さくの家電のーと

オーディオ、音楽、家電全般に関する備忘録ブログ

中森明菜

中森明菜 ANNIVERSARY COMPLETE ANALOG SINGLE COLLECTION 1982-1991(ワーナー期全シングル)

2021年 明菜デビュー40周年記念として、早くから告知されていたワーナー期の全シングルアナログレコードの復刻ボックスがついに発売された。

半年も前から予約していたので喜びもひとしおだ。

さて、本ボックスはワーナー期のアナログシングル発売分の復刻コンプリートボックスということである。
明菜のシングルは、ワーナー・パイオニア在籍時にデジタル(CD)へ移行されていた。
従って当時リリースされた明菜のアナログ分としてはこのボックスがあれば「ほぼコンプリート」ということになる。
「ほぼ」というのは、MCAビクター移籍後のカセットテープや後にアナログ復刻された分もあるためだ。
別の記事にも書いたがCDへ移行後もカセットだけは1995年前後まで発売されていた。
つまりこれはワーナー期だけのコンプリートという意味になる。

だが、果たして本当にこれでコンプリートできているのかはこれから検証していくので結論は後にしよう。

さて、近年のアナログ人気については世界的なものとなっており、これはもう一時的なものに終わらない様相を呈してきた。
今後はアナログレコード(カセット)も新譜としてCD等と同時発売されることも多くなりそうだ。

それにしてもダウンロードやストリーミングで音楽を聴く時代、CDさえも古いと言われかねない現状にアナログ回帰とは極端な状況だ。

オレはレコードはともかく、カセットテープだけは録音メディアとして絶やさず聴き続けてきたが近年のレコード人気に、レコード世代としては複雑な感情を持ちつつもしっかり便乗しているのも確かだ。
新譜でCDとレコードを発売すると聞くと、何より最優先でレコードを買ってしまうのだ。
(ここに来てレコードラックがすでに満杯となり保管場所に頭を悩ませている)

今後のアナログ復刻は古くからのファンのための復刻だけでなく、若年層へのアピールにもつながりそうなので歓迎すべきことと捉えたい。

さらに世界的な1970~80年代のJ-POP人気も後押しし、それが明菜ともなれば大変意義のある復刻であることは間違いない。

ここで明菜の過去のアナログ復刻についてもおさらいしておこう。

まずはデビュー36周年記念の「ワーナー期オリジナルアルバム重量盤アナログLP復刻」(2018年)が記憶に新しい。
中森明菜 レコード復刻盤(2018年カッティング 180g重量盤)
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今回のシングルボックスと両方揃えれば、明菜のワーナー期アナログ分はコンプリートできることになる。

また、非常にレア盤となっているが、アナログというくくりだけなら2016年の「全世界999セット限定アナログセット」もある。
これは当時のMCAビクターと現ユニバーサル発売分(ガウス在籍時の5枚を除く)のCDシングル(18枚)を初アナログ化したものもだ。

D2JJ-1
もともとCDシングルとして発売されたものをEPレコード化し、レコードプレーヤー(明菜モデル)とセット売りしたものなので復刻ではない。
さらにこれは999セット限定のため、今では入手困難なレア盤となっている。
(EPレコードのみ追加プレスした形跡はあるが現在はそれも終了)
こちらもおいおい記事に起こしたいと思う。

なにはともあれ中古でちまちまと集めていくより手っ取り早く、しかも新品で手に入るとなればこのボックスはとても有意義だ。

過去の記事でオリジナルは検証済みのため、それを踏まえて厳しく見ていこう。

過去のワーナー期のオリジナルシングル関連記事は以下。
ワーナー期オリジナルシングルレコード
中森明菜 シングルレコード(ワーナー・パイオニア期)

ワーナー期オリジナルシングルEPサイズ復刻CDボックス(文中のCDボックスはこれを指す)
中森明菜 Singles Box 1982-1991


ANNIVERSARY COMPLETE ANALOG SINGLE COLLECTION 1982-1991
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ボックス裏
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発売日:2021年6月9日
販売元:ワーナーミュージックジャパン

価格:48,400円(税込)
品番:WPZL-31821~50
組数:EP盤28枚、カセット1巻、12インチシングル1枚
キャッチコピー:ワーナー期全シングルを復刻

本ボックスはEP盤シングルの復刻がメインとはいえ、12インチシングル盤の復刻も含まれるため、予想通りLPサイズの巨大なボックスとなった。

大きさは通常LPの約20枚分に匹敵する。

このボックスを買っただけでLPレコード20枚分のスペースを取ってしまうことは、我が狭小オーディオ部屋においては深刻な問題・・・。

ボックス内にはEPレコード、カセット、12インチレコードが収められているが、果たしてどう収納されているのか。

蓋を外すとボックスデザインと同じLPサイズの冊子がでてくる。
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冊子の次は「赤い鳥逃げた」の12インチシングル。
レコードは片方にしか入っていないが二通りのジャケットの再現は素晴らしい。
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レコードをどかすと上にカセット、下にシングルレコードが収納されている。
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ちなみにカセットの下にはポータブルプレーヤーのイラストが。
レコードの下はレコードプレーヤーのイラストが現れる。
なかなか粋な演出だ。
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特典

このボックスにはもともとメーカー特典は準備されていない。
今回はAmazonオリジナルでトートバッグがつくということでAmazonにて購入し、これがその特典となる。

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特典はボックスに張り付けられていた。
予想はしていたが、ペラペラのトートバッグで実用では買い物袋程度にしか使えないものだ。

次にボックスの構成と仕様を見てみる。

冊子
冊子表デザインは先の通り。
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裏はデビュー時からしばらく使われた明菜のイメージキャラがさりげなく。

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冊子の内容はマスターテープに貼られていたレコーディングデータの写真等が延々と掲載されている。
オーディオマニアとしてはうれしい情報であるが、果たして一般のファンにとってはこれだけ高額なボックスの冊子としては?な内容だ。
本来ならレコーディング時の裏話やらのインタビュー記事でもほしいところだ。
ともあれ、カッティングに使用したマスターテープの出所を明確にしているという意味では評価できる。
なぜなら明菜の音源はLP復刻等でリマスターしたマスターテープが存在しているので、それらから作る(手抜きする)ことも可能であったからだ。

復刻においてはマスターテープに何を使ったかが非常に重要であるため、その証拠資料ということになるだろうか。
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他にはレコーディングリストと呼ばれるトラックシートの写真も掲載されている。
これはかなり貴重なデータである。

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特筆すべきは松本隆がレコーディング時に渡したと思われる「二人静」の歌詞もあった。
せめて解説でもつけてくれればと思うが、どうやら作り手の唯一手抜きが散見される冊子である。

EP盤仕様
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右から、ジャケット、オリジナルスリーブケース、ボックス用スリーブケース(白)、ジャケットカバー。

まず最初に目についたのがオリジナルのスリーブケースとは別のもの(写真の白いやつ)にレコードが収納されていたこと。


このボックスに収納して保管することを考えれば、1枚の厚みが増すことで重ねた際にレコード同士が干渉しにくくなり、ジャケットの保全効果が期待できそうだ。
高価なボックスなので少しでもプレミアム感を演出したいという意向もあるだろう。

ジャケットの色味を確認。
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右:オリジナル、左:復刻盤

オリジナルと比較すると肌の色が復刻盤のほうがやや赤みを帯びているように見える。
画像にボケ感がそれほどないのは幸いだが、背景も復刻盤はややザラついた感じがあり、オリジナルのほうが滑らかに見える。
オリジナルは数十年もののため、色褪せや焼けが多少あることを考慮しても、やはり復刻版はコピーだから、ということになるだろうか。
全てを細かく確認したわけではないが、オリジナルと全く区別がつかないというほどではない。
とはいえ、まぁ許容範囲であり、仕方ない部分だ。

さらに細部を見ると違う部分は当然だが品番の部分だ。
価格表示も含めて、そこまで同じにする必要はないということだろう。
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スリーブケースはオリジナルよりも濃いめ。
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右:復刻盤、左:オリジナル

デザインは規則的であるが一部シンボルは変更されている。
品番同様、旧シンボルは使わないということだ。

ジャケットカバーはEPサイズ復刻のCDボックスの時と同様、ボトム溶着部(スカート)がないタイプなのは当然だろう。

サイドシールもカットされた省スペースタイプだ。
しかしカバー自体の厚みは今回の方が薄いものを使っているようだ。
枚数がかさむと厚くなるのでそういう意味でということか?

昔ながらのスカート有りカバーは余裕がありすぎてカバー自体がよれる原因となり、そのよれがジャケットまで歪ませかねないので厳密には好ましくない。
(とはいえ安いのでついこっちを買ってしまうが・・・)
ボックスへの収まりもよく、おそらくアナログ復刻盤も同様のカバーを使用することだろう。

センターラベルを眺めていて、何か復刻盤のラベルが小さい感じがしたが、オリジナル9cm、復刻版8.3cmとやはり復刻版はやや小ぶりだ。
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右:復刻盤、左:オリジナル

そのせいもあってか、復刻版の文字はオリジナルより全体に小さい。

そしてもっとも衝撃的だったのが音溝の刻み方だ。
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右:復刻盤、左:オリジナル

オリジナル盤と比較すると違いは明白。
オリジナル盤は音溝を外周から内周にかけて記録面を無駄なく使用しているのに対し、復刻盤は外周に寄せて内周にはあまり記録していない。
全ての盤を確認したわけではないが、2,3枚を確認する限り外周寄りのカッティングのようだ。
確実に音に違いが生まれるだろう。

角速度一定で回転するレコードプレーヤーは内周へ行くほど1秒あたりに記録される溝の長さが外周よりも短くなるため、音質は悪くなっていく。
従ってシングル盤であっても外周のほうがより音がよいだろう。
つまり復刻盤は曲の始まりから終わりまでを音質の変化(劣化)を最小限に抑えるカッティングをやっているということになるだろうか。

一般的に言われるレコードが内周に向かうに従いどのような音質の変化があるのかを挙げておこう。
1.高低音が出にくくなる
2.音量が小さくなる
3.音が歪みやすくなる

となると復刻盤の方がより高音質で記録できているのでは?となる。
がしかし、メリットばかりとも言い難い部分もある。
復刻盤は外周よりに詰めた録音のため、隣の音溝との間隔がやや狭くなる。
音溝の間隔を狭くするということは振幅も小さくするということなので大きい音が入れづらい。
よって録音レベル(音圧)が低く、振幅を必要とする低音も少ない音になるということだ。
録音レベルが低いとアナログの世界ではノイズの問題も出てくる。
メリットばかりではないがカッティングエンジニアの腕次第ではオリジナル以上の高音質も夢ではない。
(オリジナルを超える音という意味ではないが)

とにかく、音を聴く前だがこの音溝を眺めていて思うのは、復刻盤の音は曲全体で音質の変化が少ないが、迫力にはやや欠ける音ではないかということだ。

(あくまで予想)

これも聴いてみればわかることなのでのちのち聴き比べてみようと思う。


12インチシングル仕様

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もちろんオリジナルに忠実である。
シール帯も再現しているが、オリジナルはシュリンクに貼られていたが、これはジャケットカバーに直接貼られている。
シュリンクは薄く破れやすいのでむしろこのやり方のほうがいいかもしれない。
内袋は通常のビニールタイプでなく、紙袋製だ。
これは2018年のLP復刻時に使用されたものと同様のようだ。

カセット仕様
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開封してないので中身は確認してないが、外から見る限りオリジナルに忠実のようだ。
カセットケースの色は同じ白だが、当時のものとは少しだけ形状が違う部分がある。
(ほぼ同じだが)
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次にオリジナル盤検証時の内容に沿って、その再現性を細かく見ていく。

スローモーション
スローモーションにはプロモ盤として別ジャケットが存在した。
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本ボックスではそれぞれ独立のジャケットが作られているのは素晴らしい。

ちなみにCDボックス(下写真)は2枚続きで再現されていたので仕様が変わって何よりだ。
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1/2の神話
オリジナルはセカンドプレスとして別ジャケットが存在した。
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こちらもそれぞれ独立したものだ。
やはりCDボックス(下写真)では2枚つづりだったのでさすがに気合がうかがえる。
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北ウイング
オリジナルは初回盤のみ三つ折りジャケット、両A面特別盤のリフレインバージョンがある。

ボックスでは三つ折りを再現し、
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リフレインバージョンも別に付属している。
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完璧だ。


飾りじゃないのよ涙は
オリジナルは三つ折りジャケットで紙質も他とは異なるものを使用している。

本ボックスでは紙質も含め見事再現。
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紙質はツルツルしてない独特の質感を持つ。
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赤い鳥逃げた
オリジナルは12インチシングルでこれも2つのジャケットが存在している。
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本ボックスではちゃんと2通りのジャケットを作っている。
ちなみにシール帯はカバーに張り付けられて1セットのみ付属。

CDボックスはシングルサイズでの再現だったので今回は完全な復刻となる。


SAND BEIGE-砂漠へ-
オリジナルの和紙のような特別な紙を使用。
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本ボックスにおいても忠実に再現されている。
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DESIRE-情熱-
ジャケット歌詞面はオリジナルは初期プレスはタイトルが「DESIRE」のみ。
後期プレスよりタイアップとタイトルに「ー情熱ー」が追加された。

本ボックスでは「情熱」有りの後期プレスの方を再現している。
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ジャケット折り返し
オリジナルには明菜考案のバーコード隠しを目的としたバーコード部分の折り返しがある。
対象はジプシー・クイーン、Fin、
TANGO NOIR、BLONDE、難破船、TATOO、LIARの7枚。
(I MISSED ”THE SHOCK”にはもともとない)
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本ボックスでも再現されている。

そしてバーコード部分はCDボックスと同様、フェイクバーコードだ。
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ノンフィクション エクスタシー
オリジナルは公式ではカセット発売のみでプロモ盤でシングルレコードが存在した。
今回はこのボックスの売りでもあるオリジナルカセットに加え、プロモ盤までもレコードで復刻したことが高評価だ。
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ちなみに当時のプロモ盤(右)とCDボックス盤(左)は以下。
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今回のボックスの方がオリジナルに忠実なのがわかる。
CDボックスで一度やっているからと大方の予想はしていたが、いい意味で裏切られたのがうれしいところだ。


AL-MAUJ
オリジナルは明菜唯一のハードジャケットを採用したシングルだ。
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CDボックスではフェイクハードジャケットだったのに対し、今回は完璧に再現された。

ちなみにレコードは他と同様別のスリーブケースに収納され、オリジナル同様のビニール製内袋も付属している。
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CDボックスの残念だった部分↓
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初EP化分
オリジナルはシングルCDとカセットしかなかった「
Dear Friend」「水に挿した花」「二人静 -「天河伝説殺人事件」より-」の3タイトル。
このボックスの目玉は初のEPレコード化だ。
CDボックスの記事でも触れたが、このジャケットデザインがどうなるかがポイントだった。

ただ、EPサイズにカットされた時のイメージはCDボックスですでに再現されていた。

今回のボックスは、
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予想通りCDボックスと全く同様のジャケットとなった。

ディア・フレンドは三つ折り。
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水に挿した花は広げるとカットされた部分が現れ、まるでCDシングルのようだ。
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二人静もCDボックスの時と全く同じだった。
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しかし、CDボックスでのジャケット再現で気になっていた引き延ばしによる写真のボケ感や色味の違いは修正されることはなかった。


さて、ざっと見る限りこの復刻盤はすごく細かいことを言わなければ十分満足できるレベルにあると思う。

非常にでかいボックスではあるが
それでもひとつにまとまっているし、これでワーナー期がコンプリートできると思えばこれほど適当なものはない。


さすがワーナーの復刻はあまり不満が出ない。

オリジナルを所持していない往年のファンや新規ファンには申し分ないボックスだろう。
このボックス内容を総合的に見て、これからあえてオリジナルをコレクションしなおす必要性は感じない。

これを機にオリジナルのレア盤の価格変動がどうなるのかも気になるところである。

現状、明菜の40周年記念企画はワーナーミュージックは積極的であるが、なぜか現所属のユニバーサルは今のところ動きがない。
ガウスエンタテイメント(現徳間ジャパン)期はリリース数が少ないとはいえ、アナログ化等できることはありそうなのだが今後の動きに注視していくしかないだろう。

それはともかくとして近年の明菜関連の新譜は復刻やリマスターばかりだ。

そして往年のファンとしては焼き直しばかりに辟易としているのも確かだろう。

新譜が無理ならせめてお蔵入りとなった音源や映像がなんとかならないものかと思う今日この頃である。

気になる音の違いは次回。

中森明菜 シングルCD(MCAビクター期)

明菜のヒット曲で誰もが知るシングル曲のほとんどはワーナー・パイオニア期のものだろう。

実際、さまざまなランキングに挙がるのはワーナー期のものが多い。

しかし明菜の現在に至るまでのキャリアを考えればそのワーナー期も一部にすぎない。

本当の明菜を理解するためにはワーナー期以外にもしっかりと目を向けたいところだ。

今回はそのワーナー・パイオニアの次の移籍先であるMCAビクター期のシングルについて見ていく。
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MCAビクターはメジャーレーベルに比べれば聞きなれない名だが、その名の通りビクター系のレコード会社となる。
(日本ビクターが出資しているがそれとはまた別)

ここら辺の経緯は買収や統合を繰り返している業界のため非常に複雑だ。

ざっくりでも知っておいたほうがよさそうだ。

MCAはミュージック・コーポレーション・オブ・アメリカの略でアメリカのレコード会社。
そのMCAレコードの日本での販売を日本ビクターが担っていた。
その後松下電器産業がMCAを買収したことで、松下とビクターの共同出資会社として誕生したのがMCAビクターというわけだ。
さらにその後、松下がシーグラムへ売却し、その売却先が社名をユニバーサルミュージックに変更したため、かつてのMCAビクターは完全に現代のユニバーサルミュージックの傘下に入ったということになるのだ。
よって明菜のMCAビクター期の復刻盤を出す場合はユニバーサルミュージック名義となる。

明菜のレコード会社の変遷は以下。

1.ワーナー・パイオニア
2.MCAビクター
3.ガウスエンターテイメント
4.@ease
5.ユニバーサルミュージック

今回は2の時期にリリースされたシングル分が対象となる。

先述したように2021年現在では2・4・5が統合やらでユニバーサルが権利を持っているため、1・3を除き、ユニバーサルが新たにリマスター盤等をリリースすることができるということになる。
実際、すでにユニバーサルは2と5の時期にリリースされたCDシングルを合わせて、初レコード化による再発※などをやっている。
※全世界999セット限定 アナログセット(2016年)

そんな経緯がある当時のMCAビクター期のCDシングルだが、オレはかなり重要な時期であると考える。
ワーナーから移籍後、MCAビクターからの第一弾シングルが出るまでは前作から約2年のブランクがあった。
とはいえ、明菜が不動の人気を誇ったワーナー期の勢いはまだ衰えていない。

つまりワーナー期からの明菜人気にあやかりつつ、かつての明菜っぽさもまだ残っているからだ。
ワーナー期とまではいかなくても知られないままの名曲が数多く存在するのだ。

しかし、ワーナー期をひと区切りとして一定数のファンが明菜から離れていったことも事実だろう。
明菜に限らず、アイドルの世界というのはそういうものだ。
(かくいうオレもその一人である)
一時期とはいえ、新譜を買わなくともせめて明菜の動向だけは注視すべきだったと後悔している。
リアルタイムで聴くのと後追いで聴くのとではまた印象も異なる。
しまった、と思うほどMCAビクター期の楽曲も素晴らしいものだったからだ。
その時代時代の音楽は世相を反映する鏡でもあるので、より曲を理解するにはその時代背景を体感しつつ聴くことも重要なのだ。

今では全期の明菜の楽曲を把握していると自負しているが、その上で俯瞰してみるとやはりMCAビクター期の楽曲がいかに素晴らしいものであったかということが見えてくる。


それでは細かく見ていこう。

明菜のMCAビクター期のシングルは約4年間(1993~1997年)で全8枚、8cmシングルCDで発売された。
(Everlasting Loveのみカセット発売も有り)

時代はすでにレコードが終焉し、CD時代へと移行し終わった頃である。
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当然のことながら全て初期CDシングルの縦長パッケージである。
(しかしすべてが半分に折れないジャケットデザインだ)

リリース順の内訳。
1.Everlasting Love/NOT CRAZY TO ME
2.片思い/愛撫
3.夜のどこかで~night shift~
4.月華
5.原始、女は太陽だった
6.Tokyo Rose
7.MOONLIGHT SHADOW -月に吠えろ
8.APPETITE

明菜の全期を知るものにとっては名曲だらけだとわかるはずだ。

1と2についてはジャケットの記載通り2曲のタイトルを入れている。
これは両A面という意味だ。

そもそもレコード世代でなければA面B面の概念を理解することからか。
レコードは表A面、裏B面でどちらがメイン曲なのかを区別する。
悪い言い方をするなら、A面がメイン曲でB面はおまけ曲という感じだ。
例えば、B面曲がゆうせん等でヒットしてA面として再リリースし直すこともあり、結果両A面扱いとなったケースもよくあった。
両A面という考えはレコードの時代に生まれたものである。

CDシングルにはA面B面がないので、通常は1曲目がA面で2曲目がB面扱いという捉え方でよい。
また、CDシングルではレコードB面にあたる曲はジャケットの隅に小さくC/W(カップリング・ウィズ)としてメイン曲より小さく曲名を記載するのが慣例である。
CDシングルにおいてはA面曲、B面曲、両A面曲かの区別はジャケットのタイトル記載方法や曲順によりそれを区別するということになる。

また、CDシングルはオリジナルのカラオケが入っていることもレコードになかった利点と言える。
(それまではカラオケ収録はカセットテープのみの特権であった)

そして、これらシングルでなければカラオケは聴けないことがほとんどなので、CDならあえてシングル盤も所有する意義は大いにあるのだ。
サブスク世代はサブスクではまず聴けない音源もあることを認識しておく必要があるだろう。


Everlasting Love/NOT CRAZY TO ME
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発売日:1993/5/21
品番:MVDD-10001
C/W:両A面

1曲目は「Everlasting Love」。
ミュージシャンの大貫妙子による作詞、坂本龍一の作曲と豪華な顔ぶれ。
バラード調の美しい曲で坂本龍一が作曲だがさすが教授、幅の広さを感じる。
個人的にはバラードを好まないので移籍後第一弾シングルの1曲目がバラードなのは弱いかなと思っている。
反面、明菜の次なるステージの予感も感じさせるものだ。
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2曲目が「NOT CRAZY TO ME」。
ミディアムテンポのダンスミュージックだ。
作詞はNOKKO(レベッカ)でこちらも作曲は坂本龍一。
この時すでに惜しまれつつもレベッカを解散していたNOKKOだが、その勢いのままソロ活動でも目覚しく活躍していた。
レベッカ時代の楽曲の大半をNOKKOが作詞していたが、成長と余裕を感じさせる大人の詞といったところ。
両A面とはいえ、A面があるとすれば断然オレはこっちを推すところだ。
明菜節も多少聴けるしメロディも洗練されていてかっこいい。
これは同年発売のオリジナルアルバム「UNBALANCE+BALANCE」の先行シングル扱い。
先行シングルというわりには4か月も空いているところを見ると、アルバム曲の頭数合わせにこれを収録したのではと思ってしまう。
なぜなら「UNBALANCE+BALANCE」は「NOT CRAZY TO ME」がなければ全8曲しかないからだ。
アルバムにはアレンジが異なるLP Editが収録されたが、明菜本人も言ってるがシングルバージョンとの違いが微妙すぎる。
また、個人的にはこのカラオケが聴けるのが嬉しいところ。
BGMとして流していても違和感がない気持ちよさがある。

なお、本作が明菜最後のアナログリリース分が有ったシングルであり、カセットでも発売された。
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発売日:1993/5/21
品番:MVSD-10001
C/W:両A面
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カセットなのでCDと全く同じ曲構成だ。

明菜最後のシングルレコード発売となったLIAR以降、ワーナーからは3作のシングルをカセットで発売したので、明菜のカセットが頑張ったのはこれを含めてわずか4作のみとなる。
ポップス分野においてカセットというメディアは当時それほど重要視されてはいなかった。
(カセットが必須なのは演歌)
聖子は1995年までカセットを発売したが、どこで見切りをつけるかはレコード会社の方針によりけりだったということだ。

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片想い/愛撫
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発売日:1994/3/24
品番:MVDD-10004
C/W:両A面

2作続けての両A面シングルとなった。
それだけシングルカットしたい曲が多かったということだろう。
1曲目は「片想い」。
普通に考えれば1曲目がA面扱いなのだろうと勘繰ると、前作同様1曲目にバラードを持ってきているのがとても興味深い。
しかもこれはオリジナル曲でなくカバーである。
なぜカバー曲をシングルにしたのか、理由は簡単だ。
これは今ではお馴染みとなった明菜のカバーアルバムである歌姫シリーズ第一弾からのシングルカットという意味であり、プロモーションの一環だからだ。
(アルバム、シングル共に同日発売)
ちなみにアルバム「歌姫」に収録されたものはアルバムバージョンで多少アレンジが異なる。

思えば明菜のカバーシリーズはここから始まったわけだ。
オリジナルは槇みちるのシングル「鈴の音がきこえる」(1969年)のB面からとのことだが全く知らない歌手だった。
(その後中尾ミエがカバーしたことで有名になったとのこと)

さて、明菜に限らず、カバーについては当世代・別世代の間でよく論争が巻き起こるものだ。
オリジナルを知るものにしてみればオリジナルがいいという意見が多く、カバーをこき下ろす。
別世代がカバーがいいと言えばオリジナルを聴いたのか?と当世代が目くじらを立てる。
もちろん個人の意見は好みなのでそんなのはどうでもいい。

「片想い」についてはオレは明菜によって初めて知った曲であり、別世代ということになる。
カバーと知ってオリジナルを聴き直すきっかけとなったり、自らの音楽の幅が広がることは楽しい。
そもそもカバーしたアーティストはオリジナルを超えようなんて考えを持っているわけではない。
自分が好きだからカバーするわけであり、そこにはまずトリビュートの精神があるわけだ。

我々聴き手はそのおかげで過去の名曲を聴き継ぐことができるのだ。
オリジナルをトリビュートしなければいけないのは聴き手も同じであり、どちらが好きかはその後に決めるべきだろう。
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裏面は同日発売のカバーアルバム「歌姫」の裏ジャケットと同様、着物を着た明菜が鮮やか。

そして2曲目が「愛撫」。
作詞は明菜ではとても珍しい松本隆。
歌詞を聴かないオレでも思わず歌詞カードを読み返したほどの秀逸な詞だ。
通常なら曲をかっこいいと思っても、なかなか詞をかっこいいとは思わないのに。
イントロから数秒聴けば小室哲哉の曲だとすぐにわかる。
小室と明菜は合わないという声もあるようだが、クセのある小室の曲を見事自分のものにしているのはさすがとしか言えない。
これはオリジナルアルバム「UNBALANCE+BALANCE」からの第二弾シングルでもある。
このアルバムの中では最も人気が高いであろう「愛撫」はもともと移籍後第一弾シングルの候補曲だったというエピソードからもここで陽の目を見たのは納得だ。
打ち込みの音があまり好きでない明菜はレコーディング時、せめて低音を効かせてくれと注文したらしいが、その通り低音が力強い仕上がりとなっている。
平面的な音場でオーディオ的には退屈になりがちな打ち込み曲には効果的かもしれない。
明菜のマイシングルベスト10に入れたいほど好きな曲。
やはりこれのカラオケも必聴だ。


夜のどこかで~night shift~
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発売日:1994/9/2
品番:MVDD-10007
C/W:Rose Bud

ジャケットでまず目を引くのがテレビに映った櫻井よしこ。
これは当時の日テレ深夜ニュース番組「きょうの出来事」のエンディングテーマに使用することが前提で作られたものだ。
(櫻井さんが好きでよく見ていた)
明菜も夜のニュース番組のテーマ曲をどう歌えばいいのか悩んだようだ。
その結果がファルセットということになるのか。
言われてみれば終始ファルセットで歌唱しているようでもある。
しかし、そういう話であっても明菜はファルセットをそう思わせないほど普通に使うので、もうこれも地声だといってもいいだろう。
「警部補 古畑任三郎」の記念すべき1stシーズン第一話のゲスト主演は明菜だったが、ここでの明菜の役はコミック作家 小石川ちなみ(漫画家と言うとちなみに怒られる)は全てのセリフがファルセットだ。
そういうことができるのが明菜なのだ。
「素顔のままで」では完全地声の明菜が見られるので比較すると面白いだろう。
こんな驚くべきことを普通にやってのける役者はそういない。
(のだめカンタービレの上野樹里の声もすごいが・・・)

「夜のどこかで~night shift~」はニュース番組というよりも、むしろサスペンス系のドラマに合いそうな雰囲気。
(明菜はこの系統の曲が多いし似合う)

シングル「二人静」「帰省」が好きならこの曲もきっと気に入る人は多いだろう。
前から思っていたのが明菜はこの雰囲気の曲が割と多いので、いつか「サスペンスドラマに使われそうな曲ベスト」を作ってみたい。
共通するのはスロー~ミディアムテンポなのにどこかかっこいい部分があるということだ。
作曲したのは後藤次利。
やはり天才作曲家だが、オレは明るい曲を作る人のイメージだったので少々驚いた。
ミディアムテンポであるが、ストリングスとエレキギターで音に深みを持たせた良曲だ。

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裏面はカップリング曲側のイメージで撮影されているようだ。

カップリング「Rose Bud」もフジテレビトーク番組「新伍&伸介のあぶない話」のエンディングテーマでこのシングルは完全タイアップ曲構成ということになる。
(この番組は見た記憶がない)
明菜の多くの曲のなかでも目立たない部類に入るだろうが、アップテンポでメロディも抜群にいい。
明菜ビブラートも聴けるので本領発揮の明菜らしさが感じられる曲だ。
自分でB面ベストを作るなら確実に入れたくなる良曲だ。


月華
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発売日:1994/10/5
品番:MVDD-10009
C/W:BLUE LACE

「月華」は前作から2か月連続の第二弾シングル。
タイトル通り和風テイストなアレンジがアクセントのミディアムテンポなバラード曲。
明菜は全体に地声で歌えるキーなのは久しぶり、とコメントしているがどんだけファルセット使ってたんだということだ。
(明菜の地声ってどれだ)
これも「二人静」「帰省」系だと勝手に分類しているが、明菜のこの系統の曲は本当に好きだ。
明菜の憂いのあるボーカルがおそらくこのような曲を呼び寄せるのだろうし、実際ぴったりだ。
クセになる泣きメロとでもいうのか、やっぱりこの系統のベストは作ってみたい。

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DESIREを思わせる奇抜なファッションの裏ジャケット。

カップリング「BLUE LACE」はアコースティックな響きが美しいバラード調。
オーディオチェック用に使いたくなるような好録音だが、アルバム「UNBALANCE+BALANCE+6」のボーナス曲として収録のリマスター音源のほうがより重厚な音で最適だろう。
バラード嫌いなオレだが、なぜか明菜のバラードは好きなものが多い。
(聖子も好きなバラード曲はたくさんあるが、あまりに近年量産しているのでちょっと食傷気味なところがある)


原始、女は太陽だった
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発売日:1995/6/21
品番:MVDD-10014
C/W:綺麗

「原始、女は太陽だった」はラテンの雰囲気をまとうアップテンポな曲。
それにしてもインパクトのあるタイトルだ。
ラテン系と言えば「ミ・アモーレ」を思い出すが、あそこまでラテンではなく、ほどよく洗練されたラテン系といったところ。
実はこの曲、Aメロ・Bメロ部分でボーカルが微妙に多重録音されているようだ。
最初は追っかけエコーかと思ったのだが歌詞とは違う声が入っている部分もある。
(00:49辺りがわかりやすい)
カラオケで確認したがコーラスはサビの部分にしか入っていなかった。
このさりげない小細工が実に気持ちいい。
現代の曲はボーカルにエコーをあまりかけないデッドな音が多いので、この曲のボーカルを聴くと不思議な感覚を覚えることだろう。
このようなエフェクトをかけたボーカルは多くないので貴重だ。
オリジナルアルバム「la alteracion」ではアルバムバージョンを聴くことができる。
アルバムバージョンはシングルから大きくアレンジを変更しているわけではない。
ただし、シングルのようなボーカルのエフェクトが変更されていることはわかる。
よって断然オリジナルのシングルバージョンが圧勝で好きだ。
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この頃からだろうか、明菜のジャケット写真にアイドル然とした雰囲気がなくなってくる。
ピントをぼかすとか、顔を一部しか写さないとか、よりアーティスティックになったと言えば聞こえはいいが、どこか手抜き感を感じるのはオレだけか。

カップリング「綺麗」は明菜としてはそう多くないサビ始まり曲でインパクトは大。
オールドJ-POPなメロディだが洗練されたアレンジで古臭さを感じさせない良曲となった。
とはいえ、シングルB面を脱するほどではないとも思う。


Tokyo Rose
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発売日:1995/11/1
品番:MVDD-10017
C/W:優しい関係

このシングルはジャケットからもわかるように「中森明菜」ではなく「Akina」名義でのシングルだ。
言われなきゃスルーしてしまいそうでそれで何が違うのかと思うが、それも含めてのキャラクタープロデュースといったところだろう。
(聖子の「SEIKO」名義とはまた意味が違う)

思えば「ノンフィクション エクスタシー」も同様で架空のキャラクターを作り出し、ここではロカビリー歌手の「AKINA」という演出なのだろう。

「Tokyo Rose」は明菜には珍しいロカビリー曲。
言ってみれば「TATTOO」的な雰囲気もある。

そもそもロカビリーを狙ってロカビリーを手掛けるメンバーを迎えているほどなのでそれは本格的だ。
ノリノリなバック演奏も聴きどころのひとつ。

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カップリング「優しい関係」も同じくロカビリー。
このシングル自体がそういうコンセプトというわけだ。
この曲では珍しく曲中に明菜のセリフが入るのが面白い。


MOONLIGHT SHADOW -月に吠えろ
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発売日:1996/8/7
品番:MVDD-10024
C/W:なし

これも小室哲哉の作曲だ。
期間はかなりあいているがオリジナルアルバム「SHAKER」の先行シングル曲。
オレはこれを初めて聴いた時、小室っぽいなとは思っても当初はそれほどいい曲とは思わなかった。
しかし、数回聴いてすぐにドはまりした経緯がある。
聴けば聴くほどクセになるのだ。
同じく小室の「愛撫」よりも打ち込み独特の閉塞感がいくらか軽減している。
ボーカルのエコーとドラムのキレがあるため、そう聴かせるのかもしれない。
作詞はさすがのTHE ALFEE 高見沢俊彦だ。
ちなみにオレは高見沢さんと誕生日が同じ(年は違うが)で昔から勝手に親近感を持っている。
とにかく、この二人が組めばいい曲ができて当たり前。
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なお、本作はカップリング曲はなく、同曲のクラブミックスとカラオケの3曲で構成される単曲シングルだ。
(そもそもシングルは2曲でなければいけないというルールはないと思うが、価格は1000円と他と同じ通常シングル価格である)
好きな曲なのでクラブミックスには大いに期待したが、正直このミックスは残念としか言いようがない。
曲の持ち味のグルーブ感が失われ、ただ間延びしただけでオリジナルより大人しいとさえ思う。
この翌年のオリジナルアルバム「SHAKER」ではこのアルバムミックスが収録されたが3曲を比べるとアルバムバージョンが断トツで好きだ。
前奏が30秒ほど追加されたのとボーカルとコーラスのエコーが深くなり、より打ち込み感が緩和されて聴きやすくなっている。
デッドな音のシングルに対し、ライブな音のアルバムバージョン、間延びしただけのクラブミックスといったところか。
この曲もまた完全に明菜のシングルマイベスト10入りの曲に認定だ。
ここにきて期間が短いMCAビクター期シングルがマイベスト10に2曲(先の愛撫)も入ってくるとは思わなかった。
そもそも小室のことはTMネットワーク時代から大好きで、小室ファミリーの曲と共に青年時代を過ごしたオレとしては小室愛が半端ではないのだ。


APPETITE
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発売日:1997/2/21
品番:MVDD-10027
C/W:SWEET SUSPICION

「APPETITE」はMCAビクターで最後にリリースされたシングル。
やはりオリジナルアルバム「SHAKER」の先行シングルとなる。
終始ジャズ風アレンジのウッドベースの重厚な音が特徴。
しかしこの曲の特筆すべき点はエコーエフェクトの切替につきる。
1コーラス目はイントロ演奏こそリバーブがかかるがAメロのボーカルはデッド、サビはボーカルにエコーをかけるという変則的な構成を見せる。
さらに2コーラス目のAメロはボーカルはこもらせた上でのデッドなボーカル、サビで再びエコーをかけ、後半はずっとエコー。
一体どうなってる?
こんな構成はかなり珍しい。
明菜のシングルでも5本の指に入る異色な曲となった。

アルバムには「APPETITE ~HORROR PLANTS BENJAMIN」とサブタイトル付きでアルバムバージョンが収録された。
もともとサブタイトルの方が最初のタイトルだったらしい。
イントロが多少違うことを除けば大きな違いはないが、ボーカルのエフェクトにシングルのような変化はつけず一定なのが特徴だ。

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シングル「TATTOO」のジャケット歌詞面を思わせるアングル。
明菜のスタイルの良さを押し出した写真は多くはないので貴重だ。

カップリング「SWEET SUSPICION」も多少変則さをにおわせる曲だ。
こっちはAメロBメロと爽やかなフレンチポップなメロディとアレンジを見せるがサビに入ると竹内まりや的なニューミュージックな雰囲気になる。

このシングルは全体でかなりクセのある曲作りをしているが大好きだ。


さて、MCAビクター期のシングルを振り返ってみて思うのは「明菜らしさ」と「新しい明菜」が混在した過渡期のようなものだったということ。
ワーナー期においても明菜は自己プロデュースしていたが、より明菜の意思のようなものを強く感じる。
自分の歌いたい歌、表現など、大手レーベルでは意見出来なかったこともここではやりやすかっただろう。
これまで以上に実験的な音作りをしており、その振り幅の広さには驚かされる。
シングル、アルバム含めてオレはMCAビクター期の楽曲は明菜のキャリア中でもかなりの高水準だと思っている。

しかしそれは必ずしもファンが求める明菜とは違っていたのかもしれない。
だからこそワーナー期の明菜だけでいいという意見も否定はしないのでそれはそれでいい。

人間はいくつになっても成長しつづけるものだ。

思い通りに成長してくれなかったからと見捨てるのは簡単だ。

明菜を本当に好きであればその成長の過程を全て見守ることで別の何かが生まれるかもしれない。

それは今からでも決して遅くはないと思うのだ。

中森明菜 It's brand new day

明菜のシングルレコードを振り返る時、ひとつだけ浮いた存在のものがあることに気づく。

それが「It's brand new day」だ。

通算で40枚目のシングルとなる。

ただし、このシングルはもともとは配信のみであったため、CDはアーティストによる自主製作盤だった。

明菜の場合、ここら辺の経緯がややこしいので整理が必要だろう。

まずは明菜の所属したレーベルを時系列でおさらい。
※社名は所属時のもの

1.ワーナー・パイオニア
2.MCAビクター
3.ガウスエンターテイメント
4.@ease
5.ユニバーサルミュージック

今回の「It's brand new day」は4の@easeからデジタルダウンロードで発売されたもの。
@easeとは当時のMusic@nifty内のインディーズ向けレーベルだ。
(現在は存在しない)

つまり、その他大手のレーベルとは規模も形態も異なるため、CD自体は当初アーティストの自主製作盤としてのみ存在した。
明菜ほどの大物アーティストだけに、いってみれば無所属期間にリリースされたようなものだ。

後に現所属のユニバーサルミュージックに移籍するが、この楽曲自体はユニバーサル移籍第一弾アルバム「Resonancia」にも収録されており、結果「It's brand new day」は先行シングル扱いとなったのだ。

楽曲自体はダウンロード→マキシケースシングル→ジュエルケースシングルの順で供給されており、このためなのかジャケットは2通りあるとのこと。
(Wiki情報だがジャケットが2種は怪しい)
物理メディアのシングルCDなら収録内容はおそらく同じで、あるとすれば収納するケースとジャケット?の違いがあるだけだろうと推測している。


It's brand new day
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発売日:2001年5月31日(デジタルダウンロード)
品番:NNCC-10001

これは、最終盤かつ最も流通量が多いと思われるジュエルケースマキシシングル盤である。

ジャケット裏
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それまでの明菜のシングルCDは8cmCDでしか発売されていなかったが、ここで自身初の12cmのマキシシングルCDとなった。

マキシシングルはまさに2000年前後に登場したもので、当時は12cmCDに収録されたシングルがマキシシングルと呼ばれており、収録曲は4曲程度、12cmCDとの差別化のためにシングル用途のマキシケースに収納されることが多かった。

CDのケース種類については以下↓
元オーディオ小僧 CD保管の流儀 その2

当初はダウンロードで先行配信後、2001年6月6日からのコンサート・ツアー「ALL ABOUT AKINA 20th Anniversary IT'S BRAND NEW DAY」の会場内でCDの物販も開始された。
(ここではマキシケース盤での販売か?)
その後は同年7月10日にMusic@niftyのオンラインストアでCDの通信販売、同年8月8日からは一部レコード店でもCD販売されたようである。
(これがジュエルケース盤だと思っている)

よって現代市場に流通するものはジュエルケースCDタイプがほとんどで、オレはマキシケース盤は見たことがない。

こういった経緯があり、このシングルだけは明菜のシングルの中では異色中の異色の1枚というわけだ。

これは自主製作盤ということもあり、新品時から帯はついていない。
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シールド(未開封)状態のIt's brand new day

CDラベル面
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収録曲
1.It’s brand new day
2.Stay in love
3.It’s brand new day(Inst)
4.Stay in love(Inst)

マキシシングルのため、カップリングも含めたカラオケ付きの4曲となる。

同曲はユニバーサル移籍第一弾アルバム「Resonancia」にも収録されているため、そちらで聴くこともできる。
(Stay in loveは収録されていないが)
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ただし「Resonancia」での収録分はURU Latin mixのため本作とはアレンジがまるで異なる。

URUとは音楽プロデューサーであり、女性シンガーソングライターのUruではない。

よって入手しやすいという意味で簡単に聴けるのはアルバムバージョンということだ。

収録曲について

It’s brand new day
作詞:Adya 作曲:Adya 編曲:URU

ジャンル的にはR&Bとされる。
単調なリズムの繰り返しとアコースティックな雰囲気がとても心地いい。
かなりスローな曲で音も少なく地味といえば地味だ。
コーラス部はAdyaと明菜が担当する。


Stay in love
作詞:Adya 作曲:URU 編曲:URU

雰囲気的にはIt’s brand new dayに近い。
リズムだけを聴いているとラップのように聴こえなくもない。


It’s brand new day(Inst)

非常に音が少ない曲だがカラオケとなるとそれを痛感できる。
主メロディはボーカルが担うのでカラオケで歌うならかなり聴きこまないと無理だろう。


Stay in love(Inst)

音が少ないのはこちらも同じ。
やはり聴きこみしないと歌うのは難しいだろう。


ついで。
It’s brand new day(URU Latin mix)
アルバム「Resonancia」に収録のアルバムバージョン。
残響が少ない非常にデッドな音場だ。
ボーカル、各楽器はよく分離しておりとても聴きとりやすい。
ラテンミックスなので情熱的で明るい感じを連想するがまったくそんな雰囲気はない。
とはいえ、オリジナルよりもテンポは少し早くアレンジも少しにぎやか。
オレはオリジナルよりもこのアルバムバージョンの方が好みだ。


It’s brand new dayは明菜のシングルとしてはかなり目立たない。
しかし名曲である。
明菜の新曲がまるで聴けない期間が続いている。
だからこそ過去の聴き逃している曲、あるいは聴き飛ばしていた曲を今じっくりと聴くチャンスであると思っている。
きっと好きな曲が増えるはずだ。

中森明菜 Singles Box 1982-1991

今年(2021年)で明菜デビュー40周年目に突入だ。

これを記念して6月に発売されるワーナー期シングルアナログボックスの発売を前に、既発のCDボックスを記録しておかなければならないだろう。

これもやはりワーナー・パイオニア在籍時代に発売されたシングルのみを集めたCDボックスだ。

これが発売された時、このパッケージ内容は完璧だと思った。
(細かいことを気にしなければ)
当時のジャケットの再現はもちろん、同じEP盤サイズなど、その再現性には十分満足しており、もうワーナー期のシングルはこれで完結だろうと思っていた。

しかし、昨今のレコード人気に乗っからずにはいられなかったのか、EP盤の復刻が実現するようなのだ。

このCDボックスで再現されたジャケットは一部修正すれば、今年のEPボックスにも流用できるものであり、これに準じていればおそらく復刻内容に大きな不満はでてこないだろう。

ただ、当時のレコードの復刻については複雑な心境だ。

やはりオリジナルがある以上、復刻盤は邪道という考えが抜けない。

当然のことながらマスターテープはリマスターされたものを使用し、音は当時とは違うからだ。
(音がよくなっていようがそこは関係ない)

とはいってもオーディオマニアとしては音の違いを楽しむこともマニア活動の一環。

そういう大義名分がオレにはあるのでもちろん購入はする。

なんだかんだいって明菜はもう買うものがないので新譜が嬉しくて仕方がないのだ。

明菜のワーナー期オリジナルシングルについては以前の記事があるので、このCDボックスではオリジナルと比較しての要点のみピックアップすることにした。
中森明菜 シングルレコード(ワーナー・パイオニア期)
※文中はオリジナルとの比較になるので詳細は上記を参照

それでは詳しく見ていこう。


Akina Nakamori Singles Box 1982-1991
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ボックス裏
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発売日:2014年6月18日
販売元:ワーナーミュージックジャパン

価格:24,000円(税抜)
品番:WPCL-11871~11898
組数:CD28枚
仕様:オリジナルEPジャケット、別ジャケット再現、2014年リマスター
キャッチコピー:デビュー・シングル「スローモーション」から「二人静ー天河伝説殺人事件より」まで、28曲中チャート1位獲得22曲!総売り上げ1,200万枚以上を記録した中森明菜の紙ジャケット・シングル・コレクション

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当然のことながらEPサイズなので一見してオリジナルと区別がつかない。
(ジャケットが美しいこと以外は)

以下よりアナログEP盤の再現性と本ボックスの特筆すべき点について検証する。


特典
ボックスにはジャケットを印刷したマグネットの特典がついている。

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ひとつひとつが取り外せるがまず使わないだろう。


冊子
付属するのは収録曲をまとめた4ページの薄い冊子のみ。

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これならあってもなくてもいいレベルだ。


ジャケットカバー

ちょっと細かいがジャケットカバーはボトム溶着部(スカート)がないタイプだったのが何気に嬉しい。
サイドシールもカットされた省スペースタイプだ。
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左:本ボックスのカバー、右:通常のカバー

この差は大きすぎる。
昔ながらのスカート有りカバーは余裕がありすぎてカバー自体がよれる原因となり、そのよれがジャケットまで歪ませかねないので厳密には好ましくない。
(とはいえ安いのでついこっちを買ってしまうが・・・)
ボックスへの収まりもよく、おそらくアナログ復刻盤も同様のカバーを使用することだろう。


収録曲
このボックスのCDは12cmCDだ。
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ワーナーの保護袋を模した厚紙の台紙にCD紙ジャケット用内袋に入ったCDを収納している。

CDだけに曲はたくさん入るため、オリジナル以上の曲を入れることでアナログと差別化されている。

基本曲構成は以下。
1.A面
2.B面
3.A面のライブバージョン
4.A面カラオケ
5.B面カラオケ

オリジナルアナログ盤に対して3曲も多く収録されているのが嬉しい。
聴いたことがなかったカラオケも収録されたことが実はこのボックスの最大の特典と言える。
曲の成り立ちを知る上でカラオケは非常に重要だ。
ライブバージョンが収録されているのは実際の生歌唱がどうだったのかを知る上でありがたい。
また、このライブ音源の出所は冊子に記載されている。

*:Live in '88 Femme Fatale
**:The 8th Anniversary AKINA NAKAMORI EAST LIVE INDEX23
***:BITTER AND SWEET 1985 SUMMER TOUR
****:Live in '87 -A HUNDRED days-
*****:Listen to Me -1991.7.27~28 Makuhari Messe Live-
※**と*****はCD化済み分

どれもCDかDVDを持っていれば聴けるが、これを記載するかしないかでは大違い。
疑似体験しながら聴けるので重要だ。

なお、この曲構成に準じていないのはまず「赤い鳥逃げた」。
1.赤い鳥逃げた
2.BABYLON
3.赤い鳥逃げた(ライブバージョン)
なぜカラオケがないのか?
赤い鳥逃げたのカラオケはどうしても欲しかった。

もうひとつは「ノンフィクション・エクスタシー」。
1.ノンフィクション・エクスタシー
2.ノンフィクション・エクスタシー(カラオケ)
オリジナルはカセット(プロモ盤でのみアナログ盤有り)だったが、A面に上記2曲、B面にひとつ前のシングル「Fin」のAB面が収録されていた。
それはいいとしてライブ音源が収録されていないのは惜しい。


スローモーション
プロモ盤として別ジャケットが存在したがそれも再現。
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見開きでくっついているがジャケットを裏返せば2枚分ということだ。


1/2の神話
オリジナルには別ジャケットが存在したがちゃんと2枚のジャケットが再現されている。
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北ウイング
これはオリジナルの初回盤では三つ折りジャケットであったがここでは通常盤(1枚もの)とリフレインバージョンの2つを再現している。
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リフレインバージョンは忠実に再現されている。
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飾りじゃないのよ涙は
オリジナルの三つ折りジャケットを再現。
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独特の紙質も同じだ。


赤い鳥逃げた
オリジナルシングルの記事では軽くふれただけだった12インチシングル盤。
これもオリジナルでは2つのジャケットが存在している。
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このボックスでも2通り同梱されていたが、オリジナルはLPジャケットだがこれは雰囲気のみ再現というところ。
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他のシングル同様、裏面にCDを差し込めるようになっているだけなのでCDを入れると見えなくなるのだ。


SAND BEIGE-砂漠へ-
オリジナルの和紙のような紙質も忠実に再現している。
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DESIRE-情熱-
ジャケット歌詞面は後期プレスのタイアップ有り、「情熱」有りの印刷だった。
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ジプシー・クイーン
ここからはジャケットに折り返しがつき、そこにバーコード情報が印刷されていたのがオリジナルだ。
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本ボックスでも再現できているが、バーコード部分は読み取り無効にするために変更しているのが面白い。
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これと同一仕様なのは「Fin」「TANGO NOIR」「BLONDE」「難破船」「TATOO」「LIAR」。


ノンフィクション エクスタシー
オリジナルはカセットだったのでここではプロモ盤EPのジャケットを再現。
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左:本ボックスCD 右:プロモ盤

レコードはプロモ盤のみで、プレミア付の貴重盤だっただけにジャケットの再現だけでも嬉しいところ。
余計な情報を省いてすっきりしたジャケットになった。


AL-MAUJ
明菜唯一のハードジャケットを採用したシングル。
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しかし、「赤い鳥逃げた」同様、CDはジャケット裏に収納するだけのフェイクなのが残念。


Dear Friend
オリジナルはシングルCDとカセット。
ジャケット写真オリジナルはCD/カセット共に横長となり、EPサイズにするにはカットされる部分がでてくる。
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このジャケットの切り取り方はまぁ妥当なところ。
おそらくEP盤復刻でも同じ画角となるだろう。
ただ、写真を引き延ばしているだけなので画像のボケ感が悲しい。
復刻盤でもここは修正されないだろう。
(2018年LP復刻も引き延ばしジャケットはボケていたし)


水に挿した花
これもオリジナルはシングルCDとカセット。
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寂しげな風景であるが雰囲気を損なわない範囲でうまく切り取っている。


二人静 -「天河伝説殺人事件」より-
これもオリジナルはシングルCDとカセット。
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この切り取りが一番難しかったと思う。
明菜の左目がカットされているが、般若の面も重要な象徴であり、これも入れたい。
となるとこのようなカットにするしかないということだろう。
ただ、明菜と般若が片目ずつになって、むしろオリジナルより雰囲気が出ているように感じる。


ということで、やや残念な部分もあるのだが概ね満足のいくボックスである。

オレとしては、別ジャケット有り・カラオケの収録・ジャケットが新品、という3つの要素が購入の決め手となった。

音源については2014年リマスターということで特に言及すべきものでもない。

さて、2021年EP復刻盤の再現性がどうなるのかが楽しみだ。

中森明菜 Mini Album Collection

これはワーナー・パイオニア在籍時代に発売されたミニアルバムのみを集めたボックス。

ワーナー時代の明菜をこよなく愛するファンの間ではもともと要望が多かったミニアルバム復刻が2014年リマスター&紙ジャケットにより実現した
(ちょっと遅かった気もするが)

このボックスはいわゆるEP盤(シングルレコード)サイズである。
これまでの明菜の復刻盤を振り返ると、赤箱・青箱ともCDサイズだったので今回統一されなかったのは非常に残念。
およそ同日に発売された「シングルコレクションBOX」がEPサイズだったので、それに合わせたというところか。

それにしてもこのEPサイズは微妙すぎる。

まずCDラックには入らないし、ミニチュア的魅力も半減。
そもそも元がLPだったものはいいとして、CDでしか発売されなかったタイトルをわざわざEPサイズに拡大するのはどうかと思う。

まぁ聖子の10万円ボックスみたいにLPサイズでなかっただけでもよかったと思うしかない。

それでは詳しく見ていこう。


AKINA NAKAMORI Mini Album Collection
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発売日:2014年6月18日
販売元:ワーナーミュージックジャパン

価格:7,000円(税抜)
品番:WPCL-11866~11870
組数:5CD
・Seventeen
・SILENT LOVE
・MY BEST THANKS
・CD'87
・Wonder
仕様:アナログシングル盤サイズ、紙ジャケット、2014年リマスター
キャッチコピー:1982年から1988年にかけて発表したファン・マストのミニ・アルバム5作品

完全生産限定ボックスであるが、中古の相場を見る限り、要望が多かったわりにそれほど人気がないようだ。
やはり原因は再現の中途半端さとEPサイズによるスカスカ感だと思われる。
また、デジタル化という意味では2006年の赤箱ボーナスディスクで「Seventeen」がCD化済み。
コアなファンにはそれほど魅力がないことも挙げられる。

ボックスのデザインは「花」がモチーフ。
同日発売のシングルコレクションボックスも「花」。
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※シングル・ボックス 1982-1991

昔の写真さえも使わないシンプルデザインで寂しいといえば寂しい。
そもそもワーナーに所属していたのは昔の話。
(使えるのは当時の写真だけだ)
ユニバーサルでさえも現在活動休止中の明菜の近影を撮ることは不可能なのだから仕方ない。

まぁ下手に昔のジャケット写真をベタベタ貼るよりはましと思おう。

オレが当時所有していたのはオリジナルの「Seventeen」「SILENT LOVE」「MY BEST THANKS」の3枚だけ。
いずれも12インチレコードだった。

残り2枚「CD'87」は既存曲の寄せ集めだからという理由から、「Wonder」は必要ないとして購入に至らなかった。
(この2枚はもともとCD発売のみ)

小遣いの少ない学生の身分ではファンだからといって無条件になんでも購入できたわけではないのだ。

また、オーディオ小僧はレコードからCDへ移行する時期でもあったので、そうそうレコードと被る内容のものをCDで買いなおす余裕などなかったというのもある。

ちなみに赤い鳥逃げた(12inchシングル)はシングル扱いのため同日発売の「シングルボックス」側に収録されている。


ボックス内にはジャケットを印刷したマグネットのおまけがついていた。

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毎度のことながら、こういうおまけを実際使う人がどれだけいるのかということだ。
オレはボックスに封入のおまけは別々にしたくないので使わずしまっておく派。
これは昔から変わらない。
最近はショップ独自の特典がつくようになったので、それならようやくどこかに飾ろうかという気持ちにもなっている。

そして、残念ながらこのボックスの再現性はあまりに中途半端である。
(赤箱青箱を出したワーナーならわかってくれていると思ったが・・・)

いいところを無理に挙げるならCDサイズよりデカいので歌詞が見やすいことくらい。

何しろもともとジャケットデザインがシンプルなものが多いのでデカくしたところで見栄えもせず、組数も5枚と少ないので余計EPのサイズ感がむなしく感じるのだ。


では一枚ずつ見ていこう。

Seventeen
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帯がないとこんなにシンプル。

収録曲
1.少女A
2.キャンセル
3.スローモーション
4.あなたのポートレート

オリジナル盤データ
発売日:1982年12月24日
品番:L-6501
価格:
仕様:12インチシングル、ピクチャーレコード
キャッチコピー:
再発盤:AKINA BOX 1982-1989 のDisc18(2006年)で初CD化
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※赤箱のボーナスディスクより初デジタル化CD

オリジナルはレコードのみの発売でピクチャーレコード仕様だった。
このボックスCDのレーベル面はオリジナルに習ってのA面側のピクチャーが印刷されている。
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しかし、これはすでに2006年赤箱にて同じことをやっている。

どうせならB面のピクチャーにしてくれればさすが!だと思うのだが・・・
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※オリジナルレコードのB面側ピクチャー

ちなみにピクチャーレコードはビジュアル的には楽しめるが、製造時のスタンパーの整形力と材質が通常の黒色レコード盤とは異なり、音質的にはあまりよろしくないと言われている。
そういう意味ではオリジナルと音質比較するのは面白そうである。

そして明言はされていないが発売時期からするとクリスマス企画的要素が強い。
限定盤(20万枚)ではあったが、さすがにトップアイドルだけあって未だに中古レコードは簡単に手に入る。

それぞれ曲の冒頭に明菜のメッセージが入っているということを除けば、収録音源がこれでなければ聴けないというわけではない。
当時の感覚もレコードを聴くというより写真集を買うような感じだったと思う。

オレはこのアルバム発売当時はまだレコードを買うほどのファンではなく、これは後追いで買っている。
(そもそもこのアルバムの発売自体をリアルタイムで知らなかったと思う)

オリジナルは透明な内袋(半透明ではない)にレコードが収められ、ピクチャーレコードがよく見えるようになっていた。
当時のピクチャーレコードはピクチャー面がよく見えるように透明な袋に入れらていることが多かった。
よって中古で普通の半透明に入っているものは交換したということだ。
しかしこの袋がペタペタしてなんとも扱いづらいので交換したくもなる。
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おそらく通気性も悪くカビが生えやすい。

アルバムの内容的には他でも聴ける音源なので、ほどんど聴かずにただ持っているだけだった。
(中古で程度がいいものが多いのはつまりこういうことだろう)

今となっては12インチシングル(45回転)なので音質的にアナログとして音がいいだろうという意味でオリジナル盤の価値は見出せる。

これは2006年リマスターの赤箱で初CD化なので、今回はそれより新しいリマスターであること以外になにも魅力はない。
むしろ2006年の赤箱盤の方がオリジナルを忠実に再現しており、このボックスでの復刻の意義は薄いものとなっている。
中森明菜 AKINA BOX(赤箱/青箱)


SILENT LOVE (A SPECIAL LITTLE STORY)
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収録曲
1.BLUE BAY STORY
2.LITTLE PARTY
3.TERMINALまでのEVE
4.星のX'MAS-BERRY ~A TENDER STAR

オリジナル盤データ
発売日:1984年12月21日
品番:L-5601
価格:1,900円
仕様:12インチシングル、特殊パッケージ(メールパック)、イラストレーベル、ポートレート2枚

キャッチコピー:
再発:CD 18L2-47 1,800円(1988年12月21日発売)にて初CD化
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※初CD化の1988年盤CD

総合的に見て、このボックスで一番の目玉だ。
オリジナルは12インチシングルレコードのみで発売された。

再発は意外に早く、オリジナルから4年後に初CD化されている。
再発と言っても当時のCDだ、現代のような紙ジャケットでの再現などするわけもなく、普通のジュエルケースによる通常パッケージ仕様となった。
(しかしこのアルバムの顔は封筒の方ではなくインナースリーブのこっちだったのか?)

よってこのボックスによる復刻は初のデジタル化ではないが、再発盤が手に入りにくかったこともあり、最新リマスターかつオリジナルを初めて忠実に再現したことで、このボックス中一番の売りといえる。
(オレはこれが目的で買ったようなものだ)

オリジナルレコードはクリスマス企画アルバムで、やはり限定盤(40万枚)だった。
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※オリジナルレコード

オリジナルはやはりタマカズが多いので中古で容易に手に入る。
(ただしLPサイズよりでかいメールパックパッケージのため、中古は痛んだものが多い)

また、コンサート会場でのみ販売されたという別ジャケット仕様は大変希少である。
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ただし、メールパックと同サイズのポートレートが差し込まれているだけなのだが。
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オリジナル盤は当時、確かリアルタイムで買った気もするが記憶が定かでない。

ミニアルバムではあるが、ファンの間では名盤と言われるほど楽曲が素晴らしい。
オレも何回も聴き込んだ大好きなアルバムだ。
(カセットにもダビングして聴いた)

オリジナルは国際郵便の封筒風ジャケットケースの中にさらに通常LPサイズのインナースリーブが納められていた。
(この封筒ジャケットで守られているため、中古でもインナースリーブの方は状態がよいものが多い)

よって通常LPよりも一回りデカく、レコードラックからひとつ頭が飛び出るので保管には苦労する。
また、外ジャケットのサイズでは普通のLPカバーに入らないので外袋の替えがないことに悩まされることにもなった。

しかしこのアルバムにはまだ忘れられない思い出がある。

オレが「Silent Love」最大の問題点とする「薔薇の封シール問題」である。
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外ジャケットが封筒を模しているため、その封として薔薇の絵柄のシールが貼られていたのだ。
本ボックスでもそれを再現しており、ばっちり貼ってあった。
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※本ボックスのCD

問題はこの封の剥がし方だ。

まさかこれをまた剥がす日が来るとは夢にも思わなかった。

オリジナルレコードの中古を見れば、この薔薇がいかに煩わしいものだったのかがわかる。
中古を見るとどう封を剥がしたのか、皆それぞれに苦労の跡が見られるのが面白いのだ。

オレは当時、この薔薇の封を少しも破損したくなかったので、時間をかけて綺麗に剥がした。
この場合、シールにのりが残るので再びくっついてしまうのだが、一度剥がしてしまえば若干粘着力が弱まるので以降は問題なかった。

人それぞれの苦労が伺える薔薇シール、いくつか挙げておこう。

1.綺麗にはがそうとして失敗
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中古ではこれが最も多い、最後まで綺麗に剥がせなかった残念なパターン。
あげく欠損した部分はなくなってしまったようだ。

2.逆の発想
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これはふた側の貼り付け面積の方が少ないと判断して剥がす部分を最小限に抑えたようだ。
かなり賢い成功例ともいえるが再度の封はしにくい。

3.いさぎよい
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これはそもそも剥がすのではなく、封筒の形に添って切り取るという潔いパターン。
封筒に厚みがあるからこのようなこともできるが、正直この発想はなかった。

また、この機会にネットでこのアルバムのことを調べていてひとつ気付いたことがある。


薔薇の封シールの貼り方(向き)は実は2通りあったようなのだ。

オレが当時買ったものはひし形貼りだったが、四角貼りのものもあるのだ。
それが先の写真1のパターンだが、ネットでもいくつか四角貼りのものを確認できた。

当時所有したオリジナルはひし形貼りだったので、それが当たり前と思って気にも留めてなかったので四角貼りを見た時は衝撃だった。

おそらくここは手作業でやっていたのだろうが工場または時期(人?)によって貼り付けポリシーが違ってて、つまりメーカーからの指示も無かったということか?
これまで見てきた個体から想像するに四角貼りの個体のほうが少ないとみている。


そして、今回のボックス盤の貼り方は四角貼りだった。
できればオレはひし形貼りがよかった。
でも実はひし形貼りもあったりするのだろうか・・・

さらにもうひとつの問題。

もともとのビニール外袋に張られた帯シールだ。
DSC01339 (2)

当時、レコードは販売店の店名の入ったオリジナルの外袋に入れて販売されていることが多かったが、このアルバムは通常の外袋には入らないので、店頭に並んでいる時点から工場出荷時の一回り大きい袋にそのまま入れて販売されていたのを今も覚えている。

つまりこの外袋に帯シールがついていることが問題なのだ。
また新しい外袋に交換したくても、そもそも代わりになる袋がないのでずーっと当時の外袋にいれるしかない。
(根気よく探せばあるかもしれないが)

これはかなり特殊な事情だが、実際中古は未だこのオリジナルの袋のまま売られていることが多いのだ。
(もちろん帯シールもついている)
確実に袋は汚れていくのに適当な代用品がない。

見つかれば帯シールごと移植したいが、オレもいまだオリジナルの袋を使っている。
よって中身は綺麗でも袋のせいで汚く見えてしまうのがこのミニアルバムの泣き所なのである。

ちなみに外袋は帯シールの向きから上入れ、横入れの2パターンがあることも確認している。

上入れタイプ
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横入れタイプ
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これが数々の思い出の詰まった、名盤「SILENT LOVE」である。


MY BEST THANKS
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収録曲
1.ありふれた風景
2.予感
3.Don't Tell Me This is Love

オリジナル盤データ

発売日:1985年12月21日
品番:L-4101
価格:(LP)
キャッチコピー:
再発:CD 1988年12月21日 13L2-48 1,300円、初CD化

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※再発の1988年盤CD

ワーナー中期の傑作アルバム「BITTER AND SWEET」と同年の1985年発売でバカ売れしてたと思う。

オリジナルは12インチシングルのA面のみに3曲収録、B面はグラフィカルディスクと呼ばれる珍しい仕様で曲が入っていない。
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※オリジナル盤のB面のグラフィカル面

ピクチャーレコードとの違いは一目瞭然である。
ピクチャーレコードが写真を挟んでプレスしているのに対し、グラフィカルディスクは直接印刷しているように見える。

やはり早々にCDで再発されたので今回が初CD化というわけではない。
しかし、やはり残念ながらこれも帯の再現がない中途半端さ。
せっかくの紙ジャケットの再現機会だったのに本当にもったいない。

これは当時リアルタイムでレコードを買っている。
(そもそも12インチシングルは安いのでよく買っていた)

このアルバムの推し曲はやはり「Don't Tell Me This is Love」だ。
とにかくかっこいい曲。
英語詩ではあるが、明菜は堂々と歌いこなしている。
やっぱり明菜のロックはなんともかっこいい。



CD'87
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収録曲
1.LA BOHEME
2.最後のカルメン
3.TANGO NOIR
4.DISIRE -情熱-
5.危ないMON AMOUR
6.MILONGUITA
7.ジプシー・クイーン
8.Fin

オリジナル盤データ

発売日:1987年5月1日
品番:32XL-191
価格:3,200円
キャッチコピー:
再発:1991年8月17日 WPCL-422 2,330円(税別) 廉価盤として

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※オリジナル1987年盤CD(1991年再発盤ではない)

オリジナルは1987年にCDのみで発売された。
(そもそもタイトルからしてレコードで発売されているわけないが)
よくよく考えるとすごいアルバムタイトルだ。

その約4年後にCDで再発されたが当時はリマスターがメジャーではなかったこともあり、単なる廉価盤としての再発に終わった。
ちなみにワーナー・パイオニアの廉価盤シリーズといえば「音泉1500シリーズ」であるが、文字通り1,500円だったので再発盤は同シリーズに属するものではない。
(CBSソニーでの廉価盤シリーズにあたるのは「CD選書」だ)

一度再発されているとはいえ、リマスターは今回が初となった。
未だにこのアルバムの存在意義を見出せないが、それは当時も同じ感じだった気がする。

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ちなみに「あれっ」と思ったのがなぜかオリジナル盤(左)のラベル再現ではないこと。
持ってないのでわからないが、これはおそらく1991年の廉価盤の方のラベルだろうか。
オリジナルではないのは間違いないので明らかにミスだ。

このアルバムは発売当時の直近のシングル曲を集めただけのミニアルバム。
(厳密にはベストアルバムともとれるが全8曲しかないのでミニアルバムでもよさそう)
当時の明菜のシングルヒット曲(そのB面も)をCDでもどうぞ、というニュアンスのものだ。

ではなぜこんなアルバムを発売したのだろうかということだ。

それは当時の状況を思い起こせばおのずとわかってくる。

これはコンセプト云々ではなく、単純にCD(デジタル)音源であるということに意義があったということだろう。
タイトルにわざわざ「CD」とついてるほどだ。
1987年といえばオレがCDプレーヤーを買った時期に近く、CDが売れ始めた時期なのだ。
出せば売れる明菜なので87年近辺のシングル曲を集めてとりあえずCD化してみた、くらいのものだと思う。
レコードでは持っている音源でも、CDでも聴いてみたくなるだろうというメーカーが意図したアルバムということだ。
これはCDというメディアのプロモーション的要素が強いアルバムと解釈している。

このボックスの購入を機にオリジナルも入手したが、やはり未だにこのアルバムを聴く理由が見つからない。



Wonder
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収録曲
1.Labyrinth
2.燠火
3.不思議
4.ガラスの心
5.マリオネット
6.Teen-age blue

オリジナル盤データ
発売日:1988年6月1日
品番:28XL-194(CD通常盤)、43XL-2001(ゴールドCD)
価格:2,800円(CD通常盤)、4,300円(ゴールドCD)
キャッチコピー:
再発:1991年7月17日 WPCL-425 2,330円(税別) 廉価盤として

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※オリジナル1988年の通常盤と限定盤ゴールドCD

オリジナルはCDのみの発売で当時流行ったゴールドCDと同時発売された。
この再発盤はCD'87の廉価版と同時期に発売されている。
これもリマスターは今回が初である。

これについてはオリジナル1988年の通常盤ラベルを忠実に再現できている。
DSC01349

本作は9thアルバム「不思議」から曲をセレクトしてリミックスしたミニアルバムだ。
「不思議」といえば明菜アルバムの中でも悪名?名高い問題作とされている。
(オレは好きだが)
問題とはボーカルが遠くて聴こえないからだ。
例えるなら明菜がとても遠いところでふか~いエコーをかけて歌っているような感じ。
だから歌詞はまずほぼ聴きとれない。

この音はボコーダーというエフェクターを使って作り上げたものらしい。
レコーディング当初はボコーダーをかけずに発売しようとしていたが、明菜がタイトル通りの「不思議」さが足りないといってしまったがためにこのような音になってしまったのだ。

当時、それを最初から知ってて購入したか記憶にないが、初めて聴いた時はまずガッカリした。
オレはこのアルバム曲をとても気に入っていたのでなおさらだ。

まぁ明菜様の意向でそうなったのだから受け入れるが、それにしても曲がいいだけにもったいない。
なんとかボーカルを聴きやすくしようと当時SUNSUIのイコライザ(SE-80)をいじくりまわしたことを思い出す。
(結果無理だったが)

そんな声(苦情?)もあってか、ボーカルくっきりでリミックスしなおしたのが本作「Wonder」なのだ。
ただし、不思議に収録された全曲をリミックスしたわけではない。
オレがリミックスで一番聴きたかったのは1曲目「Back door night」であり、全曲入っていない「Wonder」は結果買うに値しないと当時判断した。
(そもそも曲がかぶるアルバムを買う金がないというのが大きいが)

しかもこのリミックスはオリジナルとアレンジが変わってしまった。
オレとしてはボーカルのみノーマルに戻したオリジナルバージョンがよかったのだが・・・

とはいえオリジナルアルバム「不思議」に収録されなかった「不思議」という曲がここで収録されたことも話題となったし、今となっては楽しく聴いている。
アルバム「不思議」と「Wonder」はセットで持っておきたい。


さて、いろいろとケチをつけたくなるこのボックスだが、現時点で最新のリマスター音源とみれば価値を見出せなくもない。
(そもそも現在活動休止中の明菜なのでなんであろうと出してくれれば無条件で購入してしまうのだが)
明菜の企画ものもある程度出し尽くした感があるが次はどう出るのか楽しみだ。

聖子のように次々と新作や再発が相次ぐのも嬉しいが、この空白の期間を利用してゆっくり過去の明菜作品をコレクションしていくのもいいだろう。

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