さくの家電のーと

オーディオ、音楽、家電全般に関する備忘録ブログ

松田聖子

松田聖子 ミュージックテープ(オリジナルアルバム)

聖子のオリジナルアルバムでミュージックテープ(カセット)として日本で公式発売されたのはレコード同様CBSソニー在籍時代のもののみ。

事実上、聖子のオリジナルアルバムで最後のミュージックテープとなったのは1996年5月発売の「WAS IT THE FUTURE」だがこれは海外のみの発売だった。
従って、国内ではそのひとつ前のアルバム「It's Style'95」(通算25枚目)が最後のミュージックテープとなった。
(ただし、アジア地域では独自にカセットでの発売が継続されていた)

そんな聖子のミュージックテープ。
どんな特徴があったのか、当時人気を二分した明菜のカセットと比較してみる。

まず、聖子の方がタイトル数が圧倒的に多い。
明菜が16タイトルに対し、聖子は26タイトル。
もちろんデビューが聖子の方が2年早く、休止期間にも違いがあることを考えれば差が付くのは当然。
しかし、現代の常識で考えればアルバムは1年に1枚出せば良い方で、10枚なら少なく見積もっても10年分にあたる。
現代の常識で考えればせいぜい3,4枚の差となるはずが実際はそうではないということだ。
つまり現代よりも約3倍ほどのペースでアルバムをリリースしていたということになる。
実際、両者とも一年に2,3枚のペースでアルバムをリリースしていた時期があったからこそ、これほどまでに差がついてしまったのだ。
もちろん明菜の16タイトルも活動期間を考えれば聖子同様異常な数字だ。
さらにベストやコンセプトアルバムをカウントすればいっそう現代の常識では考えられない枚数となることも付け加えておこう。

次に聖子のミュージックテープにはカセットならではの特典がほとんどないことが挙げられる。
カセットテープであるということはそれだけで音質に不利である。
だからこそレコードと同価格で販売されたカセットは価値を見出しにくいのだ。
明菜のミュージックテープにはレコードに付属したピンナップやカレンダーをカセットサイズにしてつけてきたし、カセット独自のお得な部分もあり、カセットを選択しても大きな負い目はそれほどなかっただろう。
なので明菜のカセットと比べれば聖子のは質素そのものだ。
(もともと聖子のアルバムはおまけが少ないというのもあるが)
聖子の場合、1タイトルだけカセットだけの限定盤が存在したが、カセットでお得と思わせたのはこれだけだった。
比べてお得感があるのは断然明菜のカセットということになる。

次に注目したいのがミュージックテープのリリース年による形状の変化だ。

レコードは時代が変わっても変化は感じられないが、カセットの場合パッケージングが大きく変化していくので面白い。
よってミュージックテープではその歴史も感じ取れるのだ。

そういうわけでミュージックテープにはならではの驚きや発見があるのも魅力のひとつだ。

それでは詳しく見ていこう。


松田聖子 オリジナルアルバム分のミュージックテープ全巻
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個人的には、公式発売されたオリジナルアルバムは上の全26タイトルだと定義している。
うち、一番右端の「WAS IT THE FUTURE」は国内発売はされなかったものの、もともと海外向けアルバムであり、海外では公式発売されたためここに含めている。

よって国内発売分のみと考えるなら下の25タイトルが全てとなる。
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さらに細かく言うなら「North Wind」の初回限定盤と海外盤オリジナル「Seiko」を含めた全28タイトルでコンプリートとなる。
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ところで、並べてみてまず気になったのは背タイトル部分。
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「Windy Shadow」以前までの初期パッケージ9タイトルに限るが、アルバムタイトル以上に目を引くのがシングルタイトルだ。
アルバムタイトルとほぼ同サイズフォントでアルバムに収録されているシングル曲名が記載されている。
これはレコードにはないミュージックテープ独特の慣習によるものだ。

ミュージックテープの収集を始めた頃、これに違和感を持つと同時にすぐにピンときた。
そういえばそうだった。
当時レコード屋で見かけたミュージックテープの棚はこういう感じのが多かったのだ。

カセットで買うということはレコードプレーヤーを持っていないからだろう。
しかし、シングルヒット曲をカセットで聴きたいと思っても当時はまだポップス分野ではカセットでシングルを発売するという感覚はなかったのだ。
(あくまでそういう時期もあったという意味、後発ではカセットでシングルも発売された)
つまり、当時シングルといえばシングルレコードの一択だった時期があった。
なのでカセットでシングルヒット曲を聴きたいとなるとアルバムが出るまで待たなければならなかったのだ。
だからアルバムに収録されているシングル曲を前面に出し、これを買えば聴けますよとわかりやすく明示していたのだ。
ミュージックテープはこの背部分を表にして店の棚に陳列されていたので、膨大なカセットの中からでもお目当てのシングル曲を探しやすかっただろう。

ではなぜこんなご丁寧なことをする必要があったのかということになる。
これは当時を知らなければ理解できないだろう。
まずバックグラウンドにあるのは当時は老若男女問わず音楽ジャンル問わず音楽が親しまれていたということがある。
若者は普段聴かない演歌のヒット曲を知っており、年配者は若者のポップスを知っている。
例えば小学生の誰もが流行りの演歌を歌えるほど知ってるし、おじいちゃんおばあちゃんがアイドルの曲をいくつも知っているという状況だ。
今では到底考えられないだろう。
つまり、アイドルのレコードやカセットと言えど、購買層が広かったということが一番の理由だと思っている。
例えばカセットの購入者はレコードプレーヤーを持たない子供や高齢者が多かったと仮定すれば合点がいくのだ。
もっといえば中学時代のクラスの女子はラジカセオンリーという子が当時はまだ多かった。
単にヒット曲を聴きたいだけであればアルバムタイトルだけを書かれていてもどれを買っていいかわからない。
おじいちゃんが孫に「夏の扉」が入ったカセットを買ってきてと頼まれたら「夏の扉」と書かれた「シルエット」を簡単に見つけることができるだろう。
これはそもそも当時の演歌のカラオケテープ等では当たり前にやっていたことだ。
そういう意味で初期のミュージックテープアルバムはシングルの代わりも担っていたということだ。
この慣習は聖子のアルバムだけでなく多くのアーティストのカセットでも見ることができた。

次にカセットの形状の変化を見ていきたい。

【初期または終末期】
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最もシンプルでコストがかからなそうな形状。

しかし、長期保管には向かない一番ダメなタイプでもある。
見てわかる通り、カセットケースの外に露出した部分(レコードでいう背表紙とジャケット裏部分)が問題となる。
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カセットのインデックスだけでレコードと同じジャケットデザインを再現するにはこうするしかないという苦肉の策だ。
この部分が普段の取り扱いや経年劣化でボロボロになっていくのは当然だ。
しかも紙が薄っぺらく強度がないのでさらにたちが悪い。
中古ではこの部分がボロボロだったり、切り取られていたりと程度の良いものが少ないのがこの仕様の最大の欠点である。
綺麗に保つにはもう自分でカバーをかけるか極力触らないという方法しかない。

これは初期だけに限らず、ミュージックテープの終末期になると再びこのタイプを目にすることになる。
終末期に再びみかけたのは売れないものにお金はかけられないコスト的な理由からだろう。
聖子のミュージックテープでは初期ものに多く見られた。

【中期】
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初期の裏ジャケットぼろぼろ問題を解決した決定版。
厚紙製のスリーブケースにカセットケースを収納するタイプだ。
このスリーブケースにジャケットの裏表を印刷することでレコードと同等のジャケットデザインが可能となった。
当然ジャケット写真はLPに比べずいぶん小さくなるが初期仕様と比べれば大きな進歩だ。
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しかし、スリーブケースもLPジャケットほどの耐久性はないので、汚れや破れの問題はそのままこのスリーブケースが引き受けることになる。
そのおかげで中のカセットケースは保護されるのは利点である。
ミュージックテープといえばまずこれ、という佇まいで親しまれた形状だ。

聖子のオリジナルアルバムでこれを採用したものはないが、初期のベスト盤やサントラでこの形状を採用しているものがある。

【後期】
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これぞまさにミュージックテープの最強進化形だ。
これを初めて見た時は画期的だと思った。
ジャケットとケースが一体型でまさにCDケースのカセット版といったところ。
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ジャケットはさらにビニールカバーで覆われ、ぼろぼろ対策も万全。

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カセットはワンアクションで取り出し可。

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歌詞カードは収納場所が確保され、この樹脂製ケースは非常に割れにくい。

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あえて欠点を挙げるなら、カセット側面が露出しており、ここだけは汚れる。
カセットへのほこりの混入も避けられないのは言うまでもない。

カセット全般の残念な部分のひとつにプラケースが割れる、または汚れて曇るというのがある。

(これはCDのプラケースにもいえることだが)
そのケースがなくなったというだけでなんとストレスが減ることか。
ただし、これは一時代に採用されたミュージックテープ専用ケースのため、交換用ケースが存在しないのが泣き所だ。
また、複数収納できないので2枚組の場合は2個口にする必要がある。
(Bible等はこの仕様)

とにかくミュージックテープは他メディアに比べて外装を美しく保つことがとても難しいメディアなのだ。

ちなみにこの形状は改良版であり、これ以前の初期仕様ケースも存在する。

下の大滝詠一「A LONG VACATION」はいち早くこのケースを採用していたが、ビニールカバーがないのでジャケットが汚れるタイプである。
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露出したジャケットは多少の防水加工がされており、破れにくいものの汚れだけは避けられない。

さらに歌詞カードの収納スペースを確保していないため、ケースとジャケットの隙間に挟むことになる。
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固定されない歌詞カードはケースの開け閉めでずれていき、背ラベル部分に移動すると曲がって癖がついてしまうという欠点があった。

聖子のミュージックテープは全て改良版が採用された。


それでは個別に見ていこう。


SQUALL
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発売日:1980年8月1日
価格:2,700円
品番:27KH 844

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記念すべきファーストアルバム。
レコードとカセットの2メディアで同時発売された。
1980年と言えばオレはまだ小学生で聖子のアルバムまでは聴いておらず、リアルタイムでは知らないアルバムだった。
(とはいっても歌番組を見てシングル曲は知っていた)
そもそも初めて聖子のアルバムを聴いたのは1982年の6th「Candy」で、それも友人がレコードからダビングしたカセットを借りて聴いたのが初だった。
その後、自分の意思で聖子を聴いたのは「オーディオ小僧ダビングの流儀」でソースとした1983年の8th「Canary」を貸しレコード屋から借りてきた時だ。
なので数年遅れて聴いた「SQUALL」には当然思い入れはないのだが、後追いで聴いた時の感想は「なんか古臭い」だった。
何しろ「ユートピア」「Canary」「Tinker Bell」あたりが聖子の入口となればそりゃ古臭いと思うのも無理はない。
それだけ聖子の楽曲が進化していたということでもある。
しかも声質が「風立ちぬ」あたりから変わっていたのでいわゆるキャンディボイスではないファーストアルバムの頃の聖子の歌声にさらに違和感を感じたのだ。
聖子ほどの長いキャリアになると、ファンには必ず自分の世代のアルバムがあるわけで、どんなに名作と言われようが自分の中の名作は人それぞれなのだ。
とはいえ、年を取れば好みも多少は変わる。
(というより、いいものがわかるようになるといった方が正確か)
子供の頃に食えなかった野菜が食えるようになった程度であるが、そんな好みの変化が一番大きかったのもこのファーストアルバムである。
ここから「Tinker Bell」までは初期仕様形状のため、ジャケットにあたるインデックスカードがいかに綺麗に残存しているかがポイントとなる。
聖子のミュージックテープとして最古であるが、タマ数が多いので中古といえど程度のいいものもまだ存在するだろう。


North Wind
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発売日:1980年12月1日
価格:2,700円
品番:27KH 932

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聖子のオリジナルアルバムのミュージックテープでは唯一初回生産限定仕様の特殊パッケージが存在するアルバム。
(聖子の限定仕様カセットは2つあるが、もうひとつはベストアルバム「Seikoe・Plaza」である)
レコードでは初回仕様がないアルバムでなぜカセットだけなのかは謎であるが、当時は確かにカセットのみの発売とかカセットが優遇されるケースも少なくなかった。
品番は同じであり、価格も据え置きなのでかなりお得といえる。

その初回限定盤を細かく見てみよう。
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発売日:1980年12月1日
価格:2,700円
品番:27KH 932

一目瞭然、カセットケースサイズではない。
サイズはおよそ14cm×11cm×1.5cm。
通常盤ではカットされている部分(両肘)のその先まで見ることができるジャケットがうれしい。
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この手のものはだいたい紙で作られており、サイズは規格外で自由自在だ。
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型は全て紙で作られている。

カセットサイズに縛られないことで封入されるものも制限がなくなる。
しかし、通常サイズのカセットと一緒に保管できないのは難点だ。
また、紙製である以上ケースの経年劣化は避けられない。
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固定されていない蓋を開けると、上のように収納されている。
蓋裏には別ショットの写真、ケース側には聖子のサインが印刷されている。

カセット本体はこの時期の通常色であるホワイトハーフとは異なるブラックのハーフを使用し、通常盤との差別化を図っているようだ。
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歌詞カードは見開きタイプで、開くと横12.7cm×縦20cmのビッグサイズになる。
LPの歌詞カードと同じ紙質で作られているため、丈夫で歌詞も見やすい。
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このショットはレコードでも使用されていない特別な撮りおろしなので、レコードよりもお得な部分といえる。

カセット本体は通常のプラケースでなく樹脂製の特別ケースに収納され、聖子のイラストとサインが印刷されている。
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このケースはソニーのブランクテープでも一時期使われたことがあり、これが初見ではない。

屋外に持ち出す時はこのケースだけを持ち運べるよう配慮されている。
ケース用に曲目が記載されたカードが付属するのだ。
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これはシールになっており、ケースに直接貼り付けることができる。
タイトルは上の写真の背ラベル部分に張り付けられる。

曲目はここら辺だろう。
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聖子の限定仕様は少ないので希少な一品といえる。


Silhouette ~シルエット~
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発売日:1981年5月21日
価格:2,800円
品番:28KH 992

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レコードとカセットの価格が2700円から2800円に変わった価格変更後のアルバム。
以降1980年代はレコード・カセットとも2800円が定着することになる。
オレの中ではレコードといえば2800円だ。
当時でも2700円のLP、600円のシングルを見ると古いなぁという印象を受けた。
2800円といえば子供には大金だが、価格相場は現在とさほど変わらないようにも思う。
しかし、現代のアルバムは余計なものをつけすぎだ。
それで価格をつり上げている感があり、現代のほうが高いと錯覚してしまう。
限定盤、通常盤、配信など選択肢が増えたのは手放しで喜べるものではない。
大した特典もなく、皆同じアルバムを持っていた当時のほうが純粋に音楽に没頭できていたような気がしてならない。


風立ちぬ
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発売日:1981年10月21日
価格:2,800円
品番:28KH 1083

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聖子の声質の変換期として有名な4thアルバム。
聖子として初めてシングルタイトル名がそのままアルバムタイトル名となり、コンセプト性が強いことでも有名だ。
A面は大滝詠一のアルバム「ロングバケーション」の曲と対をなしており、大滝がリリースできなかった実質のロンバケ2であると大滝は後に述べている。
聖子の初期ミュージックテープの中で「風立ちぬ」のような、色使いの少ないジャケットは傷みが目立つ傾向にある。
初期仕様のケースであるゆえ、ジャケット写真が色落ちしやすいのだ。
もちろんこれはカセットでのみ言えることで、レコードジャケットは紙質が違うので問題ない。


Pineapple
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発売日:1982年5月21日
価格:2,800円
品番:28KH 1160

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ここにきて一気に聖子のアルバムイメージが明るくなったと感じるアルバム。
ジャケット写真も初めて歯を出して笑う姿が採用され、最も夏を感じさせる1枚だ。
キャンディボイスに明るい曲調、全編元気に歌い上げるこのアルバムは初めて聖子を聴く人にもおすすめだ。
個人的な感覚として、パイナップルのミュージックテープは意外にまともな個体が少ないように感じる。
人気盤であるせいか、流通量は多いものの痛みが激しいものも多く、コレクションに苦労したカセットのひとつだ。


Candy
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発売日:1982年11月10日
価格:2,800円
品番:28KH 1252

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オレが人生で初めて聴いた聖子のアルバム。
別記事にある通り、初期ロットでテイク違いが収められたアルバムだが、それがこのミュージックテープにも存在することを確認している。
松田聖子 オリジナルアルバム「Candy」ファーストプレス盤検証

もちろん当時はそんなことは知る由もない。
当時聴いてどう感じたかはよく覚えていないが、シングル曲しか知らないガキだったオレは大人の世界を垣間見たような気持ちだっただろう。
当時聴いたのは友人のK君がダビングしたカセットでだ。
インデックスにはK君が手書きした曲名が記されていた。
ただ、B-5「真冬の恋人たち」が「真冬の変人たち」と書き間違えていたことだけは忘れられない。
「これ間違いだよな」と一応確認したことを覚えている。
結果的にK君のおかげで思い出のアルバムとなったのだ。
(ただし、K君がダビングしたカセットの音はキラキラしていて抜群によかった)
貸しレコード屋の存在を認識したのもこの頃だろうか。
買えないなら借りればいい。
お金がなくても聴ける音楽が増えることにワクワクした。
ある意味オーディオに目覚めるきっかけにもなったアルバムだ。


ユートピア
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発売日:1983年6月1日
価格:2,800円
品番:28KH 1310

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前作で聖子のアルバムを意識したにも関わらず、この超名盤の当時の記憶がほとんどない。
ダビングしたものを聴いていたのには間違いないが、発売後すぐではなかったと思う。
数年後にレコードで所有することになるが、やはりリアルタイムで聴いていないと当時の感想が溢れ出てこないようだ。
やはり音楽は可能であればリアルタイムで聴くことがとても重要だ。
その時代の出来事、空気も含めてアルバムに想いを託すのは何事にも替えがたい財産になるのだ。


Canary
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発売日:1983年12月10日
価格:2,800円
品番:28KH 1425

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「オーディオ小僧ダビングの流儀」の記事ではソースアルバムとした、オレが初めて自分でダビングした思い出のアルバム。
オーディオ小僧 ダビングの流儀 その1(カセット選定編)

当時の貸しレコード屋で見た店内の様子など細部を未だに記憶しているのもこのアルバムのおかげだろう。
なぜこのアルバムを借りたのか理由を覚えていないが、これでも自分の中では目一杯背伸びした方だ。例えば、気になっていた女の子を急に意識してしまったような、恋心に近い感覚だったかもしれない。
そんな不純な理由で選んだ最初の一枚だ。
とにかくオレのオーディオの原点となったアルバムといっても過言ではない。
といってもまだラジカセしか持っていない頃なので、ダビングするかFMラジオが新しい音楽を聴くための手段だった。
そういえばオーディオを意識するようになってからはミュージックテープを買うことはなくなった。
もっぱらレコードからダビングを繰り返し、これから買うならレコードという感じだった。
自分でカセットに録音した音は本当に最高だった。
なぜこんないい音で録音できるのか不思議でしょうがなく、そこからオーディオに興味を抱いたのだろう。


Tinker Bell
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発売日:1984年6月10日
価格:2,800円
品番:28KH 1485

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オレにとって聖子にどハマりするきっかけとなったアルバム。
もちろん聖子アルバムマイベスト10には確実に入るほどのお気に入りだ。
当時はやはりダビングしたものであるがここからはリアルタイムで聴いたのは間違いない。
(たしか奮発してマクセルのXL-ⅡS(金ラベル)にダビングしたはず)
この頃になると、とにかくレコードからダビングするという作業が面白くて仕方なかった。
未だにA-1イントロのロードスターのエンジン音を聴くと当時の情景が目に浮かぶ。
友人の間でもオーディオ仲間は多くなり、オーディオ談義に花を咲かせたあの頃が懐かしい。
カセットテープにはごひいきのメーカーがあり、「流派」があることを意識したのもこの頃だっただろう。
ダビングしたカセットが1本また1本と増えていくことがとても嬉しかった。
それと共に自分でダビングしてみたいと強く思い始めたのもこの頃だ。
兄貴がいる友人はそのおかげですでに自分でダビングできる環境を手に入れており、すごく羨ましかったのを覚えている。
その友人の家には学校帰りによく集まっていた。
メーカーは忘れてしまったがレシーバーにレコードとスピーカーを組み合わせた本格的なコンポを兄から譲り受けたのだと言っていた。
貸しレコード屋にも一番近いその友人宅で1枚のレコードを全員でダビングしたことはいい思い出だ。
ダビングの最中はもちろん電気屋でもらってきたオーディオのカタログをみんなで眺め、あれが欲しいこれが欲しいと語り合った。
オーディオのモチベーションのひとつの要素は競い合いであると思っている。
そんなオーディオ好きな友人に囲まれて、誰が一番最高の音質で聴けるのかに熱くなっていたからだ。
では、今のオレのオーディオに対するモチベーションは何だろうかと考えた。
結局のところ今は楽しかった80年代の追体験をするために当時のオーディオやレコードを買い集め、アナログの音をたしなむことが一番のモチベーションになっている気がする。
オーディオの音質はその次なので、ハイエンドとは到底言い難いシステムで聴く貧乏オーディオマニアなオレであるが、それに満足もしている。


Windy Shadow
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発売日:1984年12月8日
価格:2,800円
品番:28KH 1600

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ここからはミュージックテープ史上最強の樹脂製ケースの出番となる。
中古でもこのケースを採用したものはだけは綺麗なものが多い。
汚れには非常に強いが日焼けしないわけではないので油断は禁物だ。
また、このアルバムからカセットのハーフが白からグレー系スケルトンに変わる。
ただし、再び白ハーフに戻るのでこの変更理由は未だ判然としない。
このアルバムの初盤CDにはプレス時期の違いで別アレンジが収録されていることで有名である。
松田聖子 オリジナルアルバム「Windy Shadow」ファースト/セカンド/サードプレス盤検証


The 9th Wave
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発売日:1985年6月5日
価格:2,800円
品番:28KH 1685

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聖子のCBSソニー中期アルバムとしては個人的にそれほど印象に残っていないアルバム。
やはりこれ以前のアルバムが良すぎて、明らかなパワーダウンを感じていたからだと思う。
ただし「星空のストーリー」だけはなぜか好きすぎて未だに何度もリピートしてしまう自分がいる。
ベースラインが独特でかっこいい曲なのだ。
聖子のようにたくさんのアルバムが出ていると、もうなかなかアルバムを1枚通しで聴くことがなくなってくる。
そんな時はお気に入りの曲だけ飛ばして聴くのだが、ミュージックテープであれば曲飛ばしは逆に面倒。
(というか選曲が難しい)
そういう意味ではアルバムに最も真正面から向き合えるメディアこそカセットなのだなと思ってしまう。
好きな曲が1曲でも入っているアルバムはその理由だけで、アルバム自体を思い出して聞き返すきっかけとなるものだ。


SOUND OF MY HEART
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発売日:1985年8月15日
価格:2,800円
品番:28KH 1720

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全編英語詞で話題となった1枚。
当時はてっきりこれで海外進出するかと思ったが、実際は国内販売に留まったようだ。
未だにこれはなんだったのかと思うが、その後の聖子の海外向けアルバムを見ても、アジア人はそうそう欧米圏で受け入れられるものではないのだと当時実感していた。
ただ「DANCING SHOES」など一部の曲は海外盤シングルが存在しているので、アルバムも海外で発売されていた地域があるようだ。
(日本では12インチシングル化された)
当時の感想は歌詞はわからないが曲はかなりカッコいい曲ばかりだと思っていた。
当然のことながらこれまでの聖子の楽曲とは大きく雰囲気は異なるが、決して駄作というわけではなく、むしろ十分評価できる作品だと思っている。
まぁ逆にこの時聖子が海外流出してしまっては後の名盤も生まれなかったわけで、現代のスタンスが確立できたのも、この当時からの地道な積み重ねがあったからということなのだろう。


SUPREME
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発売日:1986年6月1日
価格:2,800円
品番:28KH 1850

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前作から約10か月、本来の聖子が帰ってきた。
ミュージックテープの裏面にはここからバーコードが印刷されるようになる。
ひとつ思ったのはカセットのサイズではバーコード部分が結構場所を取るものだということ。
以降のカセットを見てもデザインの妨げになっていると感じる。
また、カセットのハーフが再び従来の白に戻ったのは謎である。
この時、聖子は結婚・出産し、その芸能活動休止中にリリースされたのがこのアルバムだ。
普通、アイドルは結婚してしまえば人気は落ちる、当時は特にその傾向が強かっただろう。
正直オレもがっかりはしており、聖子熱が冷めていたのは否定できない。
しかし、このアルバムを聴いた時、クオリティの高さに驚いたことを覚えている。
実際、未だにセルフカバーや多くのアーティストがカバーもする「瑠璃色の地球」や「蛍の草原」などの名曲揃いでいまもよく聴くアルバムだ。
オレとしては結婚してしまった聖子のファンをやめようと思っていたさなかのことだ。
思うに「The 9th Wave」「SOUND OF MY HEART」と明らかな失速感(迷走?)があったと思っていただけに意表を突かれてしまった。
こんなアルバムを出されては、もう復帰が待ち遠しくて仕方なかった。
もし新しいアルバムが出るのなら絶対に買おう、と聖子ファンであり続けることを決心したことを覚えている。

”アイドルは結婚すればもう終わり”。

そんな常識を覆したのは聖子だったのではないか。

オレはアイドルとしての聖子が好きなのではなく、聖子の歌声が好きだったんだと思った瞬間だ。

大人の階段を1段登って、アイドル好きのオーディオ小僧が音楽好きのオーディオ小僧に成長した節目のアルバムとなった。


Strawberry Time
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発売日:1987年5月16日
価格:2,800円
品番:28KH 2157

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聖子のオリジナルアルバムカセットとしては初めて冊子タイプの歌詞カードが添付された。
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前作から待つこと約1年。
待ちに待った復帰第1弾アルバムが発売された。
この時ほどうれしかったことはない。

このアルバムは発売の報を聞いてレコード屋で早々に予約していたので、本当に待ち遠しかった。

(買ったのはレコードだが)
当時、オーディオ小僧の行きつけのレコード屋は2軒あった。
その内の1店舗で店長と顔見知りになっていたのでこれの販促用のポスターをもらう約束をした。
店長が「ポスターの裏に名前書いといて」と言うので名前を書いておけば後でもらえたのだ。
考えてみたら「SUPREME」の宣伝用ポスターも貰ってたことを思い出した。
(もちろんお店に1枚しかないので早いもの勝ちだった)
さらに思い出したが、行きつけの家電屋でも宣伝用のポスターなどを貰っていた。
珍しいものでは薬師丸ひろ子の等身大パネルを貰ったことがある。
(確か東芝ビデオデッキの宣伝用パネルだった)
自転車で持ち帰るのに風に煽られたり、人に見られたりでちょっと恥ずかしかった思い出だ。
我ながら当時の行動力(情熱)には呆れるほどだ。
さて、発売日には手にしたこのアルバム、早速家に帰って聴いてみた。
その時の感想はもう言葉で言い表せないほどの感動だった。
当時人気だったTMネットワークの小室の曲あり、その他ビッグアーティストから提供された楽曲ありでそれはもう素晴らしい。
聖子がパワーアップして帰ってきたと思ったし、もう聖子ワールド全開な曲ばかりだし音もいい。
未だにマイベスト3に入るほど好きなアルバムとなった。
また、このアルバムはオレが買った聖子最後のレコードにもなった。
この後CDプレーヤーを手に入れたので、以降全てCDで買うことになる。
月日は流れ2020年、長い年月を経て聖子の新譜レコードを再び手にすることになる。
その時思い出したのがこのストロベリータイムだ。
あれから33年の月日が経ち、オレはおっさんになった。
しかし、ストロベリータイムを聴けば気持ちだけは当時のオーディオ小僧に戻れるのだ。


Citron
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発売日:1988年5月11日
価格:2,637円
品番:28KH 5040

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前作からさらに1年。
オレが聖子のオリジナルアルバムとして初めた買ったCDだ。
また、国内で発売された聖子のオリジナルアルバムのレコードはこれが最後となった。
この時、もうレコードを買うという選択肢はなくなっていたのだ。
当時の心情は「レコードよさようなら、CDウエルカム」だ。
レコードの終焉に名残惜しさなど一切なく、ただ新しいCDというメディアに夢中だった。
そんなレコードの影に隠れて発売されていたカセットは存在すら忘れていた。
CDの販売から実に6年、やっと手にしたデジタルの聖子の世界に魅了されていた。
ここまではレコードが存在するとはいえ、当時オレが聴いたのはCDのデジタル音源。
よってこのアルバムの音の基準はオレの中ではデジタル音源だ。
そしてこのCDの音はそれはまぁいい音だった。
録音はロサンゼルスでデビッド・フォスターがプロデュースの完全海外録音だ。
しかしこのアルバムには一種独特のスタジオの音があるような気がした。
表現が難しいが、柔らかく、日本の録音とは違って聴こえたのだ。
良いか悪いかとかではなく空気が違う感じだ。
これまでの聖子のアルバムとは何か違う不思議な感覚を覚えた。
空気感といえばこれ以前にも同じ感覚を持ったアルバムがある。
松任谷由実の「昨晩お会いしましょう」だ。
気のせいかこれも独特の空気感があってやけに生々しさを感じたのだ。
スタジオの空気が録音されているのか、もっと電気的な何かの影響なのか、とにかくそういうアルバムに出会った時はオーディオやっていてよかったと思うし、オレの中では強く印象に残るアルバムとなる。


Precious Moment
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発売日:1989年12月6日
価格:2,800円
品番:CSTL1039

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CBSソニーのカセット品番がここから変わる。
そして、このアルバムからはもうレコードが存在しないので、アナログ音源はこのカセットだけとなった。
そういう意味ではこの品番の変更がその目印になる。
アナログ音源が残ったとはいえ、CDと比べれば音質はかなり劣ると言わざるを得ない。
だからこそレコードだったらどんな音がだっただろうと考えることがある。
そういう意味でここからのアルバムをレコードで復刻するというのも有りだろう。
とにかくこれ以降のミュージックテープは当時のアナログ音源として価値があることは間違いない。
カセットで聖子のアルバムを買い続けていた人にとっては、そのまま継続できるのはありがたいだろうが、さすがにこの頃はCDの普及にも拍車がかかっていた頃だ。
カセットの売り上げは右肩下がりになっていただろうことは想像に難くない。
そういう事情もあってか、これ以降の聖子ミュージックテープの中古は激減する。
デビュー当時のミュージックテープはゴロゴロあるのに、新しいアルバムほど入手しにくいという状況になっているということだ。
売れてないからという理由で希少なのは、MDやDCCソフトも同様なので不思議ではない。
これ以降のミュージックテープは音源的に全て最重要となる。


Seiko
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発売日:1990年6月7日 ※海外では5月15日
価格:2,300円
品番:CSTL1090

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事実上の海外デビューアルバム。
国内では約1か月遅れの発売であったため、オレは当時輸入盤CDを購入し、後に国内盤CDも手に入れた。
ミュージックテープにおいても同様、国内盤と海外盤が存在した。
価格は海外相場を反映したためか2,300円となる。
売上的にはまず成功を収めたようであるが、やはり外国人には聖子のボーカルは理解できないのだと痛感したアルバムでもある。
結局は日本国内ではそこそこ売れたようだ。
現代に至ってはシティポップのブームで聖子の楽曲までも見直されているようであるが、このこともあり、今さら認められてもという感じだ。
そりゃ日本人からすれば英語より日本語の曲の方がいいに決まっている。
だからこのアルバムは聖子の他のアルバムに比べて国内では売れなかったかもしれないが、聖子の声は類まれなる日本の絶対的宝なのだ。
声量ばかりデカく技量にこだわるばかりの海外アーティストを基準に比較し、それ以外を見ようと(聴こうと)しないのは海外のダメなところだ。
(米国のオーディション番組アメリカンアイドルを見てるとそれがよくわかる)
日本人は理解できない言語の歌でも単純にメロディ(音)だけで好む人は多くいる。
だからなんでも受け入れることができるし音楽の幅も広がるのだ。
ボーカルを楽器の一部として聴くことが潜在的にできる民族なのだろう。
おそらくは欧米人にとって聖子の声はアニメ声優のような声に聴こえ、子供っぽいということが本音なのだ。
(本当にくだらない)
まぁそういったことで音楽そのものを聴こうともしない固定観念がなくなりつつある現代であるからこそ、いま日本のシティポップが理解されはじめたのだろう。
さて、恨み節はこれくらいにしておいて、このアルバムは海外デビュー作であり、発売も海外が先ということで、海外盤がオリジナルという解釈が正しい。
なのでそれも掲載しておこう。

・北米盤
品番:CT46046
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これが北米オリジナル盤となる。
カセットはスケルトンでテープとハーフの接触を防ぐセパレーションシートが黒色となる。
また、インデックスカードがジャケット、裏ジャケット、歌詞カード兼一体型という画期的?な形状だ。
海外ではこれが一般的なのだろうが、驚くべきはジャケット裏がカセットケース内に収められていること。
これにより、初期国内盤の弱点であった裏ジャケットぼろぼろ問題は解決するのだ。
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ケース内で取りまわすので、裏ジャケット部分には穴を開けてテープ止めを通すという発想は素晴らしい。

ついでに手持ちがある香港盤も載せておこう。

・香港盤
品番:CJK1472
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これは香港で発売されたいわゆるアジア盤というこになる。
ケース形状は日本の初期仕様に近く、カセットはほぼ国内仕様と同等だ。
裏ジャケットは切り取られたような形跡もあるようで、これが完全な形かどうかは不明。


We Are Love
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発売日:1990年12月10日
価格:2,800円
品番:CSTL1569

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CDの初回盤はスペシャルパッケージで豪華だった。
レコードの時とはそれほどでもなかったパッケージの差もCDに置き換わり大きくなった。
ミュージックテープの限界は音質だけでなく、サイズの限界でもあり、CDにはもう太刀打ちできない状況になっていた。
例えば「North Wind」の初回限定のようなパッケージにでもしない限り、明らかにカセットでは損した気分になってしまう。
もう、持てる武器はアナログ音源であることだけでそれ以外何もない状況だ。
とはいってもこの時代のアナログ音源はレコード亡き後の貴重音源。
レコード発売が無くなってからのカセット音源はアナログの音を聴ける唯一のメディアとしての意義がある。
アルバム自体は12月の発売ということもあり、季節感あるクリスマスアルバムのような雰囲気をまとっている。
「SOUND OF MY HEART」の時同様、英語アルバムの後の懸念は全くなく、いつもの聖子ワールドも健在のお気に入りのアルバムである。


Eternal
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発売日:1991年5月2日
価格:2,800円
品番:SRTL1714

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ここでも品番が少し変わった。
聖子初の初カバーアルバムだがフルカバーでなく1曲だけオリジナルが収録されている。
オレ的にはカバーアルバムならコンセプトアルバムの部類に入るのではと思っているが、公式にはオリジナルアルバムとして分類されている。
カバーなのでオリジナルを知っている曲、知らない曲があったが、総じて言えるのはアレンジの素晴らしさが光るアルバムということ。
カバーと言えば80年代の大映ドラマ主題歌として日本で大ヒットした曲たちを思い出す。
中でも「スクール★ウォーズ」の「Hero(麻倉未稀)」や「ヤヌスの鏡」の「今夜はANGEL(椎名恵)」は秀逸だった。
これらは日本語詞に置き換えられ、アレンジは原曲以上にかっこよかった。
原曲を知らずにカバーを先に聴いた当時のオレはこれらカバー曲に熱狂したものだ。
とにかく日本語版のアレンジは絶妙で、申し訳ないが原曲よりカバーの方が好きなものがほとんど。
そんなバックグラウンドがあって、このアルバムのアレンジも安心して聴けたというのがある。
後に続編が制作されたのはこのアルバムの評判がよかったからということだろう。


1992 Nouvelle Vague
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発売日:1992年3月25日
価格:2,800円
品番:SRTL1807

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90年代に入るとオレは聖子のライブにかなり足を運ぶようになる。
全て日本武道館公演だったが、3日間全てを見た年もあった。
その後発売されるライブのLD(レーザーディスク)も欠かさず購入したものだ。
このアルバムを引っさげたライブツアーも例にもれず見に行った。
この頃からか、ライブ前に発売されたアルバムを短期間で聴き込むようになる。
直近のアルバム曲を知らなければライブが盛り上がらないという理由からだ。
聖子は毎年定期的にライブをやってくれたので、ファンの間ではいつの間にかそんなことが慣例となったのだ。
ただこんなことが続くと、アルバムを聴くという行為がライブのためということに置き換わるのは当然の流れだろう。
(逆にいうとライブが終わると聴かなくなる)
当の聖子もライブツアーのために新譜を出さなければという義務感のようなものがなかったとは言い切れない。
この頃になると聖子のアルバムは自ら作詞作曲した楽曲が多くを占めるようになる。
一人でそれをこなすことがどれだけ大変なのかは想像を絶する。
そしてそれを待ち望む何万人ものファンがいるのだ。
となると懸念されるのは楽曲のクオリティだ。
多くは語らないが、アルバムの目的がライブのためという比重が高くなれば残念なアルバムが出てくることも予想できる。
しかし、ひとつ言えることは90年代のアルバムはそれでもクオリティが高かったということだ。


Sweet Memories'93
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発売日:1992年12月2日
価格:2,800円
品番:SRTL1853

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既存曲のリメイクを多く含むコンセプト性の高いアルバム。
残念ながらオリジナルアルバムとしてのクオリティは持ち合わせていないと思っている。
(リリース時期も12月だし)
おそらくこのアルバムを好きなアルバム上位に持ってくるファンは少ないことだろう。
完全コンセプトアルバムとすればまた意味が違ってくるのでそれなりの評価はできるアルバムであるが、オリジナルアルバムにラインナップするのであればこれはかなり弱い。
あまり聴きこんでいないアルバムのひとつで、このアルバムを今聴いてもなにも思い出が出てこない。
タイトルの付け方でも損をしている、これはないなと思う一枚だ。


DIAMOND EXPRESSION
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発売日:1993年5月21日
価格:2,800円
品番:SRTL1864

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オレ的にはオリジナルアルバムとは認められなかった前作から約半年後。
待ちに待ったニューアルバムはとても満足のいくものとなった。
まずジャケットがいい。
「Pineapple」を思わせる黄色を基調とした派手なジャケットだ。
タイトルも何やらゴージャスな雰囲気。
(ダイアモンドというワードは聖子にとって定番ワードな気がする)
もちろん曲も粒揃いの良曲が多く、今でもちょいちょい聴きたくなるアルバムのひとつ。

好きすぎて怪しいアジア盤も入手したのでついでに載せておこう。
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聖子の「聖」が・・・
やはり国内盤だけでいいやと思わせた1本だった。


A Time for Love
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発売日:1993年11月21日
価格:2,800円
品番:SRTL1899

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クリスマスコンセプト要素が強いアルバム。
しかしこのアルバムとにかくジャケットが好きなのだ。
この聖子は最高に可愛いと思う。
(髪型がかなりレア)
オレのジャケットベスト10を選ぶなら必ず入ってくるだろう。
これのAmazonメガジャケが欲しい。

それはそうと、この記事ではすでにレコード未発売分に何タイトルか突入しているわけだが、ミュージックテープについてひとつだけ考える部分がある。
それはA面とB面のことだ。
1989年の「Precious Moment」からはレコードが存在しないのでつい忘れていたのだが、カセットでは当然のことながらA面とB面が存在している。

つまり作り手として、A面B面を意識したアルバム作りをまだやっていたのかということだ。
(それは現在にも通ずることだが)
以前どこかの記事で書いたが、レコード時代のアルバムはA面からB面に切り替える間が発生するため、これを前半後半と捉えて、ある種のストーリー性がそれぞれの面にあったということ。
(別にストーリーがなくてもいいが)
また、レコードの外周と内周の音質差や収録時間という制約がそのストーリーを描くための一種の縛りの要素があったのだ。
ただ、CDの時代になると真ん中で分けて考える必要はないので制約無しで自由に作れる。
1曲目から10曲目までで大きなストーリーを好きに描けばいいのだ。
しかし、カセットでもリリースする以上はまだ何かストーリーがあるのではとつい意識してしまうのだ。
たしかにレコードからCDへ移行したての頃は、オレもなんとなくCDにはまだその名残りはあるなと意識していたものだが、果たしてどうなのか。
カセットテープで音楽を聴くということは、そんなメッセージも含めて聴くということなのだ。
CDであってもそんなことを考えながら聴くと、また新しい発見があるかもしれない。


Glorious Revolution
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発売日:1994年6月12日
価格:2,800円
品番:SRTL1911

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このアルバムでもいえることであるが、オレはアルバムの1曲目はロック調で導入するものが好きだ。
(最低限キャッチ-なポップスであればよい)
90年代に入ってからもその傾向が続いていたので、作曲は聖子本人がやっているということはほとんど意識していなかった。
もちろん当初の作曲は小倉良との共作ではあったものの、80年代の天才作家の協力により作り上げられたアルバムと比べても大きな遜色があるとは感じなかったのだ。
聖子はアイドルなので曲まで作る必要はない、ボーカルだけに集中してくれればと思うのはファンの偏見かもしれないが、ファンとしてはやはりいい曲を聖子に歌ってほしいと思うものだ。
しかし、90年代のアルバムを振り返ると好きな曲は山ほどあることにも気付く。
つまり聖子は作曲の才能もあるってことだ。
ただし、どんな有能な職業作家であっても駄作はあるし、出てこないこともあるだろう。
アイドルである聖子ならなおさらそこは責められない。
しかしながら90年代のアルバムは80年代の流れから大きなギャップもなく順当に聴いていられたような気がするのだ。
何が言いたいかというと、全曲聖子が作曲のアルバムも忖度なしでいいアルバムはあるということだ。
現代に至るまで、かなりの曲を聖子は作ってきたが、さすがに90年代までの勢いは感じられない。
そんな中でも自分が好きな傾向の曲を集めてマイベストを作るとするなら、かなり強力なアルバムが作れると思うのだ。


It's Style'95
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発売日:1995年5月21日
価格:2,800円
品番:SRTL1951

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聖子の国内盤ミュージックテープとして最後のアルバムとなった。
よってこれ以降、アナログ音源は国内では公式に存在しないということになる。
(ただし、プロモ盤としてレコードやカセットが作られることもあった)
そういう意味ではアナログで聴ける最後のアルバムであり、このミュージックテープは大変貴重だ。
アルバムは全体にキャッチ-かつポップな安定の仕上がりとなっており、今でも時々聴きたくなる1枚だ。


WAS IT THE FUTURE
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発売日:1996年5月14日 ※国内はカセット未発売
価格:不明
品番:31454 0480 4

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「Seiko」に続く第二弾全米向けアルバム。
パッケージングは前作同様の海外仕様。
このアルバムは裏ジャケットにも写真を使っているので仕組みがわかりやすい。
シンプルにして非常に優秀なパッケージ仕様なので日本でも採用してもらいたいほどだ。
日本国内ではCDが約1か月遅れで発売され、メディアもCDのみとなった。
そうなると、やはりオリジナルはこの北米盤ということになるだろう。
このジャケットはかなりお気に入りでLPサイズも欲しいなと思わせる。


おまけ

Vanity Fair
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発売日:1996年5月27日
価格:不明
品番:532454-4

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これはミュージックテープの公式盤としてカウントしないおまけ。
基本的に海外盤には興味がないのでオリジナルでなければほとんど所有していないが、リリース順につながるということでこのアジア盤を掲載することにした。
日本語の通常のアルバムは当時もアジア圏では広く発売されていたため、このようにカセットが存在するのだ。
(おそらくレコードまではないはず)
そもそもアジア盤は日本語のままでリリースされることが多い。
それゆえ怪しい日本語が散見されるのはこの手のものでは珍しいことではない。
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明日へと駆け出してゆこ

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ロマンテックにKissしましよら
もし、も一度戻れるなら

まず、ハーフに直接印刷されているのは珍しい。
「う」を「ら」と勘違いし、また小文字は不得意のようだ。

日本国内ではメジャーレーベルのミュージックテープのリリースはほぼ90年代中頃には終わっている。

細々と2000年頃までリリースしたレーベルもあるが、終焉は実質1995年くらいと見ている。
新しいものが好きな日本人はメディアの切り替えも早い方なのだろう。
対するアジア地域では日本のポップスは人気があるため、日本よりもまだ売れるカセットという形態で販売は続いていたようなのだ。

90年代中盤となれば日本ではCDがメインの音楽メディア。
MDやDCCがカセットの後を引き継いだが、CDよりも音質が劣ることや記録メディアでもある(カセットテープの代替)というイメージから販売数は従来のカセットに遠く及ばなかった。
しかしアジア圏でMDなど普及するわけもなく、継続してカセットが使われ続けため、日本発売されていないミュージックテープが海外でだけは存在したのだ。

「Vanity Fair」はデビュー当時から在籍したCBSソニーを離れ、マーキュリーへの移籍第一弾アルバムでもある。
当時のことはよく覚えている。
まずCBSソニーから離れたことはちょっと残念には思っていたが、アルバム自体は見た目も含め、それをあまり意識させないものだった。
CDにはもちろんマーキュリーのクレジットがあるので確かに変わったのだがやはり聖子は聖子だと思わされた。
とはいえ、鮮烈な印象が残るソニー時代のアルバムに比べれば物足りなさがあることも事実だ。
このアルバムは全アルバムを通しても個人的にはそれほど印象に残るアルバムではなかった。


さて、これが聖子のオリジナルアルバムでカセットでの公式発売分の全てになる。

もともとミュージックテープというメディア自体には思い入れはなかったものの、アルバムはどれも親しんできた思い出があふれるものばかり。

いまとなってはレコード以上に希少性が高いと思われるミュージックテープだが、その存在自体を気にする人は少ないだろう。

そういうオレも少し前までは特に興味もなく、逆にここまで手を出したら沼にハマりにいくようなものだとわかってはいた。

ただ、アナログの一時代を担った音楽メディアのひとつとしてカセットの存在を見過ごすわけにはいかないという思いも少なからずあった。
結局試しに1本手に入れてみたら、レコードでは味わえない音とカセットならではの魅力に気づかされたのだ。

当時レコードやCDで聴いたアルバムを、現代あえてカセットテープで聴いてみて思ったのは、やはり音質はレコードにはまるで敵わないということ。
解像度、音場ともにカセットでは追いつけない部分は多くある。
ラジカセさえあれば、レコードよりは手軽に聴けるとはいえ、複雑な機構を持つ機器を維持していかなければならないのも煩わしい。
ただし、この音こそがカセットならではの音であり、レコードでは味わえないものなのだ。

ノンメディアで音楽を聴く現代において、カセットはおろか物理メディア自体を所有することの意義さえ揺らいでいるのも確かだ。

では物理メディアで所有する意義は何かと考えた時、オーディオマニアの観点からまず言えるのは「音がチューニングできるから」の一言につきると思う。
言い換えるなら、再生環境の影響を大きく受けるので人それぞれ聴く音が違うのが面白いとも言える。

今の時代なら音源をバックアップする必要がないということも重要な要素だろう。

また、物理メディアで聴いていたらこそ、この記事に書いたような思い出が心に残ったのだろうとも思うのだ。
もともと形のない音楽を物理メディアで形として所有する。
歌詞や写真も直接手に取って五感でも音楽を感じる。
どちらが心に残るのかは比べるまでもなく明白だ。

保管スペースや再生の手間が無くなるノンメディア音源は、効率の良さと引き替えに大切なものが欠けている気がしてならない。
それは、オレがこのブログで何度か言っている「音楽は写真アルバムと同じ」という部分だ。
思い出が残せないなら、オレがノンメディアだけで音楽を聴くことは一生ないだろう。

ただし、オーディオの本質を考えた時、高音質再生が第一命題となろう。
それを基準にするとカセットは全メディア中ではもっとも音が悪いという評価になる。
であればよりいい音で聴きたいというのが人間の単純な欲望だ。
より音のいいCD、それに加えて再生時に物理機構を必要としないデータ音源。
高音質で手間もかからないとなれば主流となるのは当然のこと。
そこは全く同意だ。

しかしオーディオの楽しみは高音質だけにこだわると実は全く面白みがなくなるとも思っている。
一番音が悪いカセットをどこまで高音質で再生できるか、なんてことを考えてるとこれはこれで面白いのだ。
つまり、物理メディアはノンメディアよりも遊べる要素が多く、その変化量も大きいということだ。

ノンメディア一択はオレには無理だが、物理メディアとの共存はむしろ大歓迎である。

オレは可能性を秘めたミュージックテープが今は愛しくて仕方がない。

松田聖子 特殊形状スリムケースCDシリーズ

別にシリーズではないが、ある一定期間に発売された聖子の特殊形状スリムケース入りのCDのみを集めてみた。

なぜならこのケース形状が特殊すぎて非常に興味深いからだ。
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このケースはCBSソニー独自だと思っているが、早くもCDケースに革命をもたらした画期的なケースだった。
(結果もたらしてないが)

このケース形状は一定期間採用された後、やがて通常のジュエルケースに戻ってしまう。

その背景に何があったのか?

これはCDの扱いやすさを強調しつつ、ついでに省スペース化を目指して考えられたものだと思う。
しかし後述する不都合な部分が多かったため廃止されたのではないかと推測している。

今となってはCD普及期の試行錯誤とも取れるが、CDの歴史を振り返る上でオレにとっては忘れられないものなのだ。


それでは詳しく見ていこう。


ラインナップ
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まず聖子のアルバムでは全6枚がリリースされている。
いずれもこれらが初期盤となる。

Seiko Avenue(30DH 160)
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帯にある通りCD発売2周年記念として企画されたもの。
よってCDのみ発売で1984年の作品でありながらアナログ音源は存在しない。
限定盤アナログLP「金色のリボン」音源のCD化を基軸とした企画アルバムで当時大きな話題となった。


Windy Shadow(32DH 170)
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プレス違いが存在する10thオリジナルアルバム。
そのプレス違いはこの初盤である「32DH 170」で生じており、この形状以外のCDは全て公式となったサードプレス盤の音源となる。
松田聖子 オリジナルアルバム「Windy Shadow」ファースト/セカンド/サードプレス盤検証


Seiko-Train(32DH 178)
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ユーミンが楽曲提供したもののみが収録された企画ベストアルバム。
面白いのはレコード及びカセットのアナログ盤と曲順と曲目が異なること。
そういう意味でジャケットには「CD VERSION」とある。


カリブ・愛のシンフォニー(32DH 233)
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聖子主演の4作目映画「カリブ・愛のシンフォニー」サウンドトラック。
1枚目帯部がぼんやりしてるのはネットで見つけた写真を加工して手作りしたため。
裏面は全て文字を打ち直したのでまだ見てくれはいい。


The 9th Wave(32DH 238)
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11thオリジナルアルバムで、この年聖子は神田正輝と結婚。
実質独身時代最後のアルバムとなり、翌年1年間は産休を理由に活動を休止した。


ペンギンズ・メモリー 幸福物語(32DH 240)
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アニメ映画「ペンギンズ・メモリー 幸福物語」サウンドトラック。
よく勘違いされるがこの映画の主題歌は「ボーイの季節」であり、CMにも使われた「Sweet Memories」はあくまで挿入歌だ。
このサントラはレア音源の宝庫でもあるので必聴だ。


これらは全て初盤CDに限り、ケースがCBSソニー独自のスリムケースであった。


発売時期とリリース枚数の検証
先に述べた6枚が本当に全てなのかを確認してみる。
発売時期がどの辺りだったのかは前後のアルバムを調べればおのずとわかってくる。
スリムケース採用前後(1984~1985)に発売された全ての聖子のCDアルバムをリリース順に並べてみた。

青:オリジナルアルバム
緑:ベスト・企画アルバム
ピンク:サウンドトラック

ースリムケース採用前ー

1984/6/10 9th「Tinker Bell」→通常ジュエルケース
1984/7/7 サントラ「夏服のイヴ」→2枚組マルチケース
1984/11/1 ベスト「Seiko・Town」→通常ジュエルケース

ースリムケース採用期ー

1984/11/21 企画「Seiko Avenue」
1984/12/8 10th「Windy shadow」
1985/3/6 ベスト「Seiko-Train」
1985/5/3 サントラ「カリブ愛のシンフォニー」
1985/6/5 11th「The 9th Wave」
1985/6/21 サントラペンギンズ・メモリー 幸福物語」

ースリムケース廃止ー

1985/8/15 12th「SOUND OF MY HEART」→通常ジュエルケース
1985/11/10 ベスト「Seiko Box」→4枚組マルチケース

綺麗に分かれているところをみると全6枚で間違いなさそうだ。
つまり1984/11~1985/6のわずか8か月間で発売されていたCDの歴史的にはレアなCDということになる。


次にケースの詳細を細かく見ていこう。


取り出しかた
このケースの特筆すべき点はまずそのギミックにつきる。
どのように取り出すか順を追ってみよう。

1.ケース外観
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一見して通常のスリムケースのようにも見えるが通常のCDケースよりも幅がない。
ちょうどCD盤のサイズと思えばいい。

2.右に開く
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通常左開きのところ、このケースは逆である。
ケースが薄いこともあり、これが実にやりにくい。
普通のやり方で無理に左開きしようとしてヒンジ部を破損することは容易に考えられる。
オレもつい左に開こうとしてしまう。

3.トレー部分を折る
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これがこのケースの最大の特徴。
樹脂製なので折ることができるが意外に強度はありそうだ。
よくこんなこと考えたものだ。

4.取り出す
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おかげで取り出すのはすごく簡単。
なんとなくカセットチックだ。


メリットとデメリット
廃止されたからにはデメリットがあったからだということは予想できる。

メリットは1つ。
薄いので省スペースであることのみだ。

しかしデメリットは多い。

1.右開き
先に述べたようにこのケースは右方向に開く。
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写真上のように通常のCDケースは左から開くという固定概念があるので最初は誰もが左に開こうとするだろう。
すぐに気づけばいいが、無理に開けようとすれば確実に壊れる。
左右変わっただけで実に開くのに手間取るものだ。
それでも右開きとした理由は簡単だ。
このギミックの最終形は左手にケースがある状態。
つまり、最終的には右手でCDを取り出すことができるからだ。
これが逆だと左手でCDを取り出すことになり、恐ろしくやりづらいことがわかる。
(まぁこれは右利きの意見であるが)
さらに右開きということは歌詞カードを右端からいれることになる。
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よってホッチキス止めしてないばらついた方を突っ込むので入れにくいのは言うまでもない。


2.傷の問題
これを初めて見た時とっさに思ったのが、これではCDに傷がつくだろうということ。
左端のCDホールド部を見るとスリッドが入っており、CD外周に向かってスリッドの突起が高くなっている。
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ホールド性を出したかったのだろうがこれが傷の原因となる。
しかも多少のホールド感があり、下に向けてもCDが滑り落ちることはない。
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それゆえ出し入れを繰り返すことで傷がついてしまうのだ。
幸い傷がついても外周のため、信号が記録されていない領域であることから問題ないといえば問題ないのだが。


3.デザインの自由度のなさ
薄く省スペース化を目指したゆえにデザインに制限がかかるのは言うまでもない。
さらにはこのギミック自体もデザインの妨げとなっている。
表こそ通常CDと変わりないがジュエルケースのようなバックインレイ部がないのでジャケット裏のデザインができない。
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よってケースに直接紙を張り付けているのだ。

本来バックインレイが背ラベルを担うがこのCDはケースに直接貼り付けられている。
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しかも、そもそも裏面は折り曲げるので大半は紙を貼ることもできないということだ。
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4.帯がでかい
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普通の帯と比べるまでもなく、特殊な帯だ。
まぁ帯というよりほとんど裏面ジャケットデザインのためといった方が正しい。
カセットやMDでも同様の形状のものがあり、これをオレは包み帯と呼んでいる。
通常の帯でさえ収納場所に悩むというのに、これだけはどうしようもない。
そこで、ここで生きてくるのが元オーディオ小僧のCD保管の流儀ということだ。
元オーディオ小僧 CD保管の流儀 その1
これはもうこうするしかない。
中古で帯がないものが多いのは保管場所に困り、やがて紛失してしまったということだろう。
オレは帯を当時の情報を知る上でも貴重なアイテムと捉えているが、この帯ほどなければ意味がないと思わされたものはない。


5.歌詞カードに制限
このケースはとにかく薄い。
となると収納する歌詞カードの厚さには大きな制限がかかるのも当然。
つまりページ数が多くなるほど収納が厳しくなるのだ。
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通常のCDケースは約2.5mm程度の厚さまでは入る。

しかし、このケースはそのおよそ半分ほどだ。
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それこそ写真集のおまけやらピンナップ、ステッカー等を入れる余裕はない。
このケースが生き残ったとしてもCDシングル用途としてがせいぜいだっただろう。


6.耐久性
このケースは薄いこともあり、特にヒンジ部の耐久性が低い。
通常CDケースでさえもよくあるのだから当然だろう。
しかもこのケースはもともと市販のブランクケースが販売されていないため、破損したら交換する術がない。
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ヒンジがこわれたケースが一枚ある。
もともとアルバム「Windy Shadow」のプレス違いを複数枚集めていたので替えがあったのが幸いした。


あとがき
このケースはCDがようやく認知されはじめた頃のものだ。
(普及はまだ少し先の頃)
よって当時のCDの意気込みを感じられる貴重な歴史資料だ。

最初に発売された1枚目「Seiko Avenue」の帯にある通り、CD発売2周年を記念して考えられたケースと思われ、以降5作が採用に至ったが結局それ以降続かなかったのだ。

当時オーディオ小僧は、このCD発売時点ではまだCDプレーヤーをもっていなかったので、後から購入している。
やがてCDプレーヤーを手に入れた時には、すでに通常のジュエルケースに戻っていたので、なぜこの時期だけこんな変なケースなんだ、といろいろ考えたものだ。

しかし驚いたのはこのギミックだけでなく薄さ。
のちにCD選書シリーズで久々に薄いケースに出会うことになるがそれは1990年代に入ってからだ。
また、縦長のCDシングルがなくなると12cmスリムケースへ、CD-Rなどはスーパースリムケースへと、新しいスリムケースが出てくることになる。

そのスリムケースという概念が1984年時点で形は違えどすでに作らていたと思うと驚きだ。

結果的にこの形状は受け入れられなかったが、将来のCDケースの姿を予感させるものだった。

今となっては長いCDの歴史の小話のような感じのものだが、オレは当時を強烈に回顧できるこのケースが大好きなのだ。

松田聖子 オリジナルアルバム「Windy Shadow」ファースト/セカンド/サードプレス盤検証

アルバム「Candy」同様、10thオリジナルアルバム「Windy Shadow」にもプレス違いで音源が異なるものが存在する。

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具体的にはファーストプレス、セカンドプレス、サードプレスの3パターンがあり、一部収録曲のミックス違いの組み合わせでこのような状態となったようだ。

対象曲は以下

B-3:銀色のオートバイ
B-4:ピンクのモーツァルト


この2曲について別テイクまたは別バージョンが収録されている。

なお「Candy」と大きく違うのはLPとカセットのみでなく、CDとマスターサウンドまでも巻き込んでいるということなので事情は複雑だ。

今回はデジタル音源も存在するということなので、最も手軽なCDにスポットを当ててバージョンの違いを検証したい。

それでは見ていこう。



リリース日時の確認
1984年12月8日:オリジナルLP、カセット、マスターサウンドカセット、初盤CD
1984年12月21日:マスターサウンドLP
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1984年はまだまだレコード全盛の時代であったが、CDもより認知されるようになった頃だ。
この頃になるとようやくCDはアナログメディア(LP、カセット)と当時発売となり、マスターサウンドLPのみ少し後発だった。
となるとマスターサウンドLPだけは後述する全パターンの音源が存在しないことが考えられる。

アルバム「Candy」は聖子のボーカル録り直しという大前提があったため、ファーストプレスは失敗作、セカンドプレス以降が正規盤という印象だが、「Windy Shadow」についてはどちらかといえば車のマイナーチェンジのような雰囲気だ。
詳しくは後述するが、ボーカル録り直しはなく、気づかないかもしれない微妙なアレンジの違いのみで済まされているからだ。
(聖子不在で可能なマイチェンであり、制作側のこだわりということ)

詳細な経緯は不明であるが「Candy」同様にシビアなこだわりがあっての差し替えと思われる。

結局1984年時点のサードプレスで使われたマスターテープが後の全ての再発盤(現在に至る)で採用されているため、やはり数が少ないレア音源ともいえる。
ただ、違いを楽しむというほどのものではないため「Candy」ほどの面白みはない。


プレス時期違いによる組み合わせ

プレス時期 銀色のオートバイ ピンクのモーツァルト
ファーストプレス 初期ミックス シングルバージョン
セカンドプレス 初期ミックス アルバムバージョン
サードプレス以降 正規ミックス アルバムバージョン
※Wikipediaの情報による

「銀色のオートバイ」は初期ミックスと正規ミックスが存在し、一部演奏のアレンジが異なる。
「ピンクのモーツァルト」は当初シングル音源をそのままアルバムに収録したが、後にやや雰囲気の異なるアルバムバージョンに差し替えられたということだ。
サードプレス以降の組み合わせが現在も流通する正規盤ということになる。


外見の違い
当然のことながらジャケット、帯、歌詞カードに違いはないので比較は不要。

判別方法は「Candy」同様、マトリクス番号の違いで判別するしかない。
「Windy Shadow」はオリジナルLP/カセット、マスターサウンドLP/カセット、CDの5メディアでそれぞれで先述した3パターンが存在する可能性がある。

今回は手軽なCDで確認する。
手軽といっても扱いがという意味で、対象となるCDは特殊形状の初期盤に限る。

つまり「32DH170」の品番のCDのみが対象だ。
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初期版は独特な形状のスリムケースなのでわかりやすい。
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マトリクス番号での判別
初期盤に見られるスリムケースのCDだけでのみ3パターンが存在する。

よっていくらCDが手軽といっても結局初期盤でないと聴くことができず、スリムケース以外のCDはすべてサードプレス音源である正規盤となってしまう。

3パターンあるCDの判別方法は、例によってCDレーベル面の内周側に印刷されたマトリクス番号を確認する。
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手持ちの初期盤CD3枚とネットに出回る情報を元にそれぞれまとめてみた。

・ファーストプレス(銀色初期MIX/ピンクシングルVer)
マトリクス番号が以下であればファーストプレスという情報だが、現物確認では「21」のみ確定。
32DH-170 11(ネット情報のため未確認)
32DH-170 21(現物確認済み)

・セカンドプレス(銀色初期MIX/ピンクアルバムVer)
現物では該当なかったためマトリクス番号が不明。

・サードプレス以降(銀色正規MIX/ピンクアルバムVer)
以下の通り31でサードプレスになるようだ。
現物もその通りだった。
32DH-170 31(9thさん情報により確定)
32DH-170 31A2(現物確認済み)
32DH-170 31A3(現物確認済み)


というわけで、CDではセカンドプレス(銀色初期MIX/ピンクアルバムVer)の組み合わせの持ち合わせがなかった。
実質ファーストプレスさえもっていれば、あとは現行のCDで全ての音源は揃う。
とはいえ、セカンドプレスの組み合わせの盤が実際に存在するのかが気になるところ。
そこで仕方なく所有するCD以外のLP/カセットを全て聴いてみたが、これもファーストかサードプレスのどちらかのみでセカンドと呼ばれる組み合わせはなかった。

Wiki情報が正しければセカンドプレスの組み合わせも世に存在するのだろうがマトリクス番号付与パターンを見る限りセカンドプレスの謎は深まるばかりだ。


音の違い

銀色のオートバイ
わかりやすく確認できた違いは以下。
(細かく探していけばまだまだありそうだが)

1.初期ミックスは2コーラス目が終わった後の短い間奏部分(3:51~3:57)でシンバルっぽい「シャーン」が3回入る。

正規ミックスはここがウィンドベルで「キラキラキラ」っとなる。


2.1の後につづき「銀のバイク 自由な風に乗り」の歌いだし(3:59~)からボーカルのバックでウッドブロックの「コーン」が何度か入る。
正規ミックスはこれがない。


3.さらに2の後に続き「私を連れてって 知らない海へ」の歌いだし(4:07~)からボーカルの間にドラム(ドドン)が何度か入る。

正規ミックスはこれがない。

わかりやすく書くと、
ピンク字はボーカル
青字は初期ミックスのアレンジ
緑字は正規ミックスのアレンジ
※記載時間は実際のCDの記録位置

2コーラス目最後のサビ(3:36~)
銀の~~ バイク~~
長距離の~トラック~~ 驚いてぇ振り向く
私は~女よ


間奏(3:51~)
シャ~ン シャ~ン シャ~ン

キラキラキララ~~~~~~ン

スローなサビリピート1回目(3:59~)

銀の~ バイク~
    コーン
自由な風に乗り~ 私を連れてって
コーン コーン コーン コーン
          ドドン  ドドン
知らない 海へ~
  コーン コーン
    ドドン


・サンプル

銀色のオートバイ(初期MIX)

銀色のオートバイ(正規MIX)

※音質の違いは初期MIXは初期盤、正規MIXはSACD盤のCD層からリッピングのため


ピンクのモーツァルト
これはもともとのシングルバージョンかアルバム用アレンジバージョンかの違い。
これは簡単に違いがわかる。
イントロからストリングスのリバーブが強く、ボーカルはじめ全体に残響が多いので違いは歴然。
(これは当時から気づいていた)
シングルバージョンは現在手に入るシングル収録の音源と同様。
アルバムバージョンは現在手に入るBSCD2等の最新再発アルバム「Windy Shadow」でも聴くことができる。
現代普通に発売中のアルバムは全てサードプレス同様という認識でよい。

・シングルバージョン

多くの人が知るのがこっち。
ボーカルが聴きやすくバランスのいいミックスだ。

ピンクのモーツァルト(シングルVer)

・アルバムバージョン

逆にアルバムでしか聴いていないならこっちの方がなじみがあるだろう。
シングルバージョンに比べ、かなりストリングスが強調され、そのせいかピアノの輪郭がややぼやける印象。
余韻が長くピアノのアタック音も柔らかく聴こえるがこの響きが広がりを出しておりゴージャスだ。
スピーカーで聴く分には気持ちいいが、ヘッドホンだとやや聴きにくいかもしれない。
当時、初めてこのアルバムを聴いた瞬間から違いには気づいていた。
ただミックスが違うとはっきり意識したわけでなく、「何か雰囲気が違うなぁ」程度だが。


ピンクのモーツァルト(アルバムVer)


※音質の違いはシングルVerは初期盤、アルバムVerはSACD盤のCD層からリッピングのため


まとめ
「Windy Shadow」の微妙なミックス(アレンジ)違いはあまりに細かい。
「Candy」ほどの魅力を感じないのはボーカル部分に変化がないからだろう。
(まさにマニアック)
この程度のテイク違いは実際はもっと眠っているのだろう

また、シングル曲をアルバムに収録する場合はアルバムミックスにすることは珍しいことではない。
ただそれを曲目やライナーノーツに正式に記述するかしないかだ。

特殊性は制作当初からすでに3種類が存在したということだ。

今回は一応デジタル化もされているという意味で、それほどレア音源というほどのものではないだろう。
あえて価値を見出すなら、音源というより各組み合わせ(3パターン)のアルバムそのものにある。

結局レアなのは「銀色のオートバイ」だけなので、どのメディアでもいいので初期MIXが見つかればそれで解決だ。
(選択肢も広いので敷居は低いといえる)

実際、世に知られる聖子のテイク違いはまだまだ存在するわけであるが、同じアルバムを何度も再販するより、これらを集めたレア音源集を発売したほうが話題となるだろう。

きっとそれらは倉庫に今も眠っているはずだ。

松田聖子 金色のリボン

聖子のクリスマスアルバムの元祖と言えば「金色のリボン(1982年)」である。

2020年12月、ついにソニーミュージックより完全な復刻盤として発売となった。

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現存する全5種の「金色のリボン」

このアルバムはとても思い入れのあるアルバムだ。

「金色のリボン」リリース当時は、オレはまだリアルタイムで聖子のアルバムは聴いていなかった。
(発売さえ知らなかったと思う)

その頃はヒット曲をシングルレコードで聴いて満足しており、アルバムを聴こうという考えには及ばない、オレがオーディオ小僧になる少し前の発売だった。

後にこのアルバムの存在を知ったが、時すでに遅し、限定盤なのでレコード屋にはもう置いていなかったのだ。

ではどうやって手に入れたかというと、当時のFM誌の「売ります買います」コーナーだ。
(確かFMステーションだったような気がするが記憶が怪しい)

まだオークションはおろかインターネットの影も形もない時代。
そのコーナーで売りに出されているのを見つけたときは、もうこんな幸運なことはないと飛びついたのだ。

買値はぴったり3,000円だったと思う。

だから「金色のリボン」となるといつも「売ります買います」コーナーのことを思い出してしまうのだが、当時は様々な雑誌にこのコーナーが存在した。

ここでどのようなやり取りをしていたのだろうと記憶を辿るがよく思い出せない。
おそらく掲載された電話番号(住所)へ連絡をとり、現金書留で支払いをしたんだと思う。
(今思えばすごいゆるい時代だ)

「買います」はその1度きり。
「売ります」は90年代中頃に車雑誌(OPTION?)でリアウイングのパーツをコーナーに掲載してもらい売っている。
オレの車は80スープラだったが、純正リアウイングを交換した際に不要となった方があまりにでかく邪魔で売りに出したのだ。
(当時は会社の寮に住んでおり、その狭いベランダに置いていた)
購入者は確か広島の人でなんとセリカに取り付けるのだと言っていたことに驚いたのを今も覚えている。
(そもそもスープラのウイングがセリカにつくのかという話、つけると言っていたが)

とにかく少なくともその頃まではそんな売り買いが頻繁にされていたのだ。

話がそれたが、やがて無事届いた「金色のリボン」は中古とはいっても、当時はまだ発売されて数年で、今に見るような中古レコードとはまったく程度が違う綺麗なものだった。

自分にとっては初の2枚組レコードかつカートンボックス仕様の豪華なレコードがとてもうれしかったことを覚えている。

このように1枚のアルバムで当時の記憶が蘇るわけだから、レコードは写真アルバムとなんら変わらない。

オレにとってレコード1枚1枚が写真のアルバムなのだ。


それでは今回の復刻盤の詳細を見ていこう。

今回はソニーミュージックショップにて購入。
ここではオリジナル特典の「特製ポストカード」がついてくるからだ。


金色のリボン(2020年復刻 初回生産限定盤)

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販売元:ソニーミュージックダイレクト

発売:2020/12/2
品番:MHCL-30661~2
組数:1
仕様:三方背ケース、BSCD2、フォトブック付き
キャッチコピー:季節の香りに、いま ふれあう あなたとの青いファンタジー、聖子。

オリジナルにあったキャッチコピーはこの復刻盤にはどこにも記載されていないようだ。
通常キャッチコピーは帯に書かれているものだが、実物確認ではレコードとSACD盤にあるのみ。
どちらも帯があるがカセットと10万円ボックスには帯がないだめだろう。

また、CD1枚なのに品番が1~2とあるのはオリジナルが2枚組だから2枚分ということだろう。
オリジナルはDisc1が「Blue Chrismas」、Disc2が「Seiko・ensemble」と名付けられ、コンセプト分けされていた。
本復刻盤では曲目一覧にそれを記載して区別しているだけだ。

以下が収録状況、曲間(5~6)で本来のアルバムが変わることを意味している。

Blue Christmas
1.クリスマスソング・メドレー
  赤鼻のトナカイ
  サンタ・クロースがやってくる
  ジングルベル
  White Christmas
2.恋人がサンタクロース
3.Blue Christmas
4.ジングルベルも聞こえない
5.星のファンタジー

Seiko・ensemble
6.小麦色のマーメイド
7.白い貝のブローチ
8.HAPPY SUNDAY
9.Romance
10.野の花にそよ風 〜サブテーマ「雲」
11.赤いスイートピー
12.水色の朝
13.一千一秒物語
14.チェリーブラッサム
15.野ばらのエチュード(LPテイク)

このように一応分けられてはいるが1枚なので通しで聴くことになる。
まぁ1枚に収められているのはありがたいが。

三方背ケース内のCDケース
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三方背ケースから出すと通常タイプのCDケース(クリアタイプ)が出てくる。

CD
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オリジナルにはない金色リボン模様が、CDとバックインレイで繋がるようにデザインされているのが面白い。

フォトブック
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オリジナル(レコード)に付属した写真集のCDサイズ縮小版が付属。
今回初めて再現されたことはこの盤の価値を上げる。

特典(ポストカード)
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ソニーミュージックストアオリジナル特典。
ジャケット写真に雪の結晶をあしらった新デザイン。
使うことはないがこういう特典の保管方法は悩むところ。

同時発売の通常盤はこれまでの聖子の通常盤とは少し違って、通常盤だけの特別仕様はない。
よって通常盤ならではのメリットは見出せなかったので今回は初回生産限定盤のみの購入とした。

今回の復刻は見てくれの出来はCDとして過去2度の復刻の中ではもっともオリジナルレコードに近いものとなっている。
過去の復刻では実現されなかったオリジナルLP付属のフォトブックを再現したことは大きく、ソニーミュージックの気合を感じさせる。

欲を言うならカートンボックス仕様+帯付きの完全ミニチュア再現なら言うことなかったが贅沢は言えない。
当時所有していたならこの復刻盤で当時のことに思いを馳せるのに十分だろう。

このアルバムは当時レコードとカセット(共に完全生産限定盤)で発売されたものだ。
その後デジタル音源(CD)としての再発がなかったので、やがて在庫がなくなると幻の音源となった。

しかし、そんな状態も長くは続かず、この2年後に発売された企画アルバム「Seiko・Avenue」「金色のリボン」でしか聴けなかった音源の大半が収録されたことにより、それはほぼ解消された。

「金色のリボン」が長らく復刻されなかった理由のひとつはこの「Seiko・Avenue」の存在が大きかったからだろう。
残りの曲はシングルやアルバムから寄せ集めれば、なんちゃって「金色のリボン」を作ることもできなくはないからだ。

ついでなので「金色のリボン(2006)」が復刻される以前のなんちゃって「金色のリボン」のレシピも記しておこう。
ただし「Seiko・Avenue(1984年)」が発売された時点で手に入る音源という条件付きで。
聖子ファンなら一度はやってみようと思ったか思わなかったかわからないが少なくともオレは考えたことがある。

オリジナル(LP・カセット)の曲目リストに準じてあてはめてみよう。
(ちなみにレコードとカセットのみ以下と同様の収録構成である)

Disc 1 Blue Christmas
 Disc 1の全曲をアルバム「Seiko・Avenue(1984年)」でカバーできる
(A面)
1.クリスマスソング・メドレー
   赤鼻のトナカイ
   サンタ・クロースがやってくる
   ジングルベル
   White Christmas
2.恋人がサンタクロース
(B面) 
1.Blue Christmas
2.ジングルベルも聞こえない
3.星のファンタジー

Disc 2 Seiko・ensemble
(A面)
1.小麦色のマーメイド
 シングル「小麦色のマーメイド(1982年)」から
2.白い貝のブローチ
 アルバム「Silhouette ~シルエット~(1981年)」から
3.HAPPY SUNDAY
 アルバム「Seiko・Avenue(1984年)」から
4.Romance
 シングル「風立ちぬ(1981年)」から
5.野の花にそよ風 ~サブテーマ「雲」
 アルバム「Seiko・Avenue(1984年)」から
(B面)
1.赤いスイートピー
 シングル「赤いスイートピー(1982年)」から
2.水色の朝
 アルバム「Pineapple(1982年)」から
3.一千一秒物語
 アルバム「風立ちぬ(1981年)」から
4.チェリーブラッサム
 シングル「チェリーブラッサム(1981年)」から
5.野ばらのエチュード(LPテイク)
 ×→ベストアルバム「SEIKO SUITE(2000年)」から

音源の入手先は上記に限らないが、結果1984年時点ではなんちゃって「金色のリボン」は残念ながら再現不可能であることがわかった。
実はもっともレアな曲は「野ばらのエチュード(LPテイク)」だったのだ。
この新録は2000年のベスト盤に収録されるまで、オリジナル以外の音源が存在せず、まさに「金色のリボン」でしか聴けない幻の曲だったのだ。
つまり「金色のリボン」発売から実に18年後の「SEIKO SUITE」をもってようやくなんちゃってが作れたのだ。
ちなみに「野ばらのエチュード(LPテイク)」はシングルバージョンとは全くアレンジが異なるのでシングルでごまかすことはできない。
こうなればもう中古でオリジナルを手に入れた方が早いという話だ。

そういうわけでそんな面倒なことをしなくてもよくなった正式な復刻は、まず2006年に発売された74枚組CDボックス「Seiko Matsuda」に収録されたものが初となった。

オリジナル発売から実に24年後である。

しかしながらボックスという性質上単品発売がなく、このボックスの目玉のひとつとなっていた。
通称「10万円ボックス」はその名の通り、高額かつ中古でも数万円はするので買う気が失せた(かぶるしあえて買わない)ファンも多かったことだろう。

さらに2016年にはオーディオ専門誌「ステレオサウンド」の企画でSACD化もされたが、やはり完全生産限定のため現在はすでに入手困難となっている。
これもまた誰もが簡単に手に入れられない貴重盤になってしまったということだ。
ステレオサウンド誌の企画となればこれはすでにオーディオマニアの領域であり、一般の聖子ファンはその存在さえも知ることが難しかったかもしれない。
そういう意味では一般のファンからみれば、SACD盤は販売されてないに等しいといっても過言ではないだろう。

今後は今回の復刻盤から通常盤ならいつでも手に入ると思われるが、ようやくこの日がきたかという感じだ。
もっともCDにこだわらなければ今は配信でも簡単に手に入るのでオレの心配は杞憂なのかもしれない。
とにかく新規(若い世代)のファンにアピールするためにも全てのアルバムがいつでも手に入れられる状況が望ましいにこしたことはない。

さて、今回は各記録メディアで聴き比べをしようと思うが、その前に現存する各メディアの詳細を見ていこう。

レコード
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発売:1982/12/5
価格:3,500円
品番:35AH-1489~90
組数:2
仕様:カートンボックス、フォトブック付き

スペシャル感漂うカートンボックス仕様によるLP2枚組ボックスだ。
ファンであれば当時はなんとしても欲しかった、いまや聖子の定番中の定番のクリスマスアルバムだ。
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カートンボックスに収められているのは左から歌詞カード、フォトブック、Blue Christmasディスク、Seiko・ensembleディスクだ。

Blue Christmasは全5曲のため、12インチシングル(45rpm)として記録されている。
Seiko・ensembleは全10曲なので通常のLP(33 1/3rpm)である。
このレコードは聴く時プレーヤーの回転数を間違えてしまうのが「金色のリボン」のあるあるだ。
(今回もうっかり33回転で再生してしまった)

当時、このレコードは持っていない者にとっては、今よりもっと謎めいたアルバムで貴重なものだった。
それは前述したような理由からであるが、現代のように即座にインターネットで調べて実体が明らかになるほど楽な時代ではなかったこともある。


カセット
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発売:1982/12/5
価格:3,500円
品番:35KH-1261~62
組数:2

レコードと同じ値段なのにフォトブックがついていなかったのは当時のカセット派には痛手だ。
ただカセットであれば1巻に収めることも可能だが、あえてレコードと同様の2巻仕様にしたことはせめてもの救いだ。
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当時はミュージックテープに興味がなかったので、この限定盤までカセットで発売されていたことは知らなかった。
(そもそもミュージックテープに興味を持ちはじめたのは今から5年ほど前からだが)
つまりそれだけ当時はレコード同様カセットテープも生活に密着した不可欠なメディアだったということだ。
とはいえ、レコードよりも中古が少なく入手が難しいのも事実である。
カセットはCBSソニー初期仕様の紙製スリーブケース入り。
もっともミュージックテープらしいたたずまいの頃のものだ。


CDボックス「Seiko Matsuda」より

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発売:2006/7/19
価格:セット売りで100,000円
品番:SRCL-6309~10
組数:2
仕様:LPサイズジャケット、ピクチャーCD


収録状況は以下の通り。
Disc 1
Blue Christmas
1.クリスマスソング・メドレー
 赤鼻のトナカイ
 サンタ・クロースがやってくる
 ジングルベル
 White Christmas
2.恋人がサンタクロース
3.Blue Christmas
4.ジングルベルも聞こえない
5.星のファンタジー

Disc 2
Seiko・ensemble
1.小麦色のマーメイド
2.白い貝のブローチ
3.HAPPY SUNDAY
4.Romance
5.野の花にそよ風 〜サブテーマ「雲」
6.赤いスイートピー
7.水色の朝
8.一千一秒物語
9.チェリーブラッサム
10.野ばらのエチュード(LPテイク)

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10万円ボックスのCDは台紙に紙ケースを張り付けた状態で収納されている。
(なんとも安っぽい)
ちなみに紙ケースと同じ写真がCDのピクチャーラベルにも使われている。

しかし「金色のリボン」のフルアルバム仕様はこのCDボックスで初めて世に出ることとなったのだ。
今回の復刻盤が出たことでその価値は半減したが、オレ的には音の違いを楽しめる音源が複数存在することは興味深く歓迎だ。
つまりリマスター年代の違いによる音の違いが楽しめるのだ。
ただし、新しいものほど音がいいとは限らないのが復刻盤の面白いところ。
年数が経つほどにマスターテープの劣化が進む(古くなる)がリマスター技術は上がる(新しくなる)。
要するに復刻盤は新しいのに古いという考え方もできる。

このボックスではオリジナルに準じて、CDなら1枚に入るのにわざわざ2枚組構成としている。
レコードやカセットと同じとなるがA/B面がなくなることで煩わしさはなくなった。
このボックス収録アルバム全体に言えるが基本的にオリジナルの組数と同じにしているようだ。
(個人的にはそんな配慮はかえって面倒なので不要と思っているが)
また「Seiko Matsuda」の記事でも触れたが、このボックスはLPサイズであるがLPの完全再現が目的ではなく、単なるLPサイズジャケットというだけだ。
よってフォトブック等の再現はされていなかったのだ。
Seiko Matsuda(74枚組CD-BOX)


Stereo Sound SACD/CD Hybrid

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発売:2016/11/30
価格:4,500円(税抜)
品番:SSMS015(TDGD-90044)
組数:1
企画:株式会社ステレオサウンド
制作:株式会社ソニー・ミュージックダイレクト
仕様:デジパック、SACD/CD Hybrid

現在のオレの普段聴き用の音源だ。
家で聴くときはSACDレイヤーを、ウォークマンにはここからCDレイヤーの音を落として聴いている。
収録状況はCD1枚に収められているため今回の復刻版と同様だ。

思えばこのステレオサウンド盤が出るまでは「金色のリボン」はほとんど聴いていなかった。
(そもそもクリスマスアルバムはクリスマス時期にだけ聴きたくなるものだ)
また、CDとしてのアルバム単売はこれが初となった。
このステレオサウンド盤はリマスターの過程をオープンにしており、音へのこだわりは他盤と比べ最も高く、そういう意味では信頼できる音源だ。
これはマルチトラックマスターテープから当時ミックスダウンされた第一世代のマスターテープから作られているそうだ。
それをDSD化したのだから音の鮮度はスタジオクオリティと思ってよさそうだ。
このようなこだわりはマスターサウンドシリーズ以来だろう。
ただし、本SACDシリーズは全15枚であるが、一連のリマスタリング作業の過程で作成した曲が被った場合、先に作成した音源を流用して(集めて)再構成しているのでこのアルバム(金色のリボン)では曲毎に音質がバラつく、ということが解説文に書かれている。
曲単位でベストな状態をプロが見極めてアルバムとしてまとめたこだわりの一枚なのだ。
SACDフォーマットのため、音質的には今回のBSCD2による復刻の影響を受ける(価値が下がる)ことはまずないが、果たしてこのSACDが「金色のリボン」の最高音質盤であるかは聴き比べて確かめてみるしかない。


メディア別聴き比べ

この記事投稿の段階では、聖子のアルバムを新しいものから遡ってレビューしている最中である。
そもそも当初の目的はメディア別の音の違いの聴き比べをしたかっただけで曲がどうのと批評するつもりはなかった。
新しいものほどメディアがCDでしか存在しないため、聴き比べができなかったのだ。
しかし、ようやくここでその目論見を実現できる1枚目にとりかかれることとなった。

聴き比べとなると、どのメディアが一番音質がいいのかということに言及すべきかが悩ましい。
(答えはやる前から出ているようであり出ていないようでもある)
レコード、カセット、CDの音は聴かなくとも音の違いはわかりやすい。

そもそも音質の良し悪しは人によりけりであり、180度意見が食い違うこともあるだろう。
レコードの音は落ち着くので音がいい、CDの音はクリアだから音がいい。
それはどちらも間違いではないと思うからだ。
結局は自分の好みの音というのが結論となるのが関の山だ。

まぁ、考えていても仕方がないのでそこも含めて今後の聴き比べの指針となるものを探っていければと思う。

試聴曲
Blue  Christmas盤より、
ジングルベルも聞こえない

これを選んだのはクリスマスらしさがあり、詞にも「金色のリボン」というワードがあるこのアルバムの主題曲といえるからだ。
(比較試聴するにはもっと最適な曲もあるのだが)
また、この音源が収められたレコードが45回転(Blue Chrismasのみ)の2曲目に位置することでレコードの再生条件としては申し分ないということもある。
(レコードは原理的に回転数が早いほどいい音である)

音質を比較する際はただ漠然と神経を研ぎ澄まして全体を聴くより、どこを聴いていくのかを絞ったほうが違いがわかりやすい。
聴きなれた曲ならなおさらそのポイントは絞りやすいだろう。
この曲は、ボーカルや楽器のエコーが深めなのでその残響音がどれだけ繊細に聴けるかをポイントとしてみる。
サビ部分を除けば基本の楽器数が少ないことで、ほんの一瞬だが残響音だけが聴ける部分が何か所かあり、その響きがどれだけ鮮明に聴けるかを基準のひとつとしたい。
メディア毎のS/Nの違いでメリハリや生々しさに違いがでるはずなのでそこも注意したい。

試聴方法はスピーカーとヘッドホンの両方で行うことにした。
本来ならスピーカーから出した音を聴き比べるのが正攻法ではあるが、逆に細かい違いが分かりにくいことも事実だ。
ノイズ成分などのごまかしがきかない細部はヘッドホン、全体の雰囲気はスピーカーで、判断するという感じになるだろう。


使用機器
アンプ:YAMAHA RX-A2040
スピーカー:KENWOOD LS-K901
ヘッドホン:SONY MDR-1A Limited
レコードプレーヤー:DENON DP-59L
カートリッジ:DENON DL-103
昇圧トランス:Phasemation T-300
カセットデッキ:Nakamichi CR-70
CDプレーヤー:maranz DV-9500
ICレコーダー:SONY PCM-A10

スピーカーまでの接続経路は以下の通り。
レコードはMCカートリッジに昇圧トランスを用いてアンプへ入力。
カセットは普通にアンプへ入力。
CDとSACDはCDの内部D/Aコンバータを使用してアナログ出力でアンプへ入力。
(SACDがマルチチャンネルのアナログ出力しかできないため)

また、ヘッドホンの試聴はレコードはアンプのヘッドホン端子から。
カセット、CD、SACDは各機器のヘッドホン出力からダイレクトで。

サンプルの録音はスピーカーからの音はリスニングポイントから。
(いわゆる空気録音)
参考として再生機からのダイレクト音も記録することとした。
(サンプルはいずれもMP3の320kbps)


レコードの音
「金色のリボン」はレコード時代のアルバムのため、音の基準はこのレコードに設定するべきだろう。
オレが初めて聴いたのもこのレコードの音だ。
アルバム発売時に大多数の人々が聴いた音がこれなので基準とするに値する。
まず時代の音がどんな音だったのかに着目して聴いてみた。
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久々にレコードで聴いたが、意外に普段聴きなれたデジタル音源とのギャップを感じないというのが第一印象だ。
オレは「絶対アナログ信者」ではないが、今聴いても全く音が悪いと感じない。
よくレコードの音を例えられるのが「アナログの音は柔らかく温かみがある」という表現を耳にするがそれに感化されてはいけない。
様々な要素を総合し、デジタルと比較すればそういうざっくりな結論に至るのはわかるが実際はそれほど単純なものではないのだ。
オレはむしろ「レコードってこんなにいい音だったっけ?」と焦ったほど。
もちろんレコード針とレコード盤の物理的摩擦によるトレースノイズやホコリによるパチパチは避けられないが、曲が始まってしまえばそんなことは気にならなくなる。
レコード世代からすればレコードの音が決してデジタルに劣るものではないことは周知のことだが、CDや配信世代はおそらくこれは予想外かもしれない。

深めのエコーの消えゆく余韻も十分聴きとれ、メリハリもある。
各楽器やコーラスの分離もよく、それぞれが鮮明だ。
さらにはアナログならではの滑らかな音は全くストレスがなく安心感がある。
そこがどうしてもアナログを捨てきれない部分なのだ。

サンプル
レコード(スピーカー)
レコード(ダイレクト)


カセットの音
レコードに比べれば当時は少数派が聴いた音だろう。
とはいえ、これもアルバムリリース当時のもうひとつのスタンダードの音といえる。
当然レコードと比べれば劣るだろうことは予想できるが、それでも自分でレコードから録音したカセットがどうしてもミュージックテープの音に勝ててる気がしないと感じただけのポテンシャルはあるはずだ。
レコード以上にテープは素材の経年劣化の影響を受けやすいため、当時のままの音を聴くことはやや厳しいと思われるが、もうひとつのスタンダードの音がどういうものだったのかに焦点をおいて聴いてみた。
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再生時は指定のドルビーBタイプを使用。
他メディアに比べればアドバンテージがないことを考慮し、高音質なナカミチを使用することでカセットのポテンシャルを引き出すことにした。

さて、いくらナカミチで音を出したからといってもレコードを聴いた後では明らかに繊細な響きが聴きとれず、カーテン1枚向こう側で音が鳴っている感覚だ。
しかし他メディアとの大きな違いは明らかに中音域に狙いを定めた音であること。
つまり一番ボーカルがよく聴けるのがカセットということだ。
なぜかと疑問に思うかもしれないがこれは当時の事情を知れば全く理にかなった音作りだと納得するだろう。

当時はレコードは家で聴くもの、カセットはウォークマンやカーステレオで外で気軽に聴くものという使い分けをしていた部分もある。
特にカーステレオで聴く場合は騒音が多い中で肝心のボーカルを聴きとりやすくするには中音域を際立たせたほうがよい。
また、家でラジカセで聴く場合もしかり、小型のスピーカーの再生限界を考えれば中音域に特化したほうが合理的であるということは言うまでもない。
最近買ったパナソニックの小型ラジカセで聴けばマッチングがいいだろう。
今回のようにステレオシステムのスピーカーからカセットデッキを使ってきっちり再生すると、ミュージックテープはこういう聴き方ではないと言われているかのようだ。
カセットテープのポテンシャルを考えればレコードと同様の音に近づけることは可能であるが市販のミュージックテープはその再生環境を考慮した音作りをした音が収められているということなのだろう。
つまり、カセットはレコードよりもリスニングスタイルに多様性があるということだ。

ただこの音はもともとミュージックテープに使われているテープがノーマルポジションのテープであるから必然的にこのような音になるという部分もある。
量産するのであまりいいテープを使えないというのもあるだろうが、本来ノーマルポジションは中音域が得意なのだ。
もちろん高性能ノーマルテープやハイポジ、メタルテープを使えばこの限りではない。

サンプル
カセット(スピーカー)
カセット(ダイレクト)


CDボックス「Seiko Matsuda」の音
オリジナル発売から24年も経ってからの完全復刻盤だ。
2006年にリマスターがされている。
2020年現代ではそれさえも古く感じるが、初のデジタル音源がアナログと比べてどう違うかというところに着目して聴いてみた
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さすがにカセットを聴いた後の耳では目が覚めるほどのクリアさだ。
良くも悪くもデジタルの音であり、きっちりした音。
それが耳につく感じもあるといえばあるが、あえての音作りという可能性もある。
ただ、アナログの音作りから大きく変更したという感じも受けない。
デジタルとなりメディア由来のノイズから解放され、エコーの残響は細かく聴きとれることはもちろんでいい部分がある。
リマスターされているにも関わらず、オリジナルマスターテープの音を尊重したようなとてもフラットな音作りだと思う。
まだCDが熟成されていなかった80年代のCDの音にクリアさを追加した感じという表現がしっくりくる。
オリジナルにあまり手を加えないお手本のようなリマスターである。
変なくせがない好感が持てる音でとても聴きやすい。

サンプル
ボックス(スピーカー)
ボックス(ダイレクト)


Stereo Sound SACDの音
音源の出どころ、制作過程をオープンにし、こだわり抜いた音作りをしたのがこのSACD盤だ。
もっともスタジオクオリティに近い音だとオレは捉えているが、当時のマスターテープにもっとも近い音がアナログとどう違うのかに着目して聴いてみた。
試聴はもちろんSACDレイヤーである。
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デジタルの究極はアナログに近づくこと、という記事を昔なにかで読んだことがある。
レコード→カセット→CDと順に聴いてきて最も驚いたのがこのSACD盤だ。

その理由はレコードの音にとても近かったからだ。

SACDを聴いたことがない人にはSACDにはとてつもなくいい音が入っているのだろうと思う人がいるかもしれないが、旧譜の復刻に関しては必ずしもそうではない。
(もちろん音をよく聴かせることもできる)
もしレコードを聴かずにSACD盤と今回の復刻盤(あるいは配信)だけ聴いたなら、多くの人がSACDの音は大したことがないと思うかもしれない。
それだけオリジナルレコードにそっくりということだ。

先の2006年リマスター盤で感じたデジタルのクリアな音はまさにCD時代の音。
デジタルになったらもうアナログの音はアナログでしか聴けないと思っていた。
(まぁその通りだが)
しかしより記録の器が大きくなったSACDにはアナログの音をデータとして記録することができるのだ。
レコードの音に一切のノイズを取り去った音という表現がもっともしっくりくる。
滑らかであり、目が覚めるような鮮明さはない。
しかし、レコードの時と同様ボリュームを上げていってもうるさく感じることが全くなく、むしろどんどんよくなる。
これを作り上げたエンジニアは称賛に値する。

サンプル
SACD(スピーカー)
SACD(ダイレクト)


2020年 Blu-spec CD2の音
最後に今後誰もが手にいれることができる今回の復刻盤だ。
これこそがこれから
のスタンダードの音となるのだろう。
そういう意味ではある一定のクオリティは保証してもらわなければならない。
ちなみにオリジナルアルバム類はすでにBSCD2として近年発売済みだが、正直な話いくらボリュームを上げても音が前に出てこないまどろっこしさがあり、やや不満を持っている。
一度その先入観は捨てて、CDとして最も新しい技術のもとに記録された音が今後のスタンダードにふさわしいのかに着目して聴いてみた。
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最初の印象はとにかくクリアだ。
そして前のどのCDよりも音圧が高く記録されている。
音も2006年リマスター盤やSACD盤とは明らかに違う。
まず、全てのメディアの中でももっとも高域が強く記録されている。
一般的に高域が鮮明に聴こえることはメリハリを感じていいと思うし、単純に音がいいと判断されてもおかしくない。
(出てないより出ていたほうがいい)
比較試聴するとこの復刻盤はそれがとても顕著だった。
それは制作者の意図さえも感じるほど。

現代のリスニングスタイルを考えたとき、このCDを買った人はどうやって聴くだろう。
オーディオマニアが組むような本格的なステレオシステムで聴くケースはごく少数派かもしれない。
となると、パソコンに落としてデスクトップスピーカーで聴く、スマホやウォークマンに転送してイヤホンで聴く、というスタイルが一番多いのではないかと思う。
いずれにしても大音量でスピーカーから音を出す聴き方ではない「ニアフィールドリスニング」が想定される。

イヤホンで聴く場合は耳の保護のためにそれほど大音量で聴くことはしないだろう。
(デスクトップもしかり)
また、スピーカーから音を出しても比較的近い位置でボリュームは控えめにするだろう。
その場合、ラウドネス効果により高域と低域は痩せてしまう。
低域についてはイヤホンや小型スピーカーの性能により限界があるが、高域はだいたいのイヤホンやスピーカーである程度出せるはず。
そう考えると、このCDのイコライジングの方向性がなんとなく見えてくる。
つまり、小型スピーカーやイヤホンで聴くことを意識した現代的リスニング環境を考えた上での音作りなのだ。

オリジナルに比べて高域が強調されているので思わず高域を抑えたくなるが、前述した環境で聴くのであればこの音はむしろ最適だろう。
きちんとしたシステムでの再生というより、低い音量かつニアフィールドでの環境を想定しているため、音圧を高く高域を強調することで想定される再生環境の欠点を意図的に補完し、製作者側が伝えたかった音を少しでも届けることが目的のような気がしてならない。

サンプル
BSCD2(スピーカー)
BSCD2(ダイレクト)


まとめ
今回の復刻盤の発売を機に所有する(現存する)全てのメディアの「金色のリボン」を聴いてみた。
聴き比べの結果、音質の良し悪しを決めようなどという思いはすぐになくなった。
予想以上に音の違いがありすぎてそれぞれが別物と思えたからだ。
同じアルバムを何枚も所有する変態コレクターとしては面目躍如といったところだ。

各メディアはその時代のリスニングスタイルに沿って巧みに音作りをしていた。
まさに時代時代のライフスタイルを反映した鏡である。
それは聴き比べのポイントを絞らずともとてもわかりやすいものだった。

ならばこれからはSACDひとつに絞らず、用途に合わせて聴き分けるのも楽しそうだ。
個人的にはレコードを思わせるSACDの音が好みではあるが、それはある程度のステレオシステムのスピーカーから音を出した場合という条件付きだ。
リスニング環境が違えばまた違う選択をするだろう。

さて、今回の主役はもちろん復刻盤である。
スマホやウォークマンで聴くには全メディア中で一番最適な音ではないかと思う。
現代のリスニングスタイルに最も適しているのがこの復刻盤といえる。
少なくとも高域に不足を感じることはないので状況に応じ、イコライザ等で高域をしぼったり、低域を強調して好みの音に調整するのもいいだろう。

この復刻盤は現代のリスニングスタイルに最も寄り添ったチューニングがされており、これからのスタンダードの役割は十分に果たすことだろう。

まだまだ「金色のリボン」には新しい思い出が積め込めそうだ。

松田聖子 SEIKO MATSUDA 2020(53rd)

SEIKO MATSUDA 2020は2020年に発売された53枚目のオリジナルアルバム。

デビュー40周年の周年記念アルバムである。


2020年初頭からのコロナ禍の影響というべきなのか、当初発売予定だった6月3日から大幅に遅れての発売となった。

槇原氏の不祥事により当初収録予定だった曲がなくなったこともあり、アルバムのコンセプトの練り直し等も必要だっただろうが、いずれにせよ発売延期の理由がコロナと重なり、うやむやになったのはせめてもの救いだ。

さて、アルバムはAmazonで注文分の通常盤と初回限定盤は9月30日の発売日前日に届いたが、ユニバーサル盤は発売日に到着した。

まさに久々に待ちわびたアルバムだ。

世の中のごたごたで大いに影響を受けたこのニューアルバム。

出来をとても心配していたのだが、まずはなんとか形になってよかった。

このアルバムの発売を受け、聖子を特集する番組が増える等、聖子のメディアへの露出が多くなったのはファンには嬉しいことだ。

直近では、
9/22 松田聖子スペシャル 風に向かって歌い続けた40年(NHK総合)
9/27 関ジャム 完全燃Show(テレビ朝日)
9/30 松田聖子のオールナイトニッポンGOLD(ニッポン放送)
10/2 ミュージックステーション3時間スペシャル(テレビ朝日)
10/3 Music Fair(フジテレビ)

などから貴重な情報を入手できたので織り交ぜながらまとめておこうと思う。

では詳細を見ていこう。

※音質の評価基準は別記事に定めた通り。



SEIKO MATSUDA 2020
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販売元:ユニバーサルミュージック
発売年:2020/9/30
レーベル:EMI Records
キャッチコピー:松田聖子 デビュー40周年記念アルバム

通常盤
 品番:UPCH-20551
 構成:CD
 価格:3,000円(税抜)

ケース表
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ケース裏
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CD
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Amazon特典(メガジャケ)
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初回限定盤
 品番:UPCH-29365
 構成:SHM-CD+DVD
 価格:4,500円(税抜)

ケース表
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ケース裏
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CD
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DVD
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Amazon特典(メガジャケ)
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UNIVERSAL MUSIC STORE 限定生産盤
 品番:PDCN-1921
 構成:SHM-CD+GOODS
 価格:5,500円(税抜)

プラケース収納時 表
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プラケース収納時 裏
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プラケース全景
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ケース表
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ケース裏
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CD
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グッズ(応援ハチマキ)
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UNIVERSAL MUSIC STORE特典(クリアファイル)
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今回は通常盤、初回限定盤、ユニバーサルミュージックストア限定生産盤の3形態での販売だ。

なかなかに悩ましい選択となったが今回は三者三様どれも捨てがたい。

まずは通常盤だ。
限定盤2枚がSHM-CDであるのに対し、通常CDとなる。
同時発売のオリジナルアルバムでこのような差別化は今回が初だ。

こうなるとSHM-CDと通常CDでどれだけ音質差が出てくるのかがまず気になる。
選べるのなら当然オレはSHM-CDの方を選ぶが、正直なところ音質の違いを聴き分けるのは難しい。
それを意識して試聴すればSHM-CDの方がクリア感があり、音が前にでて力があるような気がしないでもない。
(いいと言われればそう思えるという程度)
なので違いといってもオーディオマニアがじっくり聴き比べても微妙なレベルであり、通常CDだから音が悪いというものではない。

気にするべきは、限定盤2枚に収録の11曲目ボーナストラック「瑠璃色の地球 2020 Piano Version」がないことだ。
ボーナストラックという名の通り、本編10曲こそが「SEIKO MATSUDA 2020」であり、10曲編成で聴くのが本来である。
この11曲目はM01「瑠璃色の地球 2020」の単なるアレンジ違いであるが、その違いはタイトル通りピアノ演奏がメインのバージョンだということに他ならない。
ただし、通常バージョンのピアノパートだけを残したというわけではなく、ピアノアレンジは若干違う部分がある。
ストリングスやドラムがないとなれば、その部分をピアノがカバーするので当然アレンジが違ってくるのだ。
(厳密にはストリングスは少し入っている)
とはいっても元々ピアノがリードする曲なので雰囲気に大きな違いがあるわけではない。
よって個人的にはボーナストラックが無いとしても許容できる範囲だ。

これまでは通常盤も限定盤も収録内容は同じで、DVDや写真集の特典有無で差別化していたので、今後の通常盤と限定盤の在り方がどうなるのか注視する必要がある。
限定盤は無くなり次第廃盤、通常盤はずっと販売を続ける、というそのままの意味でとるならいずれボーナストラックは聴けなくなる幻の音源になるからだ。

と、ここまで通常盤のデメリットばかり挙げたのだが、ひとつだけこれでなければならないものがある。

それはこのジャケットだ。
通常盤ジャケ
このジャケットはまさに聖子の40年の歩みを表しており、このアルバムのコンセプトを表現しているといってよい。
(今後このアルバムが紹介されるときの写真は間違いなくこのジャケットだろう)
松田聖子のオールナイトニッポンGOLDによると、このジャケット右側の聖子は18歳のデビュー前(17歳の終わりごろ)に撮ったもので東京に出てきてすぐのものらしい。
四谷四丁目にある事務所(サンミュージック)の近くにある外苑で撮影したということなので明治神宮外苑のことだろう。
とりあえず撮ったスナップらしいが、まさか40年後の記念アルバムジャケットに採用されるとは夢にも思わなかったと本人は語っている。
このようなエピソードを知ってしまうと、よりこの通常盤ジャケットの重要性がわかるだろう。

ともあれ、これを機に今後の聖子のアルバムの販売形態がこの差別化の方向に定着するとなると以前のアルバムより内容の精査をしっかりやるべきだ。
しかしオレは全部買ってしまうのだろう。

次に初回限定盤。
これは過去アルバムの初回限定盤 DVD付きの方だと思えばいい。
重要なのはそのDVDの収録内容だ。
オレの場合どちらかというと、ミュージックビデオよりも、他では見られないインタビューが貴重だと思っている。
ミュージックビデオはのちのちまとめてDVDまたはブルーレイ化される可能性があるし、そのほうがこのCDのDVDよりも見る機会ははるかに多いだろう。

今回の3種類のジャケットの中では実はこの限定盤の聖子が一番好きである。
だからこそデカジャケが欲しくてAmazonで購入したようなものだ。

そういえばショップ特典は、最近になって多くみられるようになった。
今回のアルバムはショップによりデカジャケ・クリアファイル・チケットケースの3種類があるようだ。
オレはAmazonのデカジャケが最近のお気に入りなので通常盤、初回限定盤をAmazonで購入した。
よって特典内容によっては今後はまずショップからの選択となりそうだ。
このアルバムは最初からAmazonで予約していたのだが、あまりに早くから予約してたのでAmazonで特典情報が出る前のものを予約していた。
しばらくしてそれに気付き、慌てて一旦キャンセルして再度特典付きで予約しなおしたのだ。
キャンセルできるからよかったものの、これからはショップ毎のオリジナル特典が出揃うのを待ってとなるとめんどくさいことになりそうだ。

話がそれたが、初回限定盤の売りはもちろんDVDである。
DVDTITLE
DVDメニュー画面

「SWEET MEMORIES~甘い記憶~」「瑠璃色の地球 2020」のミュージックビデオは共にフルバージョンで収録。

特に「SWEET MEMORIES~甘い記憶~」は見どころ満載だ。

事前にYouTubeで編集版を見て知っていたが、あのペンギンのCMの実写再現である。
PENGUIN
サントリーCMより

SWEET
聖子の髪飾り、後ろの3人の容姿といい見事な再現

正直これには涙が出そうになった。
ペンギンも可愛いが聖子も可愛い。

これはミュージックビデオは聖子の企画で、どうしてもあの時のCMを再現したかったのだそうだ。

歌詞が撮影に間に合うよう、デビュー当時同様に松本隆が万年筆で書いた直筆歌詞が手渡される様子がメイキングで確認できる。

最後にユニバーサルミュージックストア限定生産盤。
これは初回限定盤と同内容同仕様のSHM-CDだ。
この盤の売りは先の写真の「応援はちまき」となる。

初回限定盤は4,500円でDVD+ボートラ分が通常盤(3,000円)のプラス1,500円と考えれば、こちらははちまき+ボートラで通常盤のプラス2,500円。
最初からわかっていたが、これだけでこの値段はさすがにオレでもためらう値段。
しかもはちまきしか入っていないのにスカスカなプラケースまでついてCDラックの場所をとる。

ごく普通の布製の応援はちまきはオレのは紺色だが他の色もあるのだろうか?
(使わないけど少し気になった)
80年代当時は応援はちまきを巻いて応援するほどの強者ではなかったが、どう考えても女性ウケはしなさそうだ。
とはいえ、次のコンサートツアーではこのはちまきを巻いたファンが多くいるのだろうな、と思うとある意味ライブに行く人には必須アイテムということにもなるのか。
(ライブ会場のショップでも売るかもしれないが)
そこまでを見越しているのなら、ユニバーサルの戦略、実は奥が深いのかも。

以上になるが、価格とバランスを考えればやはり初回限定盤が無難とみている。


さて収録内容だが、収録曲を見れば一目瞭然これは聖子の過去と現在(未来)がコンセプトだ。
レコードを意識したかのように前5曲、後5曲で区切られている。
もちろんCDなので明確な区切りはないが、もしレコードならそのコンセプトがはっきり伝わっただろう。

M01~M05をレコードA面とすれば80年代を振り返る過去Sideだ。
英語詩を除き作詞は全て松本隆。
再録音なのでアレンジだけは当然新しくなっている。
(M05を除く)

松本隆は、聖子はいつも詩の意味も聞かずにさらっと歌い始めたと語っている。
聖子はといえば、なぜおじさんが女の子の気持ちがわかるのかと驚嘆していたという。

歌詞は当日スタジオで渡すのが普通だったという。
(そんなことですぐに歌える聖子が恐ろしい)

前日に歌詞を渡すと聖子は気持ちが入りすぎるので、という理由かららしい。
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歌詞カード冒頭の松本隆のメッセージ

対するM06~M10(B面)は現在Side。
今の聖子と未来がテーマだ。
目玉となるM06をはじめ、前5曲とは明らかに色が変わる。

懐かしさと新しさが味わえる珍しいアルバムとなった。

それでは曲を見ていこう。


M01 瑠璃色の地球 2020
作詞:松本隆 作曲:平井夏美 編曲:野崎洋一

オリジナルアルバム「SUPREME(1986年)」のラストを飾った名曲中の名曲のリメイク。
それが2020年のアルバムの1曲目として復活するとは感慨深い。
この曲は正式にはシングルカットはされなかったがプロモ盤でEP化がされている。
ベスト盤ではたびたび選曲されてきた名曲だが、何かと厳しい年となった2020年に新録音されたのはとても意義あることとしてメディアにも多く取り挙げられた。
(「夜明けの来ない夜はないさ」の部分が特にコロナ禍の応援歌のようにとれるからだ)
聖子の場合、アルバムに収録された曲やシングルのB面曲が後になって話題になることが多い。
映画やアニメの主題歌としてタイアップした曲がアルバムに収録されて話題になるならわかるが、それとは全く性質が異なるただのアルバムの中の1曲なので今ではまず考えらないことだ。
ちなみにこの曲の作曲者である平井夏美は川原伸司の別名で、オレの好きな名曲「Romance」の作曲者でもある。
新録音なので編曲は現在聖子とタッグを組む野崎洋一だ。
出来は上々、あらためて作り上げた曲の偉大さに感服するばかりだ。
Youtubeの聖子オフィシャルで7/15からミュージックビデオが先行配信されていたので聴いてはいたが、やはりCDで改めて聴いたほうが感動する。
この新録音では原曲の雰囲気を壊すことないアレンジと、かみしめるように歌う聖子のボーカルを聴くことができる。
RURI


M02 セイシェルの夕日 ~40th Anniversary~
作詞:松本隆 作曲:大村雅朗 編曲:野崎洋一

オリジナルはアルバム「ユートピア(1983年)」からの選曲。
なぜこの曲がチョイスされたのかは不明であるが、名盤だし作曲の大村雅朗の曲も入れたかったのではと勝手に推測している。
当時、最初のレコーディングの時はとても疲れていたらしく、セイシェルの夕日がイメージできていない(セイシェルに行けてない)とダメだしされたというエピソードがある。
後日仕切り直しの録音では無事セイシェルに行けたらしい。
当時はこのようなやりとりがたくさんあったのだろう。
これもオリジナルの雰囲気を全く損なうことない新しいアレンジがよい。
オリジナルは爽やかに歌うが、当時より強く気持ちが入っていることがわかる。


M03 赤いスイートピー(English Version)
作詞:松本隆 英詩:Marc Jordan 作曲:呉田軽穂 編曲:野崎洋一

シングル「赤いスイートピー(1982年)」の全てを英語で歌いなおした新録音だ。
聖子にとっては女性ファン獲得のきっかけとなったターニングポイントとなった曲でもある。
聖子は「女の子と私をつないだ架け橋の曲」と表現している。
DVD収録のインタビューでは「いい曲というものは何語であっても素晴らしい」と言っていたがまさに同感。
イントロだけを聴くと赤いスイートピーだと一瞬わからなかったがそれはイントロだけだ。
名曲を多く持つ聖子は英語詞による歌いなおしは慎重にすべきと思うが、これは非常にすばらしい出来だ。
今後は過去の名曲を英語詞で歌いなおすのもありだと思ったので、新しいアルバムのなかで1曲くらいは毎回取り入れれば若い世代にも聖子の名曲が伝わるのでは。
もうひとつ思ったのは、ジャズアレンジも合いそうなので次回「SEIKO JAZZ 3」を作るのならいっそオリジナル曲をジャズアレンジで歌ってオリジナルのみで固めるというのも良さそうだ。
オレはジャズも好きなので何のためらいもなくスタンダード曲を聴けるが、ジャズに馴染みのないファンにとってジャズはやや敷居が高いようだ。
(聖子だからと聴きなれないジャズを聴いても楽しめないだろう)
ジャズはスタンダード曲を誰が歌うか、アレンジはどうかという部分も楽しみ方のひとつなのだ。
聖子の名曲を世界に知らしめるためにも是非とも検討してほしい。

話がそれたがこれはとにかく英語詞であるのに、まるで最初から英語詞だったかのように違和感がないのには感心した。
さらによかったのは秀逸なアレンジ。
とにかくコーラスがとても美しく、オリジナルより切なく、かつ洗練された仕上がりとなった。
リメイク分としてはオレはこれが一番の出来だと思う。
曲


M04 SWEET MEMOREIS ~甘い記憶~
作詞:松本隆 作曲:大村雅朗 編曲:野崎良一

原曲はシングル「ガラスの林檎(1983年)」のB面からだ。
SWEET MEMOREISは当時サントリービールのCMでペンギンが歌っていたのが印象深いが、当初は歌手名がクレジットされておらず、サントリーに問合せが殺到し話題となったことで広く知られることになった。
(後に聖子の名前がクレジットされたようだ)
なぜ聖子ほどの特徴あるボーカルに人々が気づかなかったのかと疑問に思うが、CMで使われたのは英語詩の部分だからだろう。
(それだけ英語となると印象が変わるということだ)
CMはペンギンのアニメーションで、バーでジル(歌手を夢見る女の子)がSWEET MEMOREISを歌い、それを聴きながら涙するマイク(戦争帰りでPTSDを患う放浪ペンギン)のシーンが未だ強烈に脳裏に焼き付いている。
もっともこれは後に映画化された際のキャラクター設定であり、CM放送時にその設定があったのかは定かではないがおそらく後付けだろう。
ちなみにCMに近いシーンは映画「ペンギンズメモリー 幸福物語」にも出てくる。
確かジルのバイト先でマイクが初めてジルの歌を聴くというシーンだ。
ちなみに映画ではマイクは涙を流さなかったと思う。
(ミュージックビデオでは男が涙を流すシーンがある)
また、劇中
で「SWEET MEMOREIS」は歌われていても、この映画の主題歌はあくまで映画公開当時のシングル「ボーイの季節(1985年)」である。
(CMはシングルバージョン、映画はシネマバージョンだ)

映画化までされたことから当時どれだけブームになったかが伺えるだろう。
このヒットにあやかり、後にジャケット差し替え版のガラスの林檎/SWEET MEMOREISのシングルが追加リリースされたほどだ。
ただし、再発されたからといってSWEET MEMOREIS」がA面となったわけでなく、クレジットがガラスの林檎と同サイズに拡大されただけのジャケット差し替え盤となった。
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左:最初のシングル、中:再発盤、右:ボーイの季節
最初のジャケットはSWEET MEMOREIS」の文字がが非常に小さいのに対し、再発盤では「ガラスの林檎」と同サイズになっている。
また、ペンギンのアニメキャラが再発盤に追加され「ボーイの季節」にも印刷されている。

さて、本題に入るがこれは中盤の英語歌唱部分を日本語に訳した上での新録音だ。
ただし、正確にはここで歌われる日本語詩が先に書かれている。
今回マスターテープと共に松本隆が当初書いた歌詞ま発見されたということらしいのだ。
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その原本と思われる原稿は歌詞カードにそのまま使われている。
今回の曲で、オリジナル、シネマバージョン(サントラ収録)、ニューバージョン(Sweet Memories’93)も入れて4 バージョン目となる。

当時長い英語詞を見た聖子はビビったらしく、英語部分だけの歌い方を英語の先生に指導してもらったらしい。
また、その英語詞は松本隆が書いたのではなく、別人によるものとのことだ。
当時の聖子にはこの曲はあまりに大人っぽく、表現には苦労したようだ。

今回、元となった日本語詞を見て、やや表現が松本隆らしくないような気もした。
その違和感から英語に変更したのか、結果大正解だったということだ。
逆に英語のみバージョンもボーナストラックとして入れてもよかったのではと思う。



M05 いちご畑でFUN×4
作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内

いちご畑でフォー・タイムス・ファンと読む。
もともとは聖子の「いちご畑でつかまえて」と大瀧詠一の「FUN×4」が原曲になる。
この二つのミックス曲なのでこのようなタイトルとしたのだろう。
しかしこのミックスは当時大瀧詠一自身がミックスしたものということがまず重要だ。
大瀧本人のラジオで一度だけ流したらしいが、聖子はこの曲の存在を全く知らなかったと語っているほどの幻の音源なのだ。

さて、この曲はいきなりFUN×4側(大瀧詠一のボーカル)から始まることにまず驚いた。
イントロから「FUN×4」なので、急に大瀧詠一のアルバムを聴き始めたかのような錯覚を覚える。

原曲はどちらも何度も聴いているが、この2曲がなぜミックスされたのか、理由を知らない人もいることだろう。

イチゴ畑…が収録された聖子のアルバム「風立ちぬ(1981年)」とFUN…が収録された大瀧詠一のアルバム「A LONG VACATION(以降ロンバケ)」はシンメトリーになっているという話は有名だ。
詳細はアルバム「風立ちぬ」の時に書こうと思うが、要は大瀧詠一の遊び心というところだろう。
リリース順としては、ロンバケが風立ちぬの7か月前に発売。
聖子同様CBSソニー(ナイアガラレーベル)に属した大瀧はロンバケのヒットを受けてソニーからロンバケ2のリリースを熱望されていた。
しかし結果的にロンバケ2は出なかったわけであるが、アルバム「風立ちぬ」はロンバケ2の意味合いがあるということだなのだ。
ただし、正確にはアルバム「風立ちぬ」の最初の5曲(A面)のみが大瀧プロデュースなのでロンバケの10曲とは頭数が合わない。
では残りの5曲はというと、1982年にリリースされた大瀧詠一、佐野元春、杉真理によるアルバム「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」の大瀧担当の5曲がそれにあたるというのだ。
つまり、アルバム「風立ちぬ」の5曲とアルバム「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」の5曲を合わせて10曲が「A LONG VACATION 2」であり、これが大瀧のロンバケとシンメトリーになるということである。
従って、
聖子のアルバム「風立ちぬ」から「いちご畑でつかまえて」
大瀧のロンバケから「FUN×4」
トライアングルから「ハートじかけのオレンジ」
の3曲は同系という解釈になる。

どこがシンメトリーであるかはこのミックスを聴けばそれが答えということだ。

繰り返すが今回のミックスは大瀧詠一が個人的にミックスしたものであるが、決して初出しではない。
1981年暮れに大瀧のラジオ番組でこのミックスを一度だけかけたからだ。
レア音源には違いないが、そのマスターテープが残っていて、今回新たに編集しなおしたものをこのアルバムに収録したといういきさつになる。
大瀧詠一は自身のアルバムを自身でリマスターするなど、ミキシング技術についてもプロだった。
そんな中で遊びでミックスしたのだろう。
大瀧詠一が聖子のマスターテープを使用して作成したのかは不明であるがそれに近いものを所有していたのだろう。
当時の聖子のボーカルがそのまま2020年のアルバムに入ること、デュエットのように大瀧詠一のボーカルが入ること、まさに前代未聞で今回一番驚かされた曲である。


M06 風に向かう一輪の花
作詞:松田聖子 作曲:財津和夫 編曲:野崎洋一

日本を代表するバンドのひとつチューリップのメンバー財津和夫が作曲した新曲。
財津和夫はバンド活動以外にも他アーティストに多くの曲を提供していた。
この人もまた天才だ。
かつて聖子にも多くの楽曲を提供、ヒットさせており、その曲のラインナップを見れば聖子を語るうえで外せない重要曲ばかりとわかる。
提供曲をあらためて見てみると、シングルでは「チェリーブラッサム」「野ばらのエチュード」「白いパラソル」「夏の扉」あたりが有名だが、アルバム曲の「Bye-bye Playboy」「星空のドライブ」「愛されたいの」も財津だったのであらためて驚いた。
アルバムにも深く携わった人だったのだ。
とにかくそんな聖子の往年の名曲を作曲した天才の37年ぶりの曲提供となった。

聖子は通常自作の場合は曲が先で詩が後らしい。
今回は詞を先に書き、財津和夫に渡したうえで自分のイメージを伝えたらしい。
詞はファンに向けた感謝の気持ちを表現したということだ。

しかしこの曲、何やら最近の聖子の自作した曲と雰囲気が似てるな、というのが第一印象だ。
よほど聖子の注文が細かったのか現代の聖子が作る曲にかなり近いものがあると感じた。
まあ聖子のオーダーは細かいので財津和夫がうまく意向を汲み取ったということだろう。
もちろんこの曲は素晴らしいが、前5曲の流れからのあまりの違いに現実に引き戻される感覚が大きかった。
(もともとそれがコンセプトだが)
そういう意味では前半後半の区切りとなりちょうどよい。
まぁ財津和夫作曲と聴いて、オレの中で勝手に昔の曲のようなイメージが膨らんでいただけだ。
曲2


M07 La La!! 明日に向かって
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子 編曲:松本良喜

テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のエンディングに採用された曲だ。
辛いこと悲しいこと苦しいことがあっても明日に向かってがっばって行こうという主旨の応援ソングだ。
聖子はファンへの感謝の気持ちをこのアルバム(曲)でお返ししてくれたわけだが、辛い2020年だからこそ元気づけられるタイムリーな曲となった。


M08 40th Party
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子 編曲:野崎洋一

コンサートのラストを飾る定番の周年記念曲の3作目だ。
当然入れてくるだろうと思ったし、これがないと周年記念アルバムとは言えないほどおなじみとなった。
曲を作ったあとに詩をあてたとのことだ。
(聖子のスタイルはもともと曲先詞後のようだ)
聖子いわく全部のシングルタイトルはだいたい入れているらしい。

先日30th Partyをじっくり聴いたばかりだが、今回はそれを超えてきた。
これは詞を聴きながらあの曲だといかに瞬時に判断できるかという、自らの聖子力が試される曲だ。
毎度のことながら、シングル曲のタイトルをうまく繋げてよく歌詞が書けるものだと感心する。
聖子からのクイズにどれだけ答えられるか腕試しだ。

20thよりも30th、30thよりも40thとシングル曲は増えていく。
追加で新曲のタイトルも組み込む作業はさぞ大変だったろう。
しかし聖子は楽しみながら書いたのだろうことは伝わってくる。
素材(言葉)は揃っているので組み上げるだけとはいえ、これはさすがに聖子にしか書けないだろう。
本来なら確実にコンサートで盛り上がる曲なのだろうが、来年以降におあずけとなった。


M09 そよ風吹いたら~I can hear the sound of the waves~
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子 編曲:野崎洋一

これはこれまでの聖子自作の楽曲の中でも異色作だと感じた。
曲調がその最たるものなのだが、詞と曲のマッチングも抜群にいい。
具体的にいうならボーカルが楽器として聴けるほど詞と曲がなじんでいると思うのだ。
感覚的には80年代の曲を聴いているかのような不思議な感覚だ。
バラードでもない、派手なポップスでもない。
聖子の曲としてはあまり聴いたことがない。
聖子もこんな曲が書けるのかと感心した。
ちなみにタイトルはもっと短くシンプルにしてほしいと思うのはオレだけか?
タイトルで詩の内容を多く語る必要はない。
(後の英語の副題はいらない)
気に入った曲だからこそ、覚えやすいタイトルであってほしかったかな。
とはいえ新曲中ではもっともお気に入りの曲となった。
曲3


M10 赤いバラ手に抱え
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子 編曲:野崎洋一

ボーナストラックを考えなければ本来アルバムのラストを飾る曲だ。
(通常盤はここで終わる)
当然のように聖子が得意とするバラードを持ってきた。
曲自体は近年のものと同程度というところか。
流れとしてのラストバラードは定番中の定番なので別にいいが、周年記念なのでいつもと違うことをやってもいいのかなと思った。
ラストは「40th Party」で明るく終わったほうがオレとしては聴き終わった後の満足度が高かったかもしれない。
アルバム自体は前半から後半にかけて過去~現在~未来を表現しているが、後半があまりに通常のアルバム然なので。
後半5曲の曲順を変えると一気に周年記念ムードになるのだが。



M11 瑠璃色の地球 2020 Piano Version
作詞:松本隆 作曲:平井夏美 編曲:野崎洋一

これはボーナストラックなので本編とは本来なら切り離して考えるべきだろう。
M10でこのアルバムのストーリーは完結しているからだ。
先に述べたが、M01「
瑠璃色の地球 2020」の単なるピアノバージョンなので想像通りのシンプルな音になっている。
しかし、ピアノだけでも十分荘厳な雰囲気が出ているのにはさすがのすごい曲と思い知らされた。
ただ、細かいが実際はピアノだけでなくストリングスも多少入っているので、それも手伝ってか通常バージョンの雰囲気と大きく違わないと感じたのかもしれない。


まず、40周年というとてつもなく長い歌手生活で多くの歌を送り届けてくれた聖子に感謝し、おめでとうと言いたい。
本作では、瑠璃色の地球・セイシェルの夕陽・赤いスイートピー・SWEET MEMORIESの4曲が新録音で収録された。
どれも80年代の名曲なのでこのチョイスに誰も文句は言わないだろう。
いくら周年記念といっても、オリジナルアルバムに過去曲が多数収録されたことには賛否もあるだろう。

ただ、「歌い継ぐこと」と「歌いなおすこと」はまったく違う意味があるということだ。
多くの曲を聖子は歌い継いできたが、歌いなおした曲は多くはない。
これは非常にリスクがあるからだろう。
歌いなおすということは、つまり音源として正式に残るということであり、コンサート等で歌い継ぐのとは全くわけが違う。
こうなると必ず出てくるのはオリジナルの方がよかった、という声である。
もちろん基本的にオリジナルを超えることはできなくとも、最低限オリジナルを汚すようなことだけはしてはならないと思う。

今回の歌いなおし4曲を聴いて思ったことは、決して原曲の焼き直しではなく、新しい曲だと思えたことだ。
全く新鮮な気持ちで聴けただけでなく、知っている曲なのにオリジナルを越えたと思わせた部分も見受けられた。
とにかくどれも秀逸なのだ。
過去曲が半分を占めるこのアルバムを危惧していたがいまはそれも払拭された気分だ。

むしろオレの好きなアルバムの上位にここにきて食い込んできた。

もちろん次のアルバムも出すだろう、聖子はまだまだファンを楽しませてくれそうだ。
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