さくの家電のーと

オーディオ、音楽、家電全般に関する備忘録ブログ

カセットデッキ

Nakamichi CR-70 アジマスファインチューニング機構

CR-70のの動作確認も兼ねてアジマス調整機能の詳細を。

このついでに放置状態だったケンウッド、テクニクス、ヤマハ等も動作確認したのだが電源入るも再生不良。
なかでもナカミチ ドラゴンが再生できなくなったのはかなりショックだ。
機械というものは時々でも使うことがメンテのひとつなのだと今更実感。
古いものを維持していくのは愛情が必要だ。

機器が多くなるほどメンテも大変になるが、どこかの記事でオーディオタイマーをセットして
複数のカセットデッキを毎日定時に電源入れて動かす方法があることを知った。
なるほど、カセットデッキはもともとFMのエアチェック目的の用途からタイマーと連動する機構がある。
それを利用しての一斉メンテとは頭がいいやつがいるものだ。

とりあえず所有している以上は1台ずつ修理していくしかない。

今回はなぜか壊れないCR-70を使って久しぶりに音を聴いてみた。

ナカミチの音は一度聴けば他とは次元が違うと言い切れるほど。

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ナカミチデッキ全般に言えるが、特筆すべきは録音性能はもちろん、再生音の素晴らしさだろう。

ドラゴンがオートアジマスであるのに対し、CR-70はマニュアルでのプレイバックアジマスが調整ができる。

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↑このつまみを回すと・・・

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赤矢印を中心にヘッドの角度が変化することで再生音を調整することができる。

つまみ回すとギーギーと小さな音がして動いてるようだ。
再生しながら動かすと連動して音が変わるのがわかる。

プレイバックアジマス調整の目的は録音時のデッキの録音ヘッドと同等の状態に本機の再生ヘッド角度を調整すること。
わずかではあるがデッキが変わればヘッドの角度も微妙に違うことは周知の事実。
録音したデッキで再生する分には問題ないが、他のデッキで再生すると酷い時は高域がこもったような音で再生されることがある。
聴感上、明らかに高域が出ていなければ、まずアジマスが合っていないことを疑う。
実際は綺麗に高域が録音されているかもしれないので、その状態にヘッドを調整すれば録音したデッキと同等の再生音が聴けるはず、というわけだ

従って、この調整機構では本機で対象のカセットテープを再生しつつ、自分の耳で一番高域が出ていると思った場所がベストポイントと判断する。
ちなみにナカミチ ドラゴンはこれをデッキが自動でやってくれる。

他のデッキで録音したテープも、これで調整すれば録音したデッキと同等のヘッド角度にできる。

別記事で昔録ったテープを再生するという内容でパイオニアのデジタルプロセシングデッキ T-D7について
書いたが、T-D7はデジタル技術で補正しており、あれはあれで凄いのだが、やはりこっちが正攻法。

とりあえず各種動作確認がてら、昔録ったカセットを再生。

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AXIAのXD-Master。メタルポジション。

AXIAテープの音質傾向は全般に角がとれたマイルドな音で録音できた。
しかし、このMasterシリーズはメリハリある音で録音できた。
AXIAの当時最高峰にふさわしい音だ。
当時所有していたAKAIの2ヘッドデッキはキャリブレーションできなかったので、テープの音質傾向を
モロに受けていた。
従って、ソニー・AXIAは自分の中では自分のデッキとは相性が悪いテープとなっていた。
AKAIデッキのリファレンステープはTDKとmaxellで全くその通りの結果だった。

このカセットに録っていたのは、稲垣潤一のアルバムの中でもオレが一番好きな「PERSONALLY」。
好きなアルバムはちょっといいカセットで録るのが、当時の流儀でもある。

稲垣のほとんどのアルバムはカセットに録音していが、だいたいマクセルのXLⅠ(Normal)で録ってた。
たぶん当時これが安くてそこそこいい音だったからだと思う。
しかし、いつの間にか残ってたのはこれだけになっていた。

というわけで、CR-70で再生。

ノイズリダクションはCでCDから録っていた。
CDは曲間ノイズがないのでそれを生かすべく、CDからの録音だけはCタイプを多様していた。(レコードはOFF)
デッキはAKAIのHX-R44とインデックスへ書き込んでいる。
録音時の記録は必須である。
面倒でも最低限NRのON/OFFくらいは記録しておくべきだ。

90年代はAKAI(A&Dではない)のGX-93、GX-R70を所有していた頃もあった。
80年代に憧れていたのはGX-7、GX-R99。
GXヘッドは摩耗に強いと言われていた。
でもA&D時代のぶ厚いやつもちょっと欲しかった。

で、再生してみる。

リーダーテープを通過後もほぼテープヒスなし、さすがCタイプ。

再生が始まり、とりあえずアジマスつまみを回してみる。

何度もAKAI2ヘッド時代に録ったカセットを再生してみたが、ほとんどつまみはいじらずセンターで問題ないようだ。

再生音はCタイプで録っていたことに若干の不安があったものの、全く問題なし。
NRで録音するのは本来シビアな設定が必要なので。

ソニー TC-KA7ESとの違いは、ウォークマンで例えるなら、5mWのウォークマンと30mWのウォークマンで
聴き比べた感じに似ている。
ヘッドホンによる試聴であるがナカミチの音は太く力がある。
ナカミチで再生すれば録音時のデッキ以上の音で再生できるのではとさえ思ってしまう。
ナカミチサウンドは聴くたびにいつまでも聴いていたいと思ってしまう。

デジタルに疲れた時はナカミチで極上のアナログに浸るのもいい。

スーパーメタルマスターでマイリファレンステープ作り

さて、7年ぶりのブログ復活ということで、昔と同じようなことをやっていてもつまらない。

そういうわけで、今後のカセットテープの記事については、なるべく実際にテープに録音/再生して、
どんな音を聴かせてくれるのか、より突っ込んだレビューをしていければと思う。

で、今回はついでにカセットテープの「突き詰めた録音方法」について、知らない世代向けにこの機会でレポートしていこう。

もちろんカセットの使い方はそれぞれ自由。

押し付けるつもりは毛頭ない。

しかし、カセットは使いこなせばCDの音と区別がつかないレベルまで持っていける場合もある。

テープの持つポテンシャルは想像以上に高く、その限界性能を追求する世界もあるってことを知ってほしい。

そこで、その第一弾のテープとして選んだのが、

SONY スーパーメタルマスター
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知る人ぞ知る、ソニー最高峰のテープ。

いきなりド級のテープだがリファレンステープとするならやはりこのクラスが望ましい。

スーパーメタルマスターは2000年代初めの頃、現物を秋葉原でかなりの数を大人買いしている。
その後、店頭からなくなると、オークションでも手に入れた。
当時、オークションでの価格はすでに1本3000円だったが、今考えれば安い。
当時からカセットの絶滅に危機感持っていたので無理してでも買っておいてよかった。

このテープの希少性は世間の評価に任せるとして、果たしてその実力はいかに?

コレクションとして所有するのもいいが、やはり物は使ってなんぼだ。

久々にこいつに録音するのはちょっとドキドキ。

今後の多くのカセットテープの基準とするべく、気合を入れていこうと思う。

今回ソースとして使用するのは、

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おそらく、オレのこれまでの人生で一番再生回数が多いアルバムだろう、

レベッカの4thアルバム「REBECCA Ⅳ Maybe Tomorrow」だ。

このCDは、2013年にリマスターされ、かつBlu-Spec CD2 で収録されている。

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もともとレベッカのアルバムはアナログレコードの頃から録音がいいと思っていたが、初CD化された時もレコードと比べても不満はなかった。

過去のレベッカのアルバムが全てBSCD2で再発されたので、全アルバム大人買いしている。

で、このリマスター後の音はというと、見違えるほどの高音質だ。

しっかりリマスターしましたという音だ。
(わからないか)

ビートルズのリマスターの時同様、音圧は上がり、全体に音がくっきりになっている。

もともとレベッカの楽曲はそれぞれの楽器の分離がよく、ボーカルに隠れることなく前面に押し出された録音がされていているのが特徴だ。
ドラム、ベース、ギターはテクニックがあれば耳コピできそうなくらいよく聴こえる。

まあ、有名過ぎてちょっとベタな感じもしたがこれを録音ソースに決定。

そして、次は録音に使うデッキ。

何台か所有するデッキの中からどれを録音マシンとすべきか。

今回はテープがソニーだから、ソニーにしよう。

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SONY TC-KA7ES

常設のパイオニアのT-D7をどかして、ラックにセッティング。
もちろん、ヘッドのクリーニング&消磁もやって準備完了だ。

KA7ESは比較的新しく、オークションや中古屋でも手に入れやすく、まだメンテナンスも大丈夫?だと思われる。

そして音質はお墨付きである。

せっかくなので背面の写真も1枚。
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LINEのイン/アウトしかない。

使用したケーブルは、

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オーディオテクニカ製のそこら辺にあったそんなに高くないケーブル。

それでは、そろそろ始めようか。

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再生側は、

Marantz DV9500

SACD/DVD Audioを5.1chでアナログ出力ができるので大切に使っているユニバーサルプレーヤーだ。

5.1chのCDを持っていなければ買い替えてもよいが、そのCDのためだけに手放すことは今後もないだろう。

今はまともに5.1chを再生できるプレーヤーは少ない。

それでは、まずはダイレクトに再生音をチェック。

録音するときは必ずヘッドホンを使う。

オレの愛機は、MDR-1A Limitedだ。

それでは、CDの音をカセットデッキから出してみよう。

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電源いれて、ヘッドホンをカセットデッキに差してヘッドホンのボリュームをとりあえず上げる。

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モニターレバーを操作し、SOURCE側にし、右端REC LEVELつまみで音量を上げてみる。
こうすればレベルメーターの振れ幅と連動して、カセットデッキからCDの音が聴ける。
接続は問題ないようだ。

写真ではカセットはすでにセットしており、オートテープセレクターがタイプⅣメタルを認識している。

このデッキの場合、テープをセットした時点で、テープタイプに応じた参考のピークレベル範囲がレベルメーター上下に表示される。
メーター右端の赤い点線部分がそれ。
この範囲内までレベル上げていいという目安である。
(個々のカセットの目安ではない)

適当に録音するなら、大きい音が出たときに赤点線範囲にメーターが振れるところまでREC LEVEL
を上げて録音開始すればOK。

でも、このデッキは3ヘッドかつキャリブレーションでより詰めたセッティングができるので、録音はまだだ。

こっから先はKA7ESのやり方なので、デッキが変わればやり方も変わるので注意。

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ディスプレイ上部のCAL(キャリブレーション)ボタンを押すと、写真のような画面になる。

では、マニュアルキャリブレーションを始める。

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カセットテープをセットし、RECボタンを押したら、キャリブレーション待機状態となる。

この状態からプレイボタンを押すとキャリブレーションの開始。

テープも当然回る。
つまりテープにテスト信号を録音しながらの調整となる。

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再生ボタンを押すと上記のように信号が流れ、メーターが振れる。
メーターの上部がHIGH、下部がMIDで同じレベルで振れるよう、BIASつまみを調整する。

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次にLEVEL(赤字)の横の図形が■だけになるよう、REC LEVELつまみで調整する。

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調整できた。
この間も先にやったBIASが狂うので同時に微調整していく。

最後にREC EQの調整。
(真ん中のつまみ)

赤い上下の矢印の位置にメーター先端がくるようつまみで調整する。

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3つのつまみで全ての調整が完了。

スーパーメタルマスターのつまみの位置は上記の通り。
これでカセットのキャリブレーションは完了。

テープを停止して、巻き戻す。

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再び録音待機状態にするが、まだ録音はしない。

最後の調整、CDを再生し、デッキの再生ボタンを押して仮録音を開始する。

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右端の大きいREC LEVELつまみで録音レベルを調整していく。

瞬間の大きい音が赤点線の範囲内に入ってくるよう、つまみを回していく。

油断すると音が歪みはじめるので、ここは自分の耳を頼りに歪まないギリギリまでレベルを上げていく。

録音レベルを高く設定できれば、再生時はボリュームを下げられる。

これがローノイズなカセット録音の基本。

NRなしでもCDがソースならテープヒスはそこそこ抑えられるものだ。

再生時に音量を上げなくていい分ノイズも聴こえにくい、結果S/Nのいい音になるという簡単な理論。

メタルテープはMOL値が高いので録音レベルを高めに設定でき、上記の恩恵を受けやすいのがメリットでもある。

さて、録音レベルを歪まないギリギリまで上げることができた。

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ピークホールドが+10dBまで振り切ったと示しているが、音は歪んでいない。
(さすがスーパーメタルマスターである)

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こっからが楽しいところ。

SOURCE/TAPEの切り替えレバーでCDとテープの音を聴き比べにかかる。

3ヘッドカセットデッキの真価はここにありだ。

録音ヘッドの後に再生ヘッドがあるので録音しながら録音したばかりの音をモニターできるのだ。

何度か切り替えして聴き比べてみたが、ぜんぜんCDの音に近くない。

高域がこもり気味でメリハリがない。

キャリブレーションの調整ができたからといって求める音になるとは限らない。

もちろんキャリブレーションを信じてそのままの設定で録音しても構わないが、もっといい音で録れるならそれにこしたことはないだろう。

ここで落胆する必要はない。

今回はCDの音にいかに近づけるかという目的でREC EQとBIASをいじってみることにする。

スーパーメタルマスターの実力はこんなもんじゃないはずだ。

と、いうわけで。

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聴き比べの結果、REC EQとBIASを限界まで回してしまった・・・。

CDの音に近くという話になるともともとのキャリブレーション設定から大きく変わった。

キャリブレーションの意味がないように思えるかもしれないが、感度合わせのために最初の手順は不可欠なわけで、最後は好みに合わせただけ。

だからオレはデッキの推奨キャリブレーションはそれほどあてにしていない。

結局いつも最後は自分の耳で調整する。

ちなみにNRは今回はOFF、でもHX PROは入れている。
HX PROは再生時のデコード不要なのでついてるなら無条件に入れるようにしている。
(つまり他のデッキで再生しても有効ということだ)

録音した音はCDに近い音になり、ブラインドテストではカセットの音と気づかないと思うレベルになった。
テープ特有の磁性体のドロップアウト箇所の音飛びがテープだということを気づかせるが、これはカセットの宿命。

高い録音レベルのせいか、すでに曲間に転写音が聴きとれた・・・。
(こんなすぐにでも転写してしまうのか)

とはいえスーパーメタルマスター恐るべしだが、キャリブレーション結果を見る限り、ややじゃじゃ馬な感じも受ける。

昔オレのデッキでソニーのテープを使いきれなかった理由はここにあったのだろうか。

とはいえこのカセットこそソニーナンバー1の音なんだろう。

ナカミチでやったらどうなるのか、また次の機会でやってみようと思う。
(あと安いテープでも)


気合を入れてスーパーメタルマスターに録音してみて、CDに近い音で録音できることを確認できた。

これはカセットテープにとって、これ以上ない褒め言葉だと思う。

が、アナログの世界だからデッキによってはそうはならない場合もあるだろう。

他にも素晴らしいカセットテープは存在するので、これがナンバー1とは断言できないがポテンシャルが高いのは間違いない。

ちなみに46分テープを使用したが、KA7ESのカウンターでは片面24分で48分録音できることを確認。

まあどんなテープでも最低30秒は多めに入ってるものだ。

カセットによっては2分以上のものもある。

サービス分はありがたいことだが、余った分は結局早送りが必要という意味ではサービスもそこそこにというところか。

なお、今回の録音方法はあくまで好みの音に仕上げることを目的としており、キャリブレーション
終了時点の設定で録音したほうが無難だったりすることもある。

あくまでデッキのキャリブレーションを信用できないオレのやり方だ。

アナログの楽しみとして、3ヘッドデッキの存在意義は自分好みの音作りの幅が広がるところにある。

キャリブレーションの先に残された自分の味付けを我慢する必要はない。

3ヘッドデッキを所有していなくとも、テープを変えれば自分好みの音が見つかるはず。
(オレは昔そうしていた)

すでにそのテープを選べない現状ではあるが、自分の環境に見合ったカセットの楽しみ方ができれば
それでいいだろう。

機会があれば、現代普通に店頭で買えるテープでも同じことやってみたい。

限界まで性能を高めたかつてのカセットテープを今回使用したが、果たして現在のテープの実力はいかに?

昔録ったカセットテープをいい音で聴きたい

かつてカセットテープに録音して楽しんだ世代としては当時のライブラリは貴重な資産だ。

果たして当時のカセットテープを今も大切に持っている人はどれくらいいるだろう?

ほとんどの人が処分したか、実家の押し入れにしまいっぱなしだと思う。

オレの場合、考えて見れば何度かの引越しの際にも当時のカセットをひたすら運び続けていたということになる。
記念写真のアルバムを捨てられないのと同じで自分の生きた証と考えているからだ。

途中でデジタル化して整理しようと思ったことは一度もないし、ましてや捨てるなんてことはもってのほかだ。

ある時からカセットテープだけは写真アルバムのように保存していこうと決めていた。
(ただし、当時のカセットは手元にあっても写真アルバムは手元にはないが・・・)
とにかくオレにとって、自分でダビングしたカセットテープだけは特別だった。

カセットテープの時代が終わり、DATに移行した時にも数本のカセットを整理したくらい。
あとはうっかりデッキに巻き込んでしまい、テープをくしゃくしゃにしてしまったことも何度かあったが、今後は細心の注意を払い、1本も失わないよう努めよう。

今では時々それらのカセットテープをカセットデッキやウォークマンで再生しては懐かしい写真を見るかのように当時に思いを馳せる時間が何物にも代えがたいものとなっている。

さすがにわざわざカセットへ録音することはもうなくなってしまったが、再生するだけならカセットデッキのメンテを兼ねた日常的な楽しみとなっている。

従って、常にカセットを再生できる環境を維持し続けることもライフワークのようになっている。

カセットテープはアナログメディア故、その音質はテープの種類、録音・再生環境などでどうにでも変わってしまう。

それがカセットテープの面白いところでもあり、泣き所でもある。

友達に録ってもらったカセットを自分のデッキで再生したら音が悪かった、ってことは当時のあるあるだった。

音が悪いテープはそのほとんどが高音がこもっている、あるいは再生スピードが違うとかだ。

カセット再生における基本は、録音したデッキで再生する自己録再がベストとされるのはそういう理由からだ。

しかし、録音に使ったデッキやラジカセが既に手元にないのなら、もう録音当時の音の再現はほぼ不可能だ。

高域がこもった音は本当に残念だ。

後付けでトーンコントロールやイコライザで補正してしまうという手もあるが、再生のたびにやるのは面倒だし、オーディオマニア的にはそれでは納得がいかない。

そこで本題に入るが、自分の持ってるカセットをもう一度綺麗な音で聴いてみたいのなら方法はある。

【方法1】
デジタルプロセシングデッキで音質を補正する
わかりやすく言えば、カセットデッキの機能で高域が出ていなければ補正し、テープヒスを軽減する方法だ。
それができるのはパイオニア T-D7だ。

 パイオニア T-D7
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【方法2】
アジマス調整できるデッキでヘッド角度を調整し、録音時の音に近づける。
当時の録音状態の再現としては理にかなった正攻法である。
オレの所有するデッキではCR-70やDRAGONでアジマス調整可能だ。

 ナカミチ CR-70
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今回はこの方法1,2の両方を試し、その効果を検証してみる。

ソースとして使用したのは、

(1)レコードからNR OFFで録音したカセット

(2)CDからNR Cで録音したカセット

いずれも当時所有したAKAI HX-R44の2ヘッドリバースデッキで録音したものである。

これをデジプロデッキ パイオニア T-D7とアジマス調整可能なナカミチ CR-70で試聴する。

比較はより細かい違いがわかるようヘッドホンにて行った。

使用したヘッドホンはSONYのMDR-Z600。
モニター系のくせの少ないヘッドホンだ。



(1)レコードからNR OFFで録音したカセットでの検証

アルバム:松任谷由実/NO SIDE
TAPE:TDK MA
Position:Metal
N R:OFF
SOURCE:レコード
DECK:AKAI HX-R44

当時全てのカセットテープのインデックスカードに書き込んでいた最低限の情報だ


【方法1】
Pioneer T-D7 の設定
NR:OFF
Digital NR:ON ※ドルビーNRではないがノイズ抑制効果がある
FLEXシステム:ON ※周波数を平坦化し、主に高域補正に強い

・感想
曲間のレコードのトレースノイズやテープヒスは「サー」ではなく、
デジタルNRの効果により、かなり低い「ゴー」という感じで聴こえる。
低い音なのでいわゆるテープのホワイトノイズほど気になるものではない。
レコード特有の「パチッ」っというノイズは「プシュー」っという感じで角が取れたような音になる。
これは全てT-D7に搭載されたデジタルNRによるノイズ処理効果である。
ちなみにスピーカーから音を出すとこの曲間ノイズはほぼ気にならない。
録音レベルが高ければCD並みの静寂性といっても過言ではない。

曲が始まると高域が異常なほど鮮やかに聴こえる。
T-D7は音楽信号を一旦デジタルに変換して補正するのだが、NR OFFで録音したカセットでも
あたかもNRを入れたかのようなノイズの少ない音で各楽器も実に明瞭になる。
ドラムの切れのよさも心地よく、明るく元気な印象に補正されるようだ。

とても綺麗にキチっと再生してくれるのだが、ややこじんまりとした音場が気になる。
おそらくはデジタルNRの弊害と思われ、わずかな残響はカットされてしまうためと思われる。
残響がカットされれば音場が狭く聴こえるのは当然のことだろう。
ヘッドホン試聴では特にそれが顕著に現れる。
そこに違和感を感じる場合はデジタルNRだけはOFFでもかまわないだろう。

あと気になったのは曲の終わりにフェードアウトする曲はブリージング現象(息つき現象)が
目立ち、とても不自然になる時があった。
例えばNRをOFFで録音したカセットをdbXをONで再生した時のような、抑制されたような音。
これもスピーカーで聴くとあまり気にならない部分だがデジタルNRを切ればこれはなくなる。
フェードアウト部分だけでなく、スローな曲・静かな曲でもブリージングが目立った。

デジタルNRのノイズ除去効果は超強力。
あまり不自然に感じるならOFFにしてFLEXシステムのみ使うでも十分楽しめるだろう。
本来の音を出すという考えではないので嘘くさい感じではあるが単純にどのテープでも最高の音で再生してくれる。


【方法2】
Nakamichi CR-70の設定
NR:OFF
プレイバックアジマス:手動聴感による補正

・感想
曲間のレコードのトレースノイズ&テープヒスは「サー」と普通に聴こえる。
NRがOFFなのでこれはどのデッキでも変わらない部分。
良くも悪くも録音時の状態を再現するので、元が質のいい録音であれば見事な再生音である。

曲が始まると、T-D7とは打って変わって雰囲気が違う。
ごく自然な音でストレスを全く感じない。
あー、これが録音した時の音なんだなという説得力がある。
やはりT-D7のFLEXシステムの補正は原音に対して味付けがされているということがよくわかる。
CR-70では高域はT-D7に比べればぜんぜん出ていないのだが、高域がこもっているわけではない。
音楽信号はいじらないのでこれが本来の音ということだ。
先にT-D7で聴いてしまうと高域不足を感じるが、アナログらしい安心する音だ。
それにしても聴き進めていくごとに、まるでそのままレコードを聴いてるような錯角さえ覚える。
当時のカートリッジが拾った部屋の空気までもが再現されてるような心地よさだ。
録音した当時に戻ったように、時折はっとする瞬間がある。
CR-70の本来の再生性能の高さを見せ付けられた。



(2)CDからNR Cで録音したカセットでの検証

アルバム:今井美樹/エルフィン
TAPE:TDK MA
Position:Metal
N R:C
SOURCE:CD
DECK:AKAI HX-R44

【方法1】
Pioneer T-D7
NR:C
Digital NR:ON
FLEXシステム:ON

・感想
もともとノイズの無いCDがソースでさらにNRがCとくれば曲間のテープヒスは皆無と言ってもいいほどの静寂性。
デジタルNRとのダブルノイズリダクションともなると、もはやカセットテープであることを忘れるほど。
デジタルNRは通常のノイズリダクションとの相性も悪くないようだ。

曲が始まるとやや息つき現象を確認した部分があるものの気になるほどではない。
もともとの録音状態がよいものほど違和感は軽減するように思う。
FLEXシステムにより補正された高域もレコードがソースの時より自然だ。
不思議なことにフェードアウト部分の息つき現象も違和感が少ない。
これはCDなのか?
と思わせるカセットのイメージが完全に打ち消されるほどの衝撃を覚えた。

【方法2】
Nakamichi CR-70の設定
NR:C
プレイバックアジマス:手動聴感補正

・感想
曲間のテープヒスはNR Cと言えど、ヘッドホン試聴ではわずかに「サー」と聴こえる。
曲が始まるとやはりT-D7との違いは歴然。
やはり響きが違う。
自然な空間の広がりや消え行く楽器の残響音があったことに気づかされる。
また、ボーカルとバスドラの中低域が意外と太かったのだということにも気づく。
T-D7で補正された高域は原音以上に補正された高域が出ていたことがわかる。
比較すると高域が最も顕著に違いが現れる部分のようだ。
それにしてもいくらカセットテープとはいえ、ソースがCD(デジタル)だと綺麗に録れているほど"味"がないなぁとも思えてくる。
逆に言えばCDを聴いているのとそう変わらなく感じるということなので凄いことなのだが。



総評

パイオニア T-D7
NR OFFで録音したカセットはテープヒスが激減するデジタルNRの影響が強く出やすいようだ。
アナログのもつ本来のなめらかさが失われているなと感じる部分が伺えた。

デジタルNRは微小な音やわずかな残響音もノイズと判断してカットされるようだ。
フェードアウト部分がブリージング現象で違和感がでてくるので、曲間ノイズを取るか、雰囲気を
取るかでON/OFFを切替えて好みで使用するとよい。

FLEXシステムによる高域補正は、原音以上に高域が補正されるため、若干バランスが崩れる。
言い換えれば、元気な音に生まれ変わるという感じだ。
デジタルNRと同様、高域に不足を感じなければ使用しないという選択もありだ。

本来の目的でのこもった音を改善するという意味では十分すぎる仕事をしてくれる。

結論としては、レコードからの録音やNRを入れていないカセットは状況により補正機能はOFFの場合がよいことがある。
CDソースやNRを入れた録音ほど、この補正機能との相性はいいように感じた。
オレはほとんど使わなかったが、NR Bでの録音や市販ミュージックテープの再生時にはさらに効果的かもしれない。
もちろん補正機能をすべてOFFとしての素の再生も可能であるので好みで試してみるのも面白い。

T-D7の音は、

昔録ったカセットを "デジタルリマスターした音"
と表現したい。


ナカミチ CR-70
レコードがソースでNR OFFのカセットの再生は最高のパフォーマンスを見せてくれた。
言うなれば録音したデッキをいいアンプに繋ぎ直して聴いているかのような感じだ。
テープヒスはそのままではあるが記録された音を十分かつ味付けなしに引き出してくれる。
それだけに録音品質が重要だと痛感した。

CDソースかつNR有りの再生はもはやCDそのものというレベルである。

CR-70の音は、

昔録ったカセットを "当時のままプラスαで再現した音"
と表現したい。


どんなカセットテープでも再生するだけ、またはデジタル化が目的であれば、T-D7とCR-70はこの上なくいい仕事をするカセットデッキである。

1980年代屈指のモンスターデッキ TEAC Z-7000

カセットは世界中に普及し、誰もが気軽に聴けたアナログメディアだ。

それだけに、その姿形はさまざま。

同じカセットでもラジカセやウォークマン、カセットデッキと再生手段が違えばまた違った音になる。

そんなお手軽なカセットだが、当時はもの凄い執念で各メーカーがカセットの限界と可能性に挑んでいた。

名門TEACのひとつの答えがこれだ。

TEAC Z-7000
価格:298,000円
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亜鉛ダイキャストボディ
録再コンビネーション3ヘッド
N  R:B,C,dbx
ワウフラ:0.019%以下
f  特:20~22,000Hz±2dB(EIAJ,メタルテープ)
S/N比:92dB(dbx IN 1kHz)
Dレンジ:110dB(dbx IN 1kHz,ピークレベル)
寸  法:432(幅)×163(高さ)×437(奥行)mm
重  量:17.9kg
※別売りワイヤードリモコンあり

当時ティアックのフラッグシップモデルである。
高級カセットデッキであるにもかかわらず、名門ナカミチの影に隠れてあまり目立たない存在であるが、当時はかなりの存在感だった。
オレはただただカタログを眺めては操作する妄想をしていたた。

見てくれだけでない驚異的なスペック。
ボタンだらけのメカニカルなデザイン。
アクリル製のカセットリッドと大型ディスプレイも目をひく。

とにかくデカイ、重い。
到底カセットデッキと思えない。
カセットデッキなのにアンプ並の重量のため、ラックの一番下にセットしている。
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カセットはアナログ信号で録音再生する音響機器。

アナログはそもそもコピーするごとに劣化していく。

しかしデジタルなら理論的に劣化はない。

オレは逆に劣化があるからこそアナログは楽しいのだと思う。
その劣化を極力押さえ込むところに面白さがあるのだ。
だからこそ手間をかければかけるだけ、その苦労が良い音として返ってくる。

その手間を形にするとこうなるんだ、というお手本のようなデッキだ。


正面左側操作部
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最上段ツマミ オートスペースで設定された秒数でレックミュートが機能する。
ただし、印刷の数字は秒ではない・・・(0で2秒、5で7秒、10で10秒)
フェードイン/アウトはあらかじめ設定しておけば録音開始、レックミュートした時点でそれぞれ設定した時間でレベルが自動で上下変動する。

2段目 3ヘッドならではのモニタースイッチは4種類から選べる。

3段目 NRはdbxもあり。

4段目 入力ソースはライン、マイク(LR入力端子有)、dbxレコード、マルチプレックス
フィルタースイッチもなぜかここにある。

5段目 タイマー使用時の動作セレクトスイッチ。

上の写真に写っていないが、この左スイッチ類の下にはヘッドホンボリュームとピッチコントロールがある。
ピッチコントロール付きのデッキは少ない。
違うデッキで録音したテープと回転誤差があるなら調整もできる。(変速範囲は±10%)

しかしZ-7000のこのボタンの多さ、
同じ機能でもつまみにするとかでもうし少しすっきりはできると思うが、あえてのデザインか?

面白いのは、ここまでボタンを多くしておいて、オートテープセレクトだったり、オートキャリブレーションだったりと、マニュアル志向というよりもオート化と多機能化というアプローチの仕方なのだ。
あくまでもスマートに使いつつ、考えられる機能は全部つけたみたいな感じだ。

こんななりのZ-7000ではあるが、普通に再生するだけなら、カセットをセット→NR SYSTEM選択→再生ボタンを押す だけでいい・・・

それにしてもそんな普通の操作も久々に使うと一瞬とまどってしまうほどのボタンの多さだ。
あれ?どこだっけ?とボタンを探してしまう・・・。

正面下部左側の走行系の操作部
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緩やかな斜め配置のボタンはとても見やすく、使いやすくマニアックでもある。
が、ボタンの配置は直感的に使いやすいとはいいがたい。
再生ボタンはもう少し大きくするべきだな。

正面下部右側の操作部
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L、Rのバランスとマスターレックボリューム。
スライドボリュームはカッコいいが使いやすいとは言えない。
特に横スライドは微調整が難しい。

右側の操作部 ※多すぎるので一般的なボタン類は説明省略
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最上段からオートロケータースイッチ類。STZはゼロカウンター位置をサーチ、CUEスイッチでキュー位置を記憶し、STCでキュー位置をサーチ、STRで録音開始位置をサーチ。

2段目 POSITIONで記憶させた2区間をSESスイッチで消去実行。
REPEATゼロカウンターとキュースイッチで指定した区間をリピート再生。
INTRO CHECKは10秒ずつ全曲の頭を再生。

3段目 CPSは希望曲をサーチ。ディスプレイのCPSカウンターに表示された前後の曲をサーチして再生。
ピークホールドはピーク値の一定時間保持のON/OFF。

4段目 使用するテープの長さの設定、46分はラージハブにも対応。

5段目 キャリブレーションした内容を3つまでメモリーできる。
REFERENCEはZ-7000のリファレンステープのキャリブレーションを呼び出す。
リファレンステープは公表していないがキャリブレーションしない時、急いで録音しなければならない時に使える。

6段目 オートテープポジション表示、ディスプレイにも表示されているが・・・

7段目 MEMORYはテープメモリーにキャリブレーション結果をメモリーする時に押す。
正常にメモリーされると隣のOKインジケータが点灯。
HI-EXTENDはONで録音すると高域が改善。ただし再生時もONにする必要がある。
このスイッチはCrO2ポジションテープとMETALポジションテープ時に120uS-EQで録音する為のスイッチ。
(CrO2とMETALは70uSと120uSのEQを切り換えが出来るということ)

8段目 MOLバランスはオートキャリブレーションの際の音質傾向を選択できる。
HIGHは高域重視(f特優先)、LOWは中低域重視(ひずみ率優先)、STDはその中間。

ちなみにオススメテープは取説に表記されている。
当時を代表するテープがずらりと並ぶ。
メタルはメタリック、MA-R、MX、クロームはSA、JHF、XLII、ノーマルはAD、AHF、UDなどなど。
分かる人はこれで年代が大体想像つくであろう。
この中のどれかがリファレンステープということだろう。

またZ-7000はカセットケースほどの大型FLディスプレイが特徴。
とにかくカウンターは大きく見やすい。
30セグメントのピークメーターも視認性が良くカッコイイ!
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このデッキのヘッドはオリジナルをかろうじて保持している。
TEACのメンテナンス時の点検でまだ使えるとの判断を頂いた。
ちなみにサービスの人曰く、オリジナルではないが代替ヘッドはあるとのこと。
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肝心の音質だが、今回は簡単な再生のみ行った。
他デッキで録ったテープを再生し、ヘッドホンにてモニター。

音質傾向は、中低域が厚く特徴がある。
スピーカーから出た音もやはり中低域がしっかりしている。
ソースに忠実というより、いい意味でやや色付けがされた音だ。
少しリバーブがかかっているような心地いい響きが付加されたような再生音だ。
誰もがものすごく鮮烈な音を想像するかもしれないがアナログらしい柔らかい音には驚くことだろう。
これはナカミチの音とは対極かもしれない。
図体のわりにとても優しい音なのだ。

いいデッキほど原音に忠実かつクセがなくというイメージだったのだが、実際ナカミチはそれである。
しかしZ-7000は別のアプローチでいい音を目指したと感じる。

ただし、今回は他デッキで録音した試聴の結果である。
自己録再ならまた違った感想を持つかもしれない。
そういう意味ではZ-7000の実力を見極めるには、再度検証の必要があるだろう。


※修理時備忘録
ピッチコントローラー部オリジナル部品はTEACで在庫なし。
今回ピッチコントローラを交換したが、ON/OFFの切替えが固定となってしまった。
本来はつまみを押すことでON/OFFの切替えができた。

※2017/4現在 TEACサービス対応不可

※以下検証項目
①SES使用時、もしくはRECポーズ時に耳障りなクリックノイズが記録される事はないか?
②周囲の温度が高い状態で使用していると、未入力時でもレベルメーターの表示が-40dBと-30dBの間(-35dB)の表示が点灯する事はないか?
③dbx録音時(録音同時モニター時)に無信号状態に微かに「プー」とういノイズが入らないか?
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