ウォークマンといえばまずは "カセット" というイメージだ。

ウォークマンはカセットから始まり、現在はネットワーク接続型のメモリタイプウォークマンだ。

音楽メディアの変遷と共に形を変えながら時代を駆け抜けたのもウォークマンである。

そこにメディアありきがウォークマンのウォークマンたるゆえんとも言えた。

しかし、何を隠そうメディア不要のウォークマンもかつて存在したのだ。

今では当たり前を通り越してすでに不要とも思えるFMを聴くためだけのウォークマン。

かつて、ラジオを手軽に外に持ち出せることがすごいと思われる時代があった。

SONY SRF-40
1980年
標準価格:11,800円
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通称:FMウォークマン

単三乾電池3本で駆動する。
今にしてみれば燃費が悪くエコでない、どデカイFM専用のウォークマンだ。
もちろん想像通りの重さ。

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カラーは初代ウォークマンに採用されたメタリックブルー。

ちなみにウォークマン=ブルーというイメージはこのころから定着しているのか?
ソニーのブルーはとにかく美しい。
(この写真ではきれいに見えないが)

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時代背景としてはカセットウォークマン初代発売の翌年である。(1号機は1979年)

ウォークマンに当たり前にラジオ機能が付加されるようになるのはまだ少し先になる。

FMも現在の放送内容とはずいぶん事情が違った。

「エアチェック」(死後)と言ってFMからカセットへ音楽を録音して楽しんだ時代。
現在では考えられないが、アルバムは丸々1枚をFMプログラムの中で放送していた。
FMは音が悪いということで著作権にも引っかからなかったのだろうか。

放送ではカセットの録音用にA面とB面とで半分に分けられ、カセットをひっくり返す時間も
作ってくれていた。
ソースがレコードだったので、まあ当然といえば当然だが。

今のFM放送はBGM程度にしか使えないので録音する価値もないが、インターネットという言葉もなかった時代、FMは貴重な無料音源だったのだ。

むしろウォーキング環境でFMを聴くにはある意味現在のほうが向いてるのかもしれない。

このFMウォークマンに対して当時抱いていた思いは、

FMウォークマンの存在はカタログで知るものの、わざわざFMだけのために1万円も出せない。
カセットウォークマンでさえ買えないのに・・・

FMウォークマンを横目に、カタログをボロボロになるまで見ては、いつかは "ウォークマン"をと憧れていた頃が懐かしい。

というわけで時代は変わり、当時全く欲しくなかったFMウォークマンがいまは手元にある。

いったいどんなウォークマンだったのか細かくみていきたい。
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フロントパネル上部はSONYのロゴと電源スイッチ。
オレンジのスライド式がアクセントだ。
なかなか味のある顔である。

上側面
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上部に集中配置された操作部はキャリングケースで腰に装着した時、上から目視で操作すること
を想定して設計されたものだ。
っていうか、実際装着すると逆になるんだけどなぁ・・・

左より、ヘッドホン端子。
2個用意されているところが初期のウォークマンらしいく泣けてくる。

中央にこれまたマニアックな左右独立ボリューム。
正直操作はしづらいがかっこいい。

右がチューニング用のツマミだ。
当然のことながらバリコンなのだがこれがなかなか微妙であわせ辛い。
歩きながらだと不可能に近いほど繊細な操作が必要だ。

ステレオ受信ができると中央のLEDが点灯してお知らせしてくれる。

左側面
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FMのステレオとモノラルの切替えスイッチ。
受信状況が悪ければモノラルにして、ステレオじゃないけどノイズを少なく聴くことができた。
トーク番組程度なら我慢できるだろう。

FM自体聴かない人にはこの使い分けは意味がわからないかな。


裏面
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ベルトホルダと乾電池収納スペース。

下側面
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モデル名や仕様が刻印されている。
今となっては貴重な「MADE IN JAPAN」。

キャリングケースも付属した。
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このキャリングケース、面白いことにウォークマン本体の印字とまったく同じだ。
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その後、ラジオウォークマンは3タイプほど発売されるも、やがてラジオはカセットウォークマンに内蔵される付加機能という扱いとなる。

しかし、当初はカセットウォークマンに対して別売りのチューナーパックというカセット形の外部チューナーをカセットフォルダへ装着することでFMに対応した。

さらに進化を続け、本体へ完全内臓となったのは言うまでもない。


ポータブルタイプのラジオはその後もダウンサイジングを続けながら無数に発売されていった。

しかし、それがFMウォークマンと呼ばれることは二度と無かった。
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