オレンジ☆ロード」なのだ。
(「めぞん一刻」もよかったが主人公が浪人生なので年代的な共感という意味ではオレンジロードが上だった)

さて、サントラが複数リリースされたというからには劇中歌が多かったということになる。

アニメ「きまぐれ オレンジ☆ロード」は音楽と切っても切れない関係なのだ。

アニメ化によりそれまで白黒だった世界は鮮やかに彩られ、音楽によりその魅力は倍増された。

このアニメ化に際し特筆すべき点はアニメで使われた楽曲はオープニング(以後OP)とエンディング(以後ED)曲に普通のアーティストを起用したということだろう。

それがどんな感じだったのか振り返ってみよう。。

このアニメ自体にはシーズンはなく、第1~48話は連続して放送されている。
よって以下1期~3期と分けているのはあくまでOPとED曲が変更された節目という意味だ。

第1期(第1話~第19話)

オープニングテーマ
「NIGHT OF SUMMERSIDE」 池田政典
驚異のカット数245の伝説的オープニング。
オレにとってオレンジロードといえばこれが一番のオープニングだ。

エンディングテーマ
「夏のミラージュ」 和田加奈子
間奏のカット割りを除けばわずか6カットで1期オープニングの逆を行く。
エンディングはすべてまどかにスポットを当てたもの。
コメディ要素の強いアニメだがそれだけでヒットしたのではないことはこのエンディングが物語る。

第2期(第20話~第36話)

オープニングテーマ
「オレンジ・ミステリー」 長島秀幸
登場人物がバンド演奏するモノクロのアニメーション。
ファンの間では人気の高いオープニング。

エンディングテーマ
「悲しいハートは燃えている」 和田加奈子
サンドアートをアニメーションで表現する発想は天才的。
全アニメを通しても歴史に残る傑作中の傑作エンディングではないだろうか。


第3期(第37話~第48話)

オープニングテーマ
「鏡の中のアクトレス」 中原めいこ
各シーンをシームレスに繋げた画期的アニメーション。
中原めいこのアルバムを聴きたいと思わせた1曲だ。

エンディングテーマ
「ダンス・イン・ザ・メモリーズ」 中原めいこ
1カットでパズルの様に最後に鮎川が完成するアニメーション。
絵は単調であるが中原めいこの名曲中の名曲がそれを引き立てる。

オープニングとエンディング1~3期(Youubeより)


楽曲の良さもさることながら、アニメーションも今見ればアイデアに溢れ画期的だと思う。
リアルタイムで見ていた時は気にも止めなかったがこれはセンスの塊だ。
オレンジロードの世界を凝縮したような楽し気なオープニング、オレンジロードの切ない部分を表現したエンディングは物語を一層盛り上げた。

それまでのアニメと言えばアニメ用の歌が作られ、アニソン歌手が歌うというものがほぼ慣例だった。

だからアニメという枠を超えて、アーティストの曲をアニメ主題歌に使うことで未知のアーティストを知り、好きなアーティストがアニメ主題歌を歌っているということでアニメを知るという図式がこの頃のアニメでできたのだ。
(そういう意味では「めぞん一刻」「シティハンター」なども同様だ)

現代アニメではそんなことも大して珍しいことではないが、その礎となった原点アニメがあったということだ。

というわけでサントラの話。

オレは当時アニメを見て、そのオープニング・エンディング曲に使われたアーティストを知り、アーティストそのものの曲を聴くようになった。
ただし、いくらアニメが好きでもサントラを買おうとまでは全く思いもせず、その存在すら知らなかった。
そこにはやはりオーディオマニアとしてのプライドのような、こだわりがあったような気がする。
今で言う「アニオタ」じゃないと自負していたので超えてはならない一線のようなものがあったのだろう。

ただ日本で現代生きるほぼ全世代の人々は少なからず子供時代に親しんだアニメはあると思う。
しかし、漫画・アニメは子供が見るものであり、大の大人はやがてそれらから離れていくものだ。
いつまでもそれにしがみつくのは大人になれないオタクしかいない。
そんな風潮は1990年代まではあったと思う。
(そもそもオタクという言葉は90年代のアニメオタクがルーツなのでは?)

また、サントラでなくてもアーティストのアルバムを聴けば同じこと。
そもそもサントラには余計な曲も多い。
薬師丸ひろ子の映画サントラでそんな経験をしていたものだから、アニメでなくてもサントラには抵抗感があった。

いま思うと、いくらアーティストの歌とはいえ、アニソンであることをあまり大っぴらにしたくない自分がいたのは間違いない。
アニオタとオレは違う。
アニオタを下に見て、ほぼ差別的にアニオタを軽蔑すらしていた時期もある。

しかし近年、日本のアニメ・漫画が世界から注目されるようになるとサブカルチャーとしての地位を不動のものとした。
結局のところ日本人の根底にはアニメ文化が不可欠だったことに気づかされた感じだ。
それを否定することは自分の子供時代を否定するも同じ。

素直に認めて、頭の固い昔の考えを捨てるとすごく楽になった。
いまでは大人だからアニメを見るのはおかしいという偏見はなく、むしろ進んでアニメを見るまでになった。

そして思うことは、やはり日本のサブカルチャーになるまで支えてくれたアニオタたちがいたからこそ現在のアニメの地位が確立されたのだと感謝している。

そんな思いがあったわけで、長い時を経て当時は聴いたこともないサントラを今手にしたのは感慨深い。
(正確には90年代にオレンジロードのCDを1枚だけDATにダビングしたものを今も持っている)

今回復刻されたのは当時LPレコードとして発売されたもののみだ。
では復刻盤全7タイトルをオリジナルの発売日順に見てみよう。

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きまぐれ オレンジ☆ロード Sound Color 1
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発売日:2021年4月24日(オリジナル:1987年6月21日)
価格:4,180円(税込)(オリジナル2,800円)
品番:UPJY-9157(オリジナル:LB28-5049)
仕様:ターコイズ・ヴィニール、、高田明美描き下ろしB2イラストポスター
帯コピー:レモンよりちょっぴり甘い、オレンジ味を知りたい人に送るシティ派サウンド・トラック!

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※封入物の写真撮影は面倒なため全てユニバーサルミュージックストアHPから抜粋

Side A
01. NIGHT OF SUMMER SIDE(池田政典)
02. 赤い麦わら帽子
03. E・S・P にも T・P・O
04. 青空をぶっとばせ!
05. まどかのテーマ ~ひとりぼっちのConcert
06. Walk Struttin'
07. 危険なトライアングル(池田政典)

Side B
01. 夏のミラージュ(和田加奈子)
02. 疑問符はナイショで
03. Aerobics on "RAP"
04. Rock 'n' Roll Diabolic
05. Exclamationの悪だくみ
06. ホンキートンクHip Hop to Us
07. 湾岸Dancing Way
08. ジェニーナ(和田加奈子)
※以降()は歌入りで歌手名を記載

アニメ放送開始からわずか2か月ちょっとで発売された最初のサントラ。
このサントラにはOP(A-1)とED(B-1)の1期分を収録。
各面歌入り(OP・ED)で始まり、間は全てインスト、歌入り(挿入歌)で終わるという構成。
インストはロック、ジャズ、フュージョン、テクノと多彩である。
基本的にアニメシリーズを見ていない人にとっては曲構成に脈絡を感じず、退屈かもしれない。
(見ていてもアルバムとしては微妙だがきまぐれファンとしては及第点だ)
通しでOPに始まりEDに終わると考えるなら、B-1とB-8を入れ替えれば構成としては美しかったかもしれない。

ただ、大して本編で尺が多く使われもしないシーンの音楽をこれだけ本格的に作るのには頭が下がる。
中でもA-6「Walk Struttin’」はフュージョンとして聴けばそれなりに聴けてしまう。
もっとも全てのインストのクオリティが高いので、当時のスタジオミュージシャンのテクニックを堪能するにはもってこいのアルバムだ。

サントラ共通仕様としては封入物はすべてオリジナルと同様に復刻。
ジャケット・帯・ピクチャーセンターラベルも極力オリジナルを再現している。
また、新たな仕様としてカラーレコードとなり、オリジナルの普通の黒レコードとの差別化がされている。
タイトルごとに色が違うため「きまぐれカラーレコード」と呼んでいるようだ。
オリジナルは所有していないがネットで調べる限り復刻盤でも遜色ない。

先に書いたように、収録曲はアニメを見ていれば知っている曲(ほとんど覚えていないが)であり、主題歌・挿入歌についても元アーティストのアルバム等で聴いているが、サントラ自体を聴くのは今回が初めてだ。
これについてオリジナルも揃えるかは悩んでいるが、やはり当時聴いていないものなのでこの復刻盤があればいいかなとは思っている。
これに限らず、個人的に復刻盤の立ち位置については非常に悩ましい問題だ。
オリジナルを持っていれば不要と割り切れればいいが、現代新品で懐かしいレコードが手に入る魅力は捨てがたい。
明菜の復刻LPの時は音が違うからという言い訳で全て揃えたが、毎度そんなことを言ってたら音源的にはかぶるものがどんどん増えていく。
どこかで線引きしていかなくてはと思うが、考えを整理するにはオレにはもう少し時間が必要なようだ。
こんなことで悩む日が来るとは当時は想像もしていなかった。


きまぐれ オレンジ☆ロード Sound Color 2
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発売日:2021年4月24日(オリジナル:1987年10月26日)
価格:4,180円(税込)(オリジナル2,800円)
品番:UPJY-9158(オリジナル:LB28-5056)
仕様:オレンジ・ヴィニール、高田明美描き下ろしB2サイズパステルタッチポスター、きまぐれピンナップ
帯コピー:夏の海に流れるポップスだけがシティミュージックじゃない、ホントの恋を知ってから聴きたいサウンド・トラック。

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Side A
01. オレンジ・ミステリー(長島秀幸)
02. 夜霧の忍び足
03. FUTARI-DE
04. サルビアの花のように(和田加奈子)
05. 瞬間サスペンス
06. まどかのテーマ ~in blue
07. Heavy and severe
08. Eye Catch!
09. ふり向いてマイ・ダーリン(藤代美奈子)

Side B
01. Again(藤代美奈子)
02. A boy meets a girl
03. ブレイキング ハート(坪倉唯子)
04. 君とIsland cafe
05. THE DRAMATIC SQUARE
06. BACK TO THE RED STRAW HAT TIME
07. 悲しいハートは燃えている(和田加奈子)

アニメ放送も中盤を迎えた頃に発売されたサントラ。
このサントラにはOP(A-1)とED(B-7)の2期分を収録。
挿入歌は4曲に増え、残りは全てインスト。
OP・EDに採用されなかったものの、このアニメを語る上で欠かせない藤代美奈子の挿入歌(A-9、B-1)は王道のアイドルソングとしても必聴だ。
(特に「Again」は最高)
また、B-3「ブレイキング ハート」はあのB.B.クィーンズのボーカルである。
オレも愛する国民的楽曲「おどるポンポコリン」の坪倉の本気の歌声をこんなところで聴けるとは。
こちらはアニメの2期OPで始まり2期EDで終わるというスマートな構成。
効果的に歌入りを挟んだ構成は飽きさせず、聴き終わったあとの充実感は名盤の証だろう。

この復刻シリーズのウリはやはりカラーレコードである。
ただ、カラーレコード自体は別に珍しいものではなく、当時からあったものだ。
最近だと聖子のBibleアナログ盤が記憶に新しいところ。

もともとレコードの素材はポリ塩化ビニール等のため、何もしなければ無色透明だ。
そこへカーボンブラックを混入して黒色にしているのが普通のよくあるレコード。
黒色にする理由は、ほこりや傷を認識しやすくするためだ。
逆にいえば、黒以外のカラーだとこれがほとんど目立たなくなる。
レコードにとってほこりや傷は再生時のノイズの原因となるため大敵だ。
カラーレコードは見た目にも綺麗で一見してほこりも目立たないのはいいが、メンテナンスを考えるとそこが落とし穴ということになる。
ほこりが見えなくてもノイズがあれば当然クリーニングは必要だ。
もっともクリーニングしても綺麗になったかもわからないのだが・・・
そういうわけで一気にカラーレコードが7枚も増えたのはちょっとやっかいであるが、カラーであることで昔は気分が上がったものだ。
(いまも上がっているが)


きまぐれ オレンジ☆ロード Singing Heart
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発売日:2021年4月24日(オリジナル:1987年12月25日)
価格:4,180円(税込)(オリジナル2,800円)
品番:UPJY-9159(オリジナル:LB28-5061)
仕様:イエロー・ヴィニール、高田明美描き下ろし大型A全ポスター
帯コピー:TVアニメの常識をはるかに超えた掟破りの洗練サウンドで迫るソング・スペシャル・アルバム!!

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Side A
01. 夏のミラージュ(和田加奈子)
02. オレンジ・ミステリー(長島秀幸)
03. ふリ向いてマイ・ダーリン(藤代美奈子)
04. ジェニーナ(和田加奈子)
05. NIGHT OF SUMMER SIDE(池田政典)
06. もうひとつのイエスタデイ(和田加奈子)

Side B
01. Again(藤代美奈子)
02. ブレイキングハート(坪倉唯子)
03. サルビアの花のように(和田加奈子)
04. 危險なトライアングル(池田政典)
05. 悲しいハートは燃えている(和田加奈子)
06. この胸にONE MORE TIME(長島秀幸)

まだアニメ放送中であったが、ここまでで使われた劇中歌のみをまとめたサントラ。
Sound Color 1,2の歌入り曲にA-6・B-6の2曲を追加した、全曲歌入りのアルバムだ。
アニメ放送途中のリリースということもあり、全てのOPとEDが収録されておらず、中途半端感は否めない。
1曲目に「夏のミラージュ」をもってくるところはいかに人気曲であったかがわかる。
ただし、曲の流れ自体はレコード時代の曲順セオリーを無視しているように感じるのはオレだけか。
歌入りばかりを集めているので全体の流れが起承転結またはストーリー仕立てであるのが理想とは思うがこの曲順には少々疑問が残る。
楽曲自体は捨て曲がないだけに曲順さえ見直せば気持ちよく聴けるのだが。
とはいえインストがないのでヘビロテ必至の1枚だ。


きまぐれ オレンジ☆ロード Sound Color 3
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発売日:2021年4月24日(オリジナル:1988年2月25日)
価格:4,180円(税込)(オリジナル2,800円)
品番:UPJY-9160(オリジナル:LB28-5067)
仕様:グリーン・ヴィニール、高田明美描き下ろしB2ポスター
帯コピー:こんな女の子たちが二人も目の前にいたら、恭介じゃなくてもこまっちゃう♡!!?ラブ・トライアングルの甘さと優しさ、そしてNAMIDAを感じたい、ポップスファン必聴のサウンドトラック第3弾。

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Side A
01. ダンス・イン・ザ・メモリーズ(中原めいこ)
02. 追想…赤い麦わら帽子の君へ
03. After Heartbreak
04. Fly Me To The Ski
05. 想い出の樹の下で
06. Night & Day(BLUEW)
07. Orange Vice
08. ナイトレンジャーになりきりたい

Side B
01. まどかのテーマ~in Lovers Room
02. 君とRomantic
03. My Little Girl
04. Next Go Come (3rd. Season)
05. 鏡の中のアクトレス(中原めいこ)
06. 愛は瞳の中に
07. Tell me that you love me
08. もうひとつのイエスタデイ(和田加奈子)
09. また明日!

アニメ放送も残り1か月となった頃、Sound Colorシリーズの構成を踏襲した最後のサントラ。
3期OP(B-5)とED(A-1)を含むアルバム。
ここまではアニメ放送期間内のリアルタイムでのサントラだ。
挿入歌+インストも含む構成はSound Colorシリーズの共通仕様だ。
OPとEDに同じアーティストは起用したのは3期が初。
両曲とも中原めいこ自身の代表曲のひとつだ。
中原めいこは「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね」で一躍誰もが知る存在となった。
オレも歌番組で彼女を知ってはいたものの、アルバム「鏡の中のアクトレス」にこのオレンジロードに使用された曲が収録されるまで本格的に聴いてはいなかった。
オレンジロードのサントラで聴けるにも関わらず、それをせずに中原めいこのアルバムの方で聴くことを選んだのは当時のオレのポリシーだ。
(中原めいこのアルバム「鏡の中のアクトレス」はこのサントラの8日後に発売された)
もっともサントラの発売自体は知らなかったが知っていたとしてもサントラで聴くことはしなかっただろう。
やはりどこかアニメを小ばかにしてた感がある。
いまでこそ今回の復刻盤を買ったが、インストが大半を占めるこのようなアルバムは頻繁に聴くことはまずないだろう。
ただ、今だからこそ聴こうという気になったのも、音楽に対する姿勢が柔軟になったからなのかなとも思う今日この頃だ。


きまぐれ オレンジ☆ロード Kimagure Orange☆Station
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発売日:2021年4月24日(オリジナル:1988年4月6日)
価格:4,180円(税込)(オリジナル2,800円)
品番:UPJY-9161(オリジナル:LB28-5069)
仕様:サーモン・ヴィニール、後藤真砂子(原画)B2ポスター
帯コピー:恭介、まどかがアバカブからお送りする特別放送!ひかる、くるみ、まなみ、一弥も参加して、テレビシリーズゆかりの地を訪ねて実況中継。忘れられないあの曲を10曲、楽しいおしゃべりにのせてお届けします。
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Side A
01. オレンジ・ミステリー(長島秀幸、曲中もMC有り)
   MC
02. 悲しいハートは燃えている(和田加奈子)
   MC
03. ふり向いてマイ・ダーリン(藤代美奈子、曲中もMC有り)
04. ブレーキングハート(坪倉唯子、曲中もMC有り)
   MC
05. 鏡の中のアクトレス(中原めいこ)
   MC

Side B
   MC
01. 危険なトライアングル(池田政典)
   MC
02. ダンス・イン・ザ・メモリーズ(中原めいこ)
   MC
03. 夏のミラージュ(和田加奈子)
   MC
04. サルビアの花のように(和田加奈子)
   MC
05. NIGHT OF SUMMER SIDE(池田政典、曲中もMC有り)

アニメ放送が終了し、ちょうどその1年前のアニメ放送開始日と同日に発売されたサントラ。
全期(1~3期)のOPとEDにおそらく好評であった挿入歌をプラスした決定版。
これだけ聴いていればアニメのオレンジロードを語れるヘビロテ必至のアニメ集大成のサントラだ。
アニメのサントラというより、通常のVarious Artistのアルバム感覚で聴けるのがうれしい。

と、曲目だけを見ればそう思うが、キャッチコピーにあるように実は全ての曲に登場人物のおしゃべりが入っている。
曲中・曲間のMCは曲とともにアニメを振り返るまさにFMのDJ仕立てだ。
曲だけでよかったのにとも思うが、実際のところそのおしゃべりが楽しく、逆にアニメを見ている途中で曲がかかる感覚のようで実に気持ちいい。
おしゃべりが結果的に曲を引き立てているとも言える。

ここまでのサントラは一見して適当に発売されていたように見えるが、実はアニメ放送に準じたサントラであり、ストーリーが成立しているように思う。
当時リアルタイムで聴いていたならそれを実感できただろう。
アニメだけを重視するなら、ここで一旦ひと区切りという感じになる。
よってここまでの5枚を持っていればアニメ版サントラはコンプリートだ。
アニメ版集大成として必聴必携盤だろう。


きまぐれ オレンジ☆ロード <オリジナル ドラマ篇>カセットテープの伝言
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発売日:2021年4月24日(オリジナル:1988年4月29日)
価格:4,180円(税込)(オリジナル2,800円)
品番:UPJY-9162(オリジナル:LB28-5072)
仕様:ブルー・ヴィニール、高田明美描き下ろし特大変型ポスター
帯コピー:鮎川がロストバージン?恭介は狂った様にまどかを捜し求める。そしてついに恭介は、まどかに自分の本心を打ち明ける・・・・・・。

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Side A
01. BATSIDE DANCER(古谷徹)
02. こがね色の坂道(原えりこ)
03.オリジナル・ドラマ>カセット・テープの伝言
(挿入歌:鏡の中のアクトレス/ジェニーナ)

Side B
01. オリジナル・ドラマ>カセット・テープの伝言(続き)
02. Whispering Misty Night(鶴ひろみ)
03. 優しいジェラシー(富沢美智恵、本多知恵子)

アニメ放送終了の興奮冷めやらぬ、その約2か月後に発売されたオリジナルサウンドドラマ。
これ用に作られた主題歌も収められ、サウンドのみではあるがひとつの追加エピソードという位置づけの異色なサントラ。
オレンジロードファンとしてはもっと見たいと残念に思っていたところの発売なので、サウンドのみであってもありがたいアルバムだっただろう。
のちにラジオドラマ化シリーズがオンエアされたことを考えれば、こんな形があってもいいのだなと思う。
これ以前のアルバムはアニメさえ見ていれば覚えのある曲が多かったが、ここからはオレには未知の領域だ。
アニメ同様OP曲があり、本編ストーリー、ED曲で締めくくる構成。
歌は全て声優による歌唱。
春日恭介役の古谷徹はじめ、全員がさすがに歌がうまい。
声優が歌うことは近年では珍しいことではないが、当時としては先駆的だったのだろう。

ここで描かれるストーリーのあらすじ。
恭介、まどか、ひかるの微妙な三角関係は相変わらず。
夜、主人公恭介の妹まなみとくるみ、飼い猫のジンゴロの入浴シーンで始まる。
長風呂の妹たちにイライラしながら恭介は部屋でラジオを聴いている。
たまたまラジオで紹介された視聴者からのはがきは恋の悩み。
しかし、これはどうやら鮎川まどかの投稿ではないか?
まどかの本音(不満?)を知り、恭介はとまどう。
翌日、まどかは学校を休んだ。
まどかは一体どこに消えたのか?
帰宅した恭介は妹たちがまどかから受け取ったというカセットテープを渡される。
カセットテープでまどかが語った伝言とは・・・

と、アニメでもエピソードのひとつとして描かれそうなストーリー。
しかしながらいつもながらセンスのいいまとめ方。
すっきりしないもやもやを残しながらひっぱるのがこのアニメのいいところ?だ。
「世界の中心で愛をさけぶ」といい、カセットテープを恋のツールとして使った時代もあったのだと、使ってなくてもそれに近いことをやっていたと懐かしく思う人は結構いるだろう。
まどか(鶴ひろみ)が歌う「Whispering Misty Night」は特によかった。
この歌だけならいつでも聴きたいところ。
結果聴きごたえあるアルバムとは思うが、当然原作を把握していなければ楽しめない(情景が思い描けない)のは言うまでもない。


きまぐれ オレンジ☆ロード あの日にかえりたい
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発売日:2021年4月24日(オリジナル:1988年10月5日)
価格:4,180円(税込)(オリジナル2,800円)
品番:UPJY-9163(オリジナル:LB28-5084)
仕様:ピンク・ヴィニール、高田明美描き下ろしB2ポスター
帯コピー:お待たせしました!まどか、恭介、ひかる、のトライアングル・ラヴ。劇場の大スクリーンでたっぷり堪能したかな?”きまぐれ”は音楽から耳を離せない!要チェックです。

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Side A
01. あの空を抱きしめて(和田加奈子)
02. ラジオのように
03. Say Good-bye
04. Return to three
05. I don't know why, why you don't!?
06. 哀しい賭け
07. いつも ABCBで
08. オジャマ虫's グラフィティ

Side B
01. 不確かな I Love You(和田加奈子)
02. Shop Of "Dry"
03. Beat emotion
04. Teardrops
05. Call my name
06. Be your only one
07. 鳥のように(和田加奈子)

アニメ放送終了と同年に公開された劇場版のサントラ。
劇中の主題歌と挿入歌、インストで構成される。
(歌入りは和田加奈子の歌唱のみ)
劇場版1本のみのサントラなのでインストが多く、構成としてはやや退屈だ。

アニメ版では中学生活が描かれたが、「あの日にかえりたい」では高校生となったその後が描かれる。
しかし、このストーリーは原作者が描いたものでなく、原作の松本氏の逆鱗に触れたようである。
(そもそも原作者の許可なくそんなことがよくできたものだ)
とはいえ、声優や和田加奈子の歌は継承しており、見る側としてはそんな大人の事情を考えなければ違和感なくそれなりに楽しめる人もいるだろう。
アニメ版のサントラに比べればややクオリティは落ちると言わざるを得ないが、劇場版好きにとっては貴重な音源。
「きまぐれオレンジ☆ロード」としても最後のアナログ音源という意味では意義あるものだ。
なにはともあれ、これで全ての当時のLPレコードがコンプリートできるのだからありがたい話だ。


さて、懐かしさのあまり購入してしまった「きまぐれ オレンジ☆ロード」のサントラ。
これを機に改めてこのアニメを調べていくうちに時を超えてはまってしまった。
サントラは映像見てから聴いてなんぼの世界だ。
幸い今年(2021年)秋にアニメのブルーレイが発売されるので予約したのは言うまでもない。
それを見てから聴くサントラはさらに味わい深いものとなるだろう。

実はアニメのサントラレコードを購入したのは幼少期以来だ。

果たしてヘビロテで聴くのかどうかは微妙だが一部はそうなるだろう。
どちらかというと今回は音楽を聴くことより、ジャケットをはじめとするアートワークに惹かれた部分が大きい。

そう考えると、ダウンロードや配信ではそんな動機で購入することは最初からないわけだ。

物理メディアのメリットは目でも音楽を鑑賞することができるということ。

「きまぐれ オレンジ☆ロード」のアートワークはテレビ版アニメとは手法が異なる、ひとつの絵画としての魅力がある。
とても美しいイラストだ。
漫画の単行本を揃えているような感覚に近いかもしれない。

それがLPサイズであることの意義は大変大きい。

物理メディアの魅力の本質を改めて認識できたのは収穫である。

1980年代は歌だけでなく、アニメ・ドラマも名作揃いということを忘れてはならない。

当時はオープニングとエンディングの重要性をよく理解したものが多かった。

良質なアニメ・ドラマに良質な楽曲が合わされば最強なのは言うまでもない。

それが80年代を愛してやまない理由のひとつでもある。


最後に・・・

原作者のまつもと泉さん。

鮎川まどか役 声優の鶴ひろみさん。

心よりご冥福をお祈りいたします。

「きまぐれ オレンジ☆ロード」は忘れられない大切な青春の思い出です。

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松田聖子 ミュージックテープ(オリジナルアルバム)

聖子のオリジナルアルバムでミュージックテープ(カセット)として日本で公式発売されたのはレコード同様CBSソニー在籍時代のもののみ。

事実上、聖子のオリジナルアルバムで最後のミュージックテープとなったのは1996年5月発売の「WAS IT THE FUTURE」だがこれは海外のみの発売だった。
従って、国内ではそのひとつ前のアルバム「It's Style'95」(通算25枚目)が最後のミュージックテープとなった。
(ただし、アジア地域では独自にカセットでの発売が継続されていた)

そんな聖子のミュージックテープ。
どんな特徴があったのか、当時人気を二分した明菜のカセットと比較してみる。

まず、聖子の方がタイトル数が圧倒的に多い。
明菜が16タイトルに対し、聖子は26タイトル。
もちろんデビューが聖子の方が2年早く、休止期間にも違いがあることを考えれば差が付くのは当然。
しかし、現代の常識で考えればアルバムは1年に1枚出せば良い方で、10枚なら少なく見積もっても10年分にあたる。
現代の常識で考えればせいぜい3,4枚の差となるはずが実際はそうではないということだ。
つまり現代よりも約3倍ほどのペースでアルバムをリリースしていたということになる。
実際、両者とも一年に2,3枚のペースでアルバムをリリースしていた時期があったからこそ、これほどまでに差がついてしまったのだ。
もちろん明菜の16タイトルも活動期間を考えれば聖子同様異常な数字だ。
さらにベストやコンセプトアルバムをカウントすればいっそう現代の常識では考えられない枚数となることも付け加えておこう。

次に聖子のミュージックテープにはカセットならではの特典がほとんどないことが挙げられる。
カセットテープであるということはそれだけで音質に不利である。
だからこそレコードと同価格で販売されたカセットは価値を見出しにくいのだ。
明菜のミュージックテープにはレコードに付属したピンナップやカレンダーをカセットサイズにしてつけてきたし、カセット独自のお得な部分もあり、カセットを選択しても大きな負い目はそれほどなかっただろう。
なので明菜のカセットと比べれば聖子のは質素そのものだ。
(もともと聖子のアルバムはおまけが少ないというのもあるが)
聖子の場合、1タイトルだけカセットだけの限定盤が存在したが、カセットでお得と思わせたのはこれだけだった。
比べてお得感があるのは断然明菜のカセットということになる。

次に注目したいのがミュージックテープのリリース年による形状の変化だ。

レコードは時代が変わっても変化は感じられないが、カセットの場合パッケージングが大きく変化していくので面白い。
よってミュージックテープではその歴史も感じ取れるのだ。

そういうわけでミュージックテープにはならではの驚きや発見があるのも魅力のひとつだ。

それでは詳しく見ていこう。


松田聖子 オリジナルアルバム分のミュージックテープ全巻
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個人的には、公式発売されたオリジナルアルバムは上の全26タイトルだと定義している。
うち、一番右端の「WAS IT THE FUTURE」は国内発売はされなかったものの、もともと海外向けアルバムであり、海外では公式発売されたためここに含めている。

よって国内発売分のみと考えるなら下の25タイトルが全てとなる。
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さらに細かく言うなら「North Wind」の初回限定盤と海外盤オリジナル「Seiko」を含めた全28タイトルでコンプリートとなる。
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ところで、並べてみてまず気になったのは背タイトル部分。
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「Windy Shadow」以前までの初期パッケージ9タイトルに限るが、アルバムタイトル以上に目を引くのがシングルタイトルだ。
アルバムタイトルとほぼ同サイズフォントでアルバムに収録されているシングル曲名が記載されている。
これはレコードにはないミュージックテープ独特の慣習によるものだ。

ミュージックテープの収集を始めた頃、これに違和感を持つと同時にすぐにピンときた。
そういえばそうだった。
当時レコード屋で見かけたミュージックテープの棚はこういう感じのが多かったのだ。

カセットで買うということはレコードプレーヤーを持っていないからだろう。
しかし、シングルヒット曲をカセットで聴きたいと思っても当時はまだポップス分野ではカセットでシングルを発売するという感覚はなかったのだ。
(あくまでそういう時期もあったという意味、後発ではカセットでシングルも発売された)
つまり、当時シングルといえばシングルレコードの一択だった時期があった。
なのでカセットでシングルヒット曲を聴きたいとなるとアルバムが出るまで待たなければならなかったのだ。
だからアルバムに収録されているシングル曲を前面に出し、これを買えば聴けますよとわかりやすく明示していたのだ。
ミュージックテープはこの背部分を表にして店の棚に陳列されていたので、膨大なカセットの中からでもお目当てのシングル曲を探しやすかっただろう。

ではなぜこんなご丁寧なことをする必要があったのかということになる。
これは当時を知らなければ理解できないだろう。
まずバックグラウンドにあるのは当時は老若男女問わず音楽ジャンル問わず音楽が親しまれていたということがある。
若者は普段聴かない演歌のヒット曲を知っており、年配者は若者のポップスを知っている。
例えば小学生の誰もが流行りの演歌を歌えるほど知ってるし、おじいちゃんおばあちゃんがアイドルの曲をいくつも知っているという状況だ。
今では到底考えられないだろう。
つまり、アイドルのレコードやカセットと言えど、購買層が広かったということが一番の理由だと思っている。
例えばカセットの購入者はレコードプレーヤーを持たない子供や高齢者が多かったと仮定すれば合点がいくのだ。
もっといえば中学時代のクラスの女子はラジカセオンリーという子が当時はまだ多かった。
単にヒット曲を聴きたいだけであればアルバムタイトルだけを書かれていてもどれを買っていいかわからない。
おじいちゃんが孫に「夏の扉」が入ったカセットを買ってきてと頼まれたら「夏の扉」と書かれた「シルエット」を簡単に見つけることができるだろう。
これはそもそも当時の演歌のカラオケテープ等では当たり前にやっていたことだ。
そういう意味で初期のミュージックテープアルバムはシングルの代わりも担っていたということだ。
この慣習は聖子のアルバムだけでなく多くのアーティストのカセットでも見ることができた。

次にカセットの形状の変化を見ていきたい。

【初期または終末期】
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最もシンプルでコストがかからなそうな形状。

しかし、長期保管には向かない一番ダメなタイプでもある。
見てわかる通り、カセットケースの外に露出した部分(レコードでいう背表紙とジャケット裏部分)が問題となる。
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カセットのインデックスだけでレコードと同じジャケットデザインを再現するにはこうするしかないという苦肉の策だ。
この部分が普段の取り扱いや経年劣化でボロボロになっていくのは当然だ。
しかも紙が薄っぺらく強度がないのでさらにたちが悪い。
中古ではこの部分がボロボロだったり、切り取られていたりと程度の良いものが少ないのがこの仕様の最大の欠点である。
綺麗に保つにはもう自分でカバーをかけるか極力触らないという方法しかない。

これは初期だけに限らず、ミュージックテープの終末期になると再びこのタイプを目にすることになる。
終末期に再びみかけたのは売れないものにお金はかけられないコスト的な理由からだろう。
聖子のミュージックテープでは初期ものに多く見られた。

【中期】
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初期の裏ジャケットぼろぼろ問題を解決した決定版。
厚紙製のスリーブケースにカセットケースを収納するタイプだ。
このスリーブケースにジャケットの裏表を印刷することでレコードと同等のジャケットデザインが可能となった。
当然ジャケット写真はLPに比べずいぶん小さくなるが初期仕様と比べれば大きな進歩だ。
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しかし、スリーブケースもLPジャケットほどの耐久性はないので、汚れや破れの問題はそのままこのスリーブケースが引き受けることになる。
そのおかげで中のカセットケースは保護されるのは利点である。
ミュージックテープといえばまずこれ、という佇まいで親しまれた形状だ。

聖子のオリジナルアルバムでこれを採用したものはないが、初期のベスト盤やサントラでこの形状を採用しているものがある。

【後期】
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これぞまさにミュージックテープの最強進化形だ。
これを初めて見た時は画期的だと思った。
ジャケットとケースが一体型でまさにCDケースのカセット版といったところ。
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ジャケットはさらにビニールカバーで覆われ、ぼろぼろ対策も万全。

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カセットはワンアクションで取り出し可。

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歌詞カードは収納場所が確保され、この樹脂製ケースは非常に割れにくい。

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あえて欠点を挙げるなら、カセット側面が露出しており、ここだけは汚れる。
カセットへのほこりの混入も避けられないのは言うまでもない。

カセット全般の残念な部分のひとつにプラケースが割れる、または汚れて曇るというのがある。

(これはCDのプラケースにもいえることだが)
そのケースがなくなったというだけでなんとストレスが減ることか。
ただし、これは一時代に採用されたミュージックテープ専用ケースのため、交換用ケースが存在しないのが泣き所だ。
また、複数収納できないので2枚組の場合は2個口にする必要がある。
(Bible等はこの仕様)

とにかくミュージックテープは他メディアに比べて外装を美しく保つことがとても難しいメディアなのだ。

ちなみにこの形状は改良版であり、これ以前の初期仕様ケースも存在する。

下の大滝詠一「A LONG VACATION」はいち早くこのケースを採用していたが、ビニールカバーがないのでジャケットが汚れるタイプである。
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露出したジャケットは多少の防水加工がされており、破れにくいものの汚れだけは避けられない。

さらに歌詞カードの収納スペースを確保していないため、ケースとジャケットの隙間に挟むことになる。
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固定されない歌詞カードはケースの開け閉めでずれていき、背ラベル部分に移動すると曲がって癖がついてしまうという欠点があった。

聖子のミュージックテープは全て改良版が採用された。


それでは個別に見ていこう。


SQUALL
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発売日:1980年8月1日
価格:2,700円
品番:27KH 844

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記念すべきファーストアルバム。
レコードとカセットの2メディアで同時発売された。
1980年と言えばオレはまだ小学生で聖子のアルバムまでは聴いておらず、リアルタイムでは知らないアルバムだった。
(とはいっても歌番組を見てシングル曲は知っていた)
そもそも初めて聖子のアルバムを聴いたのは1982年の6th「Candy」で、それも友人がレコードからダビングしたカセットを借りて聴いたのが初だった。
その後、自分の意思で聖子を聴いたのは「オーディオ小僧ダビングの流儀」でソースとした1983年の8th「Canary」を貸しレコード屋から借りてきた時だ。
なので数年遅れて聴いた「SQUALL」には当然思い入れはないのだが、後追いで聴いた時の感想は「なんか古臭い」だった。
何しろ「ユートピア」「Canary」「Tinker Bell」あたりが聖子の入口となればそりゃ古臭いと思うのも無理はない。
それだけ聖子の楽曲が進化していたということでもある。
しかも声質が「風立ちぬ」あたりから変わっていたのでいわゆるキャンディボイスではないファーストアルバムの頃の聖子の歌声にさらに違和感を感じたのだ。
聖子ほどの長いキャリアになると、ファンには必ず自分の世代のアルバムがあるわけで、どんなに名作と言われようが自分の中の名作は人それぞれなのだ。
とはいえ、年を取れば好みも多少は変わる。
(というより、いいものがわかるようになるといった方が正確か)
子供の頃に食えなかった野菜が食えるようになった程度であるが、そんな好みの変化が一番大きかったのもこのファーストアルバムである。
ここから「Tinker Bell」までは初期仕様形状のため、ジャケットにあたるインデックスカードがいかに綺麗に残存しているかがポイントとなる。
聖子のミュージックテープとして最古であるが、タマ数が多いので中古といえど程度のいいものもまだ存在するだろう。


North Wind
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発売日:1980年12月1日
価格:2,700円
品番:27KH 932

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聖子のオリジナルアルバムのミュージックテープでは唯一初回生産限定仕様の特殊パッケージが存在するアルバム。
(聖子の限定仕様カセットは2つあるが、もうひとつはベストアルバム「Seikoe・Plaza」である)
レコードでは初回仕様がないアルバムでなぜカセットだけなのかは謎であるが、当時は確かにカセットのみの発売とかカセットが優遇されるケースも少なくなかった。
品番は同じであり、価格も据え置きなのでかなりお得といえる。

その初回限定盤を細かく見てみよう。
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発売日:1980年12月1日
価格:2,700円
品番:27KH 932

一目瞭然、カセットケースサイズではない。
サイズはおよそ14cm×11cm×1.5cm。
通常盤ではカットされている部分(両肘)のその先まで見ることができるジャケットがうれしい。
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この手のものはだいたい紙で作られており、サイズは規格外で自由自在だ。
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型は全て紙で作られている。

カセットサイズに縛られないことで封入されるものも制限がなくなる。
しかし、通常サイズのカセットと一緒に保管できないのは難点だ。
また、紙製である以上ケースの経年劣化は避けられない。
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固定されていない蓋を開けると、上のように収納されている。
蓋裏には別ショットの写真、ケース側には聖子のサインが印刷されている。

カセット本体はこの時期の通常色であるホワイトハーフとは異なるブラックのハーフを使用し、通常盤との差別化を図っているようだ。
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歌詞カードは見開きタイプで、開くと横12.7cm×縦20cmのビッグサイズになる。
LPの歌詞カードと同じ紙質で作られているため、丈夫で歌詞も見やすい。
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このショットはレコードでも使用されていない特別な撮りおろしなので、レコードよりもお得な部分といえる。

カセット本体は通常のプラケースでなく樹脂製の特別ケースに収納され、聖子のイラストとサインが印刷されている。
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このケースはソニーのブランクテープでも一時期使われたことがあり、これが初見ではない。

屋外に持ち出す時はこのケースだけを持ち運べるよう配慮されている。
ケース用に曲目が記載されたカードが付属するのだ。
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これはシールになっており、ケースに直接貼り付けることができる。
タイトルは上の写真の背ラベル部分に張り付けられる。

曲目はここら辺だろう。
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聖子の限定仕様は少ないので希少な一品といえる。


Silhouette ~シルエット~
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発売日:1981年5月21日
価格:2,800円
品番:28KH 992

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レコードとカセットの価格が2700円から2800円に変わった価格変更後のアルバム。
以降1980年代はレコード・カセットとも2800円が定着することになる。
オレの中ではレコードといえば2800円だ。
当時でも2700円のLP、600円のシングルを見ると古いなぁという印象を受けた。
2800円といえば子供には大金だが、価格相場は現在とさほど変わらないようにも思う。
しかし、現代のアルバムは余計なものをつけすぎだ。
それで価格をつり上げている感があり、現代のほうが高いと錯覚してしまう。
限定盤、通常盤、配信など選択肢が増えたのは手放しで喜べるものではない。
大した特典もなく、皆同じアルバムを持っていた当時のほうが純粋に音楽に没頭できていたような気がしてならない。


風立ちぬ
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発売日:1981年10月21日
価格:2,800円
品番:28KH 1083

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聖子の声質の変換期として有名な4thアルバム。
聖子として初めてシングルタイトル名がそのままアルバムタイトル名となり、コンセプト性が強いことでも有名だ。
A面は大滝詠一のアルバム「ロングバケーション」の曲と対をなしており、大滝がリリースできなかった実質のロンバケ2であると大滝は後に述べている。
聖子の初期ミュージックテープの中で「風立ちぬ」のような、色使いの少ないジャケットは傷みが目立つ傾向にある。
初期仕様のケースであるゆえ、ジャケット写真が色落ちしやすいのだ。
もちろんこれはカセットでのみ言えることで、レコードジャケットは紙質が違うので問題ない。


Pineapple
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発売日:1982年5月21日
価格:2,800円
品番:28KH 1160

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ここにきて一気に聖子のアルバムイメージが明るくなったと感じるアルバム。
ジャケット写真も初めて歯を出して笑う姿が採用され、最も夏を感じさせる1枚だ。
キャンディボイスに明るい曲調、全編元気に歌い上げるこのアルバムは初めて聖子を聴く人にもおすすめだ。
個人的な感覚として、パイナップルのミュージックテープは意外にまともな個体が少ないように感じる。
人気盤であるせいか、流通量は多いものの痛みが激しいものも多く、コレクションに苦労したカセットのひとつだ。


Candy
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発売日:1982年11月10日
価格:2,800円
品番:28KH 1252

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オレが人生で初めて聴いた聖子のアルバム。
別記事にある通り、初期ロットでテイク違いが収められたアルバムだが、それがこのミュージックテープにも存在することを確認している。
松田聖子 オリジナルアルバム「Candy」ファーストプレス盤検証

もちろん当時はそんなことは知る由もない。
当時聴いてどう感じたかはよく覚えていないが、シングル曲しか知らないガキだったオレは大人の世界を垣間見たような気持ちだっただろう。
当時聴いたのは友人のK君がダビングしたカセットでだ。
インデックスにはK君が手書きした曲名が記されていた。
ただ、B-5「真冬の恋人たち」が「真冬の変人たち」と書き間違えていたことだけは忘れられない。
「これ間違いだよな」と一応確認したことを覚えている。
結果的にK君のおかげで思い出のアルバムとなったのだ。
(ただし、K君がダビングしたカセットの音はキラキラしていて抜群によかった)
貸しレコード屋の存在を認識したのもこの頃だろうか。
買えないなら借りればいい。
お金がなくても聴ける音楽が増えることにワクワクした。
ある意味オーディオに目覚めるきっかけにもなったアルバムだ。


ユートピア
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発売日:1983年6月1日
価格:2,800円
品番:28KH 1310

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前作で聖子のアルバムを意識したにも関わらず、この超名盤の当時の記憶がほとんどない。
ダビングしたものを聴いていたのには間違いないが、発売後すぐではなかったと思う。
数年後にレコードで所有することになるが、やはりリアルタイムで聴いていないと当時の感想が溢れ出てこないようだ。
やはり音楽は可能であればリアルタイムで聴くことがとても重要だ。
その時代の出来事、空気も含めてアルバムに想いを託すのは何事にも替えがたい財産になるのだ。


Canary
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発売日:1983年12月10日
価格:2,800円
品番:28KH 1425

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「オーディオ小僧ダビングの流儀」の記事ではソースアルバムとした、オレが初めて自分でダビングした思い出のアルバム。
オーディオ小僧 ダビングの流儀 その1(カセット選定編)

当時の貸しレコード屋で見た店内の様子など細部を未だに記憶しているのもこのアルバムのおかげだろう。
なぜこのアルバムを借りたのか理由を覚えていないが、これでも自分の中では目一杯背伸びした方だ。例えば、気になっていた女の子を急に意識してしまったような、恋心に近い感覚だったかもしれない。
そんな不純な理由で選んだ最初の一枚だ。
とにかくオレのオーディオの原点となったアルバムといっても過言ではない。
といってもまだラジカセしか持っていない頃なので、ダビングするかFMラジオが新しい音楽を聴くための手段だった。
そういえばオーディオを意識するようになってからはミュージックテープを買うことはなくなった。
もっぱらレコードからダビングを繰り返し、これから買うならレコードという感じだった。
自分でカセットに録音した音は本当に最高だった。
なぜこんないい音で録音できるのか不思議でしょうがなく、そこからオーディオに興味を抱いたのだろう。


Tinker Bell
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発売日:1984年6月10日
価格:2,800円
品番:28KH 1485

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オレにとって聖子にどハマりするきっかけとなったアルバム。
もちろん聖子アルバムマイベスト10には確実に入るほどのお気に入りだ。
当時はやはりダビングしたものであるがここからはリアルタイムで聴いたのは間違いない。
(たしか奮発してマクセルのXL-ⅡS(金ラベル)にダビングしたはず)
この頃になると、とにかくレコードからダビングするという作業が面白くて仕方なかった。
未だにA-1イントロのロードスターのエンジン音を聴くと当時の情景が目に浮かぶ。
友人の間でもオーディオ仲間は多くなり、オーディオ談義に花を咲かせたあの頃が懐かしい。
カセットテープにはごひいきのメーカーがあり、「流派」があることを意識したのもこの頃だっただろう。
ダビングしたカセットが1本また1本と増えていくことがとても嬉しかった。
それと共に自分でダビングしてみたいと強く思い始めたのもこの頃だ。
兄貴がいる友人はそのおかげですでに自分でダビングできる環境を手に入れており、すごく羨ましかったのを覚えている。
その友人の家には学校帰りによく集まっていた。
メーカーは忘れてしまったがレシーバーにレコードとスピーカーを組み合わせた本格的なコンポを兄から譲り受けたのだと言っていた。
貸しレコード屋にも一番近いその友人宅で1枚のレコードを全員でダビングしたことはいい思い出だ。
ダビングの最中はもちろん電気屋でもらってきたオーディオのカタログをみんなで眺め、あれが欲しいこれが欲しいと語り合った。
オーディオのモチベーションのひとつの要素は競い合いであると思っている。
そんなオーディオ好きな友人に囲まれて、誰が一番最高の音質で聴けるのかに熱くなっていたからだ。
では、今のオレのオーディオに対するモチベーションは何だろうかと考えた。
結局のところ今は楽しかった80年代の追体験をするために当時のオーディオやレコードを買い集め、アナログの音をたしなむことが一番のモチベーションになっている気がする。
オーディオの音質はその次なので、ハイエンドとは到底言い難いシステムで聴く貧乏オーディオマニアなオレであるが、それに満足もしている。


Windy Shadow
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発売日:1984年12月8日
価格:2,800円
品番:28KH 1600

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ここからはミュージックテープ史上最強の樹脂製ケースの出番となる。
中古でもこのケースを採用したものはだけは綺麗なものが多い。
汚れには非常に強いが日焼けしないわけではないので油断は禁物だ。
また、このアルバムからカセットのハーフが白からグレー系スケルトンに変わる。
ただし、再び白ハーフに戻るのでこの変更理由は未だ判然としない。
このアルバムの初盤CDにはプレス時期の違いで別アレンジが収録されていることで有名である。
松田聖子 オリジナルアルバム「Windy Shadow」ファースト/セカンド/サードプレス盤検証


The 9th Wave
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発売日:1985年6月5日
価格:2,800円
品番:28KH 1685

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聖子のCBSソニー中期アルバムとしては個人的にそれほど印象に残っていないアルバム。
やはりこれ以前のアルバムが良すぎて、明らかなパワーダウンを感じていたからだと思う。
ただし「星空のストーリー」だけはなぜか好きすぎて未だに何度もリピートしてしまう自分がいる。
ベースラインが独特でかっこいい曲なのだ。
聖子のようにたくさんのアルバムが出ていると、もうなかなかアルバムを1枚通しで聴くことがなくなってくる。
そんな時はお気に入りの曲だけ飛ばして聴くのだが、ミュージックテープであれば曲飛ばしは逆に面倒。
(というか選曲が難しい)
そういう意味ではアルバムに最も真正面から向き合えるメディアこそカセットなのだなと思ってしまう。
好きな曲が1曲でも入っているアルバムはその理由だけで、アルバム自体を思い出して聞き返すきっかけとなるものだ。


SOUND OF MY HEART
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発売日:1985年8月15日
価格:2,800円
品番:28KH 1720

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全編英語詞で話題となった1枚。
当時はてっきりこれで海外進出するかと思ったが、実際は国内販売に留まったようだ。
未だにこれはなんだったのかと思うが、その後の聖子の海外向けアルバムを見ても、アジア人はそうそう欧米圏で受け入れられるものではないのだと当時実感していた。
ただ「DANCING SHOES」など一部の曲は海外盤シングルが存在しているので、アルバムも海外で発売されていた地域があるようだ。
(日本では12インチシングル化された)
当時の感想は歌詞はわからないが曲はかなりカッコいい曲ばかりだと思っていた。
当然のことながらこれまでの聖子の楽曲とは大きく雰囲気は異なるが、決して駄作というわけではなく、むしろ十分評価できる作品だと思っている。
まぁ逆にこの時聖子が海外流出してしまっては後の名盤も生まれなかったわけで、現代のスタンスが確立できたのも、この当時からの地道な積み重ねがあったからということなのだろう。


SUPREME
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発売日:1986年6月1日
価格:2,800円
品番:28KH 1850

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前作から約10か月、本来の聖子が帰ってきた。
ミュージックテープの裏面にはここからバーコードが印刷されるようになる。
ひとつ思ったのはカセットのサイズではバーコード部分が結構場所を取るものだということ。
以降のカセットを見てもデザインの妨げになっていると感じる。
また、カセットのハーフが再び従来の白に戻ったのは謎である。
この時、聖子は結婚・出産し、その芸能活動休止中にリリースされたのがこのアルバムだ。
普通、アイドルは結婚してしまえば人気は落ちる、当時は特にその傾向が強かっただろう。
正直オレもがっかりはしており、聖子熱が冷めていたのは否定できない。
しかし、このアルバムを聴いた時、クオリティの高さに驚いたことを覚えている。
実際、未だにセルフカバーや多くのアーティストがカバーもする「瑠璃色の地球」や「蛍の草原」などの名曲揃いでいまもよく聴くアルバムだ。
オレとしては結婚してしまった聖子のファンをやめようと思っていたさなかのことだ。
思うに「The 9th Wave」「SOUND OF MY HEART」と明らかな失速感(迷走?)があったと思っていただけに意表を突かれてしまった。
こんなアルバムを出されては、もう復帰が待ち遠しくて仕方なかった。
もし新しいアルバムが出るのなら絶対に買おう、と聖子ファンであり続けることを決心したことを覚えている。

”アイドルは結婚すればもう終わり”。

そんな常識を覆したのは聖子だったのではないか。

オレはアイドルとしての聖子が好きなのではなく、聖子の歌声が好きだったんだと思った瞬間だ。

大人の階段を1段登って、アイドル好きのオーディオ小僧が音楽好きのオーディオ小僧に成長した節目のアルバムとなった。


Strawberry Time
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発売日:1987年5月16日
価格:2,800円
品番:28KH 2157

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聖子のオリジナルアルバムカセットとしては初めて冊子タイプの歌詞カードが添付された。
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前作から待つこと約1年。
待ちに待った復帰第1弾アルバムが発売された。
この時ほどうれしかったことはない。

このアルバムは発売の報を聞いてレコード屋で早々に予約していたので、本当に待ち遠しかった。

(買ったのはレコードだが)
当時、オーディオ小僧の行きつけのレコード屋は2軒あった。
その内の1店舗で店長と顔見知りになっていたのでこれの販促用のポスターをもらう約束をした。
店長が「ポスターの裏に名前書いといて」と言うので名前を書いておけば後でもらえたのだ。
考えてみたら「SUPREME」の宣伝用ポスターも貰ってたことを思い出した。
(もちろんお店に1枚しかないので早いもの勝ちだった)
さらに思い出したが、行きつけの家電屋でも宣伝用のポスターなどを貰っていた。
珍しいものでは薬師丸ひろ子の等身大パネルを貰ったことがある。
(確か東芝ビデオデッキの宣伝用パネルだった)
自転車で持ち帰るのに風に煽られたり、人に見られたりでちょっと恥ずかしかった思い出だ。
我ながら当時の行動力(情熱)には呆れるほどだ。
さて、発売日には手にしたこのアルバム、早速家に帰って聴いてみた。
その時の感想はもう言葉で言い表せないほどの感動だった。
当時人気だったTMネットワークの小室の曲あり、その他ビッグアーティストから提供された楽曲ありでそれはもう素晴らしい。
聖子がパワーアップして帰ってきたと思ったし、もう聖子ワールド全開な曲ばかりだし音もいい。
未だにマイベスト3に入るほど好きなアルバムとなった。
また、このアルバムはオレが買った聖子最後のレコードにもなった。
この後CDプレーヤーを手に入れたので、以降全てCDで買うことになる。
月日は流れ2020年、長い年月を経て聖子の新譜レコードを再び手にすることになる。
その時思い出したのがこのストロベリータイムだ。
あれから33年の月日が経ち、オレはおっさんになった。
しかし、ストロベリータイムを聴けば気持ちだけは当時のオーディオ小僧に戻れるのだ。


Citron
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発売日:1988年5月11日
価格:2,637円
品番:28KH 5040

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前作からさらに1年。
オレが聖子のオリジナルアルバムとして初めた買ったCDだ。
また、国内で発売された聖子のオリジナルアルバムのレコードはこれが最後となった。
この時、もうレコードを買うという選択肢はなくなっていたのだ。
当時の心情は「レコードよさようなら、CDウエルカム」だ。
レコードの終焉に名残惜しさなど一切なく、ただ新しいCDというメディアに夢中だった。
そんなレコードの影に隠れて発売されていたカセットは存在すら忘れていた。
CDの販売から実に6年、やっと手にしたデジタルの聖子の世界に魅了されていた。
ここまではレコードが存在するとはいえ、当時オレが聴いたのはCDのデジタル音源。
よってこのアルバムの音の基準はオレの中ではデジタル音源だ。
そしてこのCDの音はそれはまぁいい音だった。
録音はロサンゼルスでデビッド・フォスターがプロデュースの完全海外録音だ。
しかしこのアルバムには一種独特のスタジオの音があるような気がした。
表現が難しいが、柔らかく、日本の録音とは違って聴こえたのだ。
良いか悪いかとかではなく空気が違う感じだ。
これまでの聖子のアルバムとは何か違う不思議な感覚を覚えた。
空気感といえばこれ以前にも同じ感覚を持ったアルバムがある。
松任谷由実の「昨晩お会いしましょう」だ。
気のせいかこれも独特の空気感があってやけに生々しさを感じたのだ。
スタジオの空気が録音されているのか、もっと電気的な何かの影響なのか、とにかくそういうアルバムに出会った時はオーディオやっていてよかったと思うし、オレの中では強く印象に残るアルバムとなる。


Precious Moment
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発売日:1989年12月6日
価格:2,800円
品番:CSTL1039

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CBSソニーのカセット品番がここから変わる。
そして、このアルバムからはもうレコードが存在しないので、アナログ音源はこのカセットだけとなった。
そういう意味ではこの品番の変更がその目印になる。
アナログ音源が残ったとはいえ、CDと比べれば音質はかなり劣ると言わざるを得ない。
だからこそレコードだったらどんな音がだっただろうと考えることがある。
そういう意味でここからのアルバムをレコードで復刻するというのも有りだろう。
とにかくこれ以降のミュージックテープは当時のアナログ音源として価値があることは間違いない。
カセットで聖子のアルバムを買い続けていた人にとっては、そのまま継続できるのはありがたいだろうが、さすがにこの頃はCDの普及にも拍車がかかっていた頃だ。
カセットの売り上げは右肩下がりになっていただろうことは想像に難くない。
そういう事情もあってか、これ以降の聖子ミュージックテープの中古は激減する。
デビュー当時のミュージックテープはゴロゴロあるのに、新しいアルバムほど入手しにくいという状況になっているということだ。
売れてないからという理由で希少なのは、MDやDCCソフトも同様なので不思議ではない。
これ以降のミュージックテープは音源的に全て最重要となる。


Seiko
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発売日:1990年6月7日 ※海外では5月15日
価格:2,300円
品番:CSTL1090

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事実上の海外デビューアルバム。
国内では約1か月遅れの発売であったため、オレは当時輸入盤CDを購入し、後に国内盤CDも手に入れた。
ミュージックテープにおいても同様、国内盤と海外盤が存在した。
価格は海外相場を反映したためか2,300円となる。
売上的にはまず成功を収めたようであるが、やはり外国人には聖子のボーカルは理解できないのだと痛感したアルバムでもある。
結局は日本国内ではそこそこ売れたようだ。
現代に至ってはシティポップのブームで聖子の楽曲までも見直されているようであるが、このこともあり、今さら認められてもという感じだ。
そりゃ日本人からすれば英語より日本語の曲の方がいいに決まっている。
だからこのアルバムは聖子の他のアルバムに比べて国内では売れなかったかもしれないが、聖子の声は類まれなる日本の絶対的宝なのだ。
声量ばかりデカく技量にこだわるばかりの海外アーティストを基準に比較し、それ以外を見ようと(聴こうと)しないのは海外のダメなところだ。
(米国のオーディション番組アメリカンアイドルを見てるとそれがよくわかる)
日本人は理解できない言語の歌でも単純にメロディ(音)だけで好む人は多くいる。
だからなんでも受け入れることができるし音楽の幅も広がるのだ。
ボーカルを楽器の一部として聴くことが潜在的にできる民族なのだろう。
おそらくは欧米人にとって聖子の声はアニメ声優のような声に聴こえ、子供っぽいということが本音なのだ。
(本当にくだらない)
まぁそういったことで音楽そのものを聴こうともしない固定観念がなくなりつつある現代であるからこそ、いま日本のシティポップが理解されはじめたのだろう。
さて、恨み節はこれくらいにしておいて、このアルバムは海外デビュー作であり、発売も海外が先ということで、海外盤がオリジナルという解釈が正しい。
なのでそれも掲載しておこう。

・北米盤
品番:CT46046
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これが北米オリジナル盤となる。
カセットはスケルトンでテープとハーフの接触を防ぐセパレーションシートが黒色となる。
また、インデックスカードがジャケット、裏ジャケット、歌詞カード兼一体型という画期的?な形状だ。
海外ではこれが一般的なのだろうが、驚くべきはジャケット裏がカセットケース内に収められていること。
これにより、初期国内盤の弱点であった裏ジャケットぼろぼろ問題は解決するのだ。
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ケース内で取りまわすので、裏ジャケット部分には穴を開けてテープ止めを通すという発想は素晴らしい。

ついでに手持ちがある香港盤も載せておこう。

・香港盤
品番:CJK1472
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これは香港で発売されたいわゆるアジア盤というこになる。
ケース形状は日本の初期仕様に近く、カセットはほぼ国内仕様と同等だ。
裏ジャケットは切り取られたような形跡もあるようで、これが完全な形かどうかは不明。


We Are Love
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発売日:1990年12月10日
価格:2,800円
品番:CSTL1569

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CDの初回盤はスペシャルパッケージで豪華だった。
レコードの時とはそれほどでもなかったパッケージの差もCDに置き換わり大きくなった。
ミュージックテープの限界は音質だけでなく、サイズの限界でもあり、CDにはもう太刀打ちできない状況になっていた。
例えば「North Wind」の初回限定のようなパッケージにでもしない限り、明らかにカセットでは損した気分になってしまう。
もう、持てる武器はアナログ音源であることだけでそれ以外何もない状況だ。
とはいってもこの時代のアナログ音源はレコード亡き後の貴重音源。
レコード発売が無くなってからのカセット音源はアナログの音を聴ける唯一のメディアとしての意義がある。
アルバム自体は12月の発売ということもあり、季節感あるクリスマスアルバムのような雰囲気をまとっている。
「SOUND OF MY HEART」の時同様、英語アルバムの後の懸念は全くなく、いつもの聖子ワールドも健在のお気に入りのアルバムである。


Eternal
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発売日:1991年5月2日
価格:2,800円
品番:SRTL1714

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ここでも品番が少し変わった。
聖子初の初カバーアルバムだがフルカバーでなく1曲だけオリジナルが収録されている。
オレ的にはカバーアルバムならコンセプトアルバムの部類に入るのではと思っているが、公式にはオリジナルアルバムとして分類されている。
カバーなのでオリジナルを知っている曲、知らない曲があったが、総じて言えるのはアレンジの素晴らしさが光るアルバムということ。
カバーと言えば80年代の大映ドラマ主題歌として日本で大ヒットした曲たちを思い出す。
中でも「スクール★ウォーズ」の「Hero(麻倉未稀)」や「ヤヌスの鏡」の「今夜はANGEL(椎名恵)」は秀逸だった。
これらは日本語詞に置き換えられ、アレンジは原曲以上にかっこよかった。
原曲を知らずにカバーを先に聴いた当時のオレはこれらカバー曲に熱狂したものだ。
とにかく日本語版のアレンジは絶妙で、申し訳ないが原曲よりカバーの方が好きなものがほとんど。
そんなバックグラウンドがあって、このアルバムのアレンジも安心して聴けたというのがある。
後に続編が制作されたのはこのアルバムの評判がよかったからということだろう。


1992 Nouvelle Vague
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発売日:1992年3月25日
価格:2,800円
品番:SRTL1807

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90年代に入るとオレは聖子のライブにかなり足を運ぶようになる。
全て日本武道館公演だったが、3日間全てを見た年もあった。
その後発売されるライブのLD(レーザーディスク)も欠かさず購入したものだ。
このアルバムを引っさげたライブツアーも例にもれず見に行った。
この頃からか、ライブ前に発売されたアルバムを短期間で聴き込むようになる。
直近のアルバム曲を知らなければライブが盛り上がらないという理由からだ。
聖子は毎年定期的にライブをやってくれたので、ファンの間ではいつの間にかそんなことが慣例となったのだ。
ただこんなことが続くと、アルバムを聴くという行為がライブのためということに置き換わるのは当然の流れだろう。
(逆にいうとライブが終わると聴かなくなる)
当の聖子もライブツアーのために新譜を出さなければという義務感のようなものがなかったとは言い切れない。
この頃になると聖子のアルバムは自ら作詞作曲した楽曲が多くを占めるようになる。
一人でそれをこなすことがどれだけ大変なのかは想像を絶する。
そしてそれを待ち望む何万人ものファンがいるのだ。
となると懸念されるのは楽曲のクオリティだ。
多くは語らないが、アルバムの目的がライブのためという比重が高くなれば残念なアルバムが出てくることも予想できる。
しかし、ひとつ言えることは90年代のアルバムはそれでもクオリティが高かったということだ。


Sweet Memories'93
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発売日:1992年12月2日
価格:2,800円
品番:SRTL1853

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既存曲のリメイクを多く含むコンセプト性の高いアルバム。
残念ながらオリジナルアルバムとしてのクオリティは持ち合わせていないと思っている。
(リリース時期も12月だし)
おそらくこのアルバムを好きなアルバム上位に持ってくるファンは少ないことだろう。
完全コンセプトアルバムとすればまた意味が違ってくるのでそれなりの評価はできるアルバムであるが、オリジナルアルバムにラインナップするのであればこれはかなり弱い。
あまり聴きこんでいないアルバムのひとつで、このアルバムを今聴いてもなにも思い出が出てこない。
タイトルの付け方でも損をしている、これはないなと思う一枚だ。


DIAMOND EXPRESSION
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発売日:1993年5月21日
価格:2,800円
品番:SRTL1864

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オレ的にはオリジナルアルバムとは認められなかった前作から約半年後。
待ちに待ったニューアルバムはとても満足のいくものとなった。
まずジャケットがいい。
「Pineapple」を思わせる黄色を基調とした派手なジャケットだ。
タイトルも何やらゴージャスな雰囲気。
(ダイアモンドというワードは聖子にとって定番ワードな気がする)
もちろん曲も粒揃いの良曲が多く、今でもちょいちょい聴きたくなるアルバムのひとつ。

好きすぎて怪しいアジア盤も入手したのでついでに載せておこう。
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聖子の「聖」が・・・
やはり国内盤だけでいいやと思わせた1本だった。


A Time for Love
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発売日:1993年11月21日
価格:2,800円
品番:SRTL1899

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クリスマスコンセプト要素が強いアルバム。
しかしこのアルバムとにかくジャケットが好きなのだ。
この聖子は最高に可愛いと思う。
(髪型がかなりレア)
オレのジャケットベスト10を選ぶなら必ず入ってくるだろう。
これのAmazonメガジャケが欲しい。

それはそうと、この記事ではすでにレコード未発売分に何タイトルか突入しているわけだが、ミュージックテープについてひとつだけ考える部分がある。
それはA面とB面のことだ。
1989年の「Precious Moment」からはレコードが存在しないのでつい忘れていたのだが、カセットでは当然のことながらA面とB面が存在している。

つまり作り手として、A面B面を意識したアルバム作りをまだやっていたのかということだ。
(それは現在にも通ずることだが)
以前どこかの記事で書いたが、レコード時代のアルバムはA面からB面に切り替える間が発生するため、これを前半後半と捉えて、ある種のストーリー性がそれぞれの面にあったということ。
(別にストーリーがなくてもいいが)
また、レコードの外周と内周の音質差や収録時間という制約がそのストーリーを描くための一種の縛りの要素があったのだ。
ただ、CDの時代になると真ん中で分けて考える必要はないので制約無しで自由に作れる。
1曲目から10曲目までで大きなストーリーを好きに描けばいいのだ。
しかし、カセットでもリリースする以上はまだ何かストーリーがあるのではとつい意識してしまうのだ。
たしかにレコードからCDへ移行したての頃は、オレもなんとなくCDにはまだその名残りはあるなと意識していたものだが、果たしてどうなのか。
カセットテープで音楽を聴くということは、そんなメッセージも含めて聴くということなのだ。
CDであってもそんなことを考えながら聴くと、また新しい発見があるかもしれない。


Glorious Revolution
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発売日:1994年6月12日
価格:2,800円
品番:SRTL1911

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このアルバムでもいえることであるが、オレはアルバムの1曲目はロック調で導入するものが好きだ。
(最低限キャッチ-なポップスであればよい)
90年代に入ってからもその傾向が続いていたので、作曲は聖子本人がやっているということはほとんど意識していなかった。
もちろん当初の作曲は小倉良との共作ではあったものの、80年代の天才作家の協力により作り上げられたアルバムと比べても大きな遜色があるとは感じなかったのだ。
聖子はアイドルなので曲まで作る必要はない、ボーカルだけに集中してくれればと思うのはファンの偏見かもしれないが、ファンとしてはやはりいい曲を聖子に歌ってほしいと思うものだ。
しかし、90年代のアルバムを振り返ると好きな曲は山ほどあることにも気付く。
つまり聖子は作曲の才能もあるってことだ。
ただし、どんな有能な職業作家であっても駄作はあるし、出てこないこともあるだろう。
アイドルである聖子ならなおさらそこは責められない。
しかしながら90年代のアルバムは80年代の流れから大きなギャップもなく順当に聴いていられたような気がするのだ。
何が言いたいかというと、全曲聖子が作曲のアルバムも忖度なしでいいアルバムはあるということだ。
現代に至るまで、かなりの曲を聖子は作ってきたが、さすがに90年代までの勢いは感じられない。
そんな中でも自分が好きな傾向の曲を集めてマイベストを作るとするなら、かなり強力なアルバムが作れると思うのだ。


It's Style'95
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発売日:1995年5月21日
価格:2,800円
品番:SRTL1951

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聖子の国内盤ミュージックテープとして最後のアルバムとなった。
よってこれ以降、アナログ音源は国内では公式に存在しないということになる。
(ただし、プロモ盤としてレコードやカセットが作られることもあった)
そういう意味ではアナログで聴ける最後のアルバムであり、このミュージックテープは大変貴重だ。
アルバムは全体にキャッチ-かつポップな安定の仕上がりとなっており、今でも時々聴きたくなる1枚だ。


WAS IT THE FUTURE
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発売日:1996年5月14日 ※国内はカセット未発売
価格:不明
品番:31454 0480 4

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「Seiko」に続く第二弾全米向けアルバム。
パッケージングは前作同様の海外仕様。
このアルバムは裏ジャケットにも写真を使っているので仕組みがわかりやすい。
シンプルにして非常に優秀なパッケージ仕様なので日本でも採用してもらいたいほどだ。
日本国内ではCDが約1か月遅れで発売され、メディアもCDのみとなった。
そうなると、やはりオリジナルはこの北米盤ということになるだろう。
このジャケットはかなりお気に入りでLPサイズも欲しいなと思わせる。


おまけ

Vanity Fair
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発売日:1996年5月27日
価格:不明
品番:532454-4

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これはミュージックテープの公式盤としてカウントしないおまけ。
基本的に海外盤には興味がないのでオリジナルでなければほとんど所有していないが、リリース順につながるということでこのアジア盤を掲載することにした。
日本語の通常のアルバムは当時もアジア圏では広く発売されていたため、このようにカセットが存在するのだ。
(おそらくレコードまではないはず)
そもそもアジア盤は日本語のままでリリースされることが多い。
それゆえ怪しい日本語が散見されるのはこの手のものでは珍しいことではない。
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明日へと駆け出してゆこ

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ロマンテックにKissしましよら
もし、も一度戻れるなら

まず、ハーフに直接印刷されているのは珍しい。
「う」を「ら」と勘違いし、また小文字は不得意のようだ。

日本国内ではメジャーレーベルのミュージックテープのリリースはほぼ90年代中頃には終わっている。

細々と2000年頃までリリースしたレーベルもあるが、終焉は実質1995年くらいと見ている。
新しいものが好きな日本人はメディアの切り替えも早い方なのだろう。
対するアジア地域では日本のポップスは人気があるため、日本よりもまだ売れるカセットという形態で販売は続いていたようなのだ。

90年代中盤となれば日本ではCDがメインの音楽メディア。
MDやDCCがカセットの後を引き継いだが、CDよりも音質が劣ることや記録メディアでもある(カセットテープの代替)というイメージから販売数は従来のカセットに遠く及ばなかった。
しかしアジア圏でMDなど普及するわけもなく、継続してカセットが使われ続けため、日本発売されていないミュージックテープが海外でだけは存在したのだ。

「Vanity Fair」はデビュー当時から在籍したCBSソニーを離れ、マーキュリーへの移籍第一弾アルバムでもある。
当時のことはよく覚えている。
まずCBSソニーから離れたことはちょっと残念には思っていたが、アルバム自体は見た目も含め、それをあまり意識させないものだった。
CDにはもちろんマーキュリーのクレジットがあるので確かに変わったのだがやはり聖子は聖子だと思わされた。
とはいえ、鮮烈な印象が残るソニー時代のアルバムに比べれば物足りなさがあることも事実だ。
このアルバムは全アルバムを通しても個人的にはそれほど印象に残るアルバムではなかった。


さて、これが聖子のオリジナルアルバムでカセットでの公式発売分の全てになる。

もともとミュージックテープというメディア自体には思い入れはなかったものの、アルバムはどれも親しんできた思い出があふれるものばかり。

いまとなってはレコード以上に希少性が高いと思われるミュージックテープだが、その存在自体を気にする人は少ないだろう。

そういうオレも少し前までは特に興味もなく、逆にここまで手を出したら沼にハマりにいくようなものだとわかってはいた。

ただ、アナログの一時代を担った音楽メディアのひとつとしてカセットの存在を見過ごすわけにはいかないという思いも少なからずあった。
結局試しに1本手に入れてみたら、レコードでは味わえない音とカセットならではの魅力に気づかされたのだ。

当時レコードやCDで聴いたアルバムを、現代あえてカセットテープで聴いてみて思ったのは、やはり音質はレコードにはまるで敵わないということ。
解像度、音場ともにカセットでは追いつけない部分は多くある。
ラジカセさえあれば、レコードよりは手軽に聴けるとはいえ、複雑な機構を持つ機器を維持していかなければならないのも煩わしい。
ただし、この音こそがカセットならではの音であり、レコードでは味わえないものなのだ。

ノンメディアで音楽を聴く現代において、カセットはおろか物理メディア自体を所有することの意義さえ揺らいでいるのも確かだ。

では物理メディアで所有する意義は何かと考えた時、オーディオマニアの観点からまず言えるのは「音がチューニングできるから」の一言につきると思う。
言い換えるなら、再生環境の影響を大きく受けるので人それぞれ聴く音が違うのが面白いとも言える。

今の時代なら音源をバックアップする必要がないということも重要な要素だろう。

また、物理メディアで聴いていたらこそ、この記事に書いたような思い出が心に残ったのだろうとも思うのだ。
もともと形のない音楽を物理メディアで形として所有する。
歌詞や写真も直接手に取って五感でも音楽を感じる。
どちらが心に残るのかは比べるまでもなく明白だ。

保管スペースや再生の手間が無くなるノンメディア音源は、効率の良さと引き替えに大切なものが欠けている気がしてならない。
それは、オレがこのブログで何度か言っている「音楽は写真アルバムと同じ」という部分だ。
思い出が残せないなら、オレがノンメディアだけで音楽を聴くことは一生ないだろう。

ただし、オーディオの本質を考えた時、高音質再生が第一命題となろう。
それを基準にするとカセットは全メディア中ではもっとも音が悪いという評価になる。
であればよりいい音で聴きたいというのが人間の単純な欲望だ。
より音のいいCD、それに加えて再生時に物理機構を必要としないデータ音源。
高音質で手間もかからないとなれば主流となるのは当然のこと。
そこは全く同意だ。

しかしオーディオの楽しみは高音質だけにこだわると実は全く面白みがなくなるとも思っている。
一番音が悪いカセットをどこまで高音質で再生できるか、なんてことを考えてるとこれはこれで面白いのだ。
つまり、物理メディアはノンメディアよりも遊べる要素が多く、その変化量も大きいということだ。

ノンメディア一択はオレには無理だが、物理メディアとの共存はむしろ大歓迎である。

オレは可能性を秘めたミュージックテープが今は愛しくて仕方がない。

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