さくの家電のーと

オーディオ、音楽、家電全般に関する備忘録ブログ

松田聖子

松田聖子 My Prelude(44th) 

My Preludeは2010年に発売された44枚目のオリジナルアルバム。

デビューからちょうど30周年の記念アルバムである。
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周年記念アルバムはやはり力の入れ方が違うので毎度期待は高まる。

今年も2020年の周年記念アルバムが間もなく発売される。

コロナ禍やその他騒動で先延ばしにされ、楽しみな反面心配でもある。
収録曲の情報(先行シングル含む)から期待は高まるが、やはりアルバム全体としての出来が気になるところ。
今回は話題曲が多く、アルバムのまとまりがどうなるのか。
ただし、シングルコレクション並みの曲が揃うのなら近年では最高のアルバムになるに違いない。
オリジナルアルバムである以上はアルバム全体でよかったと思える作品に仕上がってほしい。

また、周年記念イヤーはオリジナルアルバム以外に記念のボックスセット等を同年に発売することはよくあることだ。
30周年当時はソニーミュージックからシングルボックスセット、ユニバーサルミュージックからはマーキュリー時代のSHM-CDが発売されている。

さて、ひとつ前のこの周年記念アルバムはどんな内容だったか見ていこう。

※音質の評価基準は別記事に定めた通り。



My Prelude
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販売元:ユニバーサルミュージック
発売年:2010/5/26
レーベル:ユニバーサルシグマ
キャッチコピー:新たな序曲(Prelude)がここから始まる!

通常盤
 品番:UMCK-1355
 構成:CD
 価格:2,857円(税抜)

ケース表
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ケース裏
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CD
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初回限定盤
 品番:UMCK-9333
 構成:CD+48ページ写真集
 価格:3,429円(税抜)

スリーブケース表
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スリーブケース裏
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ケース表
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ケース裏
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CD
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特典写真集
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通常盤と初回限定盤の2形態で販売された。

ジャケットも2通りだが限定盤のほうが衣装がややゴージャスな雰囲気。
ピンクずくめでアイドルの王道的色使いは聖子にぴったりだ。

以降のアルバムとの違いは限定盤のスリーブケースとCDケース側のジャケットのスナップが同じであること。
また、写真集がすべてモノクロームであることだ。
限定盤のジャケットが2通りある必要はないし、写真集もまともに顔が写っていないものばかりでアイドルらしからぬ雰囲気であるが、変化という意味でオレは好意的にとっている。
聖子のイメージカラーともいえるピンクづくしのジャケットは少しうれしくもある。

かつてメディアでレコードとカセットが発売されていた頃、デザインはそれぞれの特色を生かしたものだった。
特に表面積が小さいカセットにおいてはアーティストの雰囲気を色で表現していたともいえる。
たとえばカセットケース背表紙の「松田聖子」という文字。
歴代のアルバムを並べると明らかに赤やピンクを使用したものが多い聖子に対して、明菜は青や緑が多く、当時の2大アイドルのキャラクターを色で差別化していたことがわかる。
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うつろ気な表情の聖子、意思の強さを思わせる明菜、表情の違いも面白い。

曲調やキャラクターの違いを、聖子は「太陽」、明菜は「月」と対極して形容していたのがこれを見てもよくわかる。
2大アイドルはこの路線を見事貫き、それぞれのアイドル像を確立した。

とにかく聖子のキャラクターは当時からブレないな、と「My PreLude」のピンクのジャケットを眺めながらふと思うのだった。


M01 Into the mirror world
作詞:松田聖子 作曲:John Reeves 編曲:John Reeves

低音の効いたロック調の曲。
低音がひたすらリズムをなぞりキレがない。
ただ重厚感があるという感じ。
思わずアンプのBASSを絞りたくなるほどだ。

単調ではあるが洗練されていてかっこいい。
聖子の詩をうまく曲に乗せている感じだ。
オープニングを飾るには相応しい曲。
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M02 You are my ideal
作詞:松田聖子 作曲:小倉良 編曲:小倉良

M01の流れをうまく繋げたポップな曲。
やはり低音が効いており、聖子の詩をうまく乗せている印象を受ける。
打ち込み系の音は生の楽器の臨場感には到底かなわないのでちょっともったいない。
アレンジがシンプルなのでまだ聴きやすいほうではあるが。
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M03 いくつの夜明けを数えたら
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子 編曲:小倉良 ストリングスアレンジ:宮野幸子

先行シングル曲。
重厚な曲が続いたが、ここで軽くやさしいアコースティックなバラードだ。
広大な雰囲気を醸し出し、やはり臨場感が違う。
バラードではあるがアレンジとミックスがいいので飽きさせない。
さすがにシングル曲だけあっていいのだが、往年の聖子らしいポップスが近年では少ないのが寂しいところ。
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M04 風に揺れながら
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

これは聖子らしく可愛らしい曲だ。
ここまでの流れはとてもいい。
歌詞の区切り方が面白く、80年代を思わせるアレンジも抜群にいい。
タイトルから想像した以上にいい曲なので、タイトルで損をしているかもしれない。
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M05 Sha la la
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、宮野幸子

前半締めくくりの曲。
オレがアレンジがいいなと思う曲はだいたい宮野幸子のようだ。
80年代のアレンジをうまく取り入れているような気がする。
いい曲だけにミックスで音が平坦に聴こえてしまうのがもったいない。
ちょっと感動を覚えるほどの流れでここまで来ている。
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M06 I just want to be
作詞:松田聖子 作曲:John Reeves 編曲:John Reeves

クラブ調の曲に合わせてボーカルに響きをつけない録音だ。
全10曲を続けて聴くCDであるにも関わらず、レコードを聴いているかのような切り替えのうまさが光る。
ここはレコードでいうならB面の1曲目。
後半にうまくつなげるいいアクセントになっている。
洗練されたかっこいい曲だ。
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M07 ふるえる心
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、宮野幸子

ストリングスがとても美しい。
流れが単調になるので、ここではもっとスローテンポにしてさらにシンプルなアレンジで大きく変化をつけるとよかったのだが。
ストリングスはもっと派手でもいいくらいだ。
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M08 約束する変わらない愛を
作詞:松田聖子 作曲:小倉良 編曲:小倉良

詞も曲もアレンジもやや平凡に感じる。
何度も聴いたような感覚を覚えるのはオレだけだろうか。
この曲がこのアルバムのボトルネックになっているような気がする。
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M09 30th Party
作詞:松田聖子 作曲:小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

恒例となった周年記念曲。
往年のシングル曲のタイトル名が随所に散りばめられたとにかくファンには嬉しい歌詞。
なぜこれを1曲目に持ってこなかったのか?
ただし派手さ・楽しさ・勢いともに「20th Party」にやや軍配が上がる。
しっかりサビで盛り上げる構成になっているのに、ややボーカルに元気がないのが惜しい。
ライブでは違うのだろうがもっと楽し気に歌ってほしい。
バックの演奏も「20th Party」のほうが凝りに凝っていた。
とはいえ、よくがんばった記念曲だ。

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M10 Tomodachi
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子 編曲:小倉良 ストリングスアレンジ:宮野幸子

定番のラストバラード曲。
サビをファルセットで歌うべきかの判断は本人次第なので難しいところではあるが、そうでなければまた違った印象を受けただろう。
とはいっても聴き終わりに充実感は覚える。
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まず、このアルバムは2010年代のスタートを飾るアルバムでもあるが、以降10年(2020年まで)にリリースされたアルバムの中でも1,2を争う出来といっていいだろう。
全体のまとまりとしては少しもの足りない感じもあるが、通しで聴き終えると明るい余韻が残るアルバムだ。

全10曲が変化に富み、キャッチーなメロディが耳に残る曲が多い。
全体に楽し気な雰囲気が漂い、肩に力が入っていない自然なよさもある。
往年のアルバムの水準に達しているとまでは言わないがいい仕上がりだ。

オーディオ的にはここにきて少し興味深いものが感じられた。
全体に低音の押しが強いアルバムだ。
低音がでるシステムで聴くと抑えたくなるほどだ。

また、ボーカルに対する演奏自体の音量レベルも大きく、ボーカルだけを聴かせる近年のアルバムとは少し違う。
演奏が前に出ることで曲の輪郭が鮮明になり締まる。
近年の「ボーカルを聴け!」ではなく「音楽を聴け!」という感じのミックスは好感。

ただ、全体にボーカルのエコーが浅めなのは近代的というところか。
エコーが浅いとボーカルの音像は鮮明になるが音場は狭くなる。

ともあれこれは聴いていて楽しめるアルバムだ。

これぞ聖子と勧められる秀作である。

松田聖子 オリジナルアルバム「Candy」ファーストプレス盤検証

ファンの間では有名な話だが、聖子の6thオリジナルアルバム「Candy」には2つのバージョンが存在する。

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制作側が意図したものではないが、初期出荷分のLPとカセットについては、以降出荷分とは一部テイク違いの曲が収録されているのだ。

対象曲は以下

A-5:ブルージュの鐘
B-4:黄色いカーディガン


この2曲については別テイクが存在する。

例えばビートルズはテイク違いを集めてわざわざCD化(アンソロジー)するほどで珍しいものではないが、本来ならテイク違いは世にでるものではないので、聖子の別テイクともなればとても貴重だ。

しかもメーカーが公言しているわけでもなく、こそっと修正してしれっと販売したのだから余計だ。

これはほぼ同時期に発売されたファーストプレスCDでさえも聴くことはできず、当時の初回プレスレコードかカセットのみなのだ。
つまり、デジタル音源は存在しないということになる。



それでは具体的に見ていこう。

リリース日時の確認
オリジナルLP、カセット:1982年11月10日
マスターサウンドシリーズ、初盤CD:1982年12月21日

当時CDはLP・カセットよりも後発が慣例だった時期がある。

初盤CDでは確認されていないとすると、わずか1ヶ月ちょいの間に修正盤が出荷されたということになる。
となるとマスターサウンドシリーズもCDと同時期なので修正済なのは納得だ。
(ちなみにCDがLPと同時発売になったのは9th「Tinker Bell」から)

レコードと同時発売のカセットでもテイク違いが存在するのは最初のマスターテープを使用しているので当然そうなるだろう。

このような事態となった経緯は、締め切りのギリギリまでレコーディングをやっていたためらしい。
とりあえず納期に間に合わせて工場に送ったマスターテープだが修正前提だったということだ。

従って、初回プレス以降は録り直したマスターテープに差し替えられたため、普段CDで聴きなれたテイク違いが収録されているのだ。

後日、改めて納得のいくボーカル及びアレンジでレコーディングし直し、曲を差し替えたマスターテープで作り直したというエピソードは当時の聖子の多忙ぶりと制作側のこだわりを伺わせる。


以降、数多く再発された際のマスター音源は、すべてこの録り直しテイクのマスターテープが元となったため、未だにファーストプレスのレコードとカセットでしか聴けない幻のテイクとなった。
(そもそも最初のマスターテープはもう存在してないかも?)

ただ、当時爆発的人気を誇った聖子だ、初回プレスのみといえど、そのプレス数はかなりあったと推測できる。
よってファーストプレス盤を中古で引き当てるのは神頼みではあるが、当たりは多いのではと思われる。


それでは、具体的にどう違うのか見ていこう。

※以降、ファーストプレス盤は初回盤、通常盤は正規盤とする



外見の違い

レコード
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ジャケット、帯、歌詞カードに違いはないので比較は省略。

判別はレコード盤の内周部分に刻まれた刻印を確認することになる。

LPの盤面にはプレス時に使ったラッカー盤のバージョンである「マトリクス番号」と呼ばれる刻印がある。
場所はセンターレーベルのすぐ近くだ。
ルーペなどで確認するとわかりやすい。


・正規盤
A面:28AH-1494A3以上
B面:28AH-1494B3以上

・初回盤
A面:28AH-1494A1 or 28AH-1494A2
B面:28AH-1494B1 or 28AH-1494B2


A面
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B面
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オレが所有するレコードはA面が「28AH-1494A1」、B面が「28AH-1494B2」である。
だいぶ写真を加工して見やすくしてみたが、目視ではもっとわかりやすい。

28AH-1494は品番、続くA/Bは面を表すので単純に末尾の数字が「1」or「2」であればファーストプレス、「3」以上はセカンドプレス以降ということになるだろう。

これはネット上で多くの人が確認した情報そのままであるが確度は高いと思う。


カセット
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ジャケット、ケース、歌詞カード見た目の違いはないので比較写真は省略する。

判別はカセットのハーフに印字された製造番号だけが頼みの綱だ。

判別方法について、ネット上ではほとんど有益な情報がないため、独自の見解ではあるがあくまで参考情報として記しておこう。

まず確実なのは以下の製造番号。
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上:初回盤 10303073
下:正規盤 10715379

憶測で言うなら10300000番台またはこれより若番なら初回盤の可能性が高いというくらいか。
10700000番台あたりになると正規盤の可能性が高い。
ざっくりこの間のどこかで変わったということではないだろうか。
(この番号が製造順の連番であればの話)
確証を得るためにはさらに多くの個体で確認する必要がある。
なお、スタンプの位置も違うようだが製造工場の違いであろうか?


音の違い
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今回はレコードより手軽なカセットで試聴を行った。

カセットデッキは愛機のナカミチ CR-70。
ノイズリダクションは指定通りのBをON。
アジマスはマニュアル調整となるがズレはなかった。

サンプルはヘッドホン出力からICレコーダーへダイレクト接続し録音した。
MP3による圧縮のため鮮度はかなり落ちるが雰囲気だけなら伝わるだろう。


ブルージュの鐘

大きな違いはボーカル部分をまるまる歌いなおしているところ。
演奏の音量レベルの違いもあり、聴き比べるとずいぶん雰囲気が違う。


・正規盤
全体の雰囲気:
ゴージャスかつ明るく可愛らしい印象だ。
全体にエコーが深めで奥行きがある。
演奏の音量レベルがボーカルと同等。


ボーカル:
キャンディボイス全開でしゃくりや溜めて歌う部分が多い。
テクニックを駆使し、聖子の自信が感じられる。

サンプル:MP3 192kHz(Nakamichi CR-70→SONY PCM-A10)
ブルージュの鐘(正規盤)


・初回盤
全体の雰囲気:
フレッシュかつ憂いがある印象だ。
ボーカルが前にでており、演奏の音量レベルはやや控えめ。


ボーカル
風立ちぬ以前の歌い方に近い。
あっさりストレートに歌い、やや音程が不安定な部分がある。

サンプル:MP3 192kHz(Nakamichi CR-70→SONY PCM-A10)
ブルージュの鐘(初回盤)

★聴き分けポイント
正規盤を聴きなれていれば初回盤との違いは明白。
さすがに意識して歌いなおしているだけあって、声の出し方は別人かと思うほど。
正規盤はやはり安定しており安心して聴けるが、初回盤はやや危うさをはらむ。
正規盤はミックスのバランスがいいが、初回盤はボーカルのエコーが浅く、演奏の音量レベルも控えめのため、ボーカルは際立つが全体にこじんまりといった印象だ。
細かい部分は挙げたらきりがないほどある。
そういう意味では歌いきれてない初回盤がダメだしされたのも納得できる。
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黄色いカーディガン


大きな違いはコーラスの挿入箇所。

・正規盤
前半はコーラスが少なく、後半から増えていく。

そのため徐々に盛り上がっていく感じだ。


サンプル:MP3 192kHz(Nakamichi CR-70→SONY PCM-A10)
黄色いカーディガン(正規盤)

・初回盤
コーラスが入る部分はパターン化されているが、その全ての部分にコーラスが入る。
そのため、単調なテンションの繰り返しで全体にメリハリがなくなっている。
コーラスにそんな効果があったとは勉強になる。


サンプル:MP3 192kHz(Nakamichi CR-70→SONY PCM-A10)
黄色いカーディガン(初回盤)

★聴き分けポイント
青:初回盤、正規盤共にコーラス有り
ピンク:初回盤のみコーラス有り



黄色いカーディガン
作詞:松本隆 作曲:細野晴臣 編曲:大村雅朗

れんげの花咲き乱れる野原横切り
日傘振れば黒い汽車が汽笛ならすの
くるみの木のそばで
(フーーー  フーウ)
二人きり ランチ・タイム
(フーーーー   フーウ)

あなたは手製のクッキーに
御機嫌ね

私 黄色いカーディガンはおって
蝶々みたいに風にひらひら
そしてあなたは きっと蜜蜂
愛のナイフで胸をつらぬく
そうよ 私 瞳閉じて待ってるの

私のひざ 枕にして 眠るあなたの
短い髪柔らかくて 子供みたいね
何かが変わってゆく
(フーーーーーフーウ)
旧い本 破るように
(フーーーーーフーウ)
私が見知らぬ私へと
変わるのよ

そして黄色いカーディガン あなたの
眠る胸へと そっとかけるの
こんな優しさ 前は無かった
ちょっと途方にくれる程だわ
そうよ あなたひとりだけが王子様よ

何かが変わってゆく
(フーーーーーフーウ)
旧い本 破るように
(フーーーーーフーウ)
私が見知らぬ私へと
変わるのよ

恋はいつでもこわい童話ね
毒のリンゴをかくしてるのよ
だけど終わりは HAPPY END 必ず
甘くキスして 幕が降りるの

恋はいつでもこわい童話ね
毒のリンゴをかくしてるのよ
だけど終わりは HAPPY END 必ず
甘くキスして 幕が降りるの
そうよ あなたひとりだけが王子様よ



コーラスが全体につくか、最後だけつくかでずいぶん雰囲気は変わるものだ。
たしかに正規盤の後半だけコーラスのほうが徐々に盛り上がっていくようでいい。
初回盤は序盤からコーラスが入っているのでテンションが変わらずメリハリがないともいえる。
まぁ比べれば、というだけの話ではあるが、オレはないよりもある初回盤のほうが好きだ。
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このファーストプレスは言ってみれば失敗作だ。
最初のCD化の時点ですでに正規盤に差し替えられたため、デジタル音源は存在しない。

よってアナログでのみ楽しめるアナログ派の特権ということにもなる。

全く別ものというわけではないが、かなりわかりやすい違いで曲の雰囲気もガラっと変わっているので聖子ファンは必聴だ。


あまり聞くことがないレコーディング時のエピソードがそのまま形となった「Candy」のファーストプレス。

こういうものこそ聖子の歴史を紐解くようで面白い。
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松田聖子 Cherish(45th) 

Cherishは2011年に発売された45枚目のオリジナルアルバム。

音楽性の分岐点というと大げさだが、このアルバムはこれ以降のアルバムとは違うようだ。
つまりこれ以降の新しいアルバムから変わったというのが正確かもしれない。

これまで聴いてきたアルバム(46th~52nd)はある一定のパターンのようなものがあったのがこのアルバムではそれが当てはまらないような気がする。

漠然とだがジャケットの雰囲気やら曲の構成など、若干毛色が違うと感じた。

ニューアルバムが出れば、それは前作とは違うのは当たり前だが、その類のものではない。

逆聴きすることでちょっとした雰囲気の違いに気づけたのはある意味新鮮だ。

本作を聴いてまず「あれっ」と思ったのはロック調の曲からはじまること。
これは90年代のアルバムにはよく見られた。
当時の傾向からポップスまたはバラードで始まるならまだしもロックとは。
(大歓迎だが)
それだけでなく楽器の使い方やアレンジがとても変化に富み、全体に丁寧に作られているような気がする。

とりあえず今回もじっくり聴いてみよう。

※音質の評価基準は別記事に定めた通り。



Cherish
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販売元:ユニバーサルミュージック
発売年:2011/6/1
レーベル:ユニバーサルシグマ
キャッチコピー:新しい未来への希望(Cherish)! 優しい気持ちに満ち溢れた最新作

通常盤
 品番:UMCK-1395
 構成:CD
 価格:2,857円(税抜)

ケース表
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ケース裏
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CD
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初回限定盤
 品番:UMCK-9438
 構成:CD+36ページ写真集
 価格:3,429円(税抜)

スリーブケース表
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スリーブケース裏
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ケース表
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ケース裏
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CD
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特典写真集
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通常盤と初回限定盤の2形態で販売された。

シングル曲を含まないアルバムオリジナル曲のみで構成されている。

ジャケットは通常盤がとても可愛らしい。

オレは何もない背景は好まないが、それでも通常盤のジャケットは遊び心があり面白い。

2000年代に入ってからは顔のアップよりも体の線を見せるジャケットが増えたようだ。
ジャケット写真についてはかつてのように記憶に残るようなものがなくなったように思う。
(2~3通りのジャケットがあるせいもあるが)

そういう意味ではジャケットの重要性をおろそかにしているように思えて仕方がない。
アルバムイメージとしてまず最初に目に入るのがジャケットだ。
ジャケ買いしたくなるような写真とまでは言わないが、ジャケットが弱いというのが近年の傾向かと思う。

やはりオレは複数のジャケットが存在するのは好きではないな。

近年慣例化した特典写真集用の写真も多数必要となるせいか、一発勝負的な写真も欲しいところ。

1枚の写真に手間と時間をかけるというより、とにかく枚数を撮る聖子の無駄遣いだ。

どちらがいい写真になるかは考えるまでもない。

確かに写真集はあれば嬉しいが、普段はCDケースに入っているので見る機会が少ないのは間違いない。
(写真集だけケースから出して本棚に飾る人はまずいない)

また、現代のリスニングスタイルではゆっくり写真集を眺めながらアルバムを聴くのも最初の1回だけだろうということも容易に想像できる。

だからこそ、気合いの入ったジャケット写真ただ1枚が欲しいと思うのだ。


M01 I can't stop falling in love
作詞:松田聖子 作曲:小倉良 編曲:小倉良

当時としては珍しくロックで導入する。
ギター、ベース、ドラム共にお手本のように振り分けらた定位感が気持ちいい。
特に全編でリードする小倉のギターがかっこいい。
Cherish以降のアルバムではこの曲のようなステレオ感あるミキシングはほとんど聴けない。
このようなミキシングをするだけでアルバムが面白くなるのに、と思うのはオレだけか。
全てロック曲で構成したアルバムでもいいと思うのだが聖子の詩に合わないかもしれない。
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M02 I wanna hold you tight
作詞:松田聖子 作曲:John Reeves 編曲:John Reeves

メロディアスなイントロが印象に残る洗練されたポップス。
アレンジも細かく丁寧でいい。
M01に続き、このテンションを維持していけばオレが好きな聖子らしいアルバムとなるのだが。
作編曲のJohn Reevesはこの頃聖子のアルバムに携わっていた作家だがとにかくうまい。
マイベストを作るなら是非入れたい曲。
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M03 「ありがとう」
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、宮野幸子

主婦目線で描かれたシーンが目に浮かぶ、女性ファンにはうけそうな曲。
前にも書いたが、聖子の書く女性目線の詩にはやや男は共感しにくい。
松本隆を筆頭に80年代の作家陣は当然のことながら、男心がわかった上で翻弄するような女性目線の詩だった。
(たまに歌う男性目線もよかった)
80年代は商業的にも女性アイドルのターゲットは当然男性だったわけで、当時オーディオ小僧もまんまとそれに翻弄されていたのだ。
しかし聖子もファンも歳を重ねてきたわけで、昔のようにはいかないのはわかる。
それを差し引いても男性ファンの置き去り感は否めない。
しかしこんな愚痴は言わず、聖子の新しい曲を聴けることをありがたく思うことにしよう。
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M04 椰子の木陰から
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、宮野幸子

リゾート感漂うゆるい曲。
夏のビーチでの恋人同士を描いている、それ以上の情景が浮かぶことがない。
二人の想いだけでそれ以上の飛躍は必要ないのは構わないが、リゾートのワクワク感が享受できるような言葉があるといいなぁというのが正直なところ。
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M05 春の陽ざしの中で
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、宮野幸子

正直な話、言葉の意味をじっくりと噛みしめて真意を理解するような詞は苦手だ。
効果的なワードが随所に散りばめられ、詞(ボーカル)そのものが楽器のように聴くことができ、かつ情景も浮かぶような詞は楽でよい。
そういう曲は詩を聴いていないようで自然と頭に入ってくるものだ。
そういう意味では聖子の詩はオレには難解すぎるのだろうか。
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M06 DOKI DOKI !!
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

どことなく80年代を思い起こさせる曲だ。
竹内まりやの「不思議なピーチパイ」に似ているからだろうか。
アイドル曲の定番アレンジやコーラスもいい。
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M07 Oh! baby
作詞:松田聖子 作曲:John Reeves 編曲:John Reeves

John Reevesの2曲目だ。
この人なかなかうまいなと思う。
(外人だよな?)
日本のポップスのことをよく理解しているのはなぜだ。
少なくとも小倉良のアレンジが多い中でいいアクセントになっている。
のりのりのテンポで、聖子の詩をうまく曲に乗せられている。
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M08 未来だけを見つめたい
作詞:松田聖子 作曲:小倉良 編曲:小倉良、宮野幸子

アレンジが繊細でうまい。
そして丁寧だなと思わせる曲だ。
決して派手ではないがアレンジの小細工が効いていて面白い。
曲やアレンジ次第では聖子の詩も心地よく耳に入ってくるものだ。
秀逸なアレンジでトータルでバランスが取れた良曲。
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M09 Cause you're my destiny
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子 編曲:宮野幸子

美しいバラード曲だ。
宮野幸子のアレンジは何か安心できるものがある。
おそらくうまく聖子というキャラクターに合わせられるのだろう。
聖子との相性は抜群だと思う。
シンプルな音で聖子のボーカルをゆっくり堪能できる曲だ。

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M10 You're the reason of my life
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子 編曲:小倉良

ラストはさらにシンプルなしっとりバラードだ。
英語部分が多いが、いっそ全て英語で書いたほうがよかったとさえ思えるほど英語詞がしっくりくる曲だ。
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録音のクオリティが高いというわけではないが、一部のミックスは面白い。
全曲がそうでないのが残念ではあるが、楽しめる曲があるというのは確か。
アレンジは変化に富み、個々の曲ごとに丁寧な仕事をしているように感じ、「おっ!」と思う部分がいくつもあった。
いい意味で90年代のアルバムを聴いているような感覚におそわれたアルバムだ。

この頃は作詞は全て聖子自身であるが、作曲は全てではないということも大きいだろう。

中盤からはやや中だるみ感もあるが、全体にキャッチーな曲が多く聴きやすい。
特に宮野幸子のアレンジ曲は秀逸だ。

ある意味、このアルバム以前と以降でひとつの区切りがあるように思う。

松田聖子 SHM-CD(マーキュリー/キティマーキュリー時代オリジナルアルバム)

聖子はデビューの1980年から1995年までをCBSソニー(現ソニーミュージックエンタテイメント)に所属し、1996年の全米再進出のタイミングで当時のマーキュリー・ミュージックエンタテインメントに移籍した。

これはそのCBSソニー以降のマーキュリー時代(1996~2001)にリリースされたオリジナルアルバム分10枚のSHM-CDでの復刻盤である。

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SHM-CDは「スーパー・ハイ・マテリアル CD」と読み、どのCDプレーヤーでも再生ができるが、信号の記録素材は通常のCDとは異なるものを使用している。
つまり音楽信号がより正確に記録されているので再生機器を選ばず正確に再生されるということだ。

例えばCDラジカセでデータの読み込みが甘い(読み込みエラー)CDでも30万円の高級CDプレーヤーだと正確に読み込むことができるとしよう。
高級プレーヤーの方が高性能なため、CDに記録された音楽信号を余すことなく引き出せるだろうということは容易に想像がつく。
同じCDでも機器が違えば再生される音は少なからず違うという根本的な問題をSHM-CDは解決しているとオレは解釈している。
厳密にいうとピックアップ部分の性能差が解消されるということだ。

という話になると高級プレーヤーであれば、通常のCDもSHM-CDも音は変わらないのではということにもなる。

聴感上の違いが認識できるかできないかはデリケートな話になる。
そもそもマスターテープが同じものか、リマスターされているか、だけでも音は変わってくる。
仮に上記の条件が同一であれば通常CDもSHM-CDも高級プレーヤーで再生する分には大差ないということになる。

こんなことを考えているとオーディオの沼にはまってしまうが、よりマスターテープの音を忠実に記録できており、安価なプレーヤーでもその恩恵にあずかれるというのならSHM-CDは大変有意義なものだ。

なのでオレはSHM-CDは高音質というよりも、どのCDプレーヤーでも読み込みの段階までは平等な音源を提供してくれるメディアだと解釈している。

この解釈が正しいのかは実際に聴き比べてみれば話が早いが、それはまた別の機会で試してみよう。
とにかく少しでも音がいいというのなら聴いてみたいというのがオーディオマニアの心理なのだ。


話を戻すがそういえばマーキュリー移籍当時のことはぼんやり覚えている。

CDを手にしてマーキュリーの字を見た時は、「ああ、聖子はソニーを離れたのか」とソニー贔屓なオレは少し寂しい気持ちもあったが、ファンはあくまでアーティストについているわけで、まあ仕方ないなという感じだ。

移籍により音楽性が変わったかというと、すでに聖子による作詞作曲は始まっていたこともあり、特に意識するほどの大きな変化はなかったように思う。

あくまで聖子のニューアルバムが出たな、と思って普通に聴いていた。

このマーキュリー時代のアルバムは長く再販されることはなかったが、2010年のデビュー30周年記念として、今回の10枚が改めて復刻された。

ただし、発売したのはユニバーサルミュージックからであり、マーキュリーは統合やらを繰り返した挙句に現在はユニバーサルミュージック傘下ということになっている。

なお、このSHM-CDシリーズ発売による音源のリマスターはされていないようだ。
(リマスターが必要なほど古くないし音も悪くないということか)

それでは見ていこう。

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【共通仕様】
フォーマット:SHM-CD
発売日:2010年5月26日
キャッチコピー:
デビュー30周年記念コレクターズ・エディション
ファンの皆様からの要望が高かったマーキュリー/キティ時代のオリジナル・アルバムをスペシャル・パッケージ(特製紙ジャケット)&SHM-CD仕様で復刻!
その他:初回生産限定、見開き特製紙ジャケット


この10枚のオリジナル盤は国内ではCDのみで発売された。

ただし、WAS IT THE FUTUREだけは海外ではカセットテープでも発売された。
(アジア圏では他のアルバムもカセットで発売されたものもあるようだ)

国内では90年代に入ってからはほとんどレコードは発売されなくなり、カセットも1995年を境にしてなくなった。
聖子の移籍と同時にメディアもCDへと完全移行したような形だ。

従って、音源としてはCDのみでアナログ音源は公式には存在しないことになる。
なので音源の聴き比べのようなことができないと思っていた矢先のこのシリーズの発売はオーディオマニア的には歓迎だ。

オリジナルCDのパッケージは通常仕様であったり、ボックス仕様であったりと様々だ。

このSHM-CDシリーズは、見開き紙ジャケット仕様で新たにデザインしなおしたもので統一された。
そういう意味ではオリジナルのパッケージの不揃いが解消され、ラックにも収納しやすいコレクターズアイテムと言える。

この10枚のアルバムをこれから集めるならこのシリーズは最適である。

全てではないがカレンダーやピンナップなどのおまけも一部再現されている。

特筆すべきはサイズがオリジナルCDよりも若干大判であること。
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左:SHM-CD 右:オリジナル

ラックによっては入らないかもしれないのが悩ましいがLPジャケットのようで少しうれしい。
ジャケット写真はオリジナルCDの表裏と同一であるが、オリジナルにはない見開き部分の写真は歌詞カード内の写真を使ったりと新鮮だ。

オレはオリジナルを一度全て手放しているが、買い戻しの際にこのシリーズをまとめ買いできたのは本当に運がよかった。
(といってもCDとして所有していたのは31st Foreverまでだが)

何よりSHM-CDだし、大好きな紙ジャケット仕様なのだ。

なお、品番はリリース順にはなっていないようだ。

では各アルバムの詳細をリリース順にみていこう。


WAS IT THE FUTURE
26th アルバム (SEIKO名義)
品番:UMCK-9337
価格:2,800円(税込)
オリジナル発売日:1996年5月14日 ※海外(日本は1996年6月10日)

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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1990年以来2度目の海外進出アルバムだ。
海外では前回よりも知名度も上がり、日本でも売れたマーキュリー移籍後の第一弾。
当時は国内盤と輸入盤を所有していた。
聖子が歌うクラブサウンドは必聴。


Vanity Fair
27th アルバム
品番:UMCK-9336
価格:2,800円(税込)
オリジナル発売日:1996年5月27日

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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WAS IT THE FUTUREとほぼ同時期での発売。
日本国内ではWAS IT THE FUTUREよりVanity Fairの方が先に発売されている。
大ヒットシングル「あなたに逢いたくて〜Missing You〜」収録。
聖子本人もお気に入りのアルバムらしい。
移籍後も安定の聖子ワールドだ。


Guardian Angel
28th アルバム
品番:UMCK-9344
価格:2,600円(税込)
オリジナル発売日:1996年12月5日

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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オリジナルアルバムとしているが、発売時期や曲数(6曲)からみてもクリスマスプレゼント的なミニアルバムだ。
SHM-CDシリーズでは10曲に満たないアルバムは2,600円、10曲ものは2,800円としているようだ。


My Story
29th アルバム
品番:UMCK-9338
価格:2,800円(税込)
オリジナル発売日:1997年5月21日

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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全作詞作曲が聖子かつ小倉良のコンビという近年のアルバムではお馴染みの形態。
当時としてはそれほど違和感なく受け入れられたのは、まだCBSソニー時代の余韻を引きずっていたからだろうか。
とはいえ、特別印象に残るアルバムでもなかった。


Sweetest Time
30th アルバム
品番:UMCK-9345
価格:2,600円(税込)
オリジナル発売日:1997年12月3日

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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これもクリスマス時期のミニアルバム。
この手のアルバムは通常アルバムとは区別したいところ。
「あなたに逢いたくて~Missing You~」の英語バージョンは必聴。


Forever
31st アルバム
品番:UMCK-9339
価格:2,800円(税込)
オリジナル発売日:1998年5月8日

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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オリジナルにはジャケットの聖子の胸の部分のタトゥーシールが付属したが、SHM-CDには付属していない。
残念ながらオレの長い聖子追っかけは一旦ここで終わってしまう。


永遠の少女
32nd アルバム
品番:UMCK-9340
価格:2,800円(税込)
オリジナル発売日:1999年12月18日

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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このアルバムは松本隆が久々に参加したことに意義がある。
また、聖子の自作曲が1曲もないのも久々となった。
それにしてもこのジャケット写真はいい。
シンプルなのにナチュラルな聖子の姿を捉えているようでなぜか好きだ。


20th Party
33rd アルバム
品番:UMCK-9341
価格:2,800円(税込)
オリジナル発売日:2000年6月28日

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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デビュー20周年記念アルバム。
小倉良vs原田真二の競演。
思えばここからまた20年経っているのか・・・


LOVE & EMOTION VOL.1
34th アルバム
品番:UMCK-9342
価格:2,600円(税込)
オリジナル発売日:2001年6月19日

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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原田真二フルプロデュース第一弾。
VOL.2と2枚組じゃダメなのか?


LOVE & EMOTION VOL.2
35th アルバム
品番:UMCK-9343
価格:2,800円(税込)
オリジナル発売日:2001年11月28日

ジャケット表
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ジャケット裏
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見開き
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CD
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前作の続編。
聴くときはVOL.1とセットで。
それにしてもシングル曲「愛♡愛〜100%♥Pure Love〜」は最高だ。

このマーキュリー時代分アルバムはSHM-CDシリーズで十分と感じており、現段階ではオリジナルを全て揃える気はない。

いま、聖子オリジナルアルバムのレビューを新しいものから遡って行っているが、試聴はこのシリーズにて行うつもりだ。

個々の詳細な感想はその時に。

松田聖子 Very Very(46th)

Very Veryは2012年に発売された46枚目のオリジナルアルバム。

映画主題歌、竹内まりや提供楽曲収録と注目のアルバムである。

しばらく続いた通常盤と初回限定盤の2通りの販売方法もこのアルバムが最後となった。

基本的には初回限定盤が欲しくなるのがファン心理であろうが、オレはできる限り通常盤も持ちたい。

一度は聖子を追いかけることをやめて、それまで持っていた全てのCDを手放した。

そのうち禁断症状が出始め、結局は戻ってきてしまうのも聖子の歌声に憑りつかれているということだろう。

しかも、かつてより重症な音源マニアになって戻ってきてしまった。

思えば聖子のアルバム(LP)を初めて貸しレコードで借りたあの日のトキメキが聖子を追いかける原動力になっているのだと思う。

永遠に手の届かない憧れのお姉さんというところか。

しかしアイドルはそうでなければならない。

だから長くファンでいられるのだ。


さて、聖子愛を語りだすと長くなるので今回のアルバムを振り返ってみよう。

音質の評価基準は前記事に定めた通りだ。


Very Very
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販売元:ユニバーサルミュージック
発売年:2012/6/6
レーベル:ユニバーサルシグマ
キャッチコピー:映画「わが母の記」イメージソング「涙のしずく」、竹内まりやプロデュース楽曲「特別な恋人」を収録した全10曲のオリジナルアルバム。

通常盤
 品番:UMCK-1420
 構成:CD
 価格:3,000円(税抜)

ケース表
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ケース裏
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CD
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初回限定盤
 品番:UMCK-9490
 構成:CD+36ページ写真集
 価格:3,500円(税抜)

スリーブケース表
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スリーブケース裏
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ケース表
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ケース裏
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CD
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特典写真集
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通常盤と初回限定盤の2形態で販売された最後の作品。
次の47th「Girl in the Wonder Land」からは初回限定盤が2種類となり、通常盤との合計3種類になる。

やや味気ないジャケットが残念である。

眺めていてちょっとしたことに気づいた。
通常盤・初回盤ともにCDと透明トレーから見えるバックインレイのデザインがチェック柄。
初回盤ジャケットの聖子のワンピースが青のチェック柄に対し通常盤は無地のピンク。
通常盤は帯はピンクのチェック柄に対し初回盤は無地。
どうでもいいことだが、なぜ統一しないのだろうか。


M01 涙のしずく
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

先行シングルにして映画「わが母の記」のイメージソング。
アルバムのイメージを決定づける重要な1曲目となる。
さすが映画に使われるだけあって気合いの入ったいい曲だと思う。
が、これを1曲目に持ってくることでこのアルバムのイメージはずいぶん変わってくる。
Very Veryな雰囲気を勝手にイメージしていただけに拍子抜けした。
曲はサビのメロディが素晴らしいだけにサビ以外はもっとシンプルなアレンジにして徐々に盛り上げていく感じでもよかった。
イントロからAメロに入る部分が絶妙で名曲たらしめる雰囲気がよい。

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M02 Someday
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

2曲続けてのバラード。
さらにオレのVery Veryのイメージからかけ離れていくようだ。
やはり聖子のアルバムの最初は盛り上がっていきたいところなのだが。
曲はしっとり系ではあるが1曲目がよかっただけに見劣りはする。
アレンジで差別化してメリハリをつけるとよかった。

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M03 Very Very!
作詞:松田聖子 作曲:小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

主題曲。
オレの思う流れなら、本来1曲目にしてほしかった曲だ。
聖子ワールドと言ってもいい明るいポップな雰囲気で気分が上がる。
平坦な伴奏があまりに惜しいがキャッチーなサビが耳に残りとても心地いい。
もっと派手なアレンジでもよかっただろう。

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M04 ふたりのボン・ボヤージュ
作詞:松田聖子 作曲:小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

聖子ファンなら確実に「おやっ」と思うであろう。
これは名曲「ボン・ボヤージュ」の28年ぶりの続編だ。
元をたどれば「ボン・ボヤージュ」は松本隆とユーミン(呉田軽穂)が作ったものでシングル「Rock'n Rouge」のB面に収録されていたものだ。
B面コレクションアルバムの「Touch,Me Seiko」に収録されることで広く世間に知られることになった。
そんな名曲のその後を聖子自身が引き継いだことになる。

そこをどう見るかだが、まずボン・ボヤージュというワードが入るだけで泣けてくる。
曲の雰囲気は極力「ボン・ボヤージュ」に近づけているようだ。

ボン・ボヤージュは「良い旅を」というような意味らしい。

彼氏との初めての二人旅、列車での彼女の様々な気持ちの揺らぎを描いている。

こちらの「ふたりのボン・ボヤージュ」は、その二人旅から長い年月が経っていると思わせる。
結局二人は結ばれることはなかったようなのだ。
「ボン・ボヤージュ」に描かれた情景をなぞりつつ、彼女まだ心残りがあるようだ。

展開としてはあるあるだが、現在の彼女の時間が進んでいないところが悲しくなる。
とはいえ、巨匠 松本隆の作り上げた世界観を大きくいじることはできないだろう。
あくまで、結局はうまくいかなかった、で留めているのは正解といえる。
巨匠も二人がうまくいかないことを想定していたのかもしれない。

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M05 The fntastic world
作詞:松田聖子 作曲:小倉良 編曲:小倉良

聖子のボーカルが多重録音され、小細工が効いた曲。
メインボーカルは中央、サブボーカルやコーラスはやや右寄りに聴こえる。
もともとエコーがほとんどないボーカルパートだがエコーがかかったように聴かせるので音場の広がりを感じられる面白い録音だ。
90年代のアルバムに多かったような曲調はうれしい。

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M06 Your Magic
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良

スローであるがダンサブルな曲。
ほぼ中央に音像が定位する現在的なクラブ風ミックスと言える。
もっとクラブ寄りに振ったほうがよさそうな気もし、少し物足りなさを感じる。

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M07 You are everything ~あなたがすべて~
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

聖子のボーカルのいいところを堪能できる聖子節炸裂な良曲。
そういう意味ではこのアルバムで一番好きかもしれない。
間奏のギターとシンセがかっこよくとてもいい。
低域部のベースとバスドラムがもたつくのが惜しい。

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M08 Thank you for these memories
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

イントロは期待させる雰囲気だ。
明るすぎず、暗すぎず、ニュートラルな曲調に収まっている。
サビも耳に残るしポップスのお手本のような曲ともいえるがインパクトがなく、あともう一歩というところか。

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M09 特別な恋人
作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや 編曲:増田武史

前年に発売された話題のシングル曲だ。
聖子の作詞作曲に慣れてくると、たまに単発で入る外注曲には嫌が応でも注目してしまう。
その曲が竹内まりや提供となれば無条件に高評価してしまいそうだ。
実際かなりの名曲に仕上がっている。
メロディアスなサビ。
コーラスだけのパート。
絶妙に入ってくる長い英語詞。
後半の盛り上げ方もうまい。
飽きさせない演出はさすがだ。
竹内まりや色が強いものの、アルバムのいいアクセントになっている。
別録音なので当然だがこの曲だけアレンジャーも異なり、明らかにこのアルバムの中で異彩を放っている。

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M10 あなたと生きること
作詞:松田聖子 作曲:松田聖子、小倉良 編曲:小倉良、栗尾直樹

アルバムのラストを飾るに相応しいバラード曲。
小倉良によるデュエット風コーラスがさりげなく効果的。
女性コーラスも入っているが、控えめに男性コーラスを入れるところがうまい。
このアルバムの中では珍しく音場が広く感じられる曲だ。

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身構えてオーディオ的に面白い部分を探していると肩透かしをくらう。
このアルバムは何も考えず、リラックスして歌に耳を傾けていればそれだけで心地いいアルバムだ。
アレンジもシンプル傾向で曲の良さを引き立たせているのが好感がもてる。

しかし、冒頭2曲でバラードをかましてくるのだけは謎だ。
タイトル「Very Very」からくる、オレの勝手なイメージが覆されていくようで気になる。
アルバムイメージを考えれば、流れがいまいちよくないのではないだろうか。

というわけで、勝手に曲順変更。

1.Very Very!
2.The fntastic world
3.You are everything ~あなたがすべて~
4.Someday
5.ふたりのボン・ボヤージュ
6.Thank you for these memories
7.Your Magic
8.特別な恋人
9.涙のしずく
10.あなたと生きること

聖子ワールドな曲が少なく、半分以上がバラード曲、かつシングル曲も2曲で再構成が難しかった。
序盤は盛り上げ、中盤にかけてクールダウンしていき、中盤からまた上げて、徐々にクールダウンしつつバラードで畳みかける。
オレの理想とする王道パターンに今回も組み換えることができた。
「涙のしずく」、「あなたと生きること」、のどちらをラストにするかが悩ましいが、アルバム用に作られた、「あなたと生きること」
を尊重した。

まぁそもそも聖子ワールドというのは80~90年代に周囲が作り上げたようなものなので、我々が思うような聖子ワールドを聖子本人が再現することは難しいだろう。
本人にしてみれば歌いたいのは聖子ワールドな曲ではないのかもしれないし、自分が書く曲がそもそもバラードが多いのもそれが本人の意向でもあるのだろう。

オレの中の聖子はいつまでも80年代のままだ。
あの時の聖子のままでいてほしいという身勝手さがそういう曲、アルバムを求めてしまうのだ。

ファンを続けるなら今の聖子に自らが合わせるべきなのはわかっているのだが。
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