さくの家電のーと

オーディオ、音楽、家電全般に関する備忘録ブログ

TDK

幻のTDKカセット 実は高級ハイポジだった HX

TDKと言えば、メタルはMA-RやMA-XGといった超高級メタルがある。

ハイポジならSAやSA-Xという伝統のカセットがある。

TDKに限ったことではないが、カセットの世界にも一発屋が存在する。

これはかつて、SA-Xの上位に位置づけられた高音質カセットだった。

TDK HX
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HXはHIGH POSITION EXTRAから取った型名だろうか。

ハイポジの更に上を行くというニュアンスを感じる型名だ。

その名の通り、HXのテープはメタル磁性材を使用した高性能ハイポジテープなのだ。

ハーフ色は黒に近いが濃紺で渋い。
デザイン的には旧来のものと変わらず地味で音への期待も膨らまない印象を受けてしまうが・・・
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でも音は抜群にいい。

当時はカッコいいデザインのSAやSA-Xの影に隠れてしまっている感があった。
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国内としてはこれが当時のTDKハイポジ最高峰だったがこれ1代で終わることになる。

よってこれは歴史的価値のある一品である。

TDK MA-Rデザインの最終形 MA-XG

TDKメタルテープの代名詞といえばMA-Rだ。

別記事のMA-R(3代目)からフルモデルチェンジし、当時TDKメタルの最高峰に君臨したのがこれだ。

TDK MA-XG
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MA-Rはフレームがオールアルミダイキャストだったが、MA-XGでは
テープガイド部分がプラスチックになり、重量も若干軽くなった。
これは共振等を考慮してのプラスの改良だろうか。
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ハブが変更され、穴あきでなくなったのはちょっと残念な部分だ。
シースルーのため、ハブから受ける印象は大きい。
先代よりやや安っぽく見えるといば見える。
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とは言っても先代よりも耐振性等何かしら音質に良い改善がなされているはずだ。
もともとコスト度外視のメタルテープなので、コストダウンでなかったことを信じたい。

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モデルチェンジ後も誤消去防止ツメの可動は健在。
これはのちに高級メタルの象徴となる。
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先代MA-Rはこのツメの色でテープ長が区分されていたが、XGではグレーで統一された。

音質は当時TDK最高峰だったのでリファレンスたる風格は備えている。

MA-Rはそのまま使うとかなり煌びやかな高域が特長で、下手するとソース音源より出すぎるほどだった。
強力な高域録音能力がメタルである所以であるが、キャリブレーションさえ決まればソースと遜色ないレベルで録音ができた。
そういう意味では素で使う場合、こちらのほうがバランスよく録音できていたと思う。

MA-Rがあまりに有名となり、XGの影は薄い。
オークションでも高値がつくのはMA-Rである。
そういう意味ではMA-Rより気軽に使えるメタルテープだ。

もしMA-XGがモデル名を変えず、4代目MA-Rだったならば、その地位も変わっていかたかもしれない。

高級メタルテープ MA-R(3代目)

各社のカセットテープの高級モデルは90年代初頭を最後に発売されることはなくなった。

ソニー、マクセルも伝説と言うべき超高級テープを発売したが、その元祖となるのはこれだった。

TDK MA-R
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これは3世代あるMA-Rのうち3世代目なので最終型のMA-Rとなる。
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ハーフはかなり特殊な形状である。

アルミダイキャストのハーフ型枠をAB両面から強化プラスチックで挟み込んでいる。

見た目通りの重いカセットなのでカーステなどでは重くて出てこないこともあったほど。
そもそもこんな高価なカセットを車で使用するのはやめたほうがいいという話しだが。

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緻密な作りは芸術の域に達しており、未だに古さを感じない。

テープ自体はMAと同等である。
そういえば、当時MA-RのテープをぐちゃぐちゃにしてしまいMAのテープを移植して使っていたことを思い出した。

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誤消去防止孔のツメ(青色部分)に可動式を採用したのはMA-Rが最初だ。
ツメの色は46分が青、60分が赤、90分が緑と色分けされていた。
パッケージの分の色イメージと同様である。

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ツメは写真のようにコの字型のツメを横にして凹型にすることにより録音が不可となり、上の写真のように元に戻せば録音は再び可能となる。

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通常は録音後にツメは折り取って上書きできないようにする。
使い回しでまた録音する時はここに紙を詰めるかセロテープを貼る等していた。

高価なテープだけにマスターテープとして繰り返し録音することも考慮した優れた設計だ。

ちなみにオレはツメは折らない派だった。
たまに折ることや勝手に折れてしまった時は新聞紙を詰めていた。
セロテープの粘着が残るのがいやだったからだ。

カセットをコレクションしていて、ツメが折れてるのと折れてないのは雲泥の差と感じる。
ツメが折れたカセットは中古感が半端ない。(折れてなくても中古に間違いないのだが)

音質については文句なしといいたいところだが、ややハイ上がりのキラキラサウンドになりすぎる。
つまり高域がより強調される感じだった。

とはいっても出ない音を無理やり出すよりぜんぜんよく、メタルらしくどんなデッキ・ラジカセでも
高音質で録音できるすばらしいテープだった。

ハーフ違いのもうひとつのAD AD-SPLENDOR

カセットテープ全盛の頃、使ってるテープは同じなのだがハーフを変えて別の製品として売り出す、というようなことはどのメーカーもよくやっていた。

数多く存在したADからの派生モデルのひとつがこれ。

TDK AD-SPLENDOR(AD-S)
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これは同社のADと同じテープを使った別ハーフバージョン。

ハーフが透明になり華やかな雰囲気となった。

オレは「エーディーエス」ではなく、「エーディー スプレンダー」という響きが好きでいつもこう呼んでいた。

ハーフ内側のスリップシートを完全に透明にすることにで美しいスケルトンデザインを実現した。

ADとテープは同じなのになんとなくこっちの方が音がいいような気がしたものだ。
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カセットテープの標本にでもなりそうなくらい構造がよくわかる。
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ガイドローラー、テープパッド、ネジもよく見える。
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ネジは結構ギリギリまで入っていたんだなぁ。

厳密に言うとハーフの素材が変われば音も変わるらしい。

他記事に書いた高級テープ類は音質重視型のハーフだが、これは見た目重視のデザイン型ハーフの一例だ。

デジタル音楽プレーヤーは買ってしまえばそれでおしまいだが、メディア交換が必要なカセットプレーヤーはカセットを自由に選べるという楽しみがあった。

まぁそういう意味ではランニングコストがかかるってことにはなるのかもしれないが。

ただ、メディアに記録し、それを形として残すという行為は写真アルバムに似ているといつも思う。

写真が色褪せるように音質も劣化していくかもしれないが、カセットはまさに音楽のアルバムだ。

パソコンのハードディスクに保存した音楽は、例えるなら写真を現像する前のネガ。
プレーヤーに転送すればいつまでも変わらずいい音で聴くことができる。

対して、カセットテープは現像後の写真そのものだ。
保存状態が悪ければボロボロになってしまう。

ネガは持ってなくても現像した写真は持っている。

オレにとってはカセットテープはそういう感覚のものである。

だからネガは捨てられても、写真は捨てられない。

思い出は形として残しておくのもいい。

カセットテープの大御所 最後の力作 MA-XG Fermo

カセットを作っていたメーカーは数あれど、TDKは高級テープを早くから市場に投入していた名門中の名門である。

TDKの高級カセットテープといえばMA-Rだ。

その系譜は以下のようになる。
・MA-R(初代)
  初期ロットではメタル検出孔がないものが存在した

・MA-R(2代目)
  初代と比べパッケージ以外の違いがわかりにくい

・MA-R(3代目)
  2代目同様パッケージ以外の違いがわかりにくい

・MA-XG
  MA-Rのフルモデルチェンジ版

そしてその集大成となるのが、

TDK MA-XG Fermo
ラインナップ:46、60、90分
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SONYのメタルマスターやmaxellのヴァーテックスに比べ、もっとも作りが緻密に見える。

実際ハーフは5ピース構造でビス止め部分も特殊形状だ。

カラーは地味目ではあるが実はかなり作りが細かいことがわかる。
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ハーフはラベルを貼るのが惜しくなるほどの渋いデザインだ。

MA-Rと比べれば確かに地味ともいえるが、これはまさに機能美である。
中央のビスは他の部分とは素材、サイズが異なり、高級なデザインに一役かっている。
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高いテープは何度も使いまわしたくなる。
だから誤消去防止ツメはもちろん可動タイプでこれはMA-Rからの伝統だ。
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サイドのビスはとても頑丈なイメージを与え、安心感がある。
普通のカセットは前面4辺+中央が一般的なビス止めの場所だ。
フェルモはビスを前面から側面に移動することにより、ハーフデザインをすっきりさせることに成功した。
(地味だがすごい)
分解すると通常のカセットとは違うことがわかるだろう。
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かつてのカセット3大メーカーの中でもTDKは一番人気があり、そして高音質だった。

TDKメタルテープの集大成とも言えるフェルモは実質TDK最後の高級カセットテープとなった。

MA-RからのTDK超高級カセットテープの歴史はフェルモにより幕を閉じられた。

惜しむべきはこのカセットの発売時、時代はすでにカセットテープの終焉期だったということ。
自分も含めて注目度が低かったのだ。

もう二度とこんなカセットテープが作られることはないだろう。

だからこそ、このTDKの最後の力作を見ると少し寂しい気持ちになってしまうのはオレだけだろうか。
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