さくの家電のーと

オーディオ、音楽、家電全般に関する備忘録ブログ

◆ウォークマン◆

SONY SEQ-50 ウォークマン用グラフィックイコライザー

かつてカセット時代のウォークマンには魅力的なアクセサリーが豊富に準備されていた。

基本機能しかなかったウォークマンのできないことを補完するアクセサリーも多かった。

つまり機能拡張のためのアクセサリーということ。
(現代のウォークマンアクセサリーはケース程度)

今回のグラフィックイコライザー(以降はグライコ)は簡単に言えばいくつかに分割された周波数帯のレベルを上げ下げすることで音質を自在に変えるもの。
高音がうるさければ抑え、低音が足りなければ増強するなど、好みの音質にして音の不足感を補うために使う。

アンプやラジカセにあるトーンコントロール(バス、トレブル)をより細分化したようなものと思えばいい。
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YAMAHA ネットワークレシーバー R-N803のトーンコントロール部

現代ではグライコを積極的に活用するのは少数派と思われるが、当時はミニコンポやラジカセ、カーステ等、グライコは普通によく使われ、また見た目もグラフィカルで美しいのでとてもメジャーな存在だった。
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SONY ウォークマン NW-ZX300のグライコ

もっとも現在でいうグライコはソフトウェアによる電子グライコが一般的だろう。

まずはウォークマングライコの歴史をざっくり振り返っておこう。

1984年にウォークマン用外付けグライコ発売。
(本記事のもの)

1986年にグライコ内蔵ウォークマン WM-60を発売。
ウォークマンとして初のグライコ搭載モデルとなった。
wm-60
カタログより

上面パネルに大胆に配置されたグライコが特徴だ。
グライコ搭載モデルのウォークマンは他に数機種が発売されたがやがて搭載モデルはなくなる。
グライコは本来物理スライダーで各バンドを調整するものであり、本体に搭載するとなると当然のことながら多くのスペースを割くことになる。
ましてやウォークマンに搭載するとなるとデザイン的に制約が出てくることは必然だった。

そういう理由もあってかウォークマンにグライコ搭載モデルはなくなったが、代わりに搭載されたのがDBB(ダイナミック・バス・ブースト)だ。
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SONY WM-DD9のDBBスイッチ

これはグライコではないが、音を補正するという意味では同じ流れになるだろう。
ただし、これは低音のみの不足を補うもので、グライコのような自由度はない。

それなのに多くのウォークマンに搭載されたのには理由がある。

DBBは当時主流だったインイヤータイプイヤホンの低音不足を補うことが一番の目的だったと思っている。
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SONY インイヤーイヤホン

ヘッドバンドのヘッドホンだと聴こえる低音も、この小型のインイヤーイヤホンだと出ていないように聴こえるためだ。
確かにこのイヤホンを使っていて一番の不満は低音がスカスカなことだった。

現代ではカナル型イヤホン(耳栓型)が主流となり、低音不足を感じることはそうないが、インイヤータイプのイヤホンはその装着方法の問題ゆえ低音の損失が大きかったのだ。
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SHURE カナル型イヤホン SE535LTD

しかし、実はこの低音不足問題は意外に早期に解決の糸口が見つかっていたのだ。

1983年発売のWM-20に付属したヘッドホンはバーティカル・イン・ザ・イヤー方式をとっていた。
Sony_WM-20-1984
カタログより

このヘッドホンは従来の外耳道に対しドライバーを水平に装着する方法から、外耳道に対してドライバーを垂直に装着することで低音不足が補えるという画期的なものだった。
無題
SONY ヘッドホンサイトより


現在もこの考えは引き継がれ、形を変えて発売されている。

これはインイヤーのイヤホンを持っているなら簡単に再現できる。
普通の装着方法でなく、ドライバー面を図のように前方向に向けて装着すると実際低音が聴こえるようになるのだ。
当時オレは普通のインイヤーイヤホンをこの方法で装着していたこともあるほど効果は絶大だ。
(ただし、音漏れは当然激しく能率も悪い、そして落ちる)

そんな低音不足を補うためのDBBも現代のウォークマンにはついていない。

その理由はカナル型イヤホンの台頭により低音不足が解消されたことがひとつ。

もうひとつはグライコの復活である。

かつて物理スライダーが必要だったグライコは姿を変え、まずはウォークマンのヘッドホンリモコンに搭載されて電子制御になる。
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ウォークマン用リモコン RM-MC40ELK

専用リモコンが必要だが再びグライコが使えるようになったのだ。

また、電子制御による本体内蔵グライコはハードディスクウォークマンが最初だったと思う。

そして現代ではウォークマン自体にソフトとして内蔵されているので使用する際の制約は実質なくなったのだ。

オレはグライコが昔から好きで、据え置き型も使ってきた。

80年代はSANSUI SE-80、現在はSANSUIのSE-99が現役でがんばっている。
(もっとも周波数監視のためのディスプレイのような使い方しかしていないが)
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さて、そんなウォークマンの歴史の中での最初のグライコを見ていこう。


SONY SEQ-50
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発売年:1984年
価格:9,100円
寸法:幅79mm×高さ108mm×厚さ20.5mm
重量:120g(電池含まず)
周波数特性:70~15000Hz ±3dB(EQフラット時)
S/N比:65dB(EQフラット時)
中心周波数:100Hz,300Hz,1kHz,3kHz,10kHz
可動範囲:±10dB
カラー:シルバー、ブラック

当時としては標準的な5バンドの調整ができる、ウォークマン専用5バンドグラフィックイコライザーだ。
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カセットウォークマンよりはやや小さく、カセットケースサイズに近い。

仕組みが単純なだけに、故障することなく製造後40年近く経過した現代でも使えてしまうのは驚きだ。

図体のわりにスライダー部分が表面積の半分ほどしか取れていないのは下半分に電池が入っているため。
さらにスライダーの稼働範囲はー10~+10の間で1センチほどしかとられていないため、細かい設定がやりづらい。

また、スライダーの動きが渋いのは経年劣化かと思われたが、ポータブル用途では簡単にスライダーが動いてしまっては使い物にならないので、ある程度固いのだと思う。
ただし、センター(0)部分のみカチッと止まる。

裏面 
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グライコの設定例が張り付けられている。
見る人が見ればわかる設定だ。

下部には電池ボックス。
電池は単三形乾電池を2本使う。
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上側面
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入出力端子が集約されている。
まずはパワースイッチ。
電源を必要とするのでイコライザーを効かせる時はスイッチを入れる。
スイッチを入れるとインジケータが赤く点灯する。
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電源オフの状態でもヘッドホン端子には信号がパススルーされるため使えるが、当然イコライザは効かない。

面白いのはヘッドホン出力が2系統あること。
本来ポータブルプレイヤーはパーソナル用途と考えがちだが、初代ウォークマンのTPS-L2はじめ、ヘッドホン端子を2つ装備するモデルはカセットウォークマン初期にはいくつかあった。
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初代ウォークマン TPS-L2のヘッドホン端子

まだウォークマンが普及していない頃、外に持ち出した音楽を例えばカップルで楽しむためのものだ。

やがてウォークマンのダウンサイジングの妨げとなったのか2系統装備のモデルは無くなる。
その名残りがSEQ-50でも見ることができたのだ。

二人で聴くならステレオプラグアダプターを使えばいい。
SONY PC-232S ステレオミニプラグアダプター

使い方
ステレオミニのヘッドホン出力を備えた機器であればなんでも構わない。
プレーヤーのヘッドホン出力にグライコからのケーブルを接続して完了。
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今回プレイヤーは現在愛用のSONY NW-ZX300、イヤホンはSHURE SE-535LTD(オヤイデリケーブル済)を使うことにした。

まずグライコの電源を入れるとサーッというホワイトノイズが聴こえた。
電源オフではノイズは出ないので機器固有のノイズとわかるが、おそらく新品当時の性能はすでに維持できていないのだろう。
曲が始まればそれほど気になるものではない。

試聴では本体裏にあるジャンル別推奨設定パターンをなぞってみることにした。

VOCAL

グライコの推奨設定は以下。
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1kHz+5、3kHz+5
※裏面の設定値は細かく読み取れないので概算値

ボーカルと名のついたこの設定はボーカルを前面に押し出す設定だ。
通常ボーカルをメインに聴きたい場合は1kHzを基軸として上げていく。
ただし、1kHzの周波数をもつのはボーカルだけではないし、ボーカルの成分も1kHzに限るものではないので上げすぎるとバランスが崩れる。
よって1kHzの前後の周波数も巻き込んで調整するのが肝だ。
実際のところ5バンドでは足りないが、本来なら10バンドは欲しいところだ。

ソースは家入レオ「Silly」のハイレゾ音源を試聴した。
「Silly」はもともとボーカルとバックの演奏が同レベルに近い今どきの全帯域塊型の音だ。
グライコ推奨の設定ではそれはまぁボーカルが際立つ。
しかし高音が耳に刺さってうるさいのは3kHzの+5が効きすぎているためだ。
予想できていたが、女性ボーカルにはちょっときつい。
とりあえず3kHzを+2まで下げて高音の出すぎを改善したがそれだけで全体に聴きやすくなった。

次に井上陽水「Make-up Shadow」オリジナルシングルCD音源を聴いてみた。
元の推奨設定に戻したがこれは意外に聴きやすく、むしろ慣れるといい感じだ。
3kHz+5でも男性ボーカルならうるさく感じないので男女ボーカルでは微調整が必要だ。

JAZZ and ROCK
グライコの推奨設定は以下。
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100Hz+8、300Hz+5、1kHz+2、3kHz+3、10kHz+2

この設定を見る限り、ベース・バスドラを強調、かつ高域も出したいという設定なので、いわゆる「ドンシャリ」といわれるものだ。
設定自体はこのジャンル向きだが、5バンドということもあり、低域のもたつきが懸念される。
本来であれば100Hz以下の低域を上げたいところだ。

ソースはTHE MODS「HNDS UP」リマスターCDから「激しい雨が」を試聴。
バランスは悪くはないがやや低音がこもった感じだ。
そのせいかシンバルのアタックも思ったより弱い。
そこで300Hzを+5から+2まで下げるとこもりは軽減され、ボリュームを上げると高域はいじらなくてもすっきり聴けるようになった。

次に吉川晃司「PASSAGE:K2 SINGLE COLLECTION」より「LA VIE EN ROSE」を試聴。
また推奨設定に戻したがこのソースでは低音がさらに効きすぎだ。
100Hzを+5、300Hzを+2とし、低域を全体に下げることでドラムにキレが出てきた。

NOISE CUT
グライコの設定は以下。
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3kHzー2、10kHzー5

そもそもデジタルにはメディア由来のノイズはないので、これはまさにカセットウォークマンならではの設定だ。
つまりカセットのテープヒスノイズを軽減するための設定なのだ。
サーというノイズは確かに高域方向の周波数を下げれば目立たなくなる。
ただし、下げすぎると音がこもるので加減が難しいところ。

ソースは以前の記事(オーディオ小僧ダビングの流儀)執筆時にデジタル化しておいた松田聖子「Canary」よりバラード曲「Silvery Moonlight」を試聴。
この音源はレコードtoカセットかつノーマルテープでNRオフだったのでテープヒスノイズが酷かったやつだ。
この設定により高域で耳障りだったテープヒスはずいぶん低減される。
しかし、高域成分を含む楽器音も犠牲になるのも当然。
高音は丸くなり、こもったような音となり、繊細な響きさえも失われている。
ピアニッシモではテープヒスが目立つだろうが、10kHzをー2までに戻すと高域とノイズのバランスがよくなった。


さて、ひと通り試してみたが推奨設定から少しいじることになってしまった。
音の出口であるイヤホンが違えば当然聴こえ方も大きく異なってくる。

当時はほぼイヤホンといえばインイヤー(ダイナミック・ドライバー)一択だったのでこれら推奨値でちょうどいい音が聴けたのかもしれない。
インイヤータイプはドライバーユニットそのものを耳に入れるのでドライバーサイズが自ずと決まり、どのイヤホンも音質傾向が似てくるからだ。
(当時はBAの音楽用イヤホンは存在しなかった)

そして今回使用したのはSE-535LTDなのでBAドライバー。
中域に解像感があるモニタータイプだ。
現代のカナル型イヤホンを使用するとグライコによるわずかな調整でも顕著に変化が聴きとれるのだ。

このグライコの設定例はあくまで例にすぎない。
もちろん推奨通りでも構わないが、だいたいの場合推奨設定やプリセットで聴くとちょっと違うなと思うことがよくある。

本来のグライコの使い方は再生環境に起因する音の過不足を修正するものだろう。
しかしポータブルに限っては自分好みの音に作り替えるという意味合いが強い。

長年グライコをいじり倒して痛感しているのはグライコの設定は一発では決まらないということだ。
その日の体調や気分も大きく関係する。
昨日は気持ちよかった高音が今日はきつく感じるとか。
また、同じアルバムであっても曲単位で修正が必要とさえ思えてくる。
(ここまでくるとイコライザー病だが)

今回の試聴において推奨設定でも曲が変わると印象が変わったのは、曲が変われば設定値も変動するということなのだ。

元の音をいじるということはオーディオマニアにとっては非常にデリケートな問題でもある。

オーディオマニアの見解は2つに分かれるだろう。

・音は物理的セッティングや機器の選定で調整するべきであり、原音はいじるべきではない

・イコライザーやトーンコントロールは必要であれば積極的に活用して調整するべき

このどちらかと問われればオレは後者に入るかもしれない。
もちろん前者も尊重すべきだ。

オーディオマニアのはしくれとしては、イコライザー機器を経由すること自体が邪道であり、できれば音はいじりたくないというのが根底にはある。
だが何よりも金と時間を無駄にせず、簡単に理想の音に辿り着けるのであれば使いたくもなるのだ。

イコライザーはともかくとして、たいがいのアンプについているトーンコントロールさえも意固地になって使わないのはオレはもったいない話だ。

このウォークマン用のグライコは結果的に当時のイヤホンのショボい音を修正する目的が大きかったのだと思っている。
つまりイヤホンを変えずに音をグレードアップできると考えればこれほど手軽で安上がりなことはない。

よくイヤホンの音に満足できず、次々と買い替えるイヤホン沼に陥ったという話を聞く。
オレはいつも、その前になぜグライコをいじらないのか?と不思議に思う。
誰もが納得の万能なイヤホンなど存在しない。
まずはグライコをいじってイヤホンがそれに追従できるのかを確認してからでも遅くはない。

ちょっとグライコをいじってみれば沼から抜け出せるのかもしれないのだ。

少なくとも今聴いている音に不満があるならグライコに目を向けてみてはどうだろうか。

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SONY PC-232S ステレオミニプラグアダプター

ひとつのヘッドホン端子を2つに増設するためのアダプター。

持っていても使いそうで使わない。

あれば便利だが、いざ出先で使いたいと思う時には持っていない。

だからといって常に持ち歩いていても使う頻度は極端に少ない。

ただこんなものがあるということを知っているかいないかで歩む人生の差がどれだけつくものだろうか。


SONY PC-232S
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価格:1,210円(税込み)
仕様:3.5mmステレオミニ出力×2

ステレオミニプラグアダプターはヘッドホン出力を2分配するアイテムだ。

もちろんウォークマン等のポータブルプレイヤーのヘッドホン端子に挿して使う。
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使い方はこんな感じ。
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3.5mmステレオミニ端子であれば現代のものでも使える。
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こうすることで音楽プレイヤーが1台でも2人で同じ音をステレオで聴くことができる。


映画やドラマで1台のプレイヤーのイヤホンを恋人同士で共有して聴くシーンをたまに見かける。
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BSテレ東 真夜中ドラマ「ハイポジ 1986年、二度目の青春。」(2020年放送)第一話の1シーン

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今でも恋人、友人同士でこんな使い方はするだろう。
(ワイヤレスだと接近できないのでワイヤードがおすすめ)

二人で同じ曲を聴けばデートも盛り上がることは間違いない。

ただ片耳だけでは音楽に没入することは当然できないがそんなことは関係ない。

もう片方の耳は会話のためにあけてあるのだ。

ちなみにこのドラマは録画して永久保存版として持っている。
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原作は漫画アクション連載の「ハイポジ」。

ストーリーは現代の中年おやじがある恥ずかしい事故をきっかけに1986年の自身の青春時代へタイムスリップし、2度目の青春をやり直す、というよくありがちなストーリー。

ドラマでは毎回テーマ曲が決まっており、それに沿ったストーリー展開がなされる。
(例えば第一話は「翼の折れた天使(エンジェル)」)

そしてこのドラマの最も重要なアイテムとなるのはタイトルからもわかる通りカセットテープだ。

ドラマには何巻か出てくるが、マクセルの初代UDⅡこそがキーアイテムとなる。
ロングランハイポジカセット 初代UDⅡ

1
オープニングより

この手のドラマは当時を再現してくれるのでオレは大好物だ。

3
オープニングより

とにかくこんなシーンを見てはいつも思い出すのがこのアダプターなのだ。

そして「プラグアダプター使えよ」とオーディオマニアならではのつっこみを入れるのだ。

ちなみに主人公 光彦(今井悠貴)が想いを寄せる さつき(黒崎レイナ)が使うのはSONYのウォークマンWM-101。
WM-30と似ているので間違えやすいがまずデザインとドラマの時代背景が違う。
また、乾電池アダプターが本体下面に装着されているのでWM-101であることはわかる。
(時代に機種もバッチリ合っていなければオレのようなマニアはドラマに集中できないのだ)
対して現代の光彦の妻である幸子(鈴木絢音)が使うのは東芝のWalky KT-PS5。
(ソニー以外はよく知らない)

他にも光彦が幸子からもらったカセットのお返しに好きな曲をダビングするのに使うのはラジカセ のSANYO MR-WU4A。
ダブルユーホー(シングルカセットタイプはユーホー)の愛称で大ヒットしたラジカセだ。

テープ to テープのダビングシーン。
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学校の教室ではレタリングシートを使ってマイベストを作成するシーン。
retaring

はさみの先でカセットのツメを折るシーン。
tume

6角形の鉛筆でテープを巻きとるシーン。
makitori

学校でそういうことやるなという話だが、当時は誰もが当たり前にやっていたのである。

とにかくこのドラマのラストは最高。

まぁ映画やドラマに登場するオーディオ機器が気になるのはオーディオマニアあるあるだ。
(金持ちの家には必ずラックスマン(LX-380とD-380のセット)がおいてあるとか)

実際、ステレオミニプラグアダプターは恋人同士でないとちょっと使いたくないアイテムではあるが、例えば2つのヘッドホンの音の違いを差し替え無しで聴き比べる等の真面目な使い方もある。

老若男女問わず、使い方を模索したくなるプラグアダプターである。
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SONY デジタルマイクロレコーダー NT-1(Scoopman)

1992年、この年デジタルマイクロレコーダーの1号機「NT-1」が発売された。

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ウォークマンやディスクマン同様、愛称は「スクープマン」と呼ばれた。

その名が示す通り、主な用途は報道などの取材音声の録音をターゲットとしており、スペックは同じデジタルテープであるDATよりも大きく落とされた。

しかし驚くべきは記録用メディアであるNTカセット。
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まるで昔のスパイ映画にでも出てきそうなテープだ。

脅威の技術力 SONY NTC(デジタルマイクロカセットテープ)

切手大のサイズにマイクロカセットよりも高音質デジタル録音ができることで大きな話題となり、これはギネスブックにも登録されたのだ。

NT-1は従来のマイクロカセットレコーダーの代替と言える。

かつて、マイクロカセットは例えば家の据え置き電話の留守録用のテープとして使用される等、その録音品質に見合った役割を与えられていた。
(当時うちの電話機はカセットテープが録音用テープとして使えるタイプでTDKのIFをいつもセットしていた)

ハード面においてもやはりチョイ録用途がメインのため一部を除いてポータブル機がほとんどだった。

とにかくマイクロカセットは最初から音質に期待しない用途だったということだ。

そういうわけでこれは使うことはないだろうことはわかっていたが、とにかくこの小さいNTカセットがどんな音なのかが気になって仕方なく、結局は手に入れたのである。


SONY NT-1
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発売日:1992年2月
サイズ:縦5.5cm×横11.3cm×厚さ2.3cm
重量:147g(単三乾電池1本含む)

パネル上面にはボリューム、カウンターリセット/モード切替、時間のセットボタンが配置される。
液晶パネルは小さく、最低限の情報しか表示されない。
テープ窓も一応あるが、テープが動いているのかはDAT以上に認識できない。
何しろ1秒で進むのはわずか6mm程だから無理もない。
動作状態はカウンターが頼りだ。

なお、ウォークマンコレクターの間では周知の事実であるが、この年代(1990年代初頭)あたりのウォークマンには本体の表面処理をマット仕上げにする処理が施されているものがいくつかあった。
これは新品時は固いゴムを触っているようでとてもグリップ感があり感触がいいのだが、経年劣化により表面の処理が溶けてベトベトになる。
例えば初代DATウォークマン「TCD-D3」(1990年)も同様の処理がされている。

オレのNT-1も例にもれず、表面がベタベタになってしまい使い物にならなかった。
これを解消するには表面を無水エタノールなどで拭き上げなければならない。
かなりの時間を要する大変な作業だ。
そういうわけで中古品で見た目がとても汚く見えるのはそういう理由がからだ。

いくらメディアが小さいからと本体まで小さくしてしまっては操作に支障をきたす。
手で持つと丁度いいサイズのNT-1。
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持ち運び用のソフトキャリングケースはフカフカしてとても使いやすい。
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本体裏面
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裏面にはボタン電池の収納部があり、ここに電池を入れておかないと時計が動作しない。
時計が動作しなければテープに録音日時も記録されない。
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ヘッドはDAT同様のロータリーヘッド採用、つまりR-DAT方式だ。
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S-DAT方式(固定ヘッド)としてもよさそうだがそれでは本機のスペック要件は満たせないということだろう。
後に発売されたDATウォークマン WMD-DT1にも役立つ技術だろう。

カセットのセット時は指でグっと押し込むとテープのシャッターが上にせり上がってテープが露出する仕組み。
これはDATと同じだが、違う部分はA面B面があるのでB面を使用する時はテープを取り出しひっくり返すのでシャッターはどちら側にも動くようになっている。
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そしてこの頃のソニー製品はとにかく元箱がいい。

元箱(表)
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当時の元箱はカラーをふんだんに使い高級感がある。
NT-1はスクープマンの愛称で知られるが、この箱には「Scoopman」がシールで貼られている。
印刷でないのはスクープマンの愛称は発売直前に名づけられ、この発売に間に合わなかったのでシールを貼ったのではと推測している。
そういう意味でもこれは初期ロットなのかなと思っている。

元箱(裏)
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裏は簡易的な本体操作説明と付属品の解説。
基本的な情報を簡潔に表現しており、購買意欲をそそられる。

箱から取り出す。
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発泡スチロールの容器にまず取説等の冊子類が収められている。
この形式は当時のプロフェッショナルウォークマンでもよく見られた。

あるべきところに収められたかたどりがとても気持ちいい。
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前面操作部
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通常のテープデッキと全く同じボタン類。
もちろん操作は従来のものと変わらない。
ちなみにテープエンドでのオートストップ機構はない。
ストップとイジェクトが兼用なのはあまり好きではないが。

右側面
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ヘッドホン出力端子、マイク入力端子、録音ボタン。
録音ボタンはこれだけでは録音しない。
前面のPLAYボタンも同時に押すことで録音開始となる。
ボタンが離れているので片手で操作するのはちょっと厳しい。

左側面
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電池挿入口のみ。

電池は単三型1本で再生約6時間/録音約7時間。
決してロングライフとは言えないので予備電池は必須だ。

付属品はマイク等多数あるが、今回は外部機器からの録音に必要なアダプターのみ載せておこう。
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いびつな形であるが、これは左側面の電池ボックスに差し込むための形状だ。
このアダプターも本体同様の表面処理がされているため、ベトベトして見た目が汚い。
(こっちはあと何度か拭きあげなければならない)

それでは録音の準備を。

本体の電池蓋をあける。
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アダプターを差し込む。
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ドッキング完了。
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ずいぶんと横長になる。

本体の電池蓋はどうなったかというと、
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開けた状態でも収まるようにスペースが用意されている。
この場合、電池ボックスを使用してしまうため、ACアダプターで電源を供給することになる。

ということで録音してみる。

発売から30年近く経つというのに未だに故障知らずで完動品であるこの個体は当たりということだろう。
今回10年以上ぶりに押し入れから引っ張り出して動かしたにもかかわらず普通に使えた。
機構自体は故障しにくいと思われるがカセットウォークマン以上の耐久性かもしれない。

録音はDAP(SONY WM-ZX300)に入れたFLACをソースとした。

ウォークマンのヘッドホン出力をNT-1のラインINへ接続。
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NT-1はライン入力しか備えないため、ステレオミニプラグによるアナログ接続となってしまうのは仕方ない。

まずは録音待機状態にしたいので前面のRECポーズスイッチをスライドさせる。
このあと録音ボタンを押すことで録音待機状態になる。
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RECポーズの状態。
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ポーズを解除して録音中。
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録音レベルはマニュアル設定もできるが、レベルメーターがしょぼいので今回はオートとした。

録音できたらNT-1を再生して音を取り込んでいく。
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ラインOUTがないのでヘッドホンから出力するしかない。

さて、NT-1からどんな音が出るのか。
音楽用途でないとはいえ、マイクロテープのデジタル版ということであれば当然音質は向上していると思われるので気になるところ。

試聴はジャンルを変えて、それぞれがどう聴かせてくれるのかやってみた。

・ロック
LiSA シングル「紅蓮華」
サンプル
細かいディティールが抜け落ちているのは明らか。
迫力もないし高域はかなり丸くなった。
しかし、この曲のような終始高レベルの楽曲であればそれもあまり気にならない。
何しろ静かなのはイントロ部分だけでレベルメーターピークを指したままほとんど動かないほどの曲だ。
音が多すぎる上に楽器の定位もよくわからないモノラルのような録音。
いい曲もこのような録音(アレンジ・ミキシング)ではオーディオ的にはおそろしく退屈だ。
こういう録音ばかりだから現代の音楽はダメなのだ。
とはいえNT-1の録音品質ではクラシックやジャズは厳しいだろうが、ロックならギリ使えるかなというのが正直な感想。

MAN WITH THE MISSION シングル「Dark Crow」
サンプル
ロックを続けて録音したが、やはりあまり気にならないというかずっとNTの音を聴いているとそのうち麻痺してしまい、普通に聴けてしまう。
かつてMDにMDLPモードで録音して(64kbps)高圧縮音源をひたすら聴いていた時のように、それだけを聴いていればそれが普通になってしまい不満がなくなるという感じか。
「Dark Crow」もやはりオーディオ的には「紅蓮華」と同じ傾向のもったいない録音だがまだマシ。
ロックのダイナミックさでごまかしが効くのではと思ったが、激しいものほど厳しいようだ。

・ポップス
中山美穂 シングル「WAKUWAKUさせて」
サンプル
ややロック調であり、ドラムの迫力あるキレッキレっな音が気持ちいい曲。
もともとの録音もいい。
実はこの曲くらいのバランスが一番NT-1に合っているようにも思えた。

斉藤由貴 シングル「悲しみよこんにちは」
サンプル
斉藤由貴の歌はやはりその澄んだボーカルにつきる。
残念ながらNT-1の音はこじんまりとレンジの狭さが斉藤由貴の声を台無しにしている。
(いうほど悪くないが)
しかしロックよりは相性はいいように思う。

井上陽水 シングル「make-up shadow」
サンプル
この曲は割とNT-1と相性がいいほうだ。
もちろんソースと比べれば迫力は落ちるが、リマスターされていないオリジナルシングルCDの音はもともと音圧が低く音も丸いのだ。
(現代の音と比べればの話)
どんしゃり好きにはやや厳しいのがNT-1の音ともいえるか。

中森明菜 シングル「赤い鳥逃げた」
サンプル
録音の良さから昔からアナログ/デジタル音源いずれもオーディオチェックによく使う曲だ。
生楽器のみずみずしさやセパレーションもよくレンジも広いメリハリがあるソースだ。
この曲の音の良さはしっかり耳に焼き付いているため、最初の3秒でダメなのはわかった。
NT-1では確かにこの曲のよい部分は失われるのだが、さすがに元がいいと許せるレベルくらいには録音できるものだ。
甘めにみてソースの音の良さを知らなければ悪くない音だ。

・フュージョン
松岡直也 午後の水平線より「Sunspot Dance」
サンプル
こういう曲はまずごまかしが効かない。
と思ったが、意外にぼんやり聴いている分にはNT-1の音も悪くない。
やはりデジタルの安定感の恩恵というところか。
意外にセパレーションはいいが響きがカットされるのはMDと同様のようだ。
例えばイコライザーで不足部分を補正するなどでいけるのかなとも思えた。

・バラード
松田聖子 Canaryより「Silvery Moonlight」
サンプル
ずーっと気になっていたがアナログテープにつきもののテープヒスのようなノイズが終始目立つ。
しかもそのノイズレベルが全く変わらないのだ。
つまり、通常アナログカセットはテープヒスは曲が始まってしまえば曲にマスキングされてあまり気にならなくなるのだがNT-1では常に付き纏うという感じを受ける。
デジタルであれば本来テープヒスはないと思われるが、この曲のようなバラード曲では気になるレベルに目立ってしまった。
もちろんこれをテープヒスと断定したわけではないが、未使用領域の無音部分を再生してもそこそこノイズがあり、録音済みの無音部分(曲間)との音を聴き比べても録音済みの部分のノイズ成分のほうが若干大きい程度。
このことから考えられるノイズの原因はまずアナログ接続による録音であること、また機器本来が持つ固有のノイズではないかと推測している。
いずれにしても音楽用途にはやや厳しいノイズレベルといえる。
何しろこれだけ小さいカセットとヘッド周りだ。
どこでノイズが発生してもおかしくない。
音楽用途でないのでノイズ処理まで手が回らない(手を回す必要がない)のは承知している。
デジタルなのにカセットテープを聴いているように聴こえたのには笑ってしまうが、まぁこれもNT-1の味ということだ。


これがこの小さなカセットに記録された音たちだ。
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まとめると音質は全体にこじんまりとしてレンジが狭い。
いくらデジタルとはいえ、さすがに音は悪い。
例えるならmp3などの圧縮音源を聴いているようでもあり、細かな響きが失われたことにより音場が狭く聴こえるのだろう。
高域の煌びやかさや重低音の迫力はずいぶんなくなる。
チャンネルセパレーションは悪くないが原音と比べるとややぼんやり感は否めない。
ノイズの感じがノーマルテープでノイズリダクションを入れずにダビングしたアナログカセットの音のようでもあるが、それでもカセットの方がまだいい音だろう。
ディティールの再現はアナログカセットに分があるが、さすがデジタルだけあってワウフラはこちらの方が断然上で安定感があるのがアナログとの差だ。
(とはいえアナログカセットのほうが断然いいのだが)

所有するNT-1は2021年ですでに発売から30年近く経っており、本来の性能を発揮できているとも思えないが、少なくとも音楽は絶対無理と目頭を立てるほど悪くはない。

サンプリングレートだけを見ればこの品質の音に大きな驚きは全くない。

当然そういう音になるだろうね、と一蹴してしまえばそれで終わり。

しかし、それも現代だから言えること。

当時はメモリやハードディスクに記録するという概念などない。

この音が記録されたのはこの小さな切手サイズのカセットなのだ。

これは当時のソニーの技術力と執念の結晶だ。

デジタルであっても最初はこのような試行錯誤があり現代に繋がっているのだと思えば、やはりNTの音もレコードと同様の感情が芽生えてくる。

オーディオの楽しみというのは高音質を追及するばかりではない。

たまにはこんな古い機器の音を聴き、ローファイな音をあえて楽しむこともオレには極上の時間なのだ。

WALKMAN DD QUARTZ WM-DD9

カセットウォークマンには一部機種において「プロフェッショナル」の名を冠したものが存在した。

中でもWM-DD9はパッケージにこそプロフェッショナルの文字はないが紛れもない再生プロフェッショナルの最高峰といっても過言ではないだろう。

オレはDD9の音を聴くまではWM-D6またはWM-D6Cが一番音がいいと思っていた。
(総合的に考えればやはりWM-D6/D6Cが一番だが)

実際WM-D6/D6Cは据え置きデッキの代わりにもなり得るほどの性能であり、録音もできた。

この音こそカセットウォークマンの最高峰であることを疑わなかった。

しかし、2000年代初頭のある日、会社の先輩であり変態ウォークマンオタクでもあるS氏にDD9の音を聴かせてもらったことがある。

確かその頃、WM-D6Cがウォークマンの2001年頃のカタログで生産終了のアナウンスされており、S氏と慌てて秋葉原までD6Cを買いにいったのだ。

雪の舞うとても寒い日だった。

結局は生産終了の報で買いが殺到したのか店頭在庫がなく、工場からの直接出荷で到着を待つこととなった。

その後まもなく新品のWM-D6Cを手に入れご満悦なオレだったが、ある日これを聴いてみろとS氏から渡されたのがDD9だったのだ。

この時の衝撃は未だに忘れられない。

全くD6Cと音が違ったのだ。

最初はあまりにクリアな音に「これは音をいじりすぎていないか」と変態S氏に反論したが譲らない。

オレも負け惜しみで言ったのも半分だった。

そのしばらくあと、オレは新品のDD9を手に入れることになる。
(正確には新品と中古の2台)

改めてゆっくりとDD9の音を聴き、やはりあの時の感覚は間違いではなかったと確信した。

先輩の受け売りだが、カセットウォークマンの再生音ならDD9が一番であるとふれ回ったのはいうまでもない。

DD9はドルビーB/Cが搭載されており、Cタイプを使用した際の再生音はカセットであることを忘れさせるほどの音である。

どこがWM-D6/D6Cと異なるのかといえば、10秒も聴けばそれはわかる。

恐ろしく高域がクリアなのである。
(極端に言えばドンシャリ)

高音がキラキラすぎてD6Cに慣れた耳ではこれはやりすぎだ、と思ったほどだ。

しかし高音ばかりではない。

低音も馬力のある力強い音なのだ。

メカの動作音も極めて静かで安定している。

以前ブログにナカミチのカセットデッキの音を「ずっと聴いていたくなる音」と形容したが、このDD9もまさにそれだ。

ナカミチとは異なる音だが、他のどのカセットウォークマンとも異なる音だ。
(当時はカセットウォークマンに着目していない空白期間だったのでその存在すら知らなかった)

DAT、MD、メモリと多くのウォークマンを使ってきて、改めてDD9の偉大さを思い知るのである。


SONY WM-DD9
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※写真は2台あるうちの普段使い用

発売:1989年
価格:43,000円(税抜)
周波数範囲:20~20,000Hz
ワウ・フラッタ:0.07% WRMS
S/N比:48dB
出力:5mW+5mW
重量:約330g(ガム型電池含む)
その他:再生専用、リバース

スペックを見る限りプロフェッショナルを名乗るにふさわしい。
再生周波数は20kHzとは恐ろしいが、S/NやワウフラはさすがにWM-D6に及ばない。
D6の安定した音はこういうところからくるのだろう。
とはいえ、ポータブルとしては上出来だ。

外箱
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この箱からしてスペシャルな雰囲気が漂う。
歴代のプロフェッショナル機のキラキラ箱とはまた異なるが間違いなくただものではない。

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箱から出すとブラックの発砲スチロール容器が現れる。

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新品時のセット内容はこのようになる。
左から専用ケース、中央上が充電器及びバッテリー、中央下が収納ケース付きイヤホン、右が本体だ。
※イヤーパッドは溶けたので捨て、乾電池は液漏れしたので捨てた

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バッテリーはガム型で初期もののNC-6WMが付属。
(液漏れしているのであくまで飾りだ)
DD9は単三乾電池1本でも駆動できるので問題はない。

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イヤホンはオープンエアのインイヤータイプが付属した。
このタイプはもう使うことはないだろう。
現代のイヤホンには到底かなわない。

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専用ケースは分厚く、本体の保護はバッチリ。

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裏面にあるネジはウォークマン本体と固定するためのもの。

右側面
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上からドルビーB/C/OFFの切替スイッチ、EX DBB(エクストラ ダイナミック・バス・ブースト)は低音域の強調スイッチ、テープポジション切替スイッチはもちろんメタル対応。
CD時代になるとCDの録音にオレはCタイプを多用した。
何よりCDのダイナミックレンジを生かすにはテープヒスは邪魔だった。
(しかしレコードはNRはオフ)

左側面
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上がホールド/カセット蓋オープン/バッテリー蓋オープンのコンビネーションレバー。
これの使い勝手が抜群だ。
下がACアダプター差込口。

上面
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さすがの金メッキヘッドホン端子と回転式ボリューム。
ボリュームはやはりこれが使いやすい。

内部
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「ハの」字に見えるのが駆動用のモーターであり、型名のDD(ディスクドライブ)に由来する部分だ。
DD9はこ2のモーターでそれぞれフォワード、リバース側のキャプスタンを駆動するのがすごいところだ。
通常は扁平モーターを使用するがDD9はモーターがでかすぎて露出している。
(わざと見せているのだろう)
クォーツロックのキャプスタンサーボでワウフラは0.07%とD6Cには及ばないまでも音揺れを感じることはない。
電池を装着(電源を投入)するとフォワード/リバース側それぞれのリールが順に回転(インジケータも点滅)するスタートの儀式がたまらなくかっこいいのだ。

ヘッド回り
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ヘッドはリバース用の双方向ヘッド。
初めてウォークマンのリバース用ヘッドを見たときは本当に驚いたものだ。
こうやってリバースするんだと。
DD9には再生中に早送りすると巻取り後に自動で再生するスキップリバース機構がついている。
リバース機なのでキャプスタンとピンチローラーは二つ付いているがクローズドループのためのデュアルキャプスタンではない。

手で持つとこんな感じ。
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明らかにずっしりとした重量感。
厚みがあるもののこう見ると普通のカセットウォークマンとそう変わらない。

EX DBBは低音の増強スイッチで3段階で切り替えられる。
この機構は名前を変えながら初期のメモリータイプウォークマンまでついていた機能だ。
現代のカナル型イヤホンではまず使うことはないと思うが、昔のインイヤータイプのイヤホンは密着性が悪く、ドライバー口径がそのまま低音の能力のような感じだった。
つまり低音がまるで出ないのでバスブーストして不足を補おうという考えだったのだ。
なので現代のカナル型イヤホンを使用してDBBを入れると気持ち悪いくらいの低音と音割れでまず使えない。
DD9は出力5mWながらも機構の安定感からかとても良質な低音がでるので不要だ。

ここにDD9の音を記録しておく。

再生したカセットテープはオレが1987年(昭和62年)に友&愛でレンタルしたレベッカのCDをダビングしたもの。

録音方法は、DD9 Headphone OutからPCM-A10 MIC Directである。

・ソース情報
REC DATE:1987/11/27
TAPE:TDK AR-X C46(TYPE Normal)
CASETTE DECK:AKAI HX-R44
CD Player:Pioneer PD-7010
以下参考(当時のマイシステム)
AMP:SANSUI AU-D707X Decade
SPEKER:ONKYO D-77X
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・元音源情報
ALBUM:REMIX REBECCA
ARTIST:REBECCA
MEDIA:CD
から、Love Passion、CHEAP HIPPIES、WHEN A WOMAN LOVES A MANの3曲を。
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これは録音時にレンタルしたオリジナル盤ではなく現在所有する最新のBSCD2盤だ。
もともと録音がいいCDなので、今もシステムチェックCDのひとつとして使っている。
このシリーズでレベッカアルバムを全て集めなおした。

・DD9設定
TAPE Position:Normal
DOLBY NR:C
EX DBB:OFF
※ヘッドホン端子出力のためEX DBB回路を通るため

・PCM-A10設定
REC MODE:MP3  320kbps

DSC06369

※DD9は使用時間の極めて少ない新品のほうを使用した

1.Love Passion

LOVE PASSION.mp3

2.SECRET DREAM

SECRET DREAM.mp3

3.WHEN A WOMAN LOVES A MAN

WHEN A WOMAN LOVES A MAN.mp3


これが30年以上前のノーマルテープの音?
いやアナログカセットの音?
と知らない世代なら思うかもしれないがごく普通にこれくらいの録音ができる人は当時ごろごろいた。
音源はDD9の実力がわかるよう、ちょっとドンシャリが強いものを選んだ。
ちょっとやりすぎかなとも思ってしまうが、まずこれらを聴いて思うのは現代のミックス方法と異なるということだ。
現代の音といえばとにかく真ん中に音が集まり、モノラルばりのものが多い。
対してこのアルバムはドラムからシンセから左右にブンブン飛び回る。
これが現代の曲しか知らない者には”音酔い”するらしい。
(音酔いという言葉も初めてきいたが、どんだけ三半規管が弱いんだ)
そりゃヘッドホンで聴いてりゃ気持ち悪いというのもわからなくもない。
しかし、当時は今よりもずっとスピーカーで音を聴いていた人が多かったのだ。
だからヘッドホンで聴くことが多いであろう現代の音はステレオ感が乏しいのであろう。
(逆にいうと現代の音楽はスピーカーで聴くとつまらない)

話がそれたが、これは今(2020年)から33年前にノーマルのカセットテープに当時のオーディオ小僧が録音したカセットの音だ。
(いくらノーマルテープといってもTDK AR-Xは現代のノーマルとはレベルが違うが)

録音時に使用した機器についても高価なものでもない。
(HX-R44は当時AKAI電機で一番安いエントリーモデルだった)

しかし当時のオーディオ小僧の録音もさすがであるが、DD9の再生能力も驚くばかりだ。
(今日まで保存してきた元オーディオ小僧のカセット保管力もさすがである)

しかもこの音はコピーのコピー(CD→カセット→ICレコーダー)の音であり、さらにMP3で圧縮されたもの。

それを考えるとDD9でダイレクトに聴くカセットの音がどれだけすごいのか想像がつくだろう。

これを使ってカセットのデジタル化を考えてもいいレベルだ。

いや、むしろDD9の音を残すためにデジタル化しておくべきかもしれない。

WALKMAN文房具 その3

今もそうだろうが小学校の低~中学年の頃はギミックの効いたやたらでかい筆箱が流行した。
そのギミックの多さこそステータスだった。

裏表のフタがあいたり、二重底になっていたり、ボタンを押すと鉛筆削りが飛び出してくるなど、いかにも子供が喜びそうなやつだった。

しかし小学校も高学年となると、そういうのは使わなくなり卒業の時を迎える。

そして、入学するのが「缶ペンケース」だった。

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ウォークマンロゴ入りの缶ペンケース5種。
価格はどれも300円。

一切のギミックはなく、ただのシンプルな缶のケースだ。
このシンプルさこそ小学校高学年にふさわしいと当時は思っていた。

使い込めば使い込むほど塗装がはがれていき、みすぼらしくなってやがて何だったのかがわからなくなったものだ。
汚くなってきたらシャーペンの先っぽで塗装を削って直接落書きすることもできた。

そうえば授業中に机から落としてしまい、派手な音とともに中身をぶちまけたことがとても懐かしい。
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ゴージャスなゴールド色。

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黒にターコイズブルーのアクセントがおしゃれだ。

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フランス国旗を思わせるトリコロールデザイン。

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ショートサイズもあった。

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ショートサイズ2。


とにかくシンプルな缶ペンケースであるが、これは中にいれる文具にもおのずと制限がかかってしまう。

一応文房具をセットしてみた。
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缶製なので出し入れの際の金属音軽減のため、スポンジ素材の薄いシートが下に敷かれている。
鉛筆が短くなれば消しゴムも横に入りそうだ。
つまりシャーペンを使うことが前提なのだと思う。
17cm定規はきっちりはいった。

DSC05905
ショートサイズでは普通の鉛筆も入らない。
シャーペンでギリギリだ。
シャーペンオンリーならこのサイズでも十分ということだ。

分厚い消しゴムは入らないので、ケースに合わせて消しゴムを選ばなければならないし、鉛筆もたくさんは入らないのでシャーペンは必須だった。

これも一時期のブームだったのだろう。

中学に上がる頃にはさらに渋い布製等のジッパー付きソフト筆入れを使っていた。

筆箱が成長の度合いで変化していたのだと思うと面白い。

日本の文房具は世界でもトップクラスのクオリティとバリエーションがある。

当時は今ほど便利なアイテムはなかったが、楽しい思い出である。

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